————————————————————————
円形劇場のようなミュージックホール
6月末、息子の結婚式のために訪れたフィンランド。
14時間のフライトの後、空港から電車に乗ってヘルシンキ駅に着きました。ホテルのチェックインまで時間があったので大きなラゲージをコインロッカーに預けて駅周辺を散策することにしました。
息子の結婚式がメインなので観光情報など何も調べていません。まずは公園に向かって歩き始めました。フィンランドは10月から4月までは日照時間が少なくて寒いので、きっと動植物も人間も待ちわびた季節なのでしょう、花が一斉に咲きほこっていました。
途中、トイレに行きたくなったので目の前のガラス張りの建物に入りました。エントランスに入ると窓からの光を浴びた大きなオブジェが地下に伸びていました。
吸い込まれるように階段を下ると、そこは大きなミュージックホールでした。ガラス張りなので中がよく見えます。
まるで円形劇場のような作り。木をふんだんに使った観客席は舞台を見下ろす形でデザインされています。ここでシベリウスのフィンランディアが演奏されるのでしょうか?目にも耳にも材質にも芸術的センスを感じます。
外に出ると土砂降りの雨になっていました。これではどこにも行けません。
でも雨にかすんで向かいの建物が見えました。船のような建物の最上階で子ども達が楽しそうに踊っているシルエットが見えます。何だろう?行ってみたい!と思った私は、土砂降りの雨の中を走り出していました。
中に入ってびっくりしました。まず目に入ったのはチェスコーナー。子どもから大人まで楽しそうに対戦しています。
隣にはおしゃれなカフェがあり、奥は映画館やイベントホールがありました。
中央のインフォメーションでは外で遊ぶためのキックボードやボール、フィンランドの遊具モルックなどを無料で貸し出しています。
確かに広場の前はバスケットコートやスケートボード広場の他に泥遊びができるコーナーもありました。
ん?ここは娯楽場?
2階に上がると、今度は一転して窓がなく隠れ家のようです。1階から3階まで吹き抜けの螺旋階段や穴倉のようなスペースではおしゃべりをしたり寝ころがったりしている人もいます。
奥にはパソコン3Dプリンター、大型プリンター、レーザーカッター、ロックミシンなどがあります。全てガラス張りで仕切りがないので、人が創作する様子を見て話しかけたり参加したりすることも可能です。自然にコミュニケーションが生まれるように設計されているようです。
ガラス張りのゲーム室ではおじいちゃん達と孫が最新のゲームを楽しんでいました。
係の人に聞くと、これらは全て国民の共有財産なので予約をすれば誰でも無料で使えると教えてくれました。
別の個室では色々な楽器を貸してくれます。それを演奏できるスタジオがあり、自分の音楽を作ってレコーディングもできるそうです。
3階に上がったら入口に看板がありました。
「本の天国へようこそ!深呼吸をして、まわりを見渡して、この眺めを楽しんでください。手にはコーヒーカップをもってね。もし興奮して叫びたくなったり走り回ったり、はしゃぎたくなったら、それはここではなく、目の前の素晴らしい公園と遊び場がぴったりですよ」と書いてありました。(あっ、写真は許可を貰って撮りました)
そう、何と、ここは図書館だったのです!
このヘルシンキ中央図書館Oodiは、フィンランド独立100周年を記念した国の公式メインプロジェクトの一つとして、また国民への贈り物として2018年の12月5日にオープンしたそうです。
https://www.pen-online.jp/article/001147.html
「自分達が欲しい図書館をみんなで考えて作りました。みんなの税金で運営しています」とスタッフが誇らしげに教えてくれました。何と、2019年に国際図書連盟から公共図書館オブ・ザ・イヤーに選ばれたとの事。
蔵書は10万冊ですが周辺の図書館と連携して340万冊が貸し出し可能。もちろんボードゲームも貸してくれます。人口550万人に対して年間約6800万冊を貸し出しているそうでフィンランド人の読書率は世界一だそうです。
この図書館のコンセプトは「市民の交流のためのリビングルーム」。どうりで3階まで行かなければ図書館だと気が付きませんでした。
1階は出会い・遊び・待ち合わせの場、2階は緩やかに繋がる創造の場、3階はおしゃべりもできる本の天国という設計です。
両端がまるで船のように高くそびえています。ここで子ども達が踊っていたのでしょう。外からシルエットが見えたので思わず来てしまった私。
上から見下ろすとこんな感じ。
転々と椅子が置いてあり、コーヒーを飲みながら読書する風景そのものがおしゃれでした。もちろん3階にもカフェがあります。外のバルコニーでランチもできます。
書庫は低く、仕切りがありません。白く波打つ天井からも自然光が差し込み、どこの窓からでも空が見える設計です。置いてある椅子もセンスが良く、まるでリビングみたい。ここは静かに本を読むところではなく、くつろいで本を楽しむところです。
靴を脱いで過ごす絨毯が敷き詰められたコーナーでは赤ちゃんから大人まで寝ころんだり、ソファでくつろいだりしていました。
子ども用の本は手に取りやすいように置かれています。おしゃべりしたい人やボードゲームなどで遊びたい人もみんなが楽しそうでした。
逆に、静かに読書したい人、勉強したい人には個室が用意されていました。
地下にあるトイレもユニークで、円形の手洗いスペースは大人子ども男女共有。それを囲む全てのトイレが個室でした。これが噂のユニセックストイレなのでしょう。
係の人が目の前にある建物を指さして「この図書館は向かい側に建つ国会議事堂と同じ高さに作られました。国の政府機関と対等な立場にあるという意思表示です」と、誇らしそうに教えてくれました。
ヘルシンキ中央図書館の名前の「Oodi」も国民の文化、読書、言語表現の自由、平等、民主主義活動への「頌歌・讃歌」を意味する言葉だそうです。
国がきちんと国民の様々な文化活動と表現の自由を尊重して、学び続けられる施設を国民の共有財産として作っているのに感動しました。
ああ、それに比べて我が町の図書館はどうでしょう!
