ぴょんぴょんの「〈グルジア〉の選択」 ~〈グルジア〉は第二の〈ウクライナ〉にはならない

 前回につづいて、〈グルジア〉です。
 10日後の10月26日に迫った〈グルジア〉議会選挙。ここで〈グルジア〉は大きな局面を迎えます。国民は、ロシア寄りの与党「グルジアの夢」か、欧米寄りの野党「統一国民運動」かの、大選択を迫られています。ただし、「グルジアの夢」が選択された場合は、カラー革命も予想されます。
 前回、くわしく触れられなかった、〈グルジア〉の与党「グルジアの夢」を創設したビジナ・イヴァニシヴィリについて、そして前大統領サーカシヴィリについて、補足したいと思います。
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「〈グルジア〉の選択」 ~〈グルジア〉は第二の〈ウクライナ〉にはならない

「グルジアの夢」を創設したビジナ・イヴァニシュヴィリ


今日も〈グルジア〉? 前回、一言も「つづく」って言ってなかったよ?

あのときは、「つづく」つもりはなかったの。

それに、ちっとも〈グルジア〉料理が出てこないし〜。

よしよし、これでも見て、ヨダレ垂らしてろ。


おいしそ〜! これ、ハチャプリって言うんだよねえ。食べてみたいなあ。

カロリーの塊って感じだが。

そうそう、言うの忘れてたけど、気になってたんだ。〈グルジア〉のコバンハゼ首相は、やっぱり「ソロス様」の手下なの?

ジョージ・ソロス
Author:Niccolò Caranti[CC BY-SA]


コ・バ・ヒ・ゼ! 実はあれから、おれも気になって調べてみた。

へえ?

映像配信の「竹下氏による一問一答 第6回」の「正確な情報がわからない中でどうすればよいか?」で教えてもらった方法で、調べてみた。そしたら・・。

そしたら?

コバヒゼは、「ソロス様」の手下ではなかった。

それ、信じていいの?

自信はねえが、コバヒゼ率いる「グルジアの夢」という政党が、かなりまともなこともわかってきたし。

ぼくは、「グルジアの夢」という政党名に、ポエムを感じるなあ。

「グルジアの夢」を創設したのは、「グルジアの夢」のスポンサーであり、今も名誉会長の、ビジナ・イヴァニシュヴィリ(1956年2月18日-)だ。

ビジナ・イヴァニシュヴィリ
Author:Michał Koziczyński[CC BY-SA]

なんだ、少しもポエムじゃないおっさんだ。

「グルジアの夢」って名称はな、イヴァニシヴィリの息子でラッパーの、ベラ・イヴァニシヴィリのラップ曲から着想を得たものだそうだ。(Wiki

やっぱ、おっさんの発想じゃなかった。

イヴァニシュヴィリは、ゴルバチョフからエリツインの、ソ連の国有資産が民営化された時代に、銀行や金属資産を安く手に入れて大儲けした。「フォーブス誌は、彼の成功の秘訣を『誰も必要としない企業を数千万ドルで買い、それを数十億ドルで売却する』ことだと評している。」(Wiki

それって、典型的なオリガルヒじゃん。

そう、だが彼は、「バラ革命」の当時から、〈グルジア〉のために多額のカネを出して、サーカシヴィリ政権を助けてきたんだ。特に文化面で多大な寄付をしてな、2004年に建設された〈グルジア〉史上最大の聖三位一体教会をはじめ、各地の教会、劇場など文化施設、地方の文化遺産、カネに困っている知識人への金銭援助など、〈グルジア〉の文化事業のパトロンとして、〈グルジア〉の著名人はほとんど、その恩恵を受けていると言われる。JB press

サーカシヴィリ大統領
Author:Katarzyna Czerwińska[CC BY]

そうやって、支持者を集めたんだね。

「バラ革命」以来、サーカシヴィリ政権を助けてきたイヴァニシュヴィリだが、ある時、おかしいのに気づいたんだろう。サーカシヴィリに対抗する政党として立ち上げたのが「グルジアの夢=民主グルジア」だった(2012年4月)。同年10月の総選挙で第一党となり、サーカシヴィリ内閣を総辞職に追い込んで、イヴァニシヴィリが首相になった。

