17/6/26 フルフォード情報英語版:《特別報告》吠えたねずみ、つまり、ブーゲンビルの人々がロスチャイルドを打ち倒したか

 先般、ブーゲンビル島を訪れたフルフォード氏の、号外レポートです。未来の金融システムへの可能性を取材する目的だったようですが、思いがけない妨害で、大変な目に遭われたようです。しかもフルフォード氏への金融機関の嫌がらせは、未だに続いている模様です。
 ブーゲンビル島は、オーストラリアの北にあるパプア・ニューギニアの島々の一つです。豊かな鉱物資源に恵まれた島ですが、それを狙ったオーストラリア資本の企業に対し、島民が独立をかけて戦ってきた歴史があります。「斧と弓だけ」の島民が、最新兵器で武装した傭兵たちに一歩も引かず、今日まで妥協を許さないのは、まさに驚きです。
 フルフォード氏によれば、島に埋蔵する金は数百兆ドルと推定され、多国籍企業の譲れないターゲットです。島民は、多くの犠牲を払って、1989年まで鉱山を所有していた「リオ・ティント・ジンク社」を追い出しました。そのリオ社の支配権を譲渡された「ブーゲンビル銅鉱会社」は、ブーゲンビル自治政府の所有ですから、いかにも公的機関のようです。ところが、そのブーゲンビル自治政府は、パプア・ニューギニア政府の代理人、さらにパプアニューギニア政府は、オーストラリアに事実上支配されています。ゴールドを狙う支配構造が、強固に立ちはだかっている状況です。
こうした「国際食物連鎖の最下層」とも言えるブーゲンビル島ですが、デイビッド王は、懐柔策に妥協せず、真の独立を求める立場のようです。島の豊かな金は、世界にある同様の、多国籍企業に略奪される途上国のために役立てたい意向とのこと。
 小さなネズミでも、大国に勝てる、確かにそう思える時代です。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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《特別報告》吠えたねずみ、つまり、ブーゲンビルの人々がロスチャイルドを打ち倒したか
投稿者:フルフォード

ブーゲンビル島 [パブリック・ドメイン


ブーゲンビル島の誇り高い歴史


 南太平洋のブーゲンビル島は数十年にもおよぶ壮絶な戦いの舞台であり、その戦いは、斧と弓だけで武装した地元民たちが、世界有数の最新兵器で武装した軍隊を打ち負かすという結果に終わった。世界最大のバングナ鉱山の金鉱床を盗むために戦っているロスチャイルドの多国籍企業に対して、先住民たちは先祖伝来の地を守るために戦った。勝利の結果、ブーゲンビル島中央部のナシオイ族は、世界的な多国籍鉱山企業に、最も豊かなベンチャーの一つをあきらめさせた世界で最初の先住民になった。


多国籍企業が手を引かない理由:数百兆ドル相当のゴールド


これは単なる遠い場所の問題ではない。なぜなら、その島には世界の金融システムの未来に影響を与えるほど豊かな金(Gold)があるからだ。そこには数百億ドル相当の金や銅しかないと言われているが、国際銀行家が言うには、2008年に連邦準備制度理事会が採用した部分準備金方式を使って金に値段をつけると、(700トンの金が750,000トン相当の金債券になるので)、数百兆ドルの価値があることになる。

pixabay[CC0]


さらに地元の人々によると、金鉱ではなく銅鉱山であると主張することによって、鉱山が大規模なマネーロンダリング操作の隠れ蓑になっており、豊かな金埋蔵量が知られている島にある他の6つの鉱山は、部分準備金マジックを使わなくても、潜在的に数百兆ドルにも上る価値があると言う。ブーゲンビル革命軍によると、『彼らは夜に金を搬出して洞窟に隠していた。』と言う。


リオ・ティント・ジンク社との戦いと鉱山閉鎖


BRA(革命軍)によれば、鉱山は、1972年から1989年まで、リオ・ティント・ジンク社が運営していた。人口の10%以上にあたる約3万人が死亡した10年にも及ぶ戦いの結果、勝利を収めた島民たちが鉱山を閉鎖した。

革命軍司令官のジョエルは、非武装の反政府勢力が、どのように最高水準の軍隊を倒すことができたかをこう説明する。『最初に攻撃をしかけたとき、我々には斧と槍しかなかったので、多くの者が死ぬと覚悟していた。』『我々はゲリラ戦術を用いて1人の兵士を襲い、その兵士の銃を奪って3〜4人の兵士を殺し、彼らの銃類を取ることができた。その方法で、自分たちを武装させて行った。』
また、この島で働いている赤十字の職員たちによると、島での戦いの結果として、今日に至るまで、裁判がないままの処刑と、多くの「行方不明者たち」が存在しているという。さらに、ある意味では抵抗軍は戦いに勝ったが、鉱山を閉鎖しただけだ。閉鎖は今も続いている。


