“テロリストの温床”と呼ばれてきたパンキシ渓谷
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こないだ、
BS1スペシャルを見たんだが、世界にはおれたちの知らねえことがいっぱいあるんだなあ、と思ってさ。
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なになに・・・「
ジョージアの美しい山々に囲まれたパンキシ渓谷。・・
この地域から200人もの若者が過激化組織ISやテロ組織に参加、命を落とし・・
“テロリストの温床”と呼ばれてきた。・・
番組は、奔走する母親たちの闘いと再生の記録である。」
ジョージア? アメリカのジョージア州?
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じゃなくて、
ジョージアは国だ。
かつてグルジアと呼ばれた、旧ソビエト連邦の国で人口 450 万人、現在は独立している。(
Wiki)
ドキュメンタリーの
舞台は、ジョージアとチェチェンの国境付近にある「パンキシ渓谷」。
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パンキシ渓谷? 聞いたことないね。
ヨーロッパでパンキシと言えば、泣く子も黙る「テロリストの温床」だ。
「
イスラーム国の軍事司令官がパンキシ渓谷の出身だという事実が発覚し・・。」(
グルジアにおけるムスリム)
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へえ! そういうとこなの?!
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ところが、
画面で見るパンキシ渓谷は、「呑気な家畜の鳴き声と穏やかな川のせせらぎが耳に心地よい、平和な田舎であった。」(
グルジアにおけるムスリム)
まるで、アルプスのハイジを連想するような「ヨ〜レイッホ〜♪」の世界だった。
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「ヨ〜レイッホ〜♪」ねえ・・・。
だけど
なんで、そんな美しい場所がテロリストの温床になったの?
きっかけは、チェチェン戦争だ。
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う〜ん、よく知らない。
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知らなくても生きていける日本は、平和ボケだなあ〜。
世界中には、いっぱいこういう悲惨な場所があるのに、直接の被害がないからって、知らぬ存ぜずでいられるんだから。
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こうして世界から取り残されていく、日本人。
ワッハービズムとチェチェン戦争
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さて、
チェチェン戦争の話を始める前に、まず「ワッハービズム」について知らなければならない。
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エライ! おめえ、読んでたのか!
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知ってますよ〜、「ワサビ家」ですよ〜「ワサビ家」。
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ちゃうちゃう!
「ワハビ家」!
そいつらが広めたからワッハーブ派とか、ワッハービズムって言われるんだ。
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あ、そーか、いつもワサビと読み間違えちゃうんだよね。
seiryuu氏の記事によると、サウジ・アラビアこそが、テロ組織の黒幕なんだよね。
なんたって、
サウジ・アラビアの国教は、イスラム原理主義のワッハービズムなんだから。
サウジアラビア=「サウード家のアラビア」=サウード家+ワハビ家(ワッハービズム)。
で、おめえは
ワッハービズムがどうゆうもんか、知ってるのか?
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たしか、
「やめてくれ〜!」って感じの、過激な教えだったような。
かみ砕いて言うと、【すべてのイスラム教徒は、1人のイスラム指導者に忠誠を誓わなければならない。従わない者は殺されるべきであり、その妻や娘たちは犯されるべきであり、その財産は没収されるべきである】というのが ワッハービズム の教えだ。
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やっぱ、「やめてくれ〜!」だった!
サウジ・アラビアは、過激なワッハービズムで国民を縛り上げるだけじゃなく、
それを世界中に広げるために、何十億ドルというカネを使ってワッハービズムの学校まで作ってるのさ。
そこで将来の活動家や過激派、また戦士たちを養成している。「
子供たちは、“シーア派、キリスト教徒、およびユダヤ人を殺せ”というような愛の教えを学んでいる。」(
創造デザイン学会)
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それ、
「愛の教え」って言わないよ〜。
seiryuu氏は、このようにまとめている。
「
ワッハービズムとは『絶対服従か?死か?』であり、自分たち以外のイスラムは全て死に処すべき敵なのです。
ワッハーブ派自体が、その最初から過激な暴力テロ集団でありカルトそのものなのです。・・・
アルカイダ、ダーイッシュなどテロ集団はここから発生しているのです。」(
時事ブログ)
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なあるほど〜、
ワッハービズムはテロの素なんだ。
それがチェチェンと、どうつながるの?