へえ、首相になったんだ。

だが、イヴァニシュヴィリは、表舞台に立つことを極端に嫌う性格で(JB press)、首相を務めたのは 2012年10月〜2013年11月の約1年、そのあと、すべてを信頼できる部下に任せて、政治的役職を退いた。現在は「グルジアの夢」の名誉議長を務めているが。

表舞台から退いて、黒子に徹してるんだね。



「グルジアの夢」が敵対視する「世界戦争党」とは


黒子と言うより、黒幕だな。ところで、イヴァニシュヴィリは、新しく採択された「外国人エージェント法」について、どう考えてると思う?

あのー、つかぬことをお伺いしますが、「外国人エージェント法」ってなんでしたっけ?

ええ〜っ?! 先週、教えたばっかだぞ! 《外国からの資金提供が20%を超えるNGO、メディア、個人を、「外国勢力の利益を促進する」団体として登録し、収入と寄付者を公表することが義務付けられる。これに従わない場合は、最高9,500ドル(≒135万円)の罰金が科せられる。》

思い出したー。

イヴァニシュヴィリは言う。「私たちがしばしば批判してきたように、海外からNGOへ提供される資金は、実際、ほとんどすべてが工作員組織の強化と、権力を握るために使われている。」BBC

きっと、「外国人エージェント法」って、イヴァニシュヴィリ氏のアイディアだよ。

かもな。となると、「グルジアの夢」が自分たちの敵を「グローバル・ウォー・パーティー:世界戦争党」と呼ぶのも、イヴァニシュヴィリの発案かもしれん。

「世界戦争党」? はじめて聞いた。

ウィキペディアによると、「世界戦争党」とは、「グルジアの夢」が作り出した「陰謀論」で、「EUおよび〈アメリカ〉に大きな影響を及ぼしているとされる、謎の国際組織である」「〈ロシア・ウクライナ〉戦争を長引かせ、他国に拡大させ、主権主義の指導者を暗殺し、世界中で革命を画策し、『グルジアの夢』を政権から転覆させようと企てている集団のこと」を、言うらしい。

いきなり、「陰謀論」と決めつけるのは、いかにもウィキペディアだね。でも、ぼくにはピンと来たよ。「世界戦争党」って、ブラックロックやバンガードの軍産複合体のことでしょ?

当ったり〜! 「グルジアの夢」は、「世界戦争党」のメンバーを、「アメリカの軍産複合体、ジョージ・ソロス、ネオコンが含まれる」として、EUの委員会、議会、理事会、〈アメリカ〉の議会、国務省、欧米のメディア、NGO、スイス銀行、〈グルジア〉のライバル野党「統一国民運動」も、そこに含まれている。Wiki

やっぱり!

「グルジアの夢」が「世界戦争党」について言い始めたのには、ワケがある。2022年、〈ロシア〉の〈ウクライナ〉侵攻直後、〈ウクライナ〉のダニロフ長官は〈グルジア〉と〈モルドバ〉に対して、「〈ロシア〉に対する『第2の戦線』を開け」と言った。

グルジアとモルドバの国旗
Wikimedia_Commons[Public Domain] & Wikipedia[Public Domain]

なんと、〈グルジア〉と〈モルドバ〉を、〈ロシア〉に対する「第2の戦線」にすることは、はじめからの計画だったのか。

ここで、欧米の野心に気づいた「グルジアの夢」は、ヤツらを「世界戦争党」と呼び始めた。やがて、国内にも、〈グルジア〉を「第2の戦線」にしたい連中がいることに気づく。それが、前大統領サーカシヴィリが作った最大野党、親欧米派の「統一国民運動」だ。

