南スーダン 米国が内戦の黒幕 中国の石油開発妨害が狙い 〜南スーダンの内戦はCIAが仕掛けたもの〜

 南スーダンの自衛隊PKO(国連平和維持活動)における「駆けつけ警護」が15日に閣議決定される予定で、「困難な任務に携わることを重く見た措置」として大盤振る舞いの6000~7000円の手当がつくようです。「戦闘行為」は無く、安全なはずの南スーダンですが、一昨日、南スーダンから戻った三浦英之氏(朝日新聞アフリカ特派員)によると、反政府勢力を率いて政府軍と戦闘を続ける副大統領が「和平合意は崩壊した」と宣言し「今度は徹底的にやらなければならないな」と言ったようです。
 "続きはこちら"以降の記事によると、この副大統領派(反政府勢力)をCIAが支援し、二万人におよぶ兵士達の武器、弾薬、給料がCIA資金によりまかなわれていると書かれています。また、ベネズエラ政府が主導する南米の通信社「テレスル」が、「南スーダンでのCIAの“汚い戦争”」という記事を掲載しており、こちらに日本語訳されているものがありました。南スーダンの内戦は"CIAが中国にアフリカの油田を使わせまいとしてCIAが仕掛けたもの"のようです。南スーダンへの自衛隊PKO(国連平和維持活動)派兵は、こうしたCIAの「汚い戦争」に連動したものだと分かります。
(編集長)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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「駆けつけ警護」15日閣議決定へ 南スーダンPKO(16/11/06)
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南スーダン 米国が内戦の黒幕 中国の石油開発妨害が狙い
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 安倍政府は一〇月下旬、内戦状態にある南スーダンへの自衛隊PKO(国連平和維持活動)派兵を来年三月末まで延長することをきめた。さらに自衛隊の派兵部隊に「駆け付け警護」や「宿営地の共同警護」などを名目にした戦斗参加解禁を近日中に決定しようとしている。安倍政府のこうした強硬姿勢は、オバマ政府の指示をうけたものである。オバマ政府は、産油国である南スーダンへの干渉を拡大し、内戦をあおり、中国の油田開発をはばもうとしている。

反大統領派に武器・資金流す 

 スーダン・南スーダンは長年にわたって戦火がたえない。南スーダンは三〇年以上の内戦をへて二〇一一年七月、アメリカのてこ入れによってスーダンから独立した。だが二年後の二〇一三年一二月、大統領派と副大統領派の対立から内戦に突入した。米中をはじめとする国連の介入によって二〇一五年八月に和平協定が成立したが、一年もたたない今年七月、大統領派と副大統領派の大規模な戦斗が首都ジュバでおき、二七〇人あまりが死亡した。

 大統領キールは南スーダンの最大部族ディンカ人出身で、副大統領マチャル(七月の戦斗で解任)は第二のヌエル人出身である。内戦のなかで部族対立があおられ、副大統領派は各地でディンカ人を標的にした殺害をくりかえしている。

平和をのぞまぬオバマ政府 

 スーダンから内戦をへて独立した南スーダンの内部で、大統領派と副大統領派にわかれて内戦がおきたのは、オバマ政府が平和をのぞまなかったからである。オバマ政府は、南スーダン政府にこれまで一六億㌦の援助をおこなう一方で、CIA(アメリカ中央情報局)をつうじて副大統領派への支援をおこなってきた。副大統領派の兵士は二万人におよぶといわれているが、その武器、弾薬、給料はCIA資金によりまかなわれている。

 オバマ政府が副大統領派を支援してきたのは、南スーダンの平和をのぞんでおらず、内戦をあおり戦乱を拡大し、中国が石油開発をできないようにするためである。

 アメリカが南スーダンの独立を支援したのは、スーダンとの関係をつよめ石油開発をすすめていた中国に打撃をあたえるためであった。一九九〇年代、アメリカはスーダン政府にたいして、イラクやイラン、リビアなどとともに「テロ支援国家」「ならずもの国家」のレッテルをはり、経済制裁をおこなっていた。このすきをついて中国はスーダンへの援助を強め、石油開発をすすめた。スーダンの油田地帯は、現在のスーダン・南スーダンの国境地帯にある。

