[The Voice of Russia]ロシア、中国、米国:弁証法の三角形

竹下雅敏氏からの情報です。
北朝鮮が韓国を併合して、南北を統一するにしても、その逆にしても周りの大国、アメリカ、中国、ロシアの同意なしには出来ないことなんですよね。
この腹の読み合いが難しいわけで、まちがえるとサダム・フセインのように国が滅びるわけです。
(竹下 雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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ロシア、中国、米国:弁証法の三角形
転載元)

米国の政治家諸氏やメディアの報道から判断するに、米国は、中国とロシアの接近に嫉妬しているようだ。実に3者相互間の関心の持ち合いようは、三角関係に似ている。ただし、恋の三角関係などではない。地政学的三角関係である。

「米国と中国は、ロシアの支持を他に先んじて取り付けようと競っている」と米誌The Nation掲載論文にある。MD(ミサイル防衛)部門における露米対話が再開されたことと時節を合せて、中国の国家元首がモスクワを訪問した。このことが、米国内の反露タカ派エスタブリッシュメントの影響力を低下させた。当該評論にはそのように記されている。しかし、代表的「タカ派」として知られるズビグネフ・ブレジンスキー氏は、モスクワ・北京の将来的接近を警戒している。ブレジンスキー氏いわく、習近平氏が国家主席就任後最初の外国訪問先をロシアにしたのは非常に悪いことだった。なぜなら、中国が他のどこより緊密な関係を築かなければならぬ相手は、他でもない、米国なのだから。

むろん、モスクワ―北京―ワシントンの三角形のどの頂点も、自国の政治・経済的利益を最重要視している。経済について見てみよう。中国と米国は非常に緊密な貿易経済関係を築いている。しかしロシアと米国の間には巨額の貿易経済関係は存在しない。当分の間は存在しないであろう。してみると、経済的利益という観点からは、モスクワにとっては米国よりも遥かに中国の方が重要である。


政治的三角関係に話頭を転じる。すると、関係はより複雑である。米国のMDプログラムが極東に比重を移したことで、中国とロシアの接近の糸口が出来た。実はワシントンは、また北京に対しても、追加MDシステムの創設について相談していなかったのだ。

中国の台頭を助けたのは米国自身である。しかし今や、その米国が、中国の抑制に回っている。外交アカデミー東洋研究センター所長、アンドレイ・ヴォロジン氏のコメントを紹介する。

―米国の望みは極めて単純である。2003年のイラク侵攻で終焉を迎えた「一極世界」に還りたいのである。中国がロシアとの関係の中に見る利益は、ロシアを米国とのカウンターバランスに用いることである。中国は、米国はアジア太平洋地域における中国の伸長を阻むことを目論んでいる、と見ている。複雑な弁証法だ。ロシアもまた、この弁証法を研究している。米国との公然たる衝突を回避し、なおかつ自らの国益を追求する。その様相はシリアで現に見られる。さてロシアと中国についてだが、この2ヶ国は近しく、信頼にみちた関係である。しかし、飽くまでパートナーであって、同盟ではない。であるから、ロシアは、ロシアの外交政策上の国益の実現のために都合のよいファクターとして、中国と米国の覇権争いという要素を折り込もうとしているところだ。

ロシアの直近の、また根本的な課題は、自国の経済成長を確保する、ということにある。「強いロシア」だけが、この三角形において、またその他の地政学的図形の中で、対等な国際パートナーとなることが出来る。

ニキータ・ソローキン

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