料理の作り方を読んでるだけで、腹が減ってくるダッチ・オーブン
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へえ〜、その
個展で「絵」じゃなくて、なんでダッチ・オーブンなの?
「絵」も欲しいと思ったが、ホイホイ買えるような金額じゃねえ。
そこで
せめてイラスト集を、と思って手に取った本がダッチ・オーブンの料理本だったってわけ。
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この本のイラストを見て、食べたいと思わない人がいるだろうか?!
おしゃれなイラストと、料理の作り方を読んでるだけですんごく腹が減ってくる。
著者の菊池氏も、3種の疑い濃厚だね。
それで
くろちゃん、ダッチ・オーブンを買ったんだね。
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ああ、
即買いだ!
だが
悩んだのは、いろいろな大きさや種類があること。
キャンプ用のは、炭の上に直接乗せられるように3本足がついてて、平らな蓋に炭火を置くこともできる。
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そうやって、
上下から熱することができるんだね。
それこそ、オーブン調理。
しかも炭火でじわじわ調理だろ?
最高にうまいそうだ。
ダッチ・オーブンはもともと、アメリカのカウボーイ愛用の鍋だ。
彼らはいつもそういう、うまい料理を食ってるってことだな。
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あれ?
ダッチ・オーブンて言うから、オランダから来たのかと思ってた。
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たしかに
ダッチ=オランダのって意味だが、こいつはアメリカ生まれだ。
名前の由来には、いくつかの説があるらしいが、「
イギリス人は『〜もどき』の品物を『ダッチ〜』と呼ぶ習慣があるため、本物のオーブンではないがオーブンとして使える鍋を『オーブンもどき』すなわちダッチオーブンと呼んだという説もある。」 (
Wiki)
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なるほどねえ〜。
おれは、ガスコンロにかけられる底が平らなタイプにしたが。
しかし、アウトドアにほど遠いおれには、ちとハードルが高かったな。
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そんなに
ふつうの鍋と違ってるの?
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ああ、
全面鉄製、正確に言うと鋳物、鋳鉄、型に鉄を流し込んで作ったヤツ。
鉄の塊かあ〜、
そりゃ重たいでしょ。
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箸より重いものを持ったことのねえおれなんか、
持ちあげるだけで二の腕がブルブル震えたぜ。
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いいよ、きっと振り袖が引き締まって、筋肉モリモリになるよ。
それで、何か作ってみたの?
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そんな、
即料理ってわけにはいかねえ。
まず
初めに、シーズニングをしなければならなかった。
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なに? シーズニング?
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つまりだ、
鉄をそのまま使うと鉄くせえし、錆びやすいだろ?
それを
錆びずに長持ちさせるための、いわば儀式だ。
面倒だが、この儀式はハズせねえ。
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どうやってやるか知ってたの?
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先ほどの「ダッチ・オーブン生活」170ページを見ながらだな、
まず、
鍋に湯を沸かして付着したワックスを流し捨てる。
次に
鍋を火にかけてカラ焼きしてから、油を引いて人参、大根などの皮を炒める。
それを捨てたら、次はネギを油で炒めて捨てる。
これででき上がり。
めんどおくさ〜い! もっと簡単にできないの?
アメリカだと、鍋ごとオーブンにぶち込んで焼くそうだ
が、あのでかい鍋の入るオーブンなんて、日本で持ってる人いるか?
日本じゃ、これが一番簡単な方法なんだ。
これで鉄が錆びなくなるわけ?
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「
鉄をから焼きすると、表面に多孔質状の酸化皮膜が出来る。
この皮膜ができたところに
油を注ぐと、無数の微小な穴の奥に油が染みこむ。
これを、鉄肌に油が馴染んだ状態といい、
使い良さの要(カナメ)である。」(ダッチ・オーブン生活 169ページ)
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ほお〜、科学だね。
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もう一つ、
ダッチ・オーブンは無水調理ができる。
品質の良いダッチ・オーブンは、
蓋と鍋のすり合わせが完璧なので、水蒸気で密閉できるんだ。
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中の水分が外に漏れないってことだね。
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だから、
ジャガイモでも、サツマイモでも、ぶち込んで火にかけるだけでホックホク。
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ところで
ダッチ・オーブン、すぐに使いこなせたの?
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いやいや、
いろいろと失敗もあった。
使い始めの頃、ダッチ・オーブンでポトフを作ったんだ。
昼に作って夜、温めて食べようって思ったら!
サビがギラギラ浮いてて、すごいことになってた・・・。
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およよよ〜!
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なんか、
工場排水みてえな、ヤバいスープになっていた。
しかも
鍋の内側が錆びて、はがれそうになってるし。
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鍋にもダメージ与えちゃったんだね。
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そっから
また、シーズニングのやり直しで・・・。
以来、料理したらすぐに皿に出す。またはステンレスの鍋に移すことにした。
特に汁物は、放置厳禁だな。
めんどおくさ〜い!
もうちょっと簡単で、おいしく作れる鍋ってないの?
