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ぴょんぴょんの「憲法改正前夜」
世界が平和であることが理想の現行憲法

おーし、おれが教えてやろ! 耳かっぽじって、よおく聞けよ!
まず憲法の前文。
ここ、めんどくせえから飛ばしたくなるが、なかなかいいこと書いてあっぞ。
初めに、過去の戦争の反省。そして、二度とそういうことが起こらないように決意した上で、主権が国民にあるって宣言してる。
ところがだ! 自民党案の前文は、しょっぱなからこうだぜ。
「日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇をいただく国家であって・・・」

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「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う。」で締めている。平和に関して、力がこもってるのがわかるか?

日本が「今や国際社会において重要な地位を占めており」ってふんぞりかえってるし、「国と郷土を誇りと気概をもって自ら守り」、「和を尊び、家族や社会全体が互いに助けあって」とか、なんだかムズムズしねえか?
武力の永久放棄の現行憲法と戦争する気満々の自民党案

さあ、問題の9条だ。
有名な条文「日本国民は・・・国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は・・・永久にこれを放棄する。」の「永久にこれを放棄する。」が、自民党案では「用いない。」に変えられてる。

Author:RikujojieitaiBoueisho[CC BY]

わざわざ自衛隊を「国防軍」て呼んでるのは、栗栖広臣著「日本国防軍を創設せよ」から来てるそうだ。
自衛隊は国民の生命、財産を守るって思ってるだろ? ところが栗栖氏は、そうじゃねえって言ってる。「国の独立と平和を守る」のが自衛隊(自衛隊法)。その「国」ってのは、「天皇制を中心とする一体感を享有する民族、家族意識」であって、「決して個々の国民を意味しない」だとよ。

「国防軍審判所は非公開」 「いまの自衛隊法では命令に従わない隊員に対し、目いっぱいでも7年の懲役刑しか課することができない。しかし(出動)命令に従わなければ、その国における最高刑、死刑、無期、または懲役300年、そんな目にあうのなら出動命令に従おうということ。」

現行「この憲法が国民に保証する自由及び権利は・・・常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う。」
自民案「自由及び権利には責任が伴うことを自覚して、常に公益及び公の秩序に反してはならない。」に変わってる。
梓澤(あずさわ)氏も指摘してるが、「公共の福祉」という言葉がすべて消されてしまって、「公益及び公の秩序」に変わってるんだ。これもや〜な感じじゃねえか?
日本国籍を持たない外国人には生存権を保証しない自民党案

現行「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保証する。」これはそのまま。ただ、自民党案は21−2を新設してる。
「前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。」


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現行「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。」
自民案では、この「絶対に」が抜かれてるんだ。
梓澤氏は、小林多喜二の話をしたあと、「なぜ『絶対に』を抜くんですか! この自民党改憲草案は! 許せないですね、僕は! これを書いた人たちが!」とシャウトしてる。
非常時にやりたい放題できる「緊急事態法案」

現行「地方公共団体の長、その議会の議員・・・は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。」
自民党案の94条「当該地方自治体の住民であって日本国籍を有するものが直接選挙する。」ここでも、外国人の排除が見え見えだ。

梓澤氏「 自民党案98条と99条は、戦争、内乱、自然災害の場合に内閣総理大臣が緊急事態宣言を出すことができること、国、その他の機関の指示に従う国民の義務を謳っています。」

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内閣総理大臣の一声で、面倒な国会を通さずに、自衛隊も、警察も、国民の金も、思いのまま。やりたい放題できるってことよ。
関東大震災のとき、緊急事態に乗じて、権力を握った軍隊が、虐殺行為を行ったのは知ってるか? 社会主義者や朝鮮人が標的にされ、およそ7〜8000人が殺されたって書いてある。

自民党は、ここを変えたくってジリジリしてる。
現行「この憲法の改正は、各議員の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。特別の国民投票または国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。」
自民案100条「この憲法の改正は、・・・・・総議員の過半数の賛成で国会が議決し、国民に提案してその承認を得なければならない。」
梓澤氏いわく「私は現行憲法96条を公権力暴走システムと呼んでおります。」

澤藤氏「国民が国家権力をつくるんだけれども、一旦できた国家権力は国民に対して敵対するという側面がある。その国家権力を暴走させないよう縛るものとして、つまりは権力制約の装置として憲法というものがある。」

天皇の名を借りて事をなすのに非常に便利な自民党案

「この憲法が日本国民に保証する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪え、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」

現行99条「天皇・・・国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。」
ところが自民案102条「全ての国民は、この憲法を尊重しなければならない。2.国会議員、国務大臣、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。」

Author:Zscout370[Public Domain]

梓澤氏「利用論ですね。軍人たちが天皇の名において、何かを反平和的なことや憲法に反するようなことをやろうとするときに、それは非常に便利。」
岩上氏「天皇の無答責ということを利用して、自分たちこそが無責任で、無答責でありたいと考えている。これは無限の権力を手に入れたいということですね。」

「私は徴兵制ということを、自民党案102条・・・から読み取るんです。
・・・自民党案は、基本的人権の上に『公益、公共の秩序』があるんだから、『その意に反する苦役に服させられない』なんていう抵抗は許されない。さらには『全て国民は、この憲法を尊重しなければならない』とあるんですから、これでは徴兵制を敷くことが、憲法に違反しなくなる。そこが大事なんです。」
ぴょんぴょん
しかし本の最後のほう(P322)で、梓澤(あずさわ)氏がこう語っていた。
「普通の人が普通の言葉で、この(憲法改正)問題を自分の生活のところに引き寄せながら語り合うなんて、おもしろいなと思いますけどね。」
なるほど「普通の人が普通の言葉で」書くとどうなるか。試しにやってみよう。