ブーゲンビル銅鉱会社(BCL)へ支配継承:リオ社の責任は残る


リオ・ティント・ジンク社は、ブーゲンビル胴鉱会社(BCL)に鉱山の支配権を譲渡したと主張している。BCLは、主にブーゲンビル自治政府(ABG)の所有となっている。
リオ・ティント社の主張では、当時、現地の法律を遵守していたため、水銀などの有毒鉱石スラリーを地元の河川に投棄したことによる環境への甚大な被害についての責任を負わないとしている。しかし、グーグルアースでブーゲンビル島を見れば、鉱山が閉鎖されてから数十年経った今も、それによって引き起こされた景観の傷跡をはっきりと見ることができる。衛星写真に写るほど大きな環境破壊を犯した罪から逃れることを、彼らに許してはならない。
 地元の名前でメカムイ(Meekamui)とパパラ(Papala)という名の、島にある双子の王国は、デイビッド・ペーイ2世(King David Peii II)によって率いられており、デイビッド王は、リオ・ティント社の所有者を、ハーグにある国際司法裁判所に戦争犯罪と環境破壊で告訴することを望んでいる。


ブーゲンビル銅鉱会社とブーゲンビル自治政府(ABG)の背後に居る者


ブーゲンビル胴鉱会社(BCL)の人々は鉱山を再開しようとしており、今度は環境に配慮することを約束しているが、大量殺人や環境破壊について憤慨している島民たちは、BCLやブーゲンビル自治政府(ABG)に鉱山に関して、いかなる役割も果たしてほしくないと考えている。

ダビデ王は、状況を次のように見ている。
ABG(ブーゲンビル自治政府))は、パプアニューギニア政府の代理人にすぎない。その本部はパプアニューギニアのワイガニ地区にある。パプアニューギニアを支配する者が、ABGも支配する。

オーストラリアが1975年にパプアニューギニアの独立を認めたことは知られているが、オーストラリアは依然として、事実上パプアニューギニアを支配している。2011年の統計データによると、オーストラリアはパプアニューギニアの企業から約198億PGK(パプアニューギニアキナ、1キナ= 0.31米ドル)をかき集めたが、オーストラリア国際開発庁(AusAid)の形で、わずか約4億5,000万PGKを戻しただけだ。それはわずか約3%で、97%は、オーストラリアが保持している。借り手は貸し手の奴隷だ。パプアニューギニア人は、彼らのプロジェクトのためにAusAid基金を喜んで受け取っているが、本当のことを知らない。

パプアニューギニア政府(PNG)、ブーゲンビル胴鉱会社(BCL)、リオ・ティント社との10年に及ぶ戦いに勝利した直後、ブーゲンビルの指導者が分裂し、ブーゲンビル自治政府(ABG)が発足した。ジョセフ・カブイ(Joseph Kabui)副大統領は、活動資金不足のため、PNG政府と停戦交渉することを決断したが、フランシス・オナ大統領は妥協すべきでないと考えた。二人ともすでに世を去ったが、彼らの後継者たちは存命中で活動している。私はツインキングダム協定の下で、故フランシス・オナの後継者だ。


訳者追記 
『1988年に、鉱山の地主代表だったフランシス・オナがブーゲンビル革命軍(BRA)というゲリラ組織を結成し、90年5月にはブーゲンビル共和国の独立を宣言して大統領に就任。当時ブーゲンビル島(北ソロモン州)の知事をしていたジョセフ・カブイも独立運動に加わり、ブーゲンビルの独立は島ぐるみのものとなった。

1998年には停戦合意が実現し、国連の監視下で行われた選挙によって、2005年6月にはブーゲンビル自治政府(ABG)が発足。初代大統領にはジョセフ・カブイが就任して、10~15年後を目途に住民投票を実施して、独立するかどうかを最終決定することになった。

しかし、妥協を認めないBRA強硬派のフランシス・オナらは、新たにメカムイ防衛軍(MDF)を作って鉱山に立て篭もり、メカムイ独立国の樹立を唱えて抵抗を続けた。2005年5月にオナは国王に即位したと宣言したが、7月にはマラリアで死亡。その後ゲリラによる抵抗活動は沈静化した。

http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Lake/2917/syometsu/bougain.html より抜粋』


ブーゲンビル自治政府(ABG)は、古い支配構造の国際食物連鎖の最下層にあり、「貸し手の奴隷」ゆえに、ブーゲンビル胴鉱会社(BCL)、リオ・ティント社、PNG政府、オーストラリア、またはそれらの管理層や支配者たちに対してNOと言うことができない。
ブーゲンビル胴鉱会社(BCL)は、いまでも外国人(またはブーゲンビル人以外)に所有されている。彼らは、ブーゲンビル自治政府(ABG)に株式を譲渡したと主張しているが、ABG自体がブーゲンビルの外国代理人なので、いずれにせよ依然として外国人によって支配されていることになる。投資者(PNG&オーストラリアなど)は、自分たちの利益のために、主権国家である島にブーゲンビル自治政府(ABG)を設立したのだ。