彼らのバックには、「世界戦争党」がいる。

そうだ。コバヒゼ首相は、「世界戦争党」との戦いは非常に苦しく、困難だが、こいつらに降伏することは、〈グルジア〉の〈ウクライナ〉化につながると言っている。イヴァニシヴィリも、こう言っている。2008年の〈ロシア・グルジア〉戦争、2014年の〈ロシア・ウクライナ〉紛争、そして2022年の〈ロシア〉による〈ウクライナ〉侵攻は、「世界戦争党」が、〈グルジア〉と〈ウクライナ〉を〈ロシア〉と対立させることによって引き起こした。つまり、〈グルジア〉と〈ウクライナ〉は「世界戦争党」の捨て駒であると。だが、「グルジアの夢」は、〈グルジア〉に「第二戦線」を開かせなかったことで、「世界戦争党」と対立していると(2024年4月)。(Wiki

〈グルジア〉と〈ウクライナ〉は「世界戦争党」の捨て駒! ホントのことだと思うけど、こんなこと、公の場で堂々と言っちゃって、大丈夫?

実は、イヴァニシュヴィリもコバヒゼも、暗殺を警告されている。

コバヒゼさんも?!

5月のある日、コバヒゼは、EUの匿名委員からの電話で、〈グルジア〉政府が「外国人エージェント法」を推進するなら、欧米は「数々の措置」を講じると警告された。さらに、「フィコに何が起こったか分かっているだろう。君も十分に注意すべきだ」と言われたと。(RT

フィコ?

〈スロバキア〉の首相。もともとEUに批判的で、ウクライナへの軍事援助の停止、ロシアとの友好関係を推進する一方、NATOや〈アメリカ〉を批判していたが、2024年5月15日に銃撃されて重傷を負った。一命は取りとめたがな。(Wiki

ロバート・フィコ首相
Author:European Commission[CC BY]


「統一国民運動」の創設者サーカシヴィリ


ああ、良かった。で、「統一国民運動」は、なんで「世界戦争党」の言いなりになってるの?

それは、「統一国民運動」の創設者、サーカシヴィリが「世界戦争党」党員だからだ。彼は、2期にわたって〈グルジア〉大統領(2004〜2013)を務め、「バラ革命」を主導したことで有名だが。

抗議者らが手にバラを持って集まり、平和的に政権交代させたという「バラ革命」だね。


シュワルナゼ政権時代の法務相だったサーカシヴィリは、シュワルナゼに対抗するため、法務相を辞めて「統一国民運動」を立ち上げた(2001年9月)。2003年の〈グルジア〉議会選挙で、シュワルナゼ派が勝利を収めたことで、サーカシヴィリの支持者らは、不正選挙を訴えて抗議デモを起こし、シュワルナゼの退陣と再選挙を要求した。サーカシヴィリの支持者らは、審議が行われる議会ビルを占拠し、ついに、シュワルナゼ大統領を辞任に追いやった(2003年11月22日)。

真実を知ってると、ただの臭い芝居だね。

そして2004年1月、大統領選挙でサーカシヴィリが圧勝して、大統領に就任。だが、サーカシヴィリの政治は、言論弾圧、政敵排除、報道規制、デモに対する暴力などで、専制政治と批判された。さらに、2008年の〈ロシア・グルジア〉紛争では、〈アメリカ〉にけしかけられたサーカシヴィリが、〈グルジア〉の分離地域〈南オセチア〉に軍隊を送り込み、1990年代から駐留していた〈ロシア〉の平和維持部隊の基地を砲撃したことで、〈ロシア〉と戦争になり、〈グルジア〉は敗北。〈ロシア〉は、〈南オセチア〉ともう一つの分離独立地域〈アブハジア〉の独立を承認し、もともと北海道と同じくらいだった〈グルジア〉は、さらに領土を減らしてしまった。(RT

〈アメリカ〉に言われるままに戦争して、〈ロシア〉に負けて、領土が減らされた。まるで、今のゼレンスキーを見ているようだ

この浅はかな行動に対して国民は、サーカシヴィリの「統一国民運動」を見捨て、野党連合「グルジアの夢」を選んだ(2012年10月)。

当然の結果だね。


オデッサ州の知事になり、投獄されたサーカシヴィリ


主犯のサーカシヴィリは、2013年の大統領選挙で敗北したと思ったら、今度は〈ウクライナ〉に現れて、親ロシアのヤヌーコヴィチ政権に反対する集会で応援演説をやっていた(2013年12月)。

