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地球ニュース:ブラジル&中央アフリカ
ブラジル:国の資源を外資に切り売りする政府
「アマゾンは地球の肺」
先月末、ブラジル政府が原住民の先祖伝来の土地をオークションにかけました。
更に売り出された土地での石油やガス開発においては、水圧破砕法などの新しい手法を使っていいと謳ってやがります。水圧破砕法、アメリカ等で「フラッキング」と呼ばれ、健康面でも環境面でも大問題になっているやつですよ。何考えているんですか。
政府主催のオークション自体は初ではなく、行き詰った経済を立て直すためにこれまでも何回か開催されておりましたが、もっと小規模で範囲も狭かったのです。今回著しく低くしたのは参加費と売買価格だけ。
まず参加費は2013年にビジネス主体あたり280万レアルだったのが、今回はたったの500,000レアル。
参加した32の企業の中には、(ロイヤル・ダッチ・)シェルだのエクソンモービルだのBPだのトタルだの……超有名な国際石油資本が名を連ねています。もっと金とれるやん。
そして売買価格は例えば1レアル(ドルでいうと30セント)。いくら負債を抱えていたからって、ブラジル電気(国営)の子会社(電力供給)をそんな値段で売りますか。来年には本体のブラジル電気を民営化する気のようです。
一部で米国と金持ちのクーデターによって大統領にしてもらったと噂され、ブラジル史上最も国民から嫌われている(※そもそも選挙で大統領に選ばれてない)ミシェル・テメルは、国そのものを外資に売り捌こうとしているとしか思えません。
※関連動画探していたら、昨年アマゾンの川(上記の動画の)に43のダムのネットワークを作るとか言い出しているって情報まで見つけてしまいましたorz
やだもうこの腐敗政府。
先月には違法鉱山作業員どもが酔っぱらった勢いで、原住民を次々殺害して切り刻んだことを暴露。国際的なニュースになりましたが、どうやらこちらも大して目新しい話ではなく、テメル政権下では原住民や環境活動家の殺害事件が増加しています。
おまけにアマゾンの熱帯雨林を保護するための経費は今年度6,500万ドルも削減されてしまいました(そもそもブラジル政府が支出しているのではなく、ノルウェーに出してもらっていたが、管理がなってないと減らされた)。逆に森林破壊は、ほぼ倍の速さで広がるようになりました。
またアマゾンの保護区を一部解放すると宣言し、鉱山開発を許可しちゃいました。46,000平方キロメートルほどだそうです。鉱山活動はその3割程とか言っとるけど、招き入れた時点でこれまでみたいに違法な採掘だの、焼いて土地を売っぱらうだのが横行しますよね? 今のところ裁判所が止めているそうですが、いつまで持つやら。
詳しく調べたら、数日前に政府が撤回しとりましたが、こいつら放っておいたらまた言い出しそう。それか違法採掘を黙認する方向に転じるか。
だってね、撤回とか言いながらも「ブラジルは成長し、職を作出し、鉱山投資を呼び込み、さらには当該地域の経済的可能性を引き出す必要がある」って鉱山およびエネルギー省がコメント出しているんですよ。大人しく森林保護する気は全くなさそう。こちらのまとめ動画を見ると政権の面子も大企業と繋がっていて、ロクなのがいません。
2019年まであと8回もオークションを計画しているそうで、与党内からも国の資源を余りにも安く売り過ぎだと言う批判が出ているほど。このままだと、アマゾンの美しい大自然と原住民の貴重な文化があっという間に消えてなくなりそうです。
かつて世界的にアマゾンの保護が叫ばれていた頃、森林破壊は減っていたんです。世界の関心が薄れた2004年頃から再び増加傾向にあります。皆さま、今一度意識を向けて頂けないでしょうか。
中央アフリカ共和国:無視された惨状
上の映像は中部カガ・バンドロにあるキリスト教徒のキャンプ
0:42辺りから衛星写真で白いキャンプの小屋群が黒く変化するのは昨年10月セレカ勢力に襲われて焼かれた時の様子。
中央アフリカ共和国はウィキなどでざっくり歴史を見て頂くと、「どんだけクーデター繰り返しとるねん!」と突っ込みたくなるほど、政情不安が続いております。今では「失敗国家」だの「幽霊国家」だの呼ばれる始末。昨年には「世界で最も無視される危機」に選ばれてしまいました。
今月アルジャジーラの記事に、難民と化したフラニ族の現状が載っていました。
フラニ族はミャンマーのロヒンギャ同様イスラム教徒なので、アルジャジーラなどは多少関心を寄せてくれるようです。アフリカ中央部から西部にかけて広く分布し、牛を放牧しながら移動するフラニ族は、他の国でも迫害を受け易い部族です。
中央アフリカ共和国のことを調べると、フラニ族に限らず殆どの国民が悲惨な生活をしているようですが、北部のカボとバタンガフォの間にある3つの難民キャンプには、武装勢力の度重なる襲撃で国際援助機関の支援もロクに届きません。
まずは反バラカ勢力(大半はキリスト教徒)にキリスト教徒の畑に入ったと非難され、その後は反バラカの敵対勢力セレカ(大半はイスラム教徒)にも襲われ、家畜を取り上げられました。両者の抗争が激化する中、フラニ族の一部は隣国チャドに逃げましたが、食糧にありつけず難民キャンプに戻ってくるようです。
とあるキャンプの代表者は「牛なしでは、自分の人生は意味がない」とコメントしています。遊牧民としての文化が失われていくのは悲しいことです。バタンガフォは農耕に適した土地だそうですが、殆どの人が放牧しか知りません。おまけに頑張って耕したところで、いつまた武装勢力に襲われるか分かりません。
旧宗主国はフランスなのですが、最近「逆ロビンフッド(※貧乏人から奪って金持ちに与える)」と揶揄されているマクロンが何か手を打つ気配もなく、掘っ立て小屋を浸水し、洗い流してしまう雨期が始まりました。
ナイジェリアのフラニ族の様子。せめてこんな風に暮らせるといいのですが……。
文・Yutika
「権力者って、監視の目がないとここまで好き放題をしますか」とびっくりすること請け合いです。もうね、人に対しても自然に対しても悪魔に魂売っているとしか思えない所業です。
中央アフリカに関しては、国としての体裁すら失いかけています。子どもたちが少年兵や少女兵にされ、国連平和維持軍や仏軍の性的暴行が問題になっている場所です。
まとめ動画を見ると、宗教対立というのはとってつけた口実で根は単なる政治経済の諍いです。長らく奴隷貿易や植民地政策で搾取され、貧困が更なる貧困を呼ぶという悪循環に陥っています。
今週頭のルーマニアの写真集、画像が上手く表示されていなかったのを早速調整して頂きましたので、気分転換はそちらでどうぞ(※記事冒頭の悪魔崇拝ファッションショーは無視してください)。