アーカイブ: 生き方

里山社屋主義(14) 保護塗料を塗りました

保護塗料を塗りました
前回カンナがけをした木材の一部に保護塗料を塗りました。

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木は長期間湿気に晒されると、木材腐朽菌の活動でダメになってしまいます。そのため、水の侵入や菌の活動から木を保護するために塗料を塗りました。

これは一般的にも行われていることで、建物の次のような部分に防腐剤が塗られます。(かわりに防腐剤を木の中に注入することもあります) つまり地面に近く、湿気の影響を大きく受け、雨の吹込みや跳ね返りもある部分です。


しかし強力な薬剤を使えば、建物を使用する人の健康に少なからず影響を与えることになります。(→参考リンク…防腐剤が塗られている様子の写真もあります )それに、吸い込まないように厳重にマスクや手袋などをして塗るのはとてもしんどい作業です。

代わりに選んだのはこちらの「柿心(ししん)」という塗料

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日本で昔から防腐に使われてきた柿渋に、水の侵入を防ぐための植物油やロウ成分などを混ぜた天然塗料です。また本来の柿渋はとても臭いらしいですが、優しい香りになっています。

私がずっとカンナがけをしている一方で、スタッフ1名ががんばってこれだけの木を塗り終わりました。塗る作業より、重い木を移動させるのが大変だったとのこと:

塗り終わった柱と土台大引

塗り終わった柱(下1.2m)と土台・大引


使う木はヒノキの芯材、そして念を入れて柿渋系の塗料でガード、と折角建てた建物が長持ちするようにできるだけの工夫をしました。

自然塗料では効果が不安だ、しかし強力な薬剤は使いたくないという人には、ホウ酸処理という方法もあるようです。白蟻対策としては外国で広く普及している方法のようです。)健康や自然環境への影響が本当に安全なのかどうかは分かりませんが、随分ましなように思います。

(スタッフ・白井薫)

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里山社屋主義(13) 大工仕事の手伝い:カンナがけ

大工仕事の手伝い:カンナがけ
建前までの一週間ほどは、ほぼ連日大工さんの手伝いをしました。刻みの次は木のカンナがけです。

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カンナといって連想するのは手鉋。これは木の角を削って当たっても痛くならないようにするのに使いました:

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もちろんこれで建物一軒分の木を削るのは無理です。電動カンナの出番です:

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素人の悲しさで、幅の広い木はどうしてもきれいに削ることができません。最後はサンダーで磨いて何とかゴマカ…いえ見栄えを整えます。(本当はサンダーはかけない方が良いようで、木の導管を潰して呼吸・調湿効果を妨げてしまうそうです。→参考リンク



今回14坪の建物で、どれくらいカンナがけが必要だったか…ざっくり計算すると100本以上、700〜800メートルの長さを削ったみたいです。(1mの四角い木材を4方向削ると4mという風に計算) 1日1日ごとに「今日削れたのはこれだけか」なんて思っても、積み上げるとすごい長さですね。

電動カンナがけは素人でできないことはありませんし、大工さんも助かるようです。手伝いを申し出るといい作業のひとつだと思います…身体に無理のない範囲で!

しかし何でこんな大変な作業が要るのでしょう。製材しただけの木の表面はザラザラしています(この状態を"荒材"といいます)ので、これを削るのがカンナがけです。

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荒材のままだと、

・見栄えが悪い
・塗料が塗りにくい。また無駄に多く要る。(ザラザラなので大量に吸ってしまう)

という2つの問題があります。

今回は、外や中から見える部材、また見えずに隠れてしまう木の一部に保護塗料を塗りたかったことから、多くの材料を削ることになりました。

(スタッフ・白井薫)

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里山社屋主義(12) 基礎ができました / 住宅基礎の寿命は30年?

基礎ができました
さて、基礎工事の方はどうなったかといいますと・・・。次にコンクリートを流し込む「立ち上がり部」の型枠が組まれました:

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雨中の作業、本当にご苦労様です。


晴れた日に、コンクリートの流し込みです:

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このコンクリートの上に「建前」をしていくわけですが、十分時間が経っていないのにいきなり木を乗せると、内部が損傷して寿命を縮める可能性があるようです。今回は、建前までの養生期間もしっかり取りたいとお願いしていました

忙しい業者の方だったので、希望を伝えていないと建前ギリギリになる可能性もあったと思います。このため他の工事より何とか優先して時期を早めてくださいました。

1週間以上経ってから、型枠が外れました:

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最後に、水はけの良い真砂土(まさつち)で全体を埋め戻して完了です:

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住宅基礎の寿命は30年?

