かんなままさんの執筆記事第27弾です。
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本当は反抗期はない
子どものやっていることをよく見ていて、それがとても面白いこと、素晴らしいことだと分かると、本当に楽しいのです。
いたる所によろこびがあるのに、自らそれを放棄する生き方をする人が多いですね。もったいないと思います。
よく観察をして、子どものいいところを見つけ、認めて育てていくと何も問題がないのです
いたる所によろこびがあるのに、自らそれを放棄する生き方をする人が多いですね。もったいないと思います。
よく観察をして、子どものいいところを見つけ、認めて育てていくと何も問題がないのです
出典:「ぴ・よ・こ・と3」竹下雅敏(著)
幼稚園の運動会の日の出来事
先日、孫の運動会がありました。幼稚園の年少組です。捻じれのかわいい孫は、本当は歌や踊りが好きなくせに、大好きなママやパパが見ていると目をそらし、笑いもしないでつまらなそうに踊ります。予想通りの展開で笑ってしまいました。
ママは朝早くからお弁当を作り、パパも朝方から場所を確保。まだ1歳のチョロチョロさんを連れて定刻に行くのも大変です。小学1年生のお兄ちゃんも急かされてついて行きました。自分が通った幼稚園ではないのでテンションが上がりません。ほかの人のテリトリーに侵入した気分です。園庭は写真を撮るのに夢中になっている保護者で溢れ、座る場所は畳一畳くらいしかありません。それでも木陰が多かったのでホッとしました。
そんな場所で1年生のお兄ちゃんは退屈でたまりません。することがないので足元の土で遊び始めました。でも、みんなが通るところなので、早速パパから怒られました。もうすっかりいじけてしまいました。
お兄ちゃんの立場になってみると、「つまらなあーーーい!」の一言です。これで1日中じっとしていなければいけないのですから。
1年生のお兄ちゃんの本当の喜び
「さあ!冒険の旅に出ようぜ!」と誘いました。「?」としながらも私についてきました。「ねえ、今日は運動会だから、その邪魔はしちゃいけないよね。でも、きっとおもしろいところがあるよ!」と言って探したのですが、落ち葉、木の実、石ころ1つ落ちていません。きっとこの日のためにお掃除したのでしょう。「砂遊びする?」「怒られたもん」「皆の通らないところなら大丈夫だよ」と言って砂を集めることにしました。幸い道具置き場の小屋の隅が空いています。クツで砂を掃きよせて集めました。
もうその頃から孫の目がキラリン!と光って「山つくる!トンネル掘れるかなあ?」とやる気が出てきました。まず、山を作りました。でもサラサラでトンネルを掘れません。「どうしたら掘れるかなあ?」すかさず私は「雨だあ~!」と言ってペットボトルの水を降らせました。そのことに気づいた孫は自分で水を汲んできて、土を固めて慎重に両側から手で掘っていきました。崩れたりしながらも貫通しました!その手で鼻水も拭いたので顔まで泥だらけです。でも嬉しそうな顔!
それを見ていたヒマな子たちが集まってきて、砂を集め思い思いに何かを作り始めました。
その一角は砂のアート展みたいでした。でも、一向に固まらないのでイライラしたお兄ちゃんたちが孫の所にやってきて「なんでお前だけ作れるんだよ。できるわけねえじゃん!」と腕を組んで威嚇してきました。ああイライラエネルギーをぶつけて来たなと思いました。それが子どもの世界です。孫は下を向いて無心に作っています。
エネルギーを切り替えるために「あのさ、考えて御覧、雨が降ったらどうなる?」と言いました。すると、ハッとしたようで走って水場に行きました。嬉しそうに隣で作り始めました。山城に堀まで作っていました。見ると泥団子を作っている子もいます。全然知らない子同士で「あ!いいこと思いついた!」「踏まれないようにこっちに持って行こう」「こうしたらいいんじゃない?」など、いつの間にか子ども達の遊び場になっていました。
今度は孫がどこからか幅のあるゴムを拾ってきました。それで砂を引っぱってゴールさせる遊びを始めました。アリの巣はちゃんと避けてルートを作っていました。それが飽きたらゴム鉄砲です。1回して見せただけでマスターしました。道具小屋の金網にはっぱを入れて当てるゲームが始まりました。なかなかうまいもんです。そのゴムは宝物になって、孫のポケットにしまわれました。
とうとう運動会が終わるまで夢中で遊んでいました。仲間もできました。運動場の片隅で泥団子が山のようにできていました。女の子たちが並べたのです。そのまわりにはゲームしている子はいませんでした。でも、汚いからやめさせようと子どもを引っ張っていく大人は何人もいました。
子どもは自分が主役〜子どもを犠牲にしないために「よく観察する」こと
ところで、孫の通っている幼稚園はのんびりしています。厳しい園から転園したのです。運動会も発表会も子どもの遊びの延長と捉え、無理な練習はさせません。だから見栄えがイマイチです。かけっこも気合が入っていませんし、組体操も一糸乱れずどころか可愛いものでした。ほとんどが親子競技で子ども達は嬉しそうでした。
でも、保護者からは「だらだらしている」「もっと練習させた方がいいのでは?」という声がきかれたそうです。この時期は天才的に何でもできるようになる時期なので鍛えれば凄い事もやれるでしょう。実際にそういう園が人気です。その犠牲になるのが子ども自身だという事が見えていないのです。
どうぞ、子どもの顔をよーく見比べてください。運動場の隅の泥んこ軍団は、みんな満ち足りた顔をしていましたよ。運動会で日頃の猛練習の成果を見せて「頑張ったね!やればできるじゃないか!」と褒めてもらうより、何もないところから何かを生み出し、仲間を作り、達成感を味あう方が断然楽しいし、子どもの成長に繋がります。だって自分が主役ですから。