注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
ロシアがマラーを讃えるとはコレ如何に?
この一年間アメリカの政治システム全体を巻き込んできたトランプ・ロシア疑惑とかいう次々に変貌を遂げるお伽噺を巡っては、最早仰天させられるような要素はどこにも残っていないと思われた丁度その矢先、クレムリンで本日出回っている新たな【ロシア連邦】安全保障会議(SC)の衝撃的な報告書が、2013年5月にプーチン大統領が当時FBI長官だったロバート・マラーに対して自ら「ロシア連邦英雄」勲章を授与したと明らかにしました。
――この勲章はロシアが贈ることのできる勲章で最高位のもので、マラーは自分自身も大いに危険を冒しながら直接ユダヤ系億万長者オレグ・デリパスカを拘束中のロバート・レヴィンソンというFBI捜査官を解放する超極秘任務に関わらせたことで、ロシア・アメリカ間の諜報および安全保障の協力【体制】を強固にした功績を讃えられたのです。
失踪したアメリカ人スパイ
Robert Levinson, age 64, went missing on the Iranian island of Kish in March 2007. His family received this photo pic.twitter.com/lXSwwv1WFB
— Vetrissimo (@vetrissimo) 29 April 2016
当該報告書によれば、2007年3月9日【元】FBIおよびDEA【=麻薬取締局】捜査官だったことで知られ、【拘束された当時は】CIA工作員でもあった可能性が非常に高いロバート・レヴィンソンは、米国当局の主張に従えばタバコ密輸捜査とやらを遂行している際にイランで謎の失踪を遂げました。
――しかしロシアの諜報機関筋はレヴィンソンがCIAのための“不正任務”を遂行中だったと裏付けており、その拘束は特にCIA内の諜報分析員と作戦専門員の間の連繋を傷つけたため、 CIAの一大再編成へと至りました。
ざっとしか他の記事を読んでいないので訳者の勝手な解釈かもしれませんが、本来は現地の人員を含む資源の保護活動および作戦指揮を任された部署が別個にあるらしく、このCIAの二大柱は昔から対立関係にありました(アメリカドラマのイメージだと脳筋の現場の工作員と、文系の裏方デスクワーク職員の縄張り争い?)。
ということで、分析官の暴走を好ましく思っていない作戦指揮官側との関係悪化と、内部規定の見直しに至ったと言いたいのでは。】
実際には米国はロバート・レヴィンソンの存在とその真の任務について情報が発覚することを恐れるあまり、アメリカ史上初めて、レヴィンソンの解放に関する如何なる交渉にも入らないと完全に拒絶してみせたのです。
――要するにレヴィンソンは自分が30年以上仕えた米国政府中から関わりを否定されたのでした。
PHOTO: AP reveals Robert Levinson, missing American in Iran, was working for the CIA http://t.co/1SbNIIDkL9 pic.twitter.com/nA7ChDtzXt
— BuzzFeed News (@BuzzFeedNews) 12 December 2013
@SilverFoxOO7 "Robert Levinson's" most obvious clue is inside the "Gitmo" photo. Note the closures on the Orange Jumpsuit.....and the Darts pic.twitter.com/oKDYT5PQGT
— Sparky (@Sparkys_Life) 11 May 2017
白い紙の部分を元記事の配置順に訳しますと、「(拘束されて)4年目……あなた方は出来ないのか、それとも望んでいないのですか……?」、「私を助けることを」、「何故あなた方は私を助けることが出来ないのです」、「これがアメリカ合衆国に30年務めた結果なのです」、「私はここグァンタナモにいます。それがどこだか分りますか?」。
イランに拘束されている筈なので、文字通りのグァンタナモ基地にはいないでしょうが、もしかして自分を拘束状態に置いているのはアメリカ側のせいだ、と批判しているのかもしれません。】
仲間を救い出そうとするFBI
しかしながら当該報告書が続けるには、オバマ・クリントン政権が2009年初頭に権力の座に就いた際、当時のFBI対テロ捜査官アンドリュー・マッケイブはロバート・レヴィンソンの件について「話し合い」をするために【ロシア】対外情報庁(SVR)とモスクワの本部で極秘に面会したいと申し入れて来ました。
――マッケイブは組織犯罪やテロとの戦いにおいてロシアの諜報諸機関の最上部の中で長年働いた経験があり、また彼自身がロシア人億万長者オレグ・デリパスカと個人的に親しい関係を築いていたため、このような申し入れをするというのはマッケイブにとっては何も異常なことではありません。
当該報告書が詳述していますが、FBI捜査官アンドリュー・マッケイブが「接触」する許可をSVRから欲しがっていた具体的な対象は、オレグ・デリパスカでした。