今、まさに赤ちゃんのブックスタート事業として図書館に子どもの居場所を作ろうとしているところですが、「図書館は静かに!」「図書館はおしゃべりしたり食べたりする場所ではありません」という意識の壁にぶつかっています。
ママ達も「絵本?動画があるから読まない」と言うし「図書館は怖い。行ったら迷惑になるし、怒られる」と子連れで行ける場所ではなくなっています。
旅の途中でこんなに素晴らしい図書館に出会えるなんて!これから目指す姿を見せてもらったようで嬉しくなりました。
次回は、我が町の図書館事情と赤ちゃんの絵本の広場を作った話を書きたいと思います。
まるで円形劇場のような作り。木をふんだんに使った観客席は舞台を見下ろす形でデザインされています。ここでシベリウスのフィンランディアが演奏されるのでしょうか?目にも耳にも材質にも芸術的センスを感じます。
コミュニケーションが生まれるように設計されている施設
外に出ると土砂降りの雨になっていました。これではどこにも行けません。
でも雨にかすんで向かいの建物が見えました。船のような建物の最上階で子ども達が楽しそうに踊っているシルエットが見えます。何だろう?行ってみたい!と思った私は、土砂降りの雨の中を走り出していました。
中に入ってびっくりしました。まず目に入ったのはチェスコーナー。子どもから大人まで楽しそうに対戦しています。
隣にはおしゃれなカフェがあり、奥は映画館やイベントホールがありました。
中央のインフォメーションでは外で遊ぶためのキックボードやボール、フィンランドの遊具モルックなどを無料で貸し出しています。
確かに広場の前はバスケットコートやスケートボード広場の他に泥遊びができるコーナーもありました。
ん?ここは娯楽場?
2階に上がると、今度は一転して窓がなく隠れ家のようです。1階から3階まで吹き抜けの螺旋階段や穴倉のようなスペースではおしゃべりをしたり寝ころがったりしている人もいます。
奥にはパソコン3Dプリンター、大型プリンター、レーザーカッター、ロックミシンなどがあります。全てガラス張りで仕切りがないので、人が創作する様子を見て話しかけたり参加したりすることも可能です。自然にコミュニケーションが生まれるように設計されているようです。
ガラス張りのゲーム室ではおじいちゃん達と孫が最新のゲームを楽しんでいました。
係の人に聞くと、これらは全て国民の共有財産なので予約をすれば誰でも無料で使えると教えてくれました。
別の個室では色々な楽器を貸してくれます。それを演奏できるスタジオがあり、自分の音楽を作ってレコーディングもできるそうです。
3階に上がったら入口に看板がありました。
「本の天国へようこそ!深呼吸をして、まわりを見渡して、この眺めを楽しんでください。手にはコーヒーカップをもってね。もし興奮して叫びたくなったり走り回ったり、はしゃぎたくなったら、それはここではなく、目の前の素晴らしい公園と遊び場がぴったりですよ」と書いてありました。(あっ、写真は許可を貰って撮りました)
そう、何と、ここは図書館だったのです!
