注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
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あるジャーナリストがスパイの目的で「RTドイツ」へ見習いとして潜入。しかし、彼は逆に大手メディアの方を疑い始めた
転載元)
芳ちゃんのブログ 16/10/20
「プーチンのプロパガンダ放送局」をスパイしてやろうと、一人のドイツ人ジャーナリストがお忍びでRT ドイツに見習いとして応募した。しかしながら、事態は計画通りには進まなかった。たった二日後には、この男は逆に大手メディアの偏向振りに関して疑問を抱き始めたのである。さらには、自分自身の世界観についても。
ドイツの若者向けの雑誌「ネオン」はジャーナリストのマーチン・シラクをベルリンにあるRTドイツに送り込んだ。彼の任務は、彼の言葉を拝借して言えば、「ロシアの真実」はいったいどのようにして報道されているのかを探ることだった。
「俺はスパイだ」と、シラクは認める。
彼が記した記事によると、彼がひどく興味を感じていたのは次の点であった。RTにおける毎日の仕事において、ドイツの大手メディアがRTを描写する際に頻繁に使う言葉、「プーチンのプロパガンダ放送局」とか「クレムリンのハイブリッド兵器」といった表現に代表されるような仕事振りを自分の目で確認することだった。
その任務を果たすために、シラクは見習いとして応募し、数週間にわたって「プーチンの兵卒」として皆と一緒に仕事をした。「あそこにはいったい何があると想像していたと思う?部屋の真ん中にはファックスが置いてあって、クレムリンからの指令をまさに一分ごとに受け取っていると思っていたんだ」と、彼は皮肉っぽく自問自答するかのように言った。
ところが、現実はえらく平凡な光景であった。この自称「スパイ」氏は友好的に付き合ってくれる同僚やコーヒー・サーバー周りでの雑談、あるいは、ドイツ語を完璧に操る編集長のことなどを話してくれた。この友好的な環境においては、シラクの偽装は予想外に脆いものであることが分かった。
「あんたはひょっとしたらビルト紙からここへ送り込まれて来たスパイじゃないの、と思う事があるんだけど・・・」と、シラクが余りにも多くの質問をするので、RT ドイツの従業員のひとりが冗談交じりに言った。
自分の偽装振りを心配して、「スパイ」氏は教科書通りの動きをすることにした。しかし、予期しないことが起こった。
「今や自分自身がこれは真実だと見なすことについては俺自身が抵抗を感じ始めている」と、シラクは言う。「いったい誰が嘘をついていて、誰が本当のことを言っているのか?俺にはもう分からなくなってしまった。」
「俺はここの新しい同僚たちのことを信頼しているよ。彼らとは会ってからまだ2-3日しか経ってはいないけど、ドイツの大手メディア全部を一緒にしたよりもずっと多く信頼している」と、彼は言う。
「ドイチェ・べレはドイツの納税者からの寄付金によって設立された国際放送局で、政治や文化ならびに経済に関してドイツ人の見方や他の国の見方を網羅しようとしている」と、彼の記事は続く。「これはロシアの立ち位置を皆に分かって貰うためにRTがやっていることとまったく同じじゃないか!」
「ロシアという巨大国家が俺にとってはたまたま外国だからと言って、俺はロシアの報道を軽率にもプロパガンダと呼んでいるのではないだろうか?」
(中略)
RTドイツがフェースブック上で行った世論調査のひとつの結果を確認してから、シラクはようやく自分が抱いていた疑問を乗り越えることができた。そして、大手メディアを支持する側に残ることにした。この世論調査によると、RT ドイツの視聴者の42パーセントがドイツの左派政党を支持し、17パーセントが移民に反対する大衆主義の政党である「ドイツのための選択肢」(AfD)を支持していることが分かった。
結果として、シラクはひとつの結論に達した。つまり、RT ドイツはドイツ社会における少数派集団のためにメディア・コンテンツを作成し、彼らが抗議する意識にぴったりした、あたかも「共鳴するような世界観」を彼らに提供しようとしているのだ。
「RT ドイツは共鳴するような世界観を描き、その世界観は視聴者の間ですでに形作られている意見を裏付けるものとなる」と、シラクは自分の記事に書いた。そして、それこそが「RTの真の脅威」なのであるとも付け加えた。
(中略)
大手放送局によるオンラインでのニュースや解説の提供に対して代替となるようなひとつの選択肢をドイツ人視聴者に与えるために、RTドイツは2014年11月にRTのドイツ語支局として開局された。この局が開局される前、3万人を超す市民たちがドイツ語によるチャンネルの開局を求めて、RTに対する陳情書に署名をしていた。
2015年には、RTドイツのユーチューブ・チャンネルは2千万回を超す視聴回数を記録し、登録視聴者数は44,000人となった。
このチャンネルは間もなくドイツの政治家による批判を招来し、その政治家はRTドイツの番組は一方に傾いており、「ロシア側の立ち位置に偏っている」と主張した。この主張はRTドイツの番組を放映した地方放送局に対して立ち入り検査を実施するまでに発展して行った。しかしながら、放送法の違反は何も発見されなかった。
逆に、大手のドイツの放送局自体が持つロシアに対する偏見が暴露されるケースが数多くあった。2016年2月、人気の高いドイツの放送局である「ZDF」のウオルフガング・ヘルレス博士は同ネットワークやドイツの同業他社は何を報道し、何を報道しないかに関して政府の指示を受けていた事実を認めたのである。
ウクライナ危機の最中、非常に影響力が高いことで知られている「南ドイツ新聞」の対外政策部門のステファン・コルネリウスは数多くの報告において極端に一方的な態度を取ったことから、自分自身にスポットライトを当てることになった。
以前は「シュピーゲル」誌(ドイツではもっとも影響力がある政治関連の週刊誌)のジャーナリストを務めていたハラルド・シューマンは、あるインタビューで、自分が出版に従事していた頃、自分は情報操作されていたとの事実を述べ、ドイツには出版の自由が欠如しているとして批判した。
たった2〜3日ほどで、ミイラ取りがミイラになったようで、「いったい誰が嘘をついていて、誰が本当のことを言っているのか?俺にはもう分からなくなってしまった。」と感想を述べ、大手メディアよりもRTのスタッフの方を「ずっと多く信頼している」と述べています。
本当のことが全て明らかになったとき大手メディアは、持ちこたえることができるでしょうか。情報戦争においては、RTのように事実を報道しているに過ぎないメディアが、最後には勝利するのだと思います。