社会保障改悪続きだった4年半 バラまき外交とは裏腹

 以前コメントでも言及しましたが、安倍政権は「自助自立」を謳って様々な社会保障費を削減し、この4年半で社会保障制度は改悪に改悪が重ねられてきました。今回紹介する長周新聞の記事ではその詳細が記されていますが、その内容はまさに驚くべきものです。平等な医療は消え失せ、年金は減らされ、介護は自己責任化・・・。このような棄民政策は、とても人間の思いつくものではありません。もっとも、サイコパス犯罪集団のあべぴょんフレンズに、「国民のため」などという意識の一かけらもないのはとっくに分かり切ったことなのですが。将来この非道の改悪が見直されるときには、それに合わせて、常識とされてきた西洋医学そのものに対しても見直しの眼が向けられるべきではないでしょうか。仮に元の社会保障制度に戻したとしても、それだけでは恐らく意味がないのであり、首を傾げてしまいます。今回の記事とはまた別問題なのですが、そもそも現行の医学そのものがオカシイのです。国民全体が健康かつ幸福であるためには、改悪された制度の改善はもちろんのこと、本物の医療や本物の農業へ向けての本質的な転換が求められているはずです。
(牛サマディー)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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社会保障改悪続きだった4年半 バラまき外交とは裏腹
転載元より抜粋)

際限ない負担増 高齢者や家族直撃




Pixabay




安倍政府が2018年度予算編成で社会保障費1300億円の削減に乗り出している。
(中略) 2012年末の再登板以来、社会保障は次次と改悪をくり返してきた。お友達への国有地払い下げや大学設置への優遇など権力の私物化には熱心でさらに外遊に行く度に札束外交をくり広げている者が、国民生活の向上のためにはカネを使わないという歪な構造を露呈している。この四年半で社会保障はどうなったのか見てみた。

 安倍自民党が主導し、成立した社会保障制度改革推進法は条文から「だれでも、いつでも、どこでも保険証があれば平等な医療が受けられる」とした「国民皆保険制度の堅持」を抹殺し、「原則としてすべての国民が加入する仕組みを維持する」にとってかえた。

(中略)

 2013年には「規制改革会議」を立ち上げ、「医療の成長産業化」に向けて「規制改革実施計画」を閣議決定した。その中身は、①混合診療の実質解禁、②医療機器の承認業務の民間開放、③治験前臨床試験の有効活用、④一般医療品のインターネット販売規制の見直し、⑤医療関連業務における労働者派遣の拡大、⑥社会福祉法人(医療法人)と株式会社等との公正な競争環境の整備――だった。


 これらは今日、国民皆保険制度を柱とする日本の医療を崩している。「平等な医療」など影も形もなくなってしまい、高価な新薬・新技術を使う自由診療と基本部分を保険診療でまかなう「混合診療」の未曾有の拡大で、月1000万円をこえる診療報酬請求が増大した。一部のカネのあるものだけが高度集中医療を受けることができ、それ以外のものは懐次第で医療を受けることができないというものだ。非正規雇用が働く人人の四割に達し、年収200万円以下が2000万人を突破するもとで、無保険であったり短期保険証しかない人人が増え、保険証はあっても休んで受診することが経済的に困難な人人が激増している。映画監督マイケル・ムーアがアメリカの医療問題を告発した映画『シッコ』とそっくりな世界が日本社会でも広がりつつある。

(中略)
2013年、安倍政府の社会保障制度改革国民会議、小泉改革でうち出した年金給付額の「マクロ経済スライド」による削減をうち出し、支給開始年齢の六五歳への引き上げに加えて、68歳や70歳での支給の検討をうち出した。また「年金積立金管理運用独立行政法人」の運用資金配分を変更し、リスクの大きい株式、外債への投機を拡大した。国民の財産である年金積立金で米日財界のために株価を買い支える暴挙に及んだ。

 介護保険制度改悪要支援切り 利用料は増



pxhere〔CCO〕



もっとも改悪の重点を置いたのが介護保険制度だった。2013年から検討していた介護報酬の大幅な引き下げ、要介護1、2への介護予防の大半を占めるホームヘルパーによる訪問介護、通所介護のデイサービスを介護保険から外し、市区町村の介護予防総合事業への丸投げを2015年度に実施した。


介護報酬の引き下げは基本報酬を4~7%も引き下げるもので、地方を中心に小規模介護事業者の倒産・廃業があいついでいる。このもとで介護職だけの手当てをしても介護福祉士やホームヘルパーの人材確保は難しく、施設をつくっても開けなかったり、ショートステイのベッドを一部閉鎖するなど、介護なしの事態はますます広がっている。