1990年、ソ連と国交をむすんだサウジ・アラビアは、イスラム教国のチェチェンとお隣りのダゲスタンに、資金、ワッハーブ派の文献、宣教師を送り込んだ。
軍資金与えて、洗脳するわけかぁ。
ロシアから独立したいが、許してもらえないジレンマを抱えたチェチェン。
そこにテロの素、ワッハービズムの種はばらまかれた。
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収穫が期待できる、土壌があったわけだね。
まず、アフガニスタン、パキスタン、リビア、アルジェリアから指導員が呼ばれて、チェチェン山岳地帯で戦闘員の養成が行われた。
早々に、戦争の準備が始められたよ。
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先輩テロ組織、
ムスリム同胞団にならった、チェチェン人のムスリム同胞団までできてしまった。
そうして、
ロシアからの独立をかけた第一次チェチェン戦争が始まった。
独立のための戦争だったのかぁ。
ロシアはなぜ、チェチェンを独立させてあげなかったの?
お隣りのジョージアは、あっさり独立できたのに。
ロシアのパイプラインが、チェチェンを通っていたからさ。
チェチェンが
独立してしまったら、ロシアはパイプラインの使用料を支払わないといけなくなるんだ。
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はあ、なるほどね。
1996年、第一次チェチェン戦争は終わったが、ちょうど
その頃、アフガニスタンに拠点を移したウサマ・ビンラーディンがチェチェンにやってきた。
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たしか、
ビンラーディンはサウジ・アラビア出身だったね。
資金・武器というエサで、ビンラーディンはチェチェン独立派の強硬派指導者・バサーエフを釣り上げた。バサーエフは、ビンラーディンを黒幕とするワッハーブ派と手を組んでしまった。
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チェチェンの指導者が、ワッハービズムに屈しちゃった。
バサーエフは、どうしてもロシアをやっつけたかった。だから、
お隣りのダゲスタンをチェチェンと併合すれば、ロシアに対抗できるんじゃねえか
と考えた。
ちょうど
そこに、資金と武器しょったカモネギがやって来たというわけ。
「魔」は、野心に付け入るのがうまいネ。
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それでついに
1999年、バサーエフ はダゲスタンに攻め入ってしまった!
そこで、
「独立イスラム国家」樹立を宣言したもんだから、
あわてたロシアは軍事力を使わざるをえなくなった。
これが、第二次チェチェン戦争。
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そういうわけかぁ。
バサーエフの行動を後押ししたのは、ビンラーディン、アメリカの戦争屋、「オリガルヒ」、アルカイダ。(
田中宇の国際ニュース解説)
「オリガルヒ」ってなに?
ソ連崩壊後、大富豪になったヤツらのこと。
「オリガルヒ」のベレゾフスキーも、バサーエフに100万ドルを渡して、ダゲスタン侵攻を助けたという。(
田中宇の国際ニュース解説)
しかし、
ダゲスタン侵攻によって首相が交代し、プーチンが登場した。
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プーチン登場!! パチパチ!!
ベレゾフスキー、2000年の大統領選挙でプーチンを支援して当選させたまではいいんだが、てっきり
「オリガルヒ」の飼い犬になるはずだったプーチンは、飼い犬の手を噛んだ。
さすが!プーチン!
逆恨みしたベレゾフスキーは、ワッハーブ派に取り込まれたバサーエフを使って多くの残忍なテロを起こさせて、プーチンを悩ませた。(
田中宇の国際ニュース解説)
99年、
当時のプーチン首相はこう語った。
「
ダゲスタンで起こったことは・・
ロシアに対する侵略の始まりである。・・国際イスラム・テロリズム勢力もそうした侵略の担い手なのだ。」
「
ビンラーディンが・・
チェチェン人の対ロシア戦争に資金を供給してきた」
(
チェチェンを巡るロシアと外部世界の関係)
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さすが、
お見通しじゃん!
だけど、
なんでアメリカはチェチェンに肩入れするんだろう?ロシアが憎いから?
