2012年11月22日にシリアの北西部でISに拉致され、
行方がわからなくなっていたフォトジャーナリストのジェームズ・フォーリーが8月19日、IS(イスラム国。ISIS、ISIL、IEILとも表記)
に首を切られたと伝えられている。
アメリカがISに対する空爆を始めたことに対する報復だと主張しているが、シリアへの空爆を誘うことが本当の目的ではないかという声も聞こえる。
フォーリーが拉致された
2012年といえば、ISの主要メンバーがヨルダン北部に設置された秘密基地でアメリカのCIAや特殊部隊から訓練を受けたと言われている年。当時はどうだったか不明だが、現在、ISの戦闘員を雇っているのはサウジアラビアのアブドゥル・ラーマン・アル・ファイサル王子。
ノウリ・アル・マリキは今年3月、ISへ資金がサウジアラビアやカタールから流れていると批判しているが、これは事実だと見られている。アメリカやサウジアラビアが反対すれば、殺せなかっただろう。
調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュが
ニューヨーカー誌の2007年3月5日号に書いた記事によると、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの3国同盟はその時点でシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラをターゲットにした秘密工作を開始していた。
アル・カイダ系の武装集団AQIを中心にISが編成されたのは2006年のことだ。
ところで、ベトナム戦争のとき、アメリカは正規軍と情報機関/特殊部隊が別々の指揮系統で戦っていた。リンドン・ジョンソン大統領の腹心でNSC(国家安全保障会議)に所属していたロバート・コマーは1967年5月にサイゴン(現在のホーチミン)へ入り、ベトナム軍事支援司令部(MACV)とCIA共同で
極秘のプログラムICEXを始動させた。その年のうちにフェニックスへ名称が変更される。
当初、このプロジェクトは情報の収集が目的だったというが、
海軍の特殊部隊SEALなどから隊員を引き抜き、殺人部隊も編成される。反米色が濃いと見なされた地域の農民を殺害、共同体を破壊していく。
殺人部隊として1967年7月にPRUが組織されるが、そのメンバーは殺人やレイプ、窃盗、暴行などで投獄されていた囚人たちが中心だった。このPRUの役割を中東/北アフリカではアル・カイダが、またウクライナではネオ・ナチが担っている。
後に議会の調査でフェニックス・プログラムを含む秘密の工作や
組織の存在が発覚、その後は「民営化」が進む。形式上、工作を民間企業に行わせ、
発覚したときに責任が政府機関へ及ばないようにしたわけだ。その後、民営化は軍隊にも及び、戦争ビジネスが急成長する。
その
一方、1970年代の終わりから80年代にかけて「イスラム系」の戦闘部隊が編成され、その中からアル・カイダが生まれる。ただ、このアル・カイダは戦闘集団ではなく、ロビン・クック元英外相も言っているように、
CIAに雇われて訓練を受けた数千人におよぶ「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイル(データベース)だ。
2003年にアメリカはイラクを先制攻撃、さらにリビアやシリアなどの体制を武力で倒そうとしている。その結果、
中東/北アフリカは戦乱で経済が破綻、カネを稼ごうとすれば傭兵になるしかない。そうした人びとを雇って体制転覆プロジェクトを推進しているのがアメリカ、サウジアラビア、イスラエルの3国同盟。ISの戦闘員として新たに雇われた人数は6月だけで6300名に達するという。ISが銀行を押さえ、石油を売って儲けていると言うが、やはりサウジアラビアの存在は大きい。
このISはフォーリーを殺しただけではない。女性や子どもを含む多くの非戦闘員を殺害し、
若い女性を「短期間の結婚」と称してレイプ、つまり慰安婦にしている。イスラムとは無縁の存在だ。むしろ、CIAの「テロ部門」がベトナム戦争で組織したPRUに似ている。フォーリーの残虐な殺され方に目を奪われると、問題の本質を見誤るだろう。
戦争というのは、国家全体が暴力に巻き込まれた状態、すなわち暴力が支配している状態なのです。そういう環境では心身が緩みません。慰安婦が必要になるのは、ある意味で必然なのです。問題はそれが同意に基づくものか、あるいは事実上の強制なのかということですが、男性の徴兵が強制されたのであれば、慰安婦も建前はどうであれ、実態は強制であったと考えた方が理に適っていると思うのです。
米軍にせよ、自衛隊にせよ、かなりの割合で同性愛者が居ると考えられています。特に特殊部隊に所属している兵士は、ほぼ100%が同性愛者だと言われています。これは厳しい環境の任務に就く者ほど、通常の方法では心身を緩めることが出来ないということだろうと思います。
太平洋戦争の記録映像には、戦場での緊張に耐えられなくなった兵士が、終に気が狂ってしまうという場面が記録されています。人間は激しい緊張が続くと、精神が病んでまともな考え方が出来なくなります。そうした状況では些細な出来事が、より弱い立場の人々への暴力に転化してしまいます。戦場で現地の人々の虐殺、暴行などが起こる理由です。
そうしたひどい事を日本兵がなるだけしないように、慰安婦を募集し、慰安所が作られたのだと思うのです。こうした事に軍の関与が無かったなどということは考えられません。これら全てが、民主主義や人権という立場から見れば、狂気なのです。
しかし戦争を遂行して利益を得る者たちは、こうした事がわかっていて、わざと人々をこのような環境に巻き込もうとするのです。私達は権力者の策略に乗せられてはいけません。