 要支援1、2の認定者は、要介護者全体の3割強を占め、全国で約150万人にもなる。これらの人人が2015年4月から2017年4月の3年間で、すべて所定の市区町村の総合事業に移行させられた。だが政府が計画したボランティアやNPOなど地方には満足におらず、無資格者を一定の研修で参入させる計画もスムーズには進んでいない。また市区町村総合事業の報酬が平均して現行介護報酬の2割カットという実情にあり、既存の介護事業者の参入も少ない。このため移行の最終年度となった今日、これまでどおりの介護予防サービスが受けられない要支援者が全国各地にあふれている。(中略)
 また、2015年度の改悪では「現役並み所得」を口実に介護保険利用料の2割負担を実施した。介護利用料負担は必要になれば生涯続き、重くなるだけで一定期間で終わることはない。このため、生涯にわたる負担が困難で、特別養護老人ホームをはじめ介護施設からの退出を余儀なくされたり、在宅介護で利用していたデイサービスやショートステイの回数を減らし、介護者に過度な負担を強いるものになっている。
(中略)

高齢者向け高額療養費 制度も改悪



pxhere〔CCO〕




医療面での負担増もすさまじい。健康保険法では患者負担は3割で「7割給付を堅持する」としているが、保険外負担の増大によってなし崩しにしている。安倍政府になってから、入院給食費の一部を保険外にして患者負担としていた入院給食負担を1食260円から460円に引き上げた。1カ月の負担で見ると2万3400円から4万1400円にはね上がった。


 70~74歳の前期高齢者の医療費窓口負担は1割から2割に引き上げた。これによって、受診をひかえる高齢者があらわれている。医療を提供する側も、高齢者に普遍的な成人病の定期的な検査を切り出しにくくなっている。こうして必要な早期発見・早期治療がそこなわれ、しわよせが患者である国民に押しつけられている。
(中略)

pxhere〔CCO〕



第2次安倍政府の4年半、「いずれ死ぬ」「いずれボケる」といわんばかりに、介護・医療制度を根底からくつがえす改悪をくり返してきた。深刻なる少子高齢化社会に直面しているなかで、介護や医療といった社会保障の削減は、高齢者やその家族に大きな影響を与える。国なり行政が「公共の福祉に資する」責務で持って国民の健康や生命と関わり、より社会的に解決しなければならないはずが、「病院から在宅へ」「施設から在宅へ」といって個別家庭にみな自己責任で抱えさせる方向が露骨になっている。現役世代の窮乏化も深刻なもので、働かなければ食べていけないうえに親の介護がかぶさって家庭が崩壊したり、あるいは老老介護に疲れ果てて連れ合いを殺したりといったニュースが頻繁に流れるようになった。労働現場での高搾取によって過労死や過労自殺が頻発しているように、医療難民や介護難民の増加もまた、社会的な悲劇をうみだしている。


 安倍晋三が外遊する度にばらまいてきたODAや約束を交わしてきたインフラ投資の金額は、この4年半だけでも100兆円を優に超える。トランプが大統領になって初めての日米首脳会談では、今後10年間で51兆円のインフラ投資を約束して帰ってきた。米国や財界、さらにODAで利益を得るゼネコンや大企業にはあれほど大盤振る舞いをする者が、一方では国民生活にとって必要不可欠な社会保障には大なたを振るい、国内はカネのない者は介護や医療すら受けられない状態に変貌している。


国民が納税の義務を負っているのは、その分、社会保障その他、人間として暮らしていくための制度的保障について国家が責任を負うという信頼関係があってこその話である。お友達だけを優遇したり、国有財産を私物化する者に小遣いを渡しているのではない。税の公平性が歪められ、優遇されている独占資本や金融資本はタックスヘイブンに利益を貯め込み、法人税も減税措置を受け、それでいて社会の存立に対して責任を負わないことが当たり前のような振る舞いをするようになった。日本社会に寄生し、人人の労働を搾取することによって蓄えたカネを、社会全体のまともな営みを維持するために吐き出させることが求められている。


 「カネがない」のなら、タックスヘイブンから回収するなり、米国債を売り払うなりすればよいし、アベノミクスは金融資産が有り余っていることの自己暴露でもある。アメリカの雇用対策に注ぎ込む51兆円を国内に回すだけでも十分な財源となる。

編注)画像はシャンティ・フーラが挿入したものです。

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