ぴょんぴょんの「〈グルジア〉の夢」 ~「外国人エージェント法」を可決したことで、カラー革命の危険にさらされる〈グルジア〉

 これまで3回にわたって、〈モルドバ共和国〉と、その中に位置する未承認独立国家〈沿ドニエストル共和国〉について、お話してきました。
 このテーマを書くきっかけになったのは、読者の方から紹介いただいた、ニキータ氏の動画です。この中で、〈モルドバ〉が「第2のウクライナ」にされるかもしれないと指摘されていますが、「第2のウクライナ」にされそうだった〈グルジア〉についても触れています。
 〈グルジア〉とは、2014年にロシア語読みの〈グルジア〉から国名変更された〈ジョージア〉のことです。本文では〈グルジア〉で統一しています。
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「〈グルジア〉の夢」 ~「外国人エージェント法」を可決したことで、カラー革命の危険にさらされる〈グルジア〉

グルジア料理とグルジアの位置と


さあて、今日は何の話をしよっかなー?

食欲の秋だから、おいしいものの話をしようよ。

よっしゃ、わかった! ほれ!


おいしそ〜! これ、〈グルジア〉料理? 〈グルジア〉ってどこ?

(しめしめ、食いついたな)黒海と〈ロシア〉〈アゼルバイジャン〉〈アルメニア〉〈トルコ〉に面した国だ。首都はトビリシ。

Author:外務省[CC BY]

へえ? ロシアの盲腸みたいな国だね。

それを言うなら、盲腸じゃなくて「虫垂」。

そんなんどうでもいいから、〈グルジア〉料理が見たいよ。

わかったわかった・・じゃ、日本語ペラペラの〈グルジア〉美女の動画でも見てろ。この中に、〈グルジア〉のグルメも出てくるから。



わあ、きれいな人だ〜!って、これ、〈グルジア〉じゃなくて〈ジョージア〉の動画だよ。

はあ〜〜〜〜〜、〈グルジア〉は〈ロシア〉語読み。〈グルジア〉政府は〈ロシア〉きらいってことで、2014年以降、日本では〈ジョージア〉と呼ばされている。

〈ジョージア〉かあ、缶コーヒーみたいだね。ぼく、飲まないけど。

あのな、せめて、〈アメリカ〉のジョージア州みたいとか、言ってくれ。 

で、〈グルジア〉料理は?

いいか? 今、〈グルジア〉は、料理より大変なことになっているんだ。




外国人エージェントを取り締まる法案を採択した現〈グルジア〉政府


前回も話したように、〈モルドバ〉が第2の〈ウクライナ〉になるかどうかは、10月20日の大統領選挙にかかっている。同じように、第2の〈ウクライナ〉候補の〈グルジア〉も、10月26日に議会選挙がある。その結果によっては、カラー革命も準備されていると言う。

どっちも、あと1ヶ月を切ってるよ。

現在の〈グルジア〉与党は「グルジアの夢=民主グルジア」、党首はイラクリ・コバヒゼ首相だ。



コバンハゼじゃねえ! コ・バ・ヒ・ゼ!!

え? なんだって? トビハゼ


お♪ かわいいじゃん! って、トビハゼじゃねー! コ・バ・ヒ・ゼ!!


ヤバい! おめえのせいで、こいつの顔まで、魚の顔に見えてきた。

なんか、愛嬌のあるお顔をされてるね。で、コバヒゼさんが、どうしたって?

コバヒゼは言う。欧米は、〈グルジア〉が第2の〈ウクライナ〉になって、〈ロシア〉と戦うことを期待している。だが〈グルジア〉は〈ウクライナ〉の後を追うつもりはない。そのために「外国人エージェント法」を施行すると。

「外国人エージェント法」?

正式名称は「外国の影響力の透明性に関する」法案。外国からの資金提供が20%を超えるNGO、メディア、個人を、「外国勢力の利益を促進する」団体として登録し、収入と寄付者を公表することが義務付けられる。これに従わない場合は、最高9,500ドル(≒135万円)の罰金が科せられる。RT

いいんじゃな〜い? ジョージ・ソロスの「オープンソサエティ財団」とか、真っ先に跳ねのけられるよ。

ニキータ氏によると、「現〈グルジア〉政府は、外国人エージェントを取り締まる法案を採択しましたが、これは〈ウクライナ〉を反面教師とした、国益を重視した結果です。EUは米国と同じ歩調で、〈ウクライナ〉を反〈ロシア〉に仕立て上げるために、EU加盟を人参のエサのように匂わせてきましたが、未だに加盟を認めようとはしません。おそらく、今後も〈ウクライナ〉がEUに加盟することはありえないでしょう。現在の〈グルジア〉政権は、そのトリックを見破ったということではないでしょうか?そして、唯一の優等生がサンドゥ政権の〈モルドバ〉なのですが。」(YouTube 7:54〜)

ああ〜、サンドゥ政権〜。

そこで、〈グルジア〉の「外国人エージェント法」。この法案は2023年3月、とっくに賛成多数で可決されていた。だが、その後、数千人規模の暴力的な抗議デモが発生し、数十人が逮捕されたため、法案は撤回されたんだ。(RT

ソロス様が、けしかけたんだねえ。

だが、〈グルジア〉政府はあきらめなかった。3月からコバヒゼ首相に代わると早速、4月15日から「外国人エージェント法」の審議を再開した。

リベンジだね。

そして、審議初日の議会がこのザマだ。


なにこれ、プロレス会場?

