注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
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南シナ海 - 米国の影響力は衰退の一途
転載元)
芳ちゃんのブログ 16/9/3
(前略)
中国が主張する南シナ海の領有権に関して最近下された「国際仲裁裁判所」の裁定は単に期待外れだったというだけではなく、あの裁定は米国の影響力が衰えつつあることを暗示するものでもある。さらに付け加えると、あの裁定は米国が何十年にもわたって活用し、乱用して来た結果、今や米国の信用を台無しにしている数多くの国際的な制度の正当性が減退してきていることを示すものでもある。
ニューヨークタイムズは「裁判所は南シナ海に関する中国の主張を退ける」と題した記事で次のように述べている:
ニューヨークタイムズはこの訴訟が「フィリピンによってもたらされた」と記述しているが、この訴訟は実際には米国に本拠を置く「フォーレイ・ホーグ」と称する法律事務所のポール・S・ライクラー弁護士が陣頭指揮をとったものである。南シナ海における係争は表面的には中国とその周辺諸国との間に起こったものとして取り沙汰されてはいるが、現実には、訴訟そのものと同様に、本係争は「アジアにおける米国の優位」を維持するための手段として引き起こされたものである。
「アジアにおける米国の優位」に対する脅威に直面:
企業投資家らが資金を提供し、指揮を取っているシンクタンクの外交問題評議会(CFR)が発行した「中国に対する米国の大戦略を改訂」と題した論文は、ワシントン政府がブッシュ政権時代にアジアにおける覇権の維持に注力をしていた頃それに直接的に参画し、ロビー活動を行っていたロバート・ブラックウィルが書いたものだ。
このブラックウィルの論文は米国がアジアにおいて如何なる利害関係を持っているのかを明確に述べている:
このCFRの論文は、米国は「アジアにおける優位」を保持し、それを維持するべきだということを米国の政策立案者が公に是認するような性格を帯びている。メリディアン・ウェブスターによると、「優位」とは「もっとも重要で、もっとも強力である」と定義される。
米国はアジアとの間には広大な太平洋を挟んでおり、アジアからは大きく離れて位置している。その米国が自国をしてアジアにおいて「もっとも重要で、もっとも強力な」国家であるとする認識は、実際には、アジアにおいては中国の優位が現出するかも知れないと米国が言い張ると、そのような認識は国際平和や安定にとってはあらゆる点で脅威をもたらすことだろう。
もっともらしい理屈としての南シナ海「紛争」:
もっと具体的に言うと、ブラックウィルは南シナ海紛争を、同紙が認めているように、衰える一方にあるアジアに対する米国のコントロールを強化するための主要な口実として論じているのかも知れない。
この紛争で予期され、かつ、自分勝手な政治的意図が満載された施策に関して、同紙は箇条書きにしている。それらには下記の項目が含まれる:
米国が推奨しているこの地域全域における軍事力の強化は東南アジア各国の軍事力や政府、ならびに、主権そのものに対する米国の影響力を強化することに役立つばかりではなく、中国に脅威を与えるために必要となる膨大な量の米国製武器の調達さえもがあからさまに含まれている。事実、シンガポール空軍のF-16戦闘機の能力を引き上げるために、スキャンダルが多く、過剰な値札が付けられている例のF-35戦闘機を購入するようブラックウィルは大っぴらに推奨している。
この論文は全体で70ページで構成されており、中国を包囲し、封じ込めるという何十年にもわたってワシントン政府が推進して来た取り組みに関して最近の動きを非常に詳細にわたって説明をしている。こうして、中国に対する訴訟を如何にして米国がフィリピンの手を介してハーグの裁判所へ持ち込んだのかが明らかとなる。
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中国が主張する南シナ海の領有権に関して最近下された「国際仲裁裁判所」の裁定は単に期待外れだったというだけではなく、あの裁定は米国の影響力が衰えつつあることを暗示するものでもある。さらに付け加えると、あの裁定は米国が何十年にもわたって活用し、乱用して来た結果、今や米国の信用を台無しにしている数多くの国際的な制度の正当性が減退してきていることを示すものでもある。
ニューヨークタイムズは「裁判所は南シナ海に関する中国の主張を退ける」と題した記事で次のように述べている:
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ハーグの国際調停裁判所は、火曜日に、人工島の構築を含めて、中国の南シナ海における行動に関して激しく非難し、この海域で領土権を拡大しようとする中国の主張には法的な裏付けはないと述べた。
フィリッピンによってもたらされたこの画期的な出来事は世界の強国としての中国の台頭に関してだけではなく、米国の競争相手という位置づけにおいても重要な岐路となるものと見られ、北京政府に対してはこの海域における中国の自己主張の多い戦術に関して見直しを強いることになるかも知れない。さもなければ、中国は「国際的ならず者」としてレッテルを貼られる危険性がある。中国が国際法廷システムに呼び出されたのはこれが初めてのことである。