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いや、
アメリカのねらいは、カスピ海石油。
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カスピ海ヨーグルトはおいしいけど、石油かあ。
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ヨーグルトをめぐって、テロ戦争はしない。
近隣のアゼルバイジャン沖で採れる石油を、ロシア側は、アゼルバイジャンとロシアを結ぶ、既存のパイプラインで運ぼうと考えた。
ところがアメリカは、ロシア領を通らないルートを主張。
ロシアルートはチェチェン経由だから、チェチェンを不穏にすればアメリカ側が有利になる。
だからアメリカは、絶えずチェチェンで火種がくすぶるようにしたいのかあ。
2000年、ロシア軍に攻められたチェチェンの戦闘員は、ジョージア北部、
パンキシ渓谷に逃げ込み、そこを根城にしてロシア軍に抵抗した。
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やっと出てきた、パンキシ渓谷。
チェチェン戦闘員の拠点となったパンキシ渓谷は、武器の密輸や麻薬の売買、外国人の誘拐や殺人など、治安の悪い物騒な地域になってしまった。
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「ヨ〜レイッホ〜♪」のアルプスみたいなとこだったのに。
チェチェンからパンキシに逃れてきた難民、レイラさん一家
テロリストが集まったせいで、パンキシ渓谷はアブナイ場所になってしまったが、
そこには元々の住民や、チェチェンからの難民およそ8000人も入っていた。(
パンキシ渓谷)
幼い二人の息子を連れて、チェチェンからパンキシに逃れた難民、レイラさんが、このドキュメンタリーの主役だ。
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やっと、その話にもどったね。
母、レイラさんの思いとは裏腹に、息子はワッハービズムに洗脳され、成人するや二人ともIS戦士になり、シリアに行ってしまった。彼らを取り戻すために、レイラさんはシリアまで行って息子たちを説得したが、それもむなしく、
二人はシリアで戦死してしまった。
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なんていうか・・・。
若い純粋な心を、洗脳でジハードに導く・・恐ろしい思想だね。
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日本人留学生の話だが、「私がパンキシ渓谷に行くと言うと、『ムスリムがいるから危険だ』と真顔で忠告する人もあった。」(
グルジアにおけるムスリム)
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イスラム教への風当たり、強いね。
テロの素、ワッハービズムとは違うのにね。
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それでも、
「テロリストの温床」というレッテルを貼られたパンキシ渓谷を、なんとか昔の平和な場所にもどしたい。イスラム教徒もキリスト教徒も共存していた、かつてのパンキシ渓谷にもどしたい。そして、
再び観光客にもどって来てほしいという思いで、女性たちが立ち上がり民宿を始めた。
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テロリストさえ来なければ、美しい自然の「ヨ〜レイッホ〜♪」だし。
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ある日、
頭をすっぽりスカーフでおおったレイラさんが、キリスト教会の礼拝にはじめて参加するシーンがあるが、そこで交わされた、
キリスト教徒との会話が一番印象に残っている。
レイラさん 「なんてきれいな聖歌。深い敬意を表します。」
キリスト教徒「あなたはどこから来たのか。」
レイラさん 「パンキシ渓谷です。」
キリスト教徒「(気まずそうに)・・・」
レイラさん 「私たちはキリスト教を尊重しています。」
キリスト教徒「・・・」
レイラさん 「キリストは私たちの宗教にも登場します。」
キリスト教徒「しかし、神としてではない。」
レイラさん 「神としてではありません。」
キリスト教徒「殺すなかれ、とあります。」
レイラさん 「私たちの経典にもあります。」
キリスト教徒「でも、復讐はあるのか。」
レイラさん 「コーランには書かれていません。人々はそれを守りません。人々は書かれていることを守りません。」
キリスト教徒「・・・」
レイラさん 「キリスト教でも殺人はあります。」
キリスト教徒「でも、けしかけたりしません。
キリストは人々のために、はりつけになりました。
キリストは許されざることを許した。」
そのとき彼女の携帯が鳴り、会話はそこでとぎれた。
こういう食い違いが拡大して、戦争にまで発展するんだね。
はげ、チビ、色黒?? これ、デフォルメでしょ?
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いや、
たぶん実寸・・。
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ウソだあ〜 イメージが崩れるよ〜 もっと背え高くてイケメンだよ〜。
2000年経ったら、なんとでもウソはつける。
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ガビ〜ん!!
こういう宗教の妄想がなくならない限り、地球上から争いはなくならないのさ。
宗教学講座を見れば、宗教がクソだってことがよ〜くわかるぜ。
Writer
白木 るい子(ぴょんぴょん先生)
1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)
![東洋医学セミナー受講者の声](https://shanti-phula.net/ja/smg/wp-content/uploads/2014/11/4860ef629c2bd4b9988a16e87e0b916b.jpg)
ISのテロリストになった二人の息子が、シリアで戦死した、という母親の話でした。
息子二人を失うだけでもくずおれそうな現実なのに、「テロリストの母」と呼ばれ、ふる里は「テロリストの温床」のレッテルを貼られ、誰も訪れてこない。
美しい自然を背景に、それでもなお戦い続ける、母親の強さと弱さがありのままに描かれていました。
しかしなぜ、こんなに美しいところがテロリストの温床になったのか?
調べるうちに、チェチェン戦争、ジョージアとロシアの関係、サウジ・アラビア発の「ワッハービズム」など、知らないことが芋づるみたいに出てきました。