野党はこの法案を、「ロシアの法律」と呼んで非難している。2012年に、〈ロシア〉でも同様の法案が可決されたからな。だが、与党「グルジアの夢」は、〈アメリカ〉の「外国代理人登録法:The Foreign Agents Registration Act ( FARA ) 」をモデルにしていると言う。〈アメリカ〉の「外国代理人登録法」は、「『政治的または準政治的権能を持つ』 外国の利益を代表するエージェントが、その外国政府との関係、および活動内容や、財政内容に関する情報を開示することを義務付けたものである。 」(Wiki

なんだ、「アメリカの法律」なら、ソロス様もOKじゃん。

なのに、昨年のように連日、法案に反対する人々が何千人規模で集まってデモを行い、国会議事堂付近で小競り合いが起きている。(4月29、30日)。(RT

「国会付近の現状」

こりゃまた、激しいねえ。

だが、こんなのは首都だけらしい。


国民の声じゃないんだ。

野党をはじめ、〈アメリカ〉、EUがこぞって反対する中、「外国人エージェント法」は 最終採決日を迎えた。当然のように議員同士の殴り合い、押し合いへし合いがあったが、そんな中でも、賛成多数により可決された(5月14日)。(RT

おおう!ヤッたね!

だが、敵は最も身近にいた。〈グルジア〉の大統領、サロメ・ズラビシュヴィリ氏が、可決された法案に拒否権を発動したんだ(5月18日)。(RT

なんと、大統領が反対したって?

ズラビシヴィリ大統領「この法律は、その本質と精神において、基本的に〈ロシア〉的であり、〈グルジア〉のEU加盟への道を阻むものだ。」しかし、与党「グルジアの夢」は、拒否権を覆すだけの議席数をもっているため、大統領の拒否権はあってもないようなものだと。(BBC

でもさ、ふつう、大統領って首相と同じ路線のはずだよね。


コバヒゼ首相からは「裏切り者」、国民からも二枚舌と言われるズラビシュヴィリ大統領は、いわくつきの女性だ。彼女は〈フランス〉生まれで、これまたいわくつきの、サーカシヴィリ前大統領の個人的な招待を受けて〈グルジア〉に移住し、〈グルジア〉の外務大臣に任命された。なのに、彼女はサーカシヴィリを裏切って、野党側についた。2019年、与党「グルジアの夢」の働きかけにより、大統領に就任。 しかし、今度も裏切った。

サーカシヴィリ前大統領
Wikimedia_Commons[Public Domain]

あ、「裏切られたら、5種」っていうのが頭に浮かんだ。

そして、さらに〈アメリカ〉、EUの攻撃も始まる。EUは、EU加盟が遠のくと脅し、〈アメリカ〉も《この法案のせいで、民主主義が脅かされ、平和的なデモ参加者(!)に対する暴力が発生するようなことがあれば、法案を通した責任者と家族に対して、金融制裁や渡航禁止措置を取ると脅す。RT

デモ参加者は、ちっとも平和的じゃないけどね。

これに対する、〈ロシア〉のザハロワ報道官のコメントは的を射ている。「なぜ、〈グルジア〉や他の国々は、他国の価値観に合わせなければならないのでしょうか? 〈アメリカ〉の『価値観』には、他国の内政への不干渉は含まれないのですか? 」(RT


内政干渉! よくぞ、言ってくれました!


カラー革命はすでに経験ずみの〈グルジア〉


だが、法案の可決で喜んではいられない。10月26日の議会選挙で「グルジアの夢」が圧勝するようなことがあれば、連中、不正選挙だとさわぎたて、政権交代を実現させようとするのは、ほぼまちがいない。

カラー革命がやりたくてしょうがないからね。

まあ、〈グルジア〉は、カラー革命は経験ずみだから、そんなヘマはしないだろう。

へえ、そうなんだ。

親ロシア大統領、シュワルナゼを追い出すために、欧米がサーカシヴィリを使って仕掛けたのが「バラ革命」よ。

ああ、バラの花を持って抗議したという?


コバヒゼ首相は言う。《外国からの影響力が「濁流」のように流れ込み、〈グルジア〉の方針に反対する者たちをまとめ上げて、革命運動を展開する。我々は透明性を求める。〈グルジア〉に「濁流」を残したくはない。なぜなら、『グルジアのマイダン』は、我が国を深刻な結果、すなわち『ウクライナ化』へと導く可能性があるからだ。我々はこれに同意できない。一部の人々は、国内に泥水を残したい、国内にマイダンを残したい、〈ロシア〉に対する第2の戦線を作りたいと思っているが、我々はそれを望んでいない。「外国人エージェント法」がなかったら、〈グルジア〉も〈ウクライナ〉のように、欧米の代理国になる危険性がある。NGOを透明にすることが、これを可能にする手段のひとつである。(5月23日)》(RT

へええ、コバンハゼ、なかなかいいこと言うじゃん。

コ・バ・ヒ・ゼ! こいつがトップにいる限り、〈グルジア〉は安泰だ。

ちょっと待って! でも、こんなのがあるよ。



なんだとおー?!!!!

どうなる? 〈グルジア〉?



Writer

ぴょんぴょんDr.

白木 るい子(ぴょんぴょん先生)

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

東洋医学セミナー受講者の声

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