高校3年生の「なっちゃん」が始めたJETBOOK作戦 〜 児童養護施設を知り、100冊の本を子ども達への想いとともに届けるプロジェクト

 「なっちゃん」という高校3年生の聡明な女性が、JETBOOK作戦というプロジェクトを一人で考案し、スタートさせました。その計画書によると、JETBOOK作戦とは、児童養護施設に、1人1冊の本を想いを込めて送るプロジェクトだそうです。ただ単に贈るだけではないところが面白いのです。本を送る人は、まず児童養護施設に関する資料を読み、あまり知られていない施設や制度について知ります。その後、自分のオススメの一冊について「なぜその本が好きか、なぜ読んで欲しいのか、本への想い、子どもたちへのメッセージ」などを書いて、本と共に送ります。どうしてこんな手の込んだプロセスを思いつかれたのでしょうか。
 なっちゃんは、ご自身も16年間児童養護施設で暮らし、施設での生活の楽しかったことや困ったこと、また社会的な視点から問題点をnoteのサイトで綴っておられました。施設は大学に進むことに否定的なため、自力で様々な手続きを行うなど努力家で肯定的な生き方をされている方のようです。
 今回のプロジェクトも、なっちゃんが経験してきた児童養護施設の現状を客観的に見て、実現可能で未来に繋がるものを考えた末に生まれました。ネット環境の整わない施設が多い中、施設で暮らす子どもたちは世の中の情報を得る機会がとても少なく、結果的に不利益を被ることもあるそうです。また、本も少なく子どもたちが十分に言葉を知り、世界を広げられる環境が無ければ、ネットが繋がったところで検索ができないと、なっちゃんは思ったそうです。
 今回のプロジェクトは、まずは100冊を目標にするようです。100人の大人たちが、施設の子どもたちを思って彼らの生きる力になりそうな、自分にとっての大切な1冊を送る。思いがJETのように届いたらステキだなと思いました。
 高校3年生ができることを、どうしてこの国はしないのだろう。どこで生まれ育っても十分な教育を与えることは国の責務なのに。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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配信元)


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4. JET BOOKへのきっかけと想い
引用元)
(前略)
本にこだわる理由

情報を得る機会を届けたいなら施設にネット環境を整えたらいいのではないか?と思う方もいるかもしれません。しかし、個人情報の保護など、子どもたちの安全面の確保、施設の子全員にネット環境を整えることは、金銭的に難しく、今すぐに整えることは難しいように感じています。
また、そもそもインターネットで検索するのも言葉を知らないとできません

それに比べて本は手に取ることでたくさんの言葉に出会うことができ、世界を広げられると思います。
さらに、様々な理由で大人を信じることが難しく感じている子どもたちにとって、1人1冊限定で本を届けることには非常に大きな意味があります。

繋がりを感じられるものにしたい

本という目に見える形で、「その本の数の人が応援してくれているんだよ。支えてくれているんだよ。自分を気にかけてくれる人がたくさんいるよ。人を頼っていいんだよ」というメッセージを、児童養護施設に住む子どもたちに届けられたらいいなと思っています。
(以下略)
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児童養護施設ってどんな所?
引用元)
(前略)
児童養護施設退所後困ることとアフターケア

 18歳で児童養護施設を出ると、子どもたちは、仕事をして自ら稼いだお金で、住まいや衣服を整え、食事をして、生活をしていかなければなりません。しかし、子どもたちの中には、家庭の事情や生まれ育った環境から、基礎的な生活能力や、周りの人とうまくコミュニケーションをとる力、仕事に対する意欲などが低い人が少なくありません。

施設での集団生活から、いきなり1人暮らしを余儀なくされ、身近に相談できる大人もおらず、孤独感や孤立感を深める子どもも少なくありません
お金や人間関係のトラブルなどで困難な状況に陥ったとき、自力で乗り越えられず、誰にも相談できずにいるうちに、かえって問題を大きくしてしまうことがあります。
このような状況を変えるべく自治体や民間団体が動いていますが、まだまだ必要な時に必要な人に届いていないのかな?どう感じています。
(以下略)

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