「ブラックボックス」読んだよ...

深刻な顔して、どうしたの?
「ブラックボックス」読んだよ。
詩織さんが書いたあの本だね。どうだった?
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表紙の写真、美しいけど悲しげな詩織さんをみていると、正直読むのがこわかった。

なんだか、レイプが中心の話と思うと気が重いよね。

そうなんだ。たしかに生い立ちから事件に至るまでのくだりは、なんでこんなことに巻きこまれたのか、本人がもっとしっかりしていれば、とか批判的に読み進めていたよ。

でも、
記者会見の詩織さんとか見てると、けっこう気丈夫って感じで。

読みゃわかるよ。あれは、気を張ってるだけだって。
中身はトラウマによるPTSDでぼろぼろなんだよ。

当然だよね。名前も公表しちゃったし、
家族とか周囲も大変だよね。

たしかに一般的にはそう思うだろう。しかし、
家族もかなり理解があるし、なにより友人に恵まれている。そういう友人をもつ本人も、まっとうな人だと思えるね。
詩織さんのスゴイところ

加害者の山口はどんな思いで、この出版のニュースを聞いたんだろう?

加害者とか、そういう言い方は当たらないな。
詩織さん自身も自分のことを被害者だとは思っていないし。
事件直後から「不思議なことに、私はこの当時から相手に対し、怒りという感情を持つことができなかった。」そうだ。

それは、驚きだよ。こういう事件の場合、まず怒りがいちばんにあると思うが。

そうなんだ。
そこが彼女のスゴイところだと思うよ。ふつうの女性ではない。それをふつうの女性と勘違いして、彼女に接したことが山口の失敗だな。

そうかあ、
山口がそれまでモノにしてきた「ふつうの女性」だったら、こんなふうに世間に自分の醜態をさらされることもなかっただろうからなあ。
山口ってさ、それまで多くの女性を、こんなふうに獲物にしてきたってことが見え見えよ。詩織さんをレイプして別れた後に、山口から「何事もなかったかのようにかかった電話」ってのが、それを証明してるね。

それまでは、ずっとそんな感じでやってきたんだろうなあ。そして被害にあった女性たちも、相手が有名人で権力者の山口だから、文句も言わずに通り過ごせば何らかの恩恵があったんだろうなあ。

まさにそう。ホテルでおそいかかる山口に抵抗して、詩織さんが「一緒に働く予定の人間にこんなことして、何のつもりなの」と英語で叫んだときも、「君のことが本当に好きになっちゃった」とか、「早くワシントンに連れて行きたい。君は合格だよ」って、ふざけたヤツ!

ワシントンに連れて行かれて、毎晩こんな目にあうとこだったね。
じっさい、こういう目にあって何も言えずにいる女性はどれくらいいるのかと思うよね。
女性の昇進を、なんか違う眼で見てしまいそうだ。
事件よりも驚愕的な現実!

pixabay [CC0] 1 & 2

でも詩織さんは、そんなモラルゆるゆるの山口に対して怒っていないって、どういうこと?
事件も衝撃で、今もまだそのときのトラウマが色濃く刻まれているん
だけど、そのあとに体験した現実のほうが、ジャーナリストとしての彼女には驚愕だったということだ。

その後って、警察とか、病院とか?

そう! まず、
モーニングアフターピル(って、そんなもんあったのか)
をもらいに行った産婦人科の対応にガクリ。しかも、勇気を振り絞って行った警察にもガクリ。レイプされた側に非常につらい社会だということが、心底わかってしまったんだ。

一番頼りになる、と信じていたところがみな、まったく頼りにならなかったと?

そう。それが一番のホラーだな。だから、
最終的には、ほとんど自分の足で捜査しなければならないことがわかった。しかも、自分で捜査してみると、警察の捜査が不十分だったり、重要なことを隠していたりしたことがバレたわけ。

ホテルの監視カメラの映像とか、自分で見に行ってたよね。

それどころか、ホテルまで乗ったタクシーの運転手にも自ら聞き取りしてるんだぜ。ひでえ話じゃないか。それなら、警察はいらねえよ。
どんだけ税金払っても、結局自分の労力を使わなければ真実がわからないって、おかしくねえか?
っで、もひとつおかしかったのが、鮨屋。
詩織さんがデートレイプドラッグを飲まされた、鮨屋ね。
あそこ、山口とつるんでるぜ。言ってることがおかしい。

へえ、もしかしてそこの鮨屋に連れて行かれると、ドラッグ飲まされるんか?

残念ながら、鮨屋の名前は公表されていないが、有名所らしいからすぐにバレるだろな。
真実に正面から立ち向かう詩織さん!

ところで本には、
検察審議会の「不起訴」までが書かれてるんだよね。

そうだ。検察審議会に出された客観的事実(P149)を読めば、
「不起訴」がいかに不自然かがわかるだろう。そして、詩織さんの人間性は、この本を読めばアホでもわかる。同時に山口のメールを読めば、山口の人間性も手に取るようにわかるがな。
詩織さん、多くの性犯罪被害者のためにがんばってほしい。

そうだ。
彼女がおもてに出たことで、これまで男性の性暴力で泣き寝入りしてきた女性たちが声をあげるだろう。そして、インド並みに
男尊女卑な日本社会にメスを入れ、女性が幸せにくらせる社会に生まれかわるだろう。
ぜひこの本を買って、読んで、
詩織さんを応援して欲しい。真実に正面から立ち向かう詩織さんの姿勢は、女性の目からも見てもすがすがしく映るはずだ。
ぴょんぴょん
Writer
ぴょんぴょん
1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
(クリニックは2014年11月末に閉院)
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)