〈グルジア〉にいられなくなると、今度は〈ウクライナ〉で政権転覆のお手伝いか。

欧米の思惑どおり、マイダン革命(2014年2月)が成功すると、大統領に選ばれたポロシェンコは、サーカシヴィリに〈ウクライナ〉国籍を与え、オデッサ州の知事に任命した(2015年)。

オデッサ州は親〈ロシア〉だから、サーカシヴィリににらみを効かせようってことだね。でも、〈グルジア〉大統領をクビになって〈ウクライナ〉に逃げてきたヤツが、州知事になったって、ひどい話だね。

そこから二転三転して、サーカシヴィリがオデッサ州知事を辞任(2016年11月)すると、ポロシェンコの大統領令によって、サーカシヴィリは、〈ウクライナ〉国籍を剥奪され(2016年7月)、無国籍になった。

いったい、二人の間で何があった? でも、サーカシヴィリには〈グルジア〉国籍があったはず。

オデッサ州知事になった時、サーカシヴィリは〈グルジア〉国籍を放棄したんだ。(BBC)その後、ゼレンスキーによって〈ウクライナ〉国籍を回復したが(2019年)。

なにやってんだー?!

その後、サーカシヴィリは、捨てたはずの〈グルジア〉の地方選挙の応援のために、〈グルジア〉に帰国したところを、国境で身柄を拘束され、投獄された(2021年10月)。


逮捕されてるのに笑ってるのが、不気味だね。でも、何で逮捕されたの?

〈グルジア〉大統領時代の職権乱用で、有罪判決が出ていたからだ。「サーカシュヴィリが投獄されたのは、彼が米国の命令で権力を濫用し、パトロン達の命令で始めたロシアとの代理戦争に敗れた後、比較的主権的な政府(「グルジアの夢」)が発足し、彼を裁判に掛けるとの公約を果たした為だ。」(川流桃桜の日々の呟き

なるほど、「グルジアの夢」は、言ってることもやってることもまともだ。

しかし、こいつ、8年も〈グルジア〉にいなかったのに、人気があるのにはビックリだ。今なお、「統一国民運動」の影のリーダーとして、「グルジアの夢」を邪魔してくるんだからな。

カリスマ性?

いや、欧米のプロパガンダだろう。「グルジアの夢」の名誉議長イヴァニシュヴィリは、10月26日の〈グルジア〉議会選挙で、「グルジアの夢」が、憲法改正に必要な議席を獲得したら、サーカシヴィリの「統一国民運動」をぶっ潰すと宣言している。「強力な外部の後援者」の命令に従って行動し続ける「統一国民運動」は、完全に廃止しなければ、〈グルジア〉の政治を改善することは不可能である、と「グルジアの夢」は主張している。(RT

「ビジナ・イヴァニシヴィリ氏は、『グルジアの夢』の選挙キャンペーン開始時に、『世界戦争党』を非難し、『祖国なき』外国人勢力に仕える野党を、選挙後に取り締まると約束した。」

そうだ、そうだー!! ぼくが〈グルジア〉人だったら、絶対に「グルジアの夢」に投票するね。

それに、サーカシヴィリは、とんでもない犯罪にも首突っ込んでいる。

犯罪?

時事ブログにあった。「ミハイル・サーカシビリは、2004年から2期にわたってジョージアの大統領を務めた人物で、ウクライナ国籍を付与され同国に事実上亡命、ポロシェンコ大統領の顧問およびオデッサ州知事(2015年3月30日~2016年11月9日)を務めたのですが、こちらの記事によれば、『臓器をイスラエルと他の西側国に売ると言う大量殺人を実行する犯罪ギャングはミヘイル・サアカシュヴィルと彼のドイツ人妻サンドラ・ロエロフによって率いられている』とあります。」

ギョえ〜ッ!! こんなリーダーがいる政党に、投票してはいけなーい!


Writer

ぴょんぴょんDr.

白木 るい子(ぴょんぴょん先生)

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

東洋医学セミナー受講者の声

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