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あるこたあ、あるよ。
有名な、ル・〇〇○○ってブランドの鍋とかさ、
鋳物をホーローでコーティングしたヤツ。
あれも
鋳鉄で、ダッチ・オーブンと同じように
無水調理ができるが、お手入れ簡単。
シーズニングはいらないし、軽めなので女性には向いている。
しかも、ダッチ・オーブン並みにおいしくできる。
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ふうん、
でも鉄と材料が直接触れ合わないから、鉄分の補給にはならないね。
愛着がわいてくる、一生モノのスキレット
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たしかにそうだな。
おれんちは湯を沸かすのも鉄瓶。料理も鉄鍋。
ただ、
最近はダッチ・オーブンよりもスキレットの方が出番が多いかな?
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スキレット?
鋳鉄製のフライパンのことだ。
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それもまた、
重いんでしょ?
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ああ、だが
ダッチ・オーブンに比べたら楽勝だ。
シーズニングは必要だけどな。
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くろちゃんは、テフロン加工がきらいだったしね。
スキレットで調理した料理を食ったら、テフロン加工のなんか食えねえよ。
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そんなに違うの?
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じゃ、
今からスキレットで、オムレツ焼いてやる!
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わあ〜い! ちょうどお腹すいてたんだ〜。
(ジュ〜ジュ〜)
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ほいっ! どうだ? 最高だろ!
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クンクン・・・
昔食べた、なつかしいオムレツの香りがする。
そして、
中はトロ〜リ、おいしい〜!!
今時、一流ホテルのオムレツもテフロン加工で作ってるからな、
この香ばしさは、うちでしか味わえねえんだ。
ついでに、
オムレツで熱くなってるスキレットに、
ウインナー、ベーコン、半切りトマト、マッシュルームを入れて、
少し火にかけたら蓋をして火を切る。
余熱で
ちょっと置いといて、オムレツの横に並べると・・・。
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おおう!
イングリッシュ・ブレックファーストだあ!
簡単で、豪華!
他にも、いろいろ便利に使えるが、
お勧めは炒め野菜。
簡単なくせに、めちゃくちゃおいしいんだ。
カボチャなら1cm厚さに切る、油を引いたスキレットに並べる。
塩ふって、火をつけて蓋をする。時々ひっくり返すだけ。
ずいぶん早くできるね。
カボチャの甘みが凝縮されてて、おいしい〜!
キャベツなら大きめにちぎる、同じように蓋してホイ!
キャベツって、こんなに甘かったっけ?
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玉ねぎも
ふつうのフライパンの玉ねぎ炒めと、比べ物になんねえ。
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甘い、
甘いね。
野菜の水分がすぐに蒸発して、水っぽくならないからだね。
調理し終わったスキレット、手入れは簡単だが注意が必要だ。
ふつうは、熱いうちに水を入れて、洗剤を使って洗うけどね。
それをやっちゃ、ダメダメ!
まず、
鋳鉄は急激な温度変化はダメ。
熱々のスキレットに冷水をかけたら、割れるおそれがある。
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割れるの?!
冷めてから洗うか、熱いうちはお湯で洗う。
洗剤もだめ。
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でも、
それじゃ油を落とせないよ。
油はコーティングになってるから、落としたらダメ。
また一から、シーズニングのやり直しになるぞ。
洗ったら火にかけて、スキレットの水分を飛ばす。
熱いうちに油で表面をコーティングして、おしまい。
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それも
慣れるまでは、手間だねえ。
ふつうのフライパンなら、洗ったまま放っといても大丈夫だけどね。
そうやって手をかけていくうちに、ますます愛着がわいてくるんだ。
テフロンは焦げ付いたら捨てちゃうけど、スキレットは大事に使えば一生モノだね。
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てことで、
今日のランチは中華粥にしようかな、ダッチ・オーブンで。
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中華粥??
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作り方はいたって簡単。
「ダッチ・オーブンにトリを丸ごと入れて、米と水を1:20の比率で入れる。
その際、米は研がない。」 (菊池仁志著 ダッチ・オーブン生活 37ページ)
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そんだけ?
楽だね。
でも、
丸ごとは食べきれないかも。
骨付きモモでOKだと思う。
あとは火にかけて、時々のぞくだけ。
これきっと、
夏バテで食欲の落ちた人とかにピッタシだよ。
おいしそお〜!! パクチー乗せて食べた〜い!
ぴょんぴょん
Writer
白木 るい子(ぴょんぴょん先生)
1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)
![東洋医学セミナー受講者の声](https://shanti-phula.net/ja/smg/wp-content/uploads/2014/11/4860ef629c2bd4b9988a16e87e0b916b.jpg)
中をのぞくと、色とりどりの3種的なイラストがキラキラ輝いて見えた。
思わず足を踏み入れたのが、ダッチ・オーブンとの出会いだった。
そこは、ダッチ・オーブン協会会長、菊池仁志(ピエトロ)氏の個展だったのだ。