ヘルシンキ中央図書館Oodiのコンセプト
このヘルシンキ中央図書館Oodiは、フィンランド独立100周年を記念した国の公式メインプロジェクトの一つとして、また国民への贈り物として2018年の12月5日にオープンしたそうです。
https://www.pen-online.jp/article/001147.html
「自分達が欲しい図書館をみんなで考えて作りました。みんなの税金で運営しています」とスタッフが誇らしげに教えてくれました。何と、2019年に国際図書連盟から公共図書館オブ・ザ・イヤーに選ばれたとの事。
蔵書は10万冊ですが周辺の図書館と連携して340万冊が貸し出し可能。もちろんボードゲームも貸してくれます。人口550万人に対して年間約6800万冊を貸し出しているそうでフィンランド人の読書率は世界一だそうです。
この図書館のコンセプトは「市民の交流のためのリビングルーム」。どうりで3階まで行かなければ図書館だと気が付きませんでした。
1階は出会い・遊び・待ち合わせの場、2階は緩やかに繋がる創造の場、3階はおしゃべりもできる本の天国という設計です。
両端がまるで船のように高くそびえています。ここで子ども達が踊っていたのでしょう。外からシルエットが見えたので思わず来てしまった私。
上から見下ろすとこんな感じ。
転々と椅子が置いてあり、コーヒーを飲みながら読書する風景そのものがおしゃれでした。もちろん3階にもカフェがあります。外のバルコニーでランチもできます。
書庫は低く、仕切りがありません。白く波打つ天井からも自然光が差し込み、どこの窓からでも空が見える設計です。置いてある椅子もセンスが良く、まるでリビングみたい。ここは静かに本を読むところではなく、くつろいで本を楽しむところです。
靴を脱いで過ごす絨毯が敷き詰められたコーナーでは赤ちゃんから大人まで寝ころんだり、ソファでくつろいだりしていました。
子ども用の本は手に取りやすいように置かれています。おしゃべりしたい人やボードゲームなどで遊びたい人もみんなが楽しそうでした。
逆に、静かに読書したい人、勉強したい人には個室が用意されていました。
地下にあるトイレもユニークで、円形の手洗いスペースは大人子ども男女共有。それを囲む全てのトイレが個室でした。これが噂のユニセックストイレなのでしょう。
係の人が目の前にある建物を指さして「この図書館は向かい側に建つ国会議事堂と同じ高さに作られました。国の政府機関と対等な立場にあるという意思表示です」と、誇らしそうに教えてくれました。
ヘルシンキ中央図書館の名前の「Oodi」も国民の文化、読書、言語表現の自由、平等、民主主義活動への「頌歌・讃歌」を意味する言葉だそうです。
国がきちんと国民の様々な文化活動と表現の自由を尊重して、学び続けられる施設を国民の共有財産として作っているのに感動しました。
ああ、それに比べて我が町の図書館はどうでしょう!
今、まさに赤ちゃんのブックスタート事業として図書館に子どもの居場所を作ろうとしているところですが、「図書館は静かに!」「図書館はおしゃべりしたり食べたりする場所ではありません」という意識の壁にぶつかっています。
ママ達も「絵本?動画があるから読まない」と言うし「図書館は怖い。行ったら迷惑になるし、怒られる」と子連れで行ける場所ではなくなっています。
旅の途中でこんなに素晴らしい図書館に出会えるなんて!これから目指す姿を見せてもらったようで嬉しくなりました。
次回は、我が町の図書館事情と赤ちゃんの絵本の広場を作った話を書きたいと思います。


そして、何年たっても変わらない避難生活者への支援体制。壊れたものは返ってこないけれどせめて心や体が折れた人を人間らしく支えてあげられないものか・・・。
そして、そのひとり一人を救えるのは目の前の人。ボランティアの方々に「ありがとう」と手を合わせる被災者。汗だくで応える人。救われる瞬間です。
そんな気持ちを抱えて外出したら灼熱の道路に人が倒れているではありませんか!車と自転車が衝突したようです。ぶつけた人は動転しながら救急車を呼んでいます。道路に仰向けで倒れている男性はじりじり太陽に焦がされ、灼熱の道路の上に寝たままです。夫が駆け寄り、医者としての確認と声掛けをしていました。私は救急医療の知識はありませんが「痛い」「熱い」と言う男性に日傘を差し、声と水をかけ続けました。「誰か日傘を持っていませんか!」と言うと近所の人も大きなパラソルを持ってきてくれました。救急車が来るまでの時間の長かったこと。救急車の音が聞こえて安心したのか男性の意識が遠くなっていきました。でも、着いた隊員は事故の状況を聞き取るのを優先して、一向に担架に乗せてくれません。「道路が熱いです。まずは車に乗せてあげてください」と頼みましたが「すぐに乗せても受け入れる病院を探さなければいけません。時間がかかります」との返事。夫は「医者です」と言ったら態度が変わりました。目の前の人の状況を判断して人間らしく支えて欲しい。救急車にそんな役割の人がいたら・・と思ってしまいました。
とっさの行動に愛を!
さて、今回はフィンランドの図書館のお話です。