昨今のアニメ事情
くろちゃんは、アニメ好きだったよね。
現実にありえないことも、まるで現実のように見せてくれる。
現実の俳優や女優なんかより、もっと
魅力的で美麗な人物、美しい背景画、すばらしいストーリー、そのバックに流れるサウンドトラック。
それらが一体となって、
超現実の世界を創造する芸術、それがアニメだ。
瞑想で見られる世界とは、もしかしてこういう世界?ってな。
瞑想ができたら、アニメなんて必要ないだろうね。

だが、
凡人はアニメによって、別次元を浮遊し、現実逃避するのさ。
どんなことがあっても、
好きなアニメを見たら癒やされる。
おれはアニメが大好きだ。

と言っても、いろんなアニメがあるけど。
もしかして・・・くろちゃん、
美少女、萌え萌えアニメが好みとか?

・・んなんじゃねえ!!
ああゆう、かわいい顔して、おっぱいがでかい、
下品な妄想アニメはキライだ。

へえ、意外と硬派?
萌えアニメや、AKBにツボる人って、モテない現実を、妄想で逃避するんじゃない?
男だけじゃねえぞ。近ごろの若い女性に、BL好きの腐女子も多いからな。

ところで、
最近のアニメ市場は2兆円規模だって、すごいねえ。
大ヒットした「君の名は。」とか、見てねえけど。

見てないの?

おれは、
みんなが見に行くのは見たくねえの。

やっぱ、
ねじれてるねえ。
おれの楽しみは、1シーズン(3ヶ月)に登場する、5〜60本の新作アニメの中から、良質なアニメを掘り出すことだ。

ふう〜ん、「君の名は。」は見ないのに?
今のアニメのほとんどは、原作ありきだ。
たとえば、
人気ゲーム、ヒットしたライトノベルや漫画を、ただアニメ化しただけ。
オリジナルは、リスクが大きいから、なかなか作らねえんだよな。
内容もバトルもの、ヒーローもの、恋愛ファンタジーとかつまんねえのばかし。
けっこう魔界系のアニメが、多いよね。

ヤバいのも多いな。
闇アニメが、深い闇への入り口にもなってるような。
闇アニメは、受けるんだよ、特に魔女モノは人気だしね。
魔力や超能力でバトルするような、暴力的アニメも多い。
塾や学校でがんじがらめにされてる、子どもたちのはけ口なのかなあ。

また最近は、
アイドルものも多い。
「芸能界へ、ようこそ!」みたいな。
アイドル界に無防備に夢をもたせる、それもまた、子どもには危険だね。
とにかく
子供には見せられないような、恥ずかしいアニメも多いでしょ?
作る側は、インパクトで勝負するから、ますます刺激的に作るしね。

結局、選ぶのは視聴者だから、
良作に人気が集まれば、悪作は減ると思うな。
しかし、
もっと問題なのは、アニメの利益に群がる寄生虫どもだ。
広告代理店とか、音楽業界とかな。
DVDやブルー・レイ、グッズ、フィギュア、アニメ雑誌、
アニメファンが欲しがる商品が次々と出てくる。
最近はとくに、声優人気がすごいから、声優のキャラクター・ソングCDや、ドラマCDも出回っている。音楽業界で売れないヤツが、アニソン歌って売れだすこともある。
業界を支えている最底辺のアニメーター
アニメ業界は、ガッポガッポ、もうかってる。

と言っても、ほんの一部の話だな。

一部?

まず!
年間200本以上のアニメ作品、誰が作ってるんだ?
アニメを描く人!

そもそも
アニメは、大量生産できるものじゃあない。
アニメーター、演出、監督、撮影、音響、宣伝などなど、多くの人が関わっているし、
それぞれが大変な作業だ。
しかも、
昨今のアニメは、非常にクオリティが高いから、作業も複雑になる。
3ヶ月に60本ものアニメを生産するのは、大変な労力だね。

その中で、
もっとも底辺にいて、アニメ業界を支えているのがアニメーターだ。
アニメーターには、2種類ある。
主要なカットを描く「原画マン」と、カットとカットの間を埋めて、絵を動かす「動画マン」。
「原画マン」が原画を1枚描いて4000円。「動画マン」が動画を1枚描いて200円。

動画って、
そんなに安いの?
どんなにがんばって描いても、せいぜい一日20枚が限度だという。
ということは、
一日4000円。
しかも、朝の9時から夜の9時まで、机に向かって描き続けで。
原画なら、1枚4000円だから10枚描いたら、40000円だよ。

バーカ、
原画ってのは、すごく神経を使って描かなきゃならねえから、たくさん描けねえの!
しかも、
この金額は外国に発注したときと同じ金額に設定されているんだ。

てことは、
韓国や中国の賃金を基準にしているってこと?
それは、ひどいよ。日本のほうが物価が高いのに。

ここに、
10年アニメーターを続けてきた、元・原画マンのブログ(
アニメーターになりたい人へ)がある。
彼女がアニメーターを辞めた理由、それは、「報われない」と感じたからだそうだ。
「
アニメーターは頑張れば頑張るほど損をするという仕組みになっています。
そんな仕組みの中で頑張って働くことに心が耐えきれなくなってしまいました。」
ていねいに描けば描くほど、収入が減るという矛盾だ。
それは絶対に、おかしい。
すべての会社がそうではないと思うが。
例えば、
つねに質の高い良作を生み出している京都アニメーション(京アニ)では、アニメーターは時給1,000円で、枚数に関係なく、ていねいな仕事ができるシステムになっている。
だから、こんな美しいテレビアニメを作れるんだな。
アニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』PV第4弾

