草で紙作り・ぞうのウンチの紙
野草の青汁を作った後の搾りかすで紙を作ったことがあります。片栗粉を水で溶いて熱湯を注いで薄い糊を作り、野草のカスと混ぜて、網の上に乗せて薄く伸ばし、板に貼り付け乾かし、本に挟んでおきました。
インターネットで調べると、いろんな木や草や野菜での紙作りが紹介してあります。圧力釡で2時間、普通の鍋なら5~6時間煮て、繊維を柔らかくして取り出し、もう一度2時間煮ていました。この時、重層か灰汁(木灰に水を入れて一晩置いた上澄み液)を入れるとよりスムーズに柔らかくなるようです。
一般的には木からパルプを作るのに水酸化ナトリウム(苛性ソーダ:劇薬)を使い煮溶かすようです。漂白剤も使われます。繊維が柔らかい方が滑らかな紙になっています。
私が作ったのはどちらかというと、非常食の野草海苔風といった方が良さそうです。食べられる紙・・・青汁を絞ったカスを使い、二度美味しいって感じでしょうか・・・?ちなみにインクはお醤油と炭で・・・。
それよりもっと素敵なのが、ぞうのウンチから作られた紙です。
紙や建材などのために木を伐り、自然破壊をして、ぞうの居場所や食べ物を奪うのではなく、ぞうを保護し、植林などで自然を回復させ、ぞうの食べた植物の繊維がいっぱいで程よく熟れているウンチを紙に再生し、自然を守りつつ現地の人たちの仕事や産業を生みました。 スリランカで苦心工夫の末「ぞうさんペーパー」を実現させたのは、一人の日本人の青年実業家を中心とする人達です。
和紙に似た風合いのぞうさんペーパーは、現地の人たちの手で、デザイン性の優れた色々な製品になっていて、日本を始め、世界中に輸出されるようになっています。
それに引き換え、日本の地元では紙を作るためのチップにする事業として、沢山の広葉樹が伐られています。一抱え以上もあるような巨木も粉々にチップにされています。放置人工林の間伐材利用だといいのですが、現実は広葉樹の方が多く伐られています。山の木の伐り出し方も昔と違い、重機を使い、山を削って道を作り、再生できないほど丸裸になります。 用途に応じた紙を作るのには、針葉樹と広葉樹両方が必要なようです。
この頃、熊が増えているという話を聞きますが、臆病な熊が、人目につく場所に出てくるということは、決して増えているからではないと思います。
戦後になって九州では絶滅し、四国でもほとんど絶滅しています。
高速道路や農林道、チップ補助金などによる伐り出しで、熊の棲む森が破壊され続けている現状があるのではないかと思います。
もともと日本ではミツマタ、コウゾを原料に、質のいい和紙が作られています。コウゾは桑の仲間でとても成長が早く、伐っても根が残っていれば、また逞しく芽を出し成長します。お札の原料は主にミツマタです(マニラ麻も使われています)。
海外でケナフという成長の早い草から紙を作っているところもありますが、木を伐りケナフを育てる自然破壊の一面もあるとか。
日本の草にもマコモやガマ、茅といった豊富な繊維の草がたくさんあります。竹の繊維のノートや布も見かけます。除草剤を使うより、草を生かして製紙に使えば、今の技術ならいくらでもできそうです。
同じ事業でも、地球環境を一番に考慮してできるようになるといいですね。それには事業主の意識と消費者の意識、政策、景気など、社会全般の問題があります・・・。まず私たちにできることは、紙を使わない伝達方法が主流になりつつあるようですが、野草から青汁をいただいた後、自分で紙を作る、又はぞうさんペーパーや竹紙、手作り和紙を使う・・・でしょうか?
さて、フユイチゴが沢山実っていました。滋養強壮になるそうです。
豆乳ヨーグルトを濾して、フユイチゴをのせてケーキ風デザードはいかがですか?
春にいただいたシャクも生えていました。
春の野草たちが、秋にも育っています。
本格的な冬が来る前の一時ですが、ありがたい恵みです。
自然賛歌