注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
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かつては森のように茂っていた木々が根こそぎなくなり、むき出しとなった地表が痛々しい。2015年の構想段階から再開発に異議を唱える中野区民たちは、学習会や署名など頻回な住民運動を経て昨年11月に住民監査請求、今年4月には田中区長を被告に住民訴訟を起こした。
(中略)
戦後の急速な宅地化で、中野区の1人当たりの公園面積は1.4㎡と都内ワースト2位の狭さとなった(2017年現在)。それだけに「自然を残してほしい」という区民の思いは切実だ。
そんな公園が今、2年後の東京オリンピック・パラリンピックの助成金を見込んで、区民の関心喚起、選手の練習場にと体育館と陸上競技場の建設、野球場の拡幅工事が行われている(中略)。
(中略)
しかし、何の譲歩もないまま池の水は抜かれ、今年1月15日に樹々の伐採が強行された。区長は「森を残す」と言っていたが、森は森の姿ではなくなった。時折姿を見せていた、公園のシンボル的存在のカワセミが4月10日、死骸となって公園内で見つかった。急激な環境の変化に順応できなかったのだろうか。
(以下略)
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中野区の平和の森公園は、かつて区民が20年もかけて国と交渉し、ついに払い下げを実現した緑と水の防災公園です。公園面積の少ない中野区民にとっては、かけがえのない自然で古墳時代の遺跡も多数ある貴重な場所だったそうです。
ところが2015年に東京オリンピックに向けた再開発計画が浮上し、結果、樹齢100年のヒマラヤスギなど2万本近くの樹木が伐採され、絶滅危惧種のアズマヒキガエルなどの生息する水辺も工事されてしまいました。そうまでして作ったものは体育館、陸上競技場、野球場、コンクリートの滑り台や人工的なバーベキューサイトでいずれも近隣に同様の施設が有り、全く不毛な税金の無駄使いと環境破壊でした。伐採の現場では、区民が涙を流し、公園のシンボルだったカワセミの死骸も見つかったと言います。
なぜ平和の森公園が破壊されたのか。「公園内で」オリンピック関連施設の建設を行えば、国交省から最大50%、東京都から最大25%の助成金が見込めるからというのが、その理由です。
しかし、平和の森公園に整備されたものは、オリンピックにもパラリンピックにも使いづらい中途半端なもので「区民体育大会も開けない」レベルらしく、区民に納得は得られませんでした。
すでに始まった工事ですが、今後の伐採工事中止を求めて4月から住民訴訟が始まっています。
さらに先日行われた中野区長選挙では、工事を強行した現職区長を破り、野党統一候補の酒井氏が当選し、大きく流れが変わります。区長が工事反対派となることで、今後始まる2期工事が見直しされ、また裁判も和解の可能性が出てきました。
国政に踏みつけにされた住民自治が、自然と共に再び回復するとしたら、とても象徴的な出来事になりそうです。民意がカワセミを呼び戻せますように!