第2次世界大戦が終わって70年になる。ドイツ軍は1945年4月28日にイタリアで、5月7日には西ヨーロッパで、そして5月8日にソ連にそれぞれ降伏、残された日本も9月2日に降伏文書へ調印している。日本で「終戦記念日」、あるいは「終戦の日」と呼ばれている8月15日は昭和天皇の声明がラジオで放送された日だ。
8月15日に天皇は国民に対し、日本の降伏を公表したとする人も少なくないが、降伏を公表したどころか、「負けたとも降服したとも言わぬ」不審なもので、日本に協力させられた国々に対しては、「遺憾ノ意ヲ表セサルヲ得ス、という、この嫌みな二重否定、それきり」で、「その薄情さ加減、エゴイズム、それが若い私の軀にこたえた」(堀田善衛著『上海にて』)という代物だった。
5月9日にロシアがモスクワで「戦勝70周年」の記念行事を予定しているのは、そうした事情があるからで、ウクライナの東部でも毎年、勝利を祝ってきた。
昨年、キエフ政権はその日にドネツク州マリウポリ市に戦車などを入れて市内を破壊、非武装の住民を殺傷している。アメリカ政府の圧力もあり、モスクワで開かれる今年の式典に西側のリーダーたちは出席しないようだが、これもキエフ軍の軍事侵攻と根は一緒だ。
現在、キエフ政権は西側の巨大資本と結びついた「オリガルヒ」とアメリカ/NATOを後ろ盾とするネオ・ナチ(ステファン・バンデラ派)が支えている。昨年2月にネオ・ナチを中心とするグループが暴力的に、憲法を無視して合法的に選ばれたビクトル・ヤヌコビッチ大統領を追放したが、そのクーデター後、治安と軍事はネオ・ナチが押さえた。
クーデターの際、キエフのユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)では狙撃で抗議活動の参加者と警官、双方に死傷者が出たが、そんお狙撃を指揮していたとされているのがネオ・ナチを率いているひとりのアンドレイ・パルビー。ネオ・ナチ系政党の「右派セクター」を率い、ドンバス(ドネツクやルガンスク/ナバロシエ)での停戦を拒否すると公言している
ドミトロ・ヤロシュは今年4月4日、ウクライナ軍参謀総長の顧問に就任した。
ドンバスではオリガルヒの資金で設立された私兵集団(親衛隊)が傭兵と同じように活動しているが、その中心的な存在と言われるアゾフはアンドレイ・ビレツキーによって、昨年4月に設立された。ビレツキーもヤロシュと同じように「右派セクター」を率いている。
設立資金を出したのは、ウクライナ、イスラエル、キプロスの三重国籍を持つ
シオニストのイゴール・コロモイスキーだ。つまり、ウクライナではネオ・ナチとシオニストが同志。
ネオ・ナチの源流であるナチス、シオニストと結びついているアメリカの巨大資本は第2次世界大戦の前から緊密な関係にある。ニューディール派、つまり巨大企業の活動を制限し、労働者の権利を拡大しようとしていたグループを率いていたフランクリン・ルーズベルトが1932年の大統領選で勝利すると、JPモルガンをはじめとする巨大資本はルーズベルトを排除し、ファシズム政権を樹立するためのクーデターを計画する。これは海兵隊の伝説的な軍人、スメドリー・バトラー少将の議会証言で暴露された。
アメリカの巨大資本がアドルフ・ヒトラーたちを支援し始めるのはその前からで、その窓口になっていたのがディロン・リードやブラウン・ブラザーズ・ハリマンといった金融機関。
ディロン・リードに出資していたのはロックフェラー家、ドレイパー家、そしてディロン家といった石油産業と結びついた富豪たち。その当時、社長を務めていたジェームズ・フォレスタルはハリー・トルーマン政権の国防長官、副社長のポール・ニッツェは国務省国際通商政策部長、ウィリアム・ドレイパーは陸軍次官、そしてC・ダグラス・ディロンはジョン・F・ケネディ政権の財務長官を務めている。
ブラウン・ブラザーズ・ハリマンは1931年にW・A・ハリマンがブラウン・ブラザーズを買収してできた会社。W・A・ハリマンは1919年に創設されているが、その際に
社長を務めたジョージ・ハーバート・ウォーカーの孫がジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュであり、ひ孫がジョージ・ウォーカー・ブッシュ。つまり、第41代アメリカ大統領と第43代アメリカ大統領だ。ハリマン家とブッシュ家の男はエール大学の秘密結社、スカル・アンド・ボーンズに加入していたことでも知られ、ジョージ・ウォーカーの娘婿にあたるプレスコット・ブッシュもW・A・ハリマンの重役だった。
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