(前略)
今のウクライナの戦争でとてもはっきりしたことは「
アメリカと西側諸国の時代は本当に終わるんだ」ということでした。
(中略)
「
ロシアへの制裁に加わったかどうか」を見ますと、報道レベルだけでも、以下の国は「ロシアへの制裁を明確に拒否」しています。
対ロシア制裁を正式に「拒否」した国の一部
・ブラジル (
報道)
・インド (
報道)
・中国 (
報道)
・メキシコ (
報道)
・サウジアラビア (
報道)
・アラブ首長国連邦 (
報道)
・ベネズエラ (
報道)
・トルコ (
報道)
・エジプト (
報道)
・イラン(
報道)
・ドイツ(
報道)
・ハンガリー(
報道)
・セルビア(
報道)
・アルゼンチン(
報道)
・ボリビア(
報道)
・エルサルバドル(
報道)
・ウルグアイ(
報道)
他にもたくさんあるのだと思いますけれど、
これらは態度が曖昧なのではなく、「明確に拒否」した国です。
この中で比較的大きな国の食糧生産力、エネルギー生産力を書きますと、以下のようになります。小麦生産量とトウモロコシ生産量は 2019年の
データ、石油は 2020年の
データです。
対ロシア制裁を拒否した国の人口と食糧生産力とエネルギー生産力
・ブラジル 人口 2億1000万人 トウモロコシ生産量世界第3位 原油産出量世界第8位
・インド 人口 13億8000万人 小麦生産量世界第2位 トウモロコシ生産量世界第7位
・中国 人口 14億2000万人 小麦生産量世界第1位 トウモロコシ生産量世界第2位
・
メキシコ 人口 1億2000万人 トウモロコシ生産量世界第8位
・サウジアラビア 人口 3400万人 原油産出量世界第2位
・アラブ首長国連邦 人口 1000万人 原油産出量世界第7位
・アルゼンチン 人口 4500万人 小麦生産量世界第10位 トウモロコシ生産量世界第4位
などとなっています。
なお、ロシアは以下のようになっていました。
・ロシア 人口 1億4000万人 小麦生産量世界第3位 トウモロコシ生産量世界第10位 原油産出量世界第3位
人口にしても
食糧にしてもエネルギーにしても、対ロシア制裁を拒否している国々は、このグループだけで十分生きのびられることがわかります。
ちなみに、制裁に加わっている国は正確にはどこなのか、と調べてみましたら、カタールの
アルジャジーラが「制裁に加わっている国のリスト」とその説明を報じていました。
対ロシア制裁に加わっている国のリスト
・アメリカ
・欧州連合
・スイス
・イギリス
・カナダ
・チェコ共和国
・オーストラリア
・ニュージーランド
・日本
・韓国
・台湾
aljazeera.com
これが全部のようです。
ということは、先ほどの「拒否した国のリスト」以外でも、
この地球のほとんどの国や地域は、ロシア制裁に関係していないようです。
「なんだか、これを見ているだけでも勝敗は決まってる感じだなあ」とは思いますが、それでも、日本のメディアでは「ロシアの孤立化」とかいう言葉が見られることもあります。
実際には、地球で孤立化しているのは、西側諸国であり、そして最も孤立化して、無視されているのはアメリカのようです。
(中略)
“ユーラシア経済連合(EAEU)と中国は…米ドルをバイパスする新しい通貨・金融システムの設計に着手している。…インドは、ロシアから石油をルーブル・ルピーのメカニズムで大幅値引きして購入するメガ契約を結ぼうとしている”とあります。
「ルピー・ルーブル」交換方式で行われる二国間貿易は、“西側の対ロ制裁に対抗するために考案されたもの…この仕組みは、間違いなく米国とその同盟国から激しい反発を受けるだろう。世界の通貨市場も揺るがす可能性がある”ということです。
クレディ・スイスのZoltan Pozsar氏は、ロシア制裁はドルの地位を脅かすとして、“最も必要な時期に奪い去られる危険を考えると、運用担当者にとって安全のためドルを保有する合理性がますます薄れる。こうした認識が各国中銀にドル以外の通貨への外貨準備の分散を促す”と警告、ゴールドや他のコモディティが裏付けとなる「ブレトンウッズ3」になると言っているようです。
岸田文雄首相はインドのナレンドラ・モディ首相との3月19日の共同記者会見で、「ロシアのウクライナ侵攻は、国際秩序の本質そのものを揺るがす重大な事件です。毅然とした態度で対応していかなければなりません。」と述べたのですが、会談後に発表された共同声明は、“ロシアを非難することなく「暴力の即時停止」を促した”ということです。
「ルピー・ルーブル」交換方式で行われる二国間貿易を思い止まるようにインドに派遣されたものの、岸田首相は見事に失敗したということでしょう。