注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
「くしくも16日、EUがウクライナ東部の停戦合意の履行をめぐる問題で、対ロシアの経済制裁の延長を決めましたが、世界ではウクライナやシリアへ軍事介入を決めたロシアのプーチン大統領に対する批判の声は相当強い。プーチン訪日中も、外務省前では『戦争犯罪人プーチンを逮捕しろ』とシュプレヒコールを上げる市民団体があったほど。シリア内戦でアサド政権を支援するロシアは、国連安保理で停戦決議に拒否権を6回も発動。英国の民間団体『シリア人権監視団』によると、昨年9月からの1年間で、ロシアの空爆によってシリア国内で殺害された人は9000人余り。その指導者であるプーチンを安倍首相が高級旅館でもてなし、ファーストネームで呼ぶ。欧州首脳は驚天動地でしょう」(外交ジャーナリスト)
安倍首相が忠誠を誓った米国もプーチンにカンカンだ。ローズ米大統領副補佐官はきのう、大統領選の最中、トランプ勝利を狙ったロシアが、サイバー攻撃を仕掛けたのではないか――との疑惑に対し、米情報局が「プーチン自らが指示した」との見方を公表した。(中略)... そんなロシアに対して、安倍首相はポンと3000億円の経済協力を打ち出したのだから、米国にしてみれば「何やっとんのか!?」と思うだろう(以下略)
12月15日に、G7加盟する7ヶ国の内、日本を除く6ヶ国が、アサド政権とロシアのアレッポ攻撃を非難する声明を発表した。安倍政権は首脳会談で厚遇したプーチンを怒らせないために、この声明には名前を連ねなかったのだろう。
— 熊谷 徹 (@ToruKumagai) 2016年12月18日
日本の保守派の論客の間でさえ、「安倍首相はプーチンの術中にはまっている」と懸念する声が出始めた。日本の外では、今ロシアをめぐる最大の関心は、アレッポ情勢と米国・ドイツに対するロシアのハッカー攻撃だ。
— 熊谷 徹 (@ToruKumagai) 2016年12月18日
米国やEUは、アレッポ攻撃についてアサド政権を支援するロシアを、口を極めて批判している。アレッポでは戦闘員だけでなく女性や子どもも犠牲者になっている。メルケルは昨日ロシアのシリアでの軍事行動を「犯罪的だ」と糾弾した。プーチンはシリアでの作戦の最高責任者だ。
— 熊谷 徹 (@ToruKumagai) 2016年12月18日
安倍首相はそうした国の指導者と友好ムードを演出し、経済協力を進めようとしている。これはオバマ政権そしてEUの流れと逆行するものだ。その点を我々はしっかり見極めるべきだ。
— 熊谷 徹 (@ToruKumagai) 2016年12月18日
※そうですね、クレムリンは「G7から日本が脱退する道が開けた、近い将来日本をユーラシア経済共同体と上海協力機構のパートナーに迎え、その5年後には正式メンバーに出来る可能性も」これらは経済だけでなく軍事同盟でもあり、インド・パキスタン・イランなどもメンバー。 https://t.co/6li8oTEnTs
— 知足的隠遁者 (@SukiyakiSong) 2016年12月17日
オバマが今回の日露交渉に懸念を示したように、日本の行動は対ロシア制裁という西側の結束を乱すもので、“世界の首脳は眉をひそめている”というのはその通りでしょう。欧米メディアによってプーチンは悪魔化されており、ウクライナやシリアへの介入はロシアが悪いことになっており、アサド政権を倒すために西側が支援しているテロリストたちを守るための国連安保理での停戦決議に、拒否権を発動したロシアはとんでもない国だという事になっているのです。しかも、オバマ政権は、ヒラリー・クリントンが大統領選で敗北することになったウィキリークスからの暴露情報はロシアからのもので、米国へのサイバー攻撃の主犯はプーチン大統領だと、名指しで批判しました。国際社会でのこうした根拠のない誹謗中傷は、下手をすると戦争になりかねない類いのものですが、追いつめられたオバマ政権は、今やなりふり構わずロシアを攻撃し、都合の悪い情報を全て封印しようとしています。
いわば、オバマ政権とそのポチである世界の首脳にとっての天敵であるプーチン大統領に“ウラジミール”と呼びかけ、君僕の関係で親しさを演出した安倍首相をオバマがどう思っているかは推して知るべしです。
安倍首相にすれば、どうせもうじき辞めるオバマ大統領の機嫌を取っても仕方がない、それよりトランプ大統領になってからの日露関係を考慮して動くのが得策だという事だと思います。
下のツイートは、米国的な視点からしか今回の出来事を観る事が出来ないジャーナリストのツイートです。世界情勢の流れが全く分かっていないと、こういう見解になるのですね。一番下の知足的隠遁者さんのツイートこそ、今回の日露交渉の本質を見事に見抜いたツイートだと思います。この意味で、日本は正しい方向に向かって動き出したと言え、今回の交渉は成功だったと私は考えています。