『種子法の廃止と今後の対応』 ~新世紀JA研究会~

 先日、新世紀JA研究会主催の「種子法の廃止と今後の対応」というセミナーに参加してきました。
 JAの原種苗センターの方による、原原種生産に関する話では、原原種という種子が実際にどのように育てられているのか!そして原原種・原種をいかに安定供給しているのか!がわかる、現場からのとても興味深い報告でした。
 そして食の流通という観点から、パルシステム生協連合会前理事長・山本伸司氏が、生産者と消費者が連携・協同してこそ、心も豊かに、コミュニティーも豊かになる!と強調されました。市民目線の心ある理念に基づいた、とても心強い100年ビジョンであり、その細やかな気配りはやはり日本から発信していくのではないかとおもうような実践的なお話でした。
 種子カフェで種市を開催されたジョン・ムーア氏は、グローバリゼーションが終わりを告げたあとの準備としてのローカリゼーションについて話をされました。高知の山奥で、昔ながらの種を受け継ぐ暮らしの豊かさに気づき、実践されている氏の言葉と活動は、現代社会に暮らす私たちに大きな気づきを与えてくれます。
 また、元農林水産大臣である山田正彦氏からは、種子カフェに続いての種子法関連の最新情報もありました。今回こうしてブログに載せることに関しては「ぜひ広めてください」と言っていただきました。
 種子法は廃止されてしまいますので、安全な食・種子を守るために新たな主要農産物に関しての法整備は急務です!と、山田正彦氏。
 そしてそのためにも、その必要性をうったえる国民の声の後押しが力となります。世論づくりが課題なのです!と、司会の白石正彦東京農業大学名誉教授。(ちなみに←こちらのリンク先で二宮尊徳氏の「道徳と経済」を結び付けた報徳運動のお話があります)
 それほどに国民は、この国難を国難と認識していないのです。

 種子法廃止を目前に控えてのかなり厳しい状況の中で、グローバリゼーション終焉後の50年、100年先を見据えたビジョンを垣間見させてもらいました。今という、"地球と共生する"ローカリゼーションへと転換する節目の時に!
(しんしん丸)
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「原原種とは何か?」 
 JA茨城県中央会県域営農支援センター 糸賀秀徳氏

 ほとんどがJA関係者のセミナーであったため、個人参加であるど素人の私には?な話もありました。なので、原原種への疑問点については、質問タイムで少しお尋ねしたものの、詳細については改めて後日電話でお聞きしました。


 「新品種の特性を維持するために育成される種子を原原種をいいます。原原種はさらに特定の農家にて委託栽培して増殖します。これを原種といいます。そしてその後に、一般農家へと販売されるのです。」

◎原原種の生産方式

・一つの品種でもいろいろな個性があるので、その個性を180に分類した系統として育成します。(人に背の高低とか目の大小とかの個性があるように)
・一つの系統は、縦横5粒x5粒(25粒)を1単位として、5単位、計125粒をほ場(ほじょう)にて育成します。
・育成する中で、病気・先祖返り(赤米になるという)など問題が一つでも出たら、その系統はNGとします。こうして問題無く育ったのが180系統のうち120系統(昨年の場合)あります。そしてその120の各系統の125株の中からそれぞれ選りすぐりの3株を原原種とします。ですから120系統x3株=360株が原原種となるわけです。そして翌年は180株をまた原原種としてほ場で育て、残りの180株は何かあった場合の予備として残します。

 少しマニアックな情報ではありますが、原原種という言葉の意味がわかります。そして、種子の特性を守るために原種・原原種を育成するという複層的な仕組みがよくわかります。

「消費者として看過できない種子法の廃止ー食と農の協同組合間提携の重要性」
 パルシステム連合会 顧問 山本伸司氏



 農の本質・食の本質を問う価値観は、グローバリズムの収益第一主義とは理念からして違うので、収益構造だけを見るのではなく、コミュニティーとの交流を踏まえた、多様性を認める総合農協のような視点が必要とされるとの指摘には大いに賛同します。
 またフードシステムにおいては、生産者と消費者をつなぐ協同のシステムがあってはじめて豊かなコミュニティーとなり得るということで、こうした心の豊かさとコミュニティーの豊かさの両立する「共生の社会」を提唱されました。

画像の出典: pixabay [CC0]

 具体的な話として、コンビニの100円おむすびが100円たる内訳は、60円がコンビニ、16円が農家の取り分であり(その他は諸々の経費として)あまりに農家の実入りが少ないシステムとなっています。こうした構造を、お金だけでない交流をも総合的にみて(たとえば福祉とか交通とか)、生産者と消費者をつなげる協同のシステムへと変えていく必要があるというのです。こうした細やかな気配りあるシステムはやはり日本から発信していくようにも感じられました。今のJAをもっと明確な理念のもとに再構成するといったイメージでしょうか。
 多国籍企業はJAを解体しようとしていますが、それを逆手にとって食と農を核とした協同の地域づくりを推し進めるのです。こういった100年先をも見据えたビジョンともいえる価値転換の巨大な流れこそが地域を守り、食を守ることにもなるのです!と力説されました。
 市民目線の心ある理念に基づいた、とても心強い100年ビジョンであり、実践的なお話であり、とても勇気づけられる話です。