ニューヨークタイムズはこの訴訟が「フィリピンによってもたらされた」と記述しているが、この訴訟は実際には米国に本拠を置く「フォーレイ・ホーグ」と称する法律事務所のポール・S・ライクラー弁護士が陣頭指揮をとったものである。南シナ海における係争は表面的には中国とその周辺諸国との間に起こったものとして取り沙汰されてはいるが、現実には、訴訟そのものと同様に、本係争は「アジアにおける米国の優位」を維持するための手段として引き起こされたものである。
「アジアにおける米国の優位」に対する脅威に直面:
企業投資家らが資金を提供し、指揮を取っているシンクタンクの外交問題評議会(CFR)が発行した「中国に対する米国の大戦略を改訂」と題した論文は、ワシントン政府がブッシュ政権時代にアジアにおける覇権の維持に注力をしていた頃それに直接的に参画し、ロビー活動を行っていたロバート・ブラックウィルが書いたものだ。
このブラックウィルの論文は米国がアジアにおいて如何なる利害関係を持っているのかを明確に述べている:
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中国を自由主義的国際秩序へ組み込もうとする米国の試みは今やアジアにおける優位を標榜する米国に新たな脅威をもたらし、これは結果として世界における米国の覇権に挑戦状を叩きつけることにもなりかねないことから、ワシントン政府は中国に対しては新たな大戦略を必要としている。この大戦略は中国の台頭を支援し続けるものではなく、むしろ中国パワーの台頭に対して均衡を図ることに重点を置くべきものとなろう。
このCFRの論文は、米国は「アジアにおける優位」を保持し、それを維持するべきだということを米国の政策立案者が公に是認するような性格を帯びている。メリディアン・ウェブスターによると、「優位」とは「もっとも重要で、もっとも強力である」と定義される。
米国はアジアとの間には広大な太平洋を挟んでおり、アジアからは大きく離れて位置している。その米国が自国をしてアジアにおいて「もっとも重要で、もっとも強力な」国家であるとする認識は、実際には、アジアにおいては中国の優位が現出するかも知れないと米国が言い張ると、そのような認識は国際平和や安定にとってはあらゆる点で脅威をもたらすことだろう。
もっともらしい理屈としての南シナ海「紛争」:
もっと具体的に言うと、ブラックウィルは南シナ海紛争を、同紙が認めているように、衰える一方にあるアジアに対する米国のコントロールを強化するための主要な口実として論じているのかも知れない。
この紛争で予期され、かつ、自分勝手な政治的意図が満載された施策に関して、同紙は箇条書きにしている。それらには下記の項目が含まれる:
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・フィリピン軍の防衛力を改善し、フィリピン政府がフィリピン領土への侵攻を抑止し、予防することが出来るように全面的な防衛力を開発する。
・合同軍事演習におけるジャカルタ政府の役割を強化し、その範囲を拡大する。これはジャカルタ政府がアジア太平洋地域の安全保障において中心的な地位を占めることがますます多くなっていること、空と海における軍事力の強化に向けた軍事援助や訓練を施し、インドネシアとの合同演習を行うことを象徴的に示すものである。
・F-16からF-35に移行することによって、シンガポール空軍の戦力を強化するよう支援する。
・マレーシアが「拡散に対する安全保障構想」に全面的に参画するよう働きかける。同政府は2014年4月にこの構想に参画し、合同演習や防衛領域認識アーキテクチャ、等に積極的に関わることに同意した。
・毎年実施されている米・ベトナム海軍の合同演習においてはその活動範囲を拡大するよう求める。これには合同人道支援や災害時の救難活動、ならびに、捜索救助演習も含める。
・カムラン湾の港へはより頻繁に短期的な寄港をする。
・軍隊を職業化することに主眼を置き、ミヤンマーに戦略的な「国際軍事交流訓練(IMET)」プログラムを構築し、ミヤンマー軍を統合して国際合同軍事演習への参画を拡大させる。
・東南アジアにおけるIMETの実質的な拡大を推奨する。
・この地域においては各国が民主的な政治的能力を構築するように支援する。
米国が推奨しているこの地域全域における軍事力の強化は東南アジア各国の軍事力や政府、ならびに、主権そのものに対する米国の影響力を強化することに役立つばかりではなく、中国に脅威を与えるために必要となる膨大な量の米国製武器の調達さえもがあからさまに含まれている。事実、シンガポール空軍のF-16戦闘機の能力を引き上げるために、スキャンダルが多く、過剰な値札が付けられている例のF-35戦闘機を購入するようブラックウィルは大っぴらに推奨している。
この論文は全体で70ページで構成されており、中国を包囲し、封じ込めるという何十年にもわたってワシントン政府が推進して来た取り組みに関して最近の動きを非常に詳細にわたって説明をしている。こうして、中国に対する訴訟を如何にして米国がフィリピンの手を介してハーグの裁判所へ持ち込んだのかが明らかとなる。
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現在、西側諸国がどんどん米国から離反しつつありますが、東南アジア諸国も"財政支援を受け、貿易の相手国であり、文化的にも親密な大国(中国)を孤立化させようとは思わない"とあります。また、アセアン10カ国の中で米国にもっとも近しい同盟国と言われるフィリピンの大統領が、“中国の長老から推挙”されたドゥテルテ氏になったことで、よりいっそうネオコンの陰謀は破綻する方向へ加速しているのではないでしょうか。