――デリパスカを当時のFBI長官ロバート・マラーが指揮するロバート・レヴィンソン解放の秘密作戦への参加に「関与させる」という明確な目的のためです。
――SVRはデリパスカがこの他国の諜報機関と関わった全ての活動を報告するという条件で、マッケイブの要望に“許可”を出しました。
Comey & Mueller Ignored McCabe’s Ties to Russian Crime Figures...https://t.co/ZxXTuf3kcc via truepundit pic.twitter.com/uhUQKNyDfq
— Primal Digest (@Primal_Digest) 19 December 2017
当該報告書が説明しているのですが、アメリカの国民に知らされていないのは、ロバート・マラーFBI長官がロバート・レヴィンソン解放の手助けでオレグ・デリパスカを採用したことは、連邦諸機関に奉仕活動の受理を禁ずるAntideficiency Act【=不足金請求禁止条項】という米国連邦法のあからさまな違反だった点です。
――しかしマラーは自ら重大な危険が及ぶことを承知しつつも、デリパスカが個人的な資金からレヴィンソン解放のために2,500万ドル以上も費やすことを許可し、更にはレヴィンソンが解放された暁には彼を乗せて再びアメリカの保護下へ戻そうとデリパスカにイランへとプライベート・ジェットを飛ばしてもらい、【この連邦法を】無視しました。
自国の人間だろうが全てをぶっ潰すヒラリー
レヴィンソンの解放を確保するために全てがオレグ・デリパスカによって準備されていたにも関わらず、当時の国務長官ヒラリー・クリントンにロバート・マラーFBI長官のしていたことが知られてしまった、と当該報告書は指摘しています。
――そしてクリントンは、レヴィンソンのスパイ活動および拘束に関して一切の責任をイラン政府に問わないという声明を出して欲しいというイラン側の要求を拒絶したため、デリパスカは自身のプライベート・ジェットをモスクワに戻すように命じなければならず、レヴィンソンは再びそして恐らくは永遠に「行方不明」となったのです。
Certified Psychopath - Evil killer of the innocent and helpless.... pic.twitter.com/KIIY39x9NQ
— Bradbury Pound (@corruptbritain) 2 April 2014
他国の人間でも功績を讃えるプーチン
当該報告書が続けるには、2013年4月15日のボストン・マラソン爆破事件以降の数週間で、ロバート・マラーFBI長官はモスクワに飛び、クレムリンにてプーチン大統領と秘密裏に面会しました。
――その際にプーチンはマラーに対してロシア連邦英雄勲章を見せ、今度のオバマ・プーチンサミットでロバート・レヴィンソン解放の試みにおけるマラーの英雄的な行動を讃えて授与することを計画していると明かしたのです。
――しかしこのせいで数週間後、ジョン・ブレナンCIA長官が予告も無しにモスクワのSVR本部にいきなり現れ、怒りを「爆発させ」、もしプーチンがマラーにそのような栄誉を与えたりしようものなら「深刻な結果」が起こるぞと脅迫し、おまけに直後にはオバマ大統領によるプーチンとのサミット自体の取りやめと相成りました。
Former Obama CIA Director John Brennan Freaks Out Over POTUS Trump's Demand DOJ Investigate Illegal Obama-Era Political Spying https://t.co/LXnmBWPO9R #dcwhispers pic.twitter.com/K5vFWx19bS
— DCWhispers (@RealDCWhispers) 2018年5月21日
翻訳:Yutika
註:原文中、赤字で強調された部分は濃い青字に色を変更しております(※水色部分は引用部分です)。
【 】内は訳者の追記部分です。また訳文は日本語での読み易さを優先して、見出しを加えており、原文とは異なる形で文や段落を分割することもあります。また元記事で使用された画像は、同じものを掲載したツイッターに差し替えております。
関連記事によると、ロバート・レヴィンソンには7人のお子さんがあり、FBI退職後も妻子を養うためにお金が必要だったみたいです。だからってCIAの嘱託スパイ要員になるって発想はどーかと思うんですが……。拘束されて11年ですし、御年70歳だから批判は極力控えたいのですけれど、でもねー複数の情報元への謝礼をケチったり、結構色々やらかしていた模様。
14日にザ・ヒル紙がすっぱ抜いて以来、大統領応援団のFOX辺りがこの話題で騒がしいです(ショーン・ハニティーさんとかローラ・イングラハムさんとか)。事件を担当した元捜査官の一人が出演していたのですが、救出に奔走したのが古巣のFBIの仲間で、CIAは協力しなかったというのが、もう本質を物語っています。CIA御用達のCNNも黙りこくってます。