電話機リース詐欺は3次にも渡ってしまい、大きなトラブルになってしまったのですが、この最大の要因は私の当時の生活姿勢にあったことは否めないのです。電話機リース問題は業者の明らかな詐欺行為で完全な犯罪と言っていいでしょう。その意味で詐欺行為を働くものが悪いのは当然で、ことを明らかにして然るべき処置はされるべきでしょう。事実その後の展開にて“こと”が明らかになるにつれとんでもないほどの大きな種々の問題、闇が相手側にあったのが判明していきます。その大きな問題、闇、そして隠れた本当の主犯についてはおいおい明らかにします。しかし、いくら相手が悪いとはいえ私の側に問題がなければこのような事態に私が陥ることがなかったのも紛れもない事実だったのです。節分で「鬼は~外、福は~内」と豆まきしますが、この逆に「鬼は~内」と自らの内に鬼を呼び寄せたのは私でもあったのです。
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ー通過儀礼ー リース詐欺の体験 〜第3幕 呼び寄せたもの〜
認識できていなかった我が身に起きている事実
「銭勘定など下世話で低俗な行い。」この不遜な「思い込み」が私の中で確かに植え付けられ存在していたのです。・・・当たり前にせねばならない義務作業(今も怪しいものなのですが)を、私は免罪符を有しているように実行せずに済ませていたのです。
特集記事4月号(上)の解説で上記のように記していました。お金をきっちり計算し経理を行いしっかり記録して認識することとお金に執着することは全く別のことです。ところが私はそれを混同していて全くお金の計算、経理を行っていなかったのです。(これは逆にお金に対しての態度の妙な執着の現れかもしれません)。
寺院ですからお布施や寄付などが私に手渡されます。これは裸でお金が渡されることはなく丁重に紙に包まれています。私はその包み紙からお金を取り出すこともしていませんでした。家には妹、そしてお寺には事務員の方がおられ、その二人に包みごとまとめて渡して計算や経理は(そして雑事も)任せっきりだったのです。
銀行通帳も預けっぱなしで手に取って確認することもしていませんでした。日々の経理どころか月単位でのお金の出入りも見ていなかったのです。当然月々リース料の銀行引き落としも認識できていなかったのです。バカ殿様そのものです。私は寺の住職ですから法人代表者であり、そして経営者でもあるのですが経営者としては完全に失格です。これでトラブルが生じないほうが不思議です。自然当然の成り行きで“それ”は来たるべくして来るべきときにやってきました。
既に【概要】で記したことですが、2002年3月11日、(株)Sラム(現在社名はオフィス○4)のO庭という男が突然訪問してきて「必要な工事だ」と騙り書類への押捺を迫ったのです。O庭に応対し押捺したのは妹でした。ただ彼女の名誉のため付け加えると妹は私の許可なしに勝手に押捺したわけではありませんでした。O庭訪問時に「何か良く分からないけど電話工事の人が来ていて工事しなくてはいけないとかと言っているんだけど?」と私に声かけはしたのです。他のことをしていた私は(どうせ、近辺の簡単な電話線工事で、工事許可ための一応の断りだろうと思い)「事務員さんと相談して処置しといて。」と返答していたのです。私のこの対処で“こと”は“おおごと”になっていくのですが、それ以降の数年に渡る長い期間、現に我が身に起きている事実を私は明確には認識さえできていなかったのでした。
電話機リースから見えるファイナンスリースの欺瞞性
ところでこの電話機リースは「ファイナンスリース」という形式の契約です。このリース形式は電話機だけでなくコピー機などの事務用品など日本で広く浸透しています。日本でのほとんどのリースがこの形式とのことです。しかしファイナンスリースの形式そのものが大変な問題をはらみます。
