[第41回] 地球の鼓動・野草便り 主食になってきた植物たち


主食になってきた植物たち

ジュズダマとハトムギは稲が渡来する前は主食にしていたようです。ジュズダマはうるち米でハトムギはもち米に性質が似ています。見た目はよく似ているのですが、花や実が上を向いてつくのがジュズダマで、ハトムギはやや垂れ下がっています。

ジュズダマ


薬効も似ていて、ハトムギは胃、十二指腸潰瘍、下痢、むくみ、小便不利、神経痛、リュウマチ、美容、美肌、こしけ、胃がん、食道がん、腫瘍抑制効果、慢性胃腸病、健胃、解熱、解毒、かいよう、疼痛性身体麻痺、母乳増進、整腸などに効くとされています。

ジュズダマよりハトムギの方が殻がやや柔らかく、薬効も高いようです。硬いジュズダマの実もお茶に煎じると殻が剥きやすくなりますので、中実をいただけます。ジュズダマ、ハトムギは東南アジア原産で、古代に渡来した人が持ち込んだと言われています。その後稲が渡来して食べられなくなったようです。

ジュズダマの殻は硬くて、ジャラジャラと音がしてお手玉にしたり、芯を抜いて糸を通して首飾りにして遊んでいました。108個つなげれば、お数珠ですね。
いざという時には非常食にもなります。昔はクズ小豆で作ったりもしていましたが、枕やお手玉に非常食を用意しておくのは昔の人の知恵ですね。

蕎麦枕に蕎麦殻ではなく、そのままの実を入れて種にとっておいたのを9年後にいただいて、蒔いたらちゃんと芽がでてきました。ソバはお盆頃にその年の稲の出来をみて、良くないのを確認してからでも間に合うとか。夏ソバと秋ソバがあり、新蕎麦は秋ソバで作り、香りも高いのだそうです。

ソバの花


ソバは奈良時代以前から栽培されていて、中国、朝鮮半島を経て渡来したそうです。ソバには毛細血管の浸透性を高めるルチンが多く、高血圧症に良いのですが、実だけでなく葉茎根、全草に含まれていて乾燥させて茶材にすると良いようです。ただし、一般の食用のソバにはルチンは含まれていないとか。米、麦、などの主食がイネ科なのに対してソバはタデ科です。

トウモロコシもイネ科で、日本には織田信長の時代にカボチャの種とともに入ってきたそうです。原産地は南アメリカで、古くはインカやマヤの遺跡からも発見されていて、品種は数千種にものぼり、世界中で栽培されています。薬効は雌花のヒゲ状の長い花柱にあり、乾燥させてお茶に常用できます。

便秘、肝炎、胆石、胆のう疾患、黄疸、糖尿病、糖尿病合併症、むくみ、小便不利、腎機能の改善、すぐれた利尿作用、血圧降下、末梢血管拡張作用があり、ヒゲを発酵させたものには、顕著な血糖値降下作用があるそうです。毒性や副作用がなく、妊娠時のむくみにも良いそうです。

これほどすぐれたトウモロコシですが、残念ながら最近は遺伝子操作などで、殺虫成分や除草剤耐性、はては植物なのに毒虫(動物)の遺伝子を組み込んだりと、恐ろしい食品になっているようです。

市場に出回っているトウモロコシの加工食品はほとんどが遺伝子組み替えかもしれません。それに加え家畜の飼料のほとんどが遺伝子組み換えで、それらを食べた家畜の肉にも含まれるのです。

昔からある素朴なトウモロコシの種があれば、大切に育てて毎年種取りをしたいものです。自家採種の種屋さんに野口種苗たねの森があり、種の交換会などで、経営者の方のお話を聞いたことがあります。信念をもって種を守ってくださっています。

この他にもドングリなどの木の実やアンズなどの果物の種も主食になり、ミネラルや栄養分、薬効も高い優れた植物を先人たちが食べてきたのがわかります。 それに引き換え、現代は経済優先社会の嗜好性や見た目に惑わされ、大事な命を育む本能までも失いかけているのかもしれません。まずは生のお米の味を確かめてみるのはいかがでしょうか?



ちなみに、稲の薬効は糖尿病予防などですが、なんと稲の株根が薬になるのだそうです。(もちろん無農薬、無化学肥料、無除草剤の)稲の根を煎じて母乳の出を良くするのに用いていたそうです。薬効は古代米の赤米や黒米の方が高く、生活習慣病、動脈硬化予防、糖尿病改善、体力増強、貧血改善、疲労回復、便秘解消、美肌作用。また、ポリフェノール、B2、E、ナイアシン、葉酸などのビタミン類、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄などのミネラル類、食物繊維などを多く含み、長寿食、美容食として優れているそうです。

普通の米でも玄米は完全栄養食といわれます。しかしほとんどが白米に精製してしまいます。実は先日、島根県奥出雲産の新米の白米をもらってしまいました。

日頃玄米食なので、美味しそうと思ってしまいました。早速炊いていただくと、美味しいのですが、物足りなくて、体が満足しません。エネルギー不足な感じです。生きて芽を出す玄米とのエネルギーの差は歴然です。

とはいえ、お寿司にはやはり白米の方が合う気がします。そこで冬のご馳走のセリを使ってちらし寿司を作りました。

セリ


ちらし寿司といっても具は全部生で、炊いたご飯に混ぜるだけの超簡単(手抜き?)お寿司です。こんな時、ミョウガの梅酢漬けや生姜の梅酢漬けが重宝します。

ミョウガと生姜の梅酢漬け


桜の花の塩漬けも香りが良くて飾りに使います。ニンジン、ゴボウ、レンコンなども全部生で刻んで軽く塩をします。椎茸も生を刻みます。蜂蜜で甘みをつけて、手作りの柿酢や松葉酢、梅酢などで味付けして全部を混ぜるだけです。白米のエネルギー不足を補って美味しくいただきました。

ちらし寿司(具材は全部生)



yasou
自然賛歌

柿の木に朝日

柿の木にノキシノブ

ニャンコの足跡



アヤメの種に綿帽子



アメリカセンダングサの種に綿帽子

猫じゃらし(エノコログサ)にも綿帽子




ナンテンの実



スズランの実(有毒)



コゴミ(クサソテツ)の花



グミの葉っぱに誰かの食痕





■ 参考文献

イー薬草・ドット・コム
「大地の薬箱 食べる薬草事典」 村上光太郎/著 農文協
「カラダ改善研究所 自然のチカラいただきます」中村臣市郎/監修 西日本新聞社



ライター

ニャンニャン母さんプロフィール

ニャンニャン母さん

プロフィール:1955年魚座生まれ、広島の県北 中山間地域在住、
体癖はおそらく2ー3種

20代の頃「複合汚染」有吉佐和子/著 を読んで、食の環境悪化を考えた時、野草を食べることを思いつき、食料としての野草研究を始める。
全くの素人ながら、健康住宅の設計事務所に入社し、健康住宅を学ぶ。
残された人生と限られた時間について気付かされ、仕事を辞め、自給自足を目指す。
平成22年頃、古民家を借り、Iターン。野草教室を開催。
「古民家カフェ・むす日」「山のくらしえん・わはは」「クリエイティブ・アロマ」等にて野草教室。

現在、野草好きになった87歳の母と、無関心な33歳の長男と猫3匹と暮らしています。

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