 アメリカはスーダンで内戦をひきおこし南スーダンを独立させたが、中国は一転して独立を支持し、南スーダンへの援助、石油開発投資をおこなった。南スーダン独立いらい、中国の援助、投資は八億㌦におよび、南スーダンの油田に四〇%の権益を有している。南スーダンの原油生産がフル稼働した場合、同国からの原油購入は中国の総輸入量の五%にのぼっていた。だが内戦がおきたことで、原油生産・輸出は大打撃をうけた。

 南スーダンへの海外からの投資は干あがり、ピーク時は一日五〇万あった原油生産量もいまでは一三万にとどまり、政府は財政危機におちいり、インフレ率は七〇〇%におよぶ。難民も一〇〇万人をこえている。

 南スーダン大統領キールらは、副大統領派を支援するアメリカへの反発を強めている。七月の大統領派と副大統領派との戦斗のさい、政府軍による米欧などの国連要員への襲撃事件がおきたとして、国連安保理は八月、「国連要員や民間人、空港など施設の防護」のためとして、先制攻撃をふくめた武力行使を目的とした四〇〇〇人規模の「地域防護部隊」の派兵を決議した。これでPKO部隊は一万七〇〇〇人にふくれあがる。また国連は、南スーダン政府が防護部隊の活動を妨害した場合、同政府への武器禁輸を検討するとしている。

対立あおり内戦引きおこす 

 国連決議前に南スーダンの首都ジュバを訪問した米国連大使サマンサ・パワーは、「他国では例がないほど、国連関連団体の現地での活動を制限している」と南スーダン政府を非難した。

 同決議にたいし南スーダン政府は強く反発している。国連安保理決議にさいし、南スーダン政府が反対しているとし、ロシア、中国、エジプト、ベネズエラの四カ国は棄権した。

 反米のベネズエラ政府が主導する南米の通信社「テレスル」は九月はじめ、南スーダンをめぐるオバマ政府・CIAの策動を暴露する「南スーダンでのCIAの“汚い戦争”」という評論をのせた。またアメリカのなかでも「南スーダンでのオバマの戦争」「アメリカは南スーダンでの政権交代を推進。国連は反乱軍の指導者を保護するために介入」という暴露がはじまっている。

 民族・部族対立をあおり、内戦をひきおこす手口は、米欧帝国主義がアフリカや中東、中南米でくりかえしやってきたことである。アフリカではアンゴラやモザンビークでもこうした干渉をやってきた。スーダン・南スーダンで戦争がたえないのも帝国主義の干渉の結果である。

米、自衛隊を侵略の肉弾に 

 防衛相・稲田朋美は一〇月はじめ、自衛隊の戦斗任務解禁のために南スーダンにゆき、わずか七時間の視察をした。このさい南スーダン政府側は、道路などインフラ整備への日本支援はもとめたが「駆けつけ警護」や「宿営地の共同警護」などにはふれなかった。

 安倍政府が内戦状態にもかかわらず、南スーダンから自衛隊を撤退させず、PKOの延長を決定し、「駆けつけ警護」や「宿営地の共同警護」戦斗参加を解禁しようとしていることは、現南スーダン政府に圧力をかけようという国連の「地域防護部隊」による軍事干渉、CIAの「汚い戦争」に連動したもので、「地域防衛部隊」の警護や防衛である。

 それは米兵のかわりに自衛隊をアメリカの軍事干渉・侵略の肉弾としてかりだそうとする集団的自衛権の行使容認、安保法の発動のたくらみをあらわしている。日本の若者をアメリカの肉弾にするのをゆるしてはならない。

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