ブーゲンビル共和国の旗



ゴールドは同じ苦難にある国々のために


デイビッド王が述べていることは、無慈悲な多国籍企業が、傭い兵や地元雇用者や賄賂を受けた「指導者たち」の助けを借りて土地を略奪している多くの途上国にも当てはまる。多国籍企業は、アフリカだけで1年に600億ドルの収入を得ていると推定される。
アフリカへの援助:西側の寄付の仮面に隠された600億ドルの略奪

そういった意味でも、ブーゲンビルの金をめぐる戦いは、デイヴィッド王が鉱山から得られる巨額の資金を他の途上国を助けるために使用することを約束していることから、地球規模の転換点になる可能性がある。アフリカや世界の他の発展途上国は、彼らを略奪している国々から無益な「外国援助」を受けるよりも、彼らの資源に対して公正な対価を支払ってもらうほうがはるかに良い。


フルフォード氏の遭難記


いずれにしても、権力側の人間が、デイビッド王を著者が訪れるのを懸命に阻止しようとしたことは明白だ。

 まず、私たちが到着した翌日に、パプアニューギニアのポートモレスビーに出入りする全ての便が、詳細不明の理由でキャンセルされた。その結果、デイビッド王側の代表、メアラガン・クリシュナン(Mealagan Krishnan)の到着が遅れた。

また、王国の首都から車で2時間半の場所にあるアラワへは毎日飛行機が飛んでいるのだが、私たちが滞在している週の間、それらの便はなぜか欠航していた。我々は、ボカまで飛ぶことを余儀なくされた。王国から7時間の過酷なドライブを経てその町に着いたときには、主要道路が「大事故」でふさがれていて、船で行くために道路を戻らざるを得なかった。

最後に、文字通り道路が封鎖されていて、ブーゲンビル胴鉱会社(BCL)によって配備された暴漢たちが、私たちに通行料として1000ドルの賄賂を要求した。私が彼らのボスに『石から血は搾り取れない(ない袖は触れぬ)』と言うと、彼はこう答えた。『俺は、石からでも血を搾り取れる。』さんざん値段交渉した結果、100ドルの現金を賄賂として払い、先に行くことを許してもらった。結局、私たちの到着は4日遅れた。

最後に、王に会った後、私たちは翌日のパングナ鉱山ツアーを提案された。しかし、そうはならず、その深夜、傭兵と買収された警官を荷台に積め込んだ10台のトラックが、パングナ鉱山の土地所有者たちに鉱山の権利をBCLに譲渡するサインを強要するために向かっているという警告で私たちは起こされた。彼らは、私たちを殺そうとしているとも言われた。

地元の人々は、道路を横切るように木を切り倒し、私たちがそこを発った後、傭兵たちが追いかけて来られないように、武装して道路にバリケードを作った。ぎりぎりのところで、武力衝突は回避されたが、傭兵たちが派遣されたのは、私たちの訪問が原因だとブーゲンビル革命軍(BRA)は言った。


「吠えたネズミ」が世界を助ける


いずれにしても、訪問の結果として、地域住民が環境にやさしい方法を用いて、自分たち自身で鉱山を開発できるように国際的な援助を要請する。王は、鉱山から生じる何億何兆ドルを、ブーゲンビルと世界の人々を助けるために使うことを約束している。


私たちが出会ったブーゲンビル人の多くは裸足だったが、スマートフォンを持っていて、(私が長年に渡って会ってきた多くの)ウォールストリートジャーナルの平均的な記者以上に国際金融システムの本質について知っていた。私は、この惑星と惑星の住人たちに非常に多くの害をもたらした無慈悲かつ無能なハザール中央銀行の悪党たちよりも、ブーゲンビルの金を担っているデイビッド王の方を選ぶ。

著者は、リオ・ティント・ジンク社とブーゲンビル胴鉱会社(BCL)とコンタクトを取ろうと何度も試みたが、どちらにも無視された。


訳者追記 
この記事の見出しに使われている吠えたネズミ(the mouse that roared)は、1959年のイギリスの風刺映画『ピーター・セラーズのマ☆ウ☆ス』とその原作小説の英語タイトル。
小国が、負けを覚悟して大国アメリカに乗り込み、色々な偶然が重なって、負けるはずの戦争に勝ってしまっただけでなく、世界を破壊することのできるほどの危険な力を手にしてしまったと言うストーリーと、ブーゲンビルの状況が似ているということでしょう。)

https://en.wikipedia.org/wiki/The_Mouse_That_Roared_(film)



翻訳:緑花
※見出し・画像は編集者によるものです。

お願い
フルフォード氏本人から快く許可をいただき、英語版レポートをシャンティ・フーラで翻訳して転載させていただいております。ただ、フルフォード氏の活動を支えるためにも有料の日本語版メルマガを購読して応援してもらえると有難いです。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

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