リース形式そのものが欺瞞、もしくは詐欺が入り込みやすくなる形式なのです。このリース形式は日本だけのものです。まず名称からしてインチキです。ファイナンスとは主に「金融」の意味です。リースは「物品賃貸借」です。当然この2つは全く質が異なります。ところがこれをぐちゃぐちゃにして一つの用語にしています。一般ユーザーに訳が分からないようになっているのです。許認可を与えたのは経産省でしょう、このリースの特徴としてはリース会社に都合の良いことに中途解約できないことが設定されています。そして更に(ファイナンスリース全般が大概そうでしょうが)電話機リースに絞ると、大きなポイントは2つあります。
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1.販売業者の存在
リースはリース会社(ほぼ全てが大企業)とユーザーとの賃貸借契約です。これが根本です。ところがその間に販売業者を組み入れているのです。リース会社側にとりこの販売業者は大変重宝でリース会社の営業の代役、そして何かトラブル等があればその責任や批判のスケープゴートの役割を担います。大企業たるリース会社にある責任の所在を隠すのです。
2.事業者間契約
ユーザーに接するのは必ず販売業者です。訪問してきて詐欺トークで申し込みをさせます。しかしユーザーが一般消費者だと詐欺による錯誤と気づけばクーリングオフが効きます。ところが業者間の契約は“プロ同士の正式契約”だということにして(誰がそうしたのでしょうか?)クーリングオフは無効としているのです。それでは契約の“プロの業者”とは?片や大企業のリース会社と、それとタッグを組んだ販売業者は訪問(詐欺?)販売のプロです。片やその標的の業者。例えば昔から現在も子供相手に営んできた駄菓子屋、そこで一人住まいのおばあちゃん、彼女も書類に押捺すれば“プロ同士の正式契約”になるのです。もちろん町で食堂を営む老夫婦も、たばこ屋のおじいちゃんも業者間契約になります。実質は全くの一般消費者なのですが。
また騙しの大きな道具が書類です。彼らの契約書と主張する書類ですが、非常に問題のある書類形式で、こうなっています。
ぺらぺらの3~4枚綴りの複写紙で一枚目の表紙は単なる申込書です。ところが2枚目3枚目は契約書、契約書控え等になっているのです。一枚目の申込書に記入すれば自動的に(彼らの主張する)契約書にも記入済みとなる代物です。「この電話機は使えなくなります。」等の詐欺トークの上に、販売業者は具体的な金額などは説明せずに、うまく数字、そして申し込み書類がそのまま契約書であることを隠して署名捺印を迫るのです。
妹に一件目(株)SラムのO庭とのやり取りを確認したところO庭がこだわったのが、その日のうちの申し込み。銀行口座からの自動引き落とし。そして寺とその住所等を刻印しているゴム印、法人印とのことでした。書類を次々にめくりながら署名欄にのみ注目させてゴム印と法人印を押捺させられたとのことでした。ポイントは業者間契約の様式成立と銀行口座自動引き落としの払い込みです。業者間契約の書類様式記入と銀行引き落としの開始、これが成功すれば「一丁上がり」クーリングオフも中途解約もできないというわけです。
2件目の(株)トラストコミュニケーションズの書類は更にひどく、書類上の住所氏名や払込金額等ほぼ全て記入欄は、私の所に来訪前から既にY口担当者等によって埋められていました。私自身は2件目の場合、法人印は押捺しましたがそれだけで、これらの書類に一切記入していないのでした。彼らは「金を手に入れるため」何食わぬ顔して次々インチキするのです。(しかし業者側の書類記入、実はこれがその後に諸刃の剣となり彼らに突き刺さります。この書類が動かぬ証拠となり重大な犯罪行為と言ってよい違反行為を暴露させることになったのでした。)
ともあれ、「自らが蒔いた種を自らが刈り取る“カルマの法則”」に基づき、私はこのような連中“輩”を呼び寄せ招き入れてしまったのでした。そしてこの事実は私の姿と彼らの姿が「かみ合わない」と成立できないのです。ですから起きてしまった事実は恥ずかしく情けないことですが、私自身の姿の一端を鏡のように映し出していたのを否定できないわけです。