「種子(たね)から考える次の50年」
 シーズ・オブ・ライフ代表 ジョン・ムーア氏



 種子カフェでもお話しされた、ジョン・ムーア氏です。
 グローバリゼーションに基づいたF1や遺伝子組み換えといった、人間による遺伝子への介入により、植物の多様性は大きく損なわれています!残された原種のDNAを次世代に引き継ぎ、土と人とをちゃんと繋げるローカリゼーション、新しい経済システムを構築する必要があります!と、原種を守ることの大切さをうったえました。
 高知の山奥で、昔ながらの種を受け継ぐ暮らしの豊かさに気づき、実践されている氏の言葉と活動は、現代社会に暮らす私たちに大きな気づきを与えてくれます。


「種子法廃止とこれからの日本の農業について」 山田正彦氏



米国はTPP協定を離脱しましたが、日本は批准しているので、種子法・水道法をはじめとしてどんどんと国会にて、国内法の整備に取り掛かっています。
驚くべきことに、日本はTPP協定を多国籍企業から無理強いされているわけではないのです。今の政権は自発的にグローバリズムに飛び込んでいるのです。行く末は、支配者と国民奴隷の国、日本です。
韓国は、米韓FTAですでに200本もの国内法を変更してしまっています。

【追記】トランプ米大統領が、米国に有利な条件が得られることを前提に、TPPへの再加盟を検討すると表明しました。(1/26)トランプ氏の真意を知りたいものです。


主要農産物の伝統的な日本の在来種は、国により守られてきました。そして種子法に基づき、各自治体は原種・原原種の維持、開発をしてきました。


種子法の廃止で、米はF1になり、価格も4〜10倍となるとおもわれます。
そして現在、ほとんど国産で自給している米は、どんどん安価だが危険な輸入品に取って代わっていくことが予想されます。食糧安全保障の危機です。


日本の知見は、民間に提供することになってしまったため、多国籍企業はそれを基に特許申請をするものと予想されます。すると日本の農家は、日本の原種なのに多国籍企業に特許料を支払わなければならなくなるのです。


昨年暮れの農水事務次官の通知によると、「種子法廃止後、自治体は民間が滞りなく生産できるようになるまでは知見を提供するようにする」とあります。これは、多国籍企業のためには全面協力を惜しまないこと!といわんばかりの通知なのです。


日本の食品安全委員会は、遺伝子組み換え食品は安全であると明言しています。おそらく、輸入される遺伝子組み換え食品におけるその表示はできなくなるとおもわれます。


米国ではGM小麦は、食用にするには国民の反対が大きいので現在、家畜の餌とされています。それを日本に輸出することを視野に入れているとおもわれます。実際に山田氏は政府高官に直接そのように言われたことがあるそうです。


米国は牛肉の国産表示を取りやめました。
おそらく日本もそうなるとおもわれます。


くだものも同様、産地表示ができなくなるかもしれません。
輸入品にポストハーベストなどの規制も実質無い中で、危険があふれます。
韓国では地産地消の学校給食ができなくなりました。


遺伝子組み換えの米はすでに試験栽培されています。
農薬や病気に耐性のある遺伝子組み換え米。これが広がると在来種は無くなります。
韓国は遺伝子組み換え作物の試験栽培も認めていません。


日本は種子法は廃止されますが、欧米なみに公共品種を守る新たな法律が必要です。


ヨーロッパでは農業を国が守っています。
日本の農業が過剰に保護されているなどということはないのです。


ヨーロッパ型の農業では、なんと収入の8割が国の助成金です。
食を守るということは、国を、国民を守るということです。
民間参入しやすくするため!とか適切価格のため!とかこじつけるのは、多国籍企業の論理です。
多国籍企業のために働く政権であってはなりません。
しっかりと日本国として、食料自給率を達成し、食の安全を守り、国土の環境保全を達成する必要があります。

Writer

しんしん丸

2015年のシャンティ・フーラ主催の関東交流会にてお手伝いをさせていただきました。平安の花を愛でる、幸せ者の一人として。

想念と電磁波の海たる東京で、ナディーチャート風水の結界ある自宅に引きこもっています。といいながらもよく出歩く、5種です。
もちろん、いろいろと出かけるのはほぼシャンティ・フーラ絡みです。ですから出歩いてはいますが、出歩いてはいないのです・・・と、どこまでもシャンティ・フーラ的な7種です。


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