注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
「1日15時間以上働いてきた自分は一体何なんだろう」作り方と売り方、そして働き方を変えることで、捨てないパン屋に生まれ変わった店がある。広島市のパン屋「ドリアン」。パン職人の田村さんは「こんなパン屋が日本に増えたら面白いかなと思って」 #パンの記念日 #パンの日 https://t.co/pqrPVAfzhn
— 朝日新聞デジタル@金のデジモ (@asahi_gdigimo) 2019年4月12日
今日は150キロ分のオーガニックのパンを、薪と自然酵母で、自分とまだ一週間目の研修生さんで7時間で焼き上げ明日の仕込みも終了。
— ドリアン田村『捨てないパン屋』本になりました! (@takineru) 2019年3月1日
昼前11時には解散*\(^o^)/*
手を抜けばできるんです!https://t.co/Lh9aImjjZ2 pic.twitter.com/WsEArWSGwP
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オーナーの田村さんは3代目。家業を継がれた時は、日本全国どこでも見られるような40種類ものパンを揃える人気店だったそうです。10名ほどの従業員と共に夜の(!)10時から翌日夕方までのフル稼働、「パン屋さんは早起き」どころか夜通し働いておられたとは、過酷です。
休みなく働き、お客さんは最多、売上も最高、なのにお金は残らず潤わない。ご自身もスタッフも安い給料しか出ないという納得しがたい矛盾がありました。しかも「焼きたて」が自慢なため時間が経過したパンや売れ残りは丸ごと廃棄という辛い側面もありました。
田村さんご夫婦は、余裕のない働き方と経営面の疑問から目をそらさず、思い切って長期休業に踏切り、ヨーロッパへのパン修行を決行。振り返れば良かったと思えることも当時はずいぶん勇気が必要だったろうと想像します。
ヨーロッパで見たパン作りはそれまでの常識を覆しました。成形なし、型抜きなし、2回発酵なしという田村さんから見ると「手抜き」そのもののパン作りだったのに、味は「比べものにならないほど美味しい」という不思議。秘訣は最高級の材料を使うことでした。
効率的な作業で労働時間を短くし、最高の食材を使って安く売る、安くて美味しいのでお店は流行り、従業員は余暇を存分に楽しめる。しかも、売れ残りの廃棄がゼロ!「みんなが得をしている」経営です。
この方法を日本に持ち帰った田村さんは、さらに画期的、日本国産の有機栽培小麦を使うことに決めました。小麦の選定のために生産農家さんとの交流を持ち、生産者さんや使用する小麦への愛着を持ってパン作りを始めると、「この小麦で作ったパンはを絶対に無駄にできない」と思われたそうです。
今や種子法廃止の日本、これは消費者にとってもありがたいことです。そのように大事にされてできたパンを食べたら、どんなに幸せになれるでしょう。
今の「ドリアン」では、働く時間は一日7時間ほど、開店は週3日の午後のみ、というのんびりした働き方です。
作る人も買う人も幸せなパン作りですが、他の職業にも可能なことかもしれません。「手抜き」に見えたことは、実は「手放すこと」だったのかもしれないと思いました。