これまで所々に入ったコンクリートに関する情報は、こちらの記事を参考にさせていただきました。すごい情報量で、ありがたいことです。こちらの記事に書いてあった所々のポイントだけ整理しますと、次の通り:

参考文献:「え!?基礎の寿命は30年?家の根幹をなす基礎の耐久性について」R*DESIGN

  • 今の住宅の基礎の設計上の寿命は30年
  • コンクリート自体はローマ時代から使われており、きちんと作れば寿命は半永久的なもの。基本的に中の鉄筋が錆びるまでが寿命となる。
  • コンクリート材料の強度だけでなく、鉄筋にどれくらいの厚さでコンクリートがかぶっているかもポイント
  • コンクリートが一見固まっても、すぐ荷重をかけないこと。湿潤養生といい7日間は水びたしにする。(これは竹下氏もどこかの講義で「コンクリートは1週間ゆっくり水を流しながら固めていったらもの凄く丈夫になる」と言っています。)
  • 最後のひと押しは液体ガラスでコーティング

「設計上の寿命30年」これは衝撃的ですね。折角、上の建物が長持ちでも(そうでないからこの寿命なのでしょうけど…)、その前に基礎が壊れたらかないません。

一方、これだけやれば本当に完璧ですね…とは思いますが、地元の、特に住宅の基礎を専門にされているわけではない業者の方なので、こんなのがいい、こうしてほしいとあまりうるさく言うと今度はやる気を無くしてしまいます。中々難しいところです。

今回はできるだけのことをしましたし、業者も信頼のおける方です。100年基礎とはいかなくても、さすがに30年ということは無いだろうと思っています。

(スタッフ・白井薫)

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里山社屋主義(11) 間取りはこうして考えた

間取りはこうして考えた
大工さんのお手伝いの話題が続いたので、少し視点を切り替えて間取り作りの話をしたいと思います。

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普通、工務店や建築士に依頼すると、こちらの希望を聞いて間取りを提案してくれるのが普通らしいです。らしいというのが、今回話を持っていった先はたまたま、工務店も個人の大工さんもどちらも「間取り図を考えて持ってきてください」というタイプの方でした。



間取り図の作り方は色々だと思います。手書きが慣れている人はそれが一番でしょう。私はパソコンで作りました。今の時代は便利な道具があるもので、お世話になったのは「3Dマイホームデザイナー」というソフト。

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部屋をポコポコと組み合わせて、ドア・窓・キッチンなどをくっつければ間取り図の出来上がり。また、何も知らない素人でも、在来工法の基本単位である「尺モジュール」の長さに勝手に合わせてくれます。立体化機能でシミュレーションできるのもいいですね。



最初に私がスタッフにメールで出した原案はこちら。集会所でしょうか?というレベルのもの:

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ここにスタッフからの意見が寄せられ、改訂したものを流すというメール+ファックスでのやりとりの繰り返し。特に竹下氏からはファックスで色々と優れた指摘がありました。

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窓や設備などの細かい所も煮詰めその結果、ここまで仕上げました:

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結果的に、横4間(7.28m)x縦3間半(6.37m) = 14坪の木造平屋(ロフト付き)という建物を計画することになりました。

商品の種類や数が増えても保管する余裕があることを重要視。また田舎という立地上、業務上遠方から来ていただいた方の宿泊も可能になるように(ロフトやシャワー、鍵付きの間仕切り)という点を考慮しました。

もちろん、私達は間取り図は描けても、柱がどこにどんな間隔で必要という"構造"の部分はさっぱり分かりません。この点は大工さんが木の組み方を考えて、それをお聞きして、改めた間取りをまた持っていくという形で対応しました

素人の知識不足と図を書く面倒臭さはソフトがある程度解消してくれるという凄い時代。間取りづくりは焦らずに何日もかけてじっくりやるのなら、とても楽しい作業だと感じました。

(スタッフ・白井薫)

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里山社屋主義(10) 大工仕事の手伝い:刻み

大工仕事の手伝い:刻み
墨付けをした木を実際に加工することを「刻み」といいます。重い電動工具を使うことが多い段階です。

角ノミという機械(重いです!)で、柱などが差し込まれる四角い穴を開けます:

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この穴に、柱などの先である「ホゾ」が入ります。大工さんはその「ホゾ」を加工中:

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手前の形がホゾです。向こうの機械はこれを作るための「ホゾ取り機」、4枚もの刃が回るちょっと恐い機械です。

その後で私がしたのは、ホゾ先の仕上げ作業:

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長さがバラバラなのを切り揃えて、入りやすくなるようにカドを削ります。



その後は、木に電動カンナをかけて削る作業だけになってしまい、この「刻み」はあまり手伝うことができませんでした。

ただ、角ノミでひたすら穴を掘ったり、木を同じ大きさや形で切っていく作業は、結構あると感じました。こうした素人向けの単純作業を手伝うだけでも、忙しい大工さんには大事な仕事に専念してもらえるのではと思います。

(スタッフ・白井薫)

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