さすが、
京アニ! クオリティが高い!
他の会社では、とにかく枚数を稼がなければならないから、どうしても雑になる。
しかも、
締切りに間に合わない場合、海外発注になって仕事を奪われてしまう。
そしてまた、
作画のレベルが落ちてしまう。
非正規雇用、残業手当なし、外国人労働者の受け入れ。
小泉〜安倍政権が、推し進めてきた、働き方改悪の縮図がここにあるよ。

そして
今、憂うべき事態に陥っている。
アニメーターのほとんどが新人で、ベテランはわずかしかいない。
(
アニメーターになりたい人へ)
仕事のできる、中堅が辞めてしまったんだね。
その結果、昨今、よく目につく作画崩壊。
作画崩壊しすぎているアニメ

はあ〜これじゃ、
シリアスな話がギャグになっちゃうよ。
クロ現(2017年放映)では、アニメーターの現状を伝えている。
「2兆円↑アニメ産業で加速するブラック労働」
アニメーターの労働時間は、1日平均11時間。 休日は、月に4.6日。
若手アニメーターは、限界ギリギリまで働いて、平均年収110万円程度。
下請け会社の経営者は語る。
「求められるクオリティ。それに見合った予算、単価つけをしてもらえれば、全然ふつうに食べていけるので問題ないが、そこが追いついてきていない。」
「正直、
単価以下の仕事をやっていることが多い。」
大手・アニメ制作会社役員はこう言う。
「夢もって、アニメ界に来たら、
カネは安いし、半年くらいで辞めちゃう。
アニメの現場はもう、崩壊するんじゃないかな。」(
クロ現)

労働基本法の、
基本的な労働条件が確保されない、ブラック企業のアニメ業界。

「
アニメ産業が5年連続右肩上がりで2兆円突破と、作画崩壊&アニメーター賃金未払いのツイートが並ぶ本日。同じ業界でこの二つが同時に起こってる事実は重く受け止められるべき。
儲かった部分はどこに…」(
はちま起稿)

そこだよ、そこ!
儲かったお金はどこに消えたの?
アニメーターを雇う制作会社の売上は、ちっとも伸びてないから、そこじゃない。

つまり、
収益は、出資者のふところに入ってるということだね。
テレビや電通にな。
アニメの最後のクレジットに、「なんとか製作委員会」ってあるだろ?
あれは、
アニメ制作にカネを出した、企業グループのことだ。
例えば、
テレビ局、映画会社、広告代理店、出版社、大手制作会社など。

そこにおカネが行っちゃうのかあ?
アニメ会社だけでは、作れないの?
アニメの制作は、多くの人手がいるから、人件費だけでも多額になる。
「
今テレビアニメ1話1500万円って言われているけど、4500万ぐらい要ると。」(
ニコニコニュースORIGINAL)
それを、一制作会社で捻出することはかなり難しい。
仮に出したとしても、
その作品がヒットしなければ、倒産してしまう。
だから、よそから出資してもらって、制作するのが安全なんだ。

じゃあ、
DVDやグッズが売れたときの印税は、どこに行くの??
DVD、CD、グッズなどの利益、外国へのアニメの販売を二次利用と言う。
二次利用
の権利、版権を握っているのは、製作委員会だ。

てことは、
アニメーターにおカネが入るのは描いたときだけ?
そのアニメがどんなに売れようとも、それ以上、一文も入ってこないんだね?

その通り。
だから、制作会社は貧乏だし、アニメーターに十分な給料が支払えないのか。
低賃金、重労働で働かせて得たおカネを、ただ投資しただけの企業が分ける?
これを資本主義というのなら、資本主義はキライだな。
資本主義 + グローバリズム= 奴隷制
アニメが大好きで業界に入ってきた、若者たちの「やる気」を「搾取」するアニメ業界。
アルバイトしながら年収約100万円の、25歳のフリー・アニメーターは語る。
「ぼくは選んで、この業界にいます。
ここでがんばっていこうと、思っているけど、
アニメーターの中で結婚できる人って、上位2割なんですよね。
何かをあきらめなければ、何かを捧げなければ。」(
クロ現)
ワーキングプアの定義、年収200万円以下をはるかに下回ってるよ。
結婚もできない。
竹中平蔵だったら、「君のがんばりが足りないからだ」って言うんだろうな。
健康や結婚、基本的人権で保証されているはずのものを犠牲にしないと、好きな仕事ができない?
おかしいぞ?

なにが、「クールジャパン」だ! 「搾取ジャパン」じゃないの!
アニメ監督の入江氏は語る。
「
現在のクオリティを維持するための、総予算が圧倒的に足りない。
作品がヒットした後の二次利用料、印税がアニメーターに支払われるシステムになっていない。」 (
クロ現)
また同氏は、別のところでこうも言っている。
「私は『クローズアップ現代+』に出演した際に、
制作費を2倍にしてほしいと発言しました。
それが実現したときに何を最優先で行うか。
それは、
極端に低い新人アニメーターの収入を底上げすることでした。」(
アニメ&ゲーム)

そこ、そこ、
そこを変えないと。
アニメーター自身の口からは、賃金を上げてくれなんて言わねえし、言えねえ。
彼らは仕事に追われていて、訴訟するような余裕もカネもねえんだから。
しかも、上からの命令を忠実に実行するという、我が国の国民性。
それらにつけ込んで、おとなしいからと言って、ボロボロになるまでこき使ってもいいのか?
グローバリズムそのものだね。
作る人が健康で幸せでなかったら、その作品の波動は重くなる。
社会全体に、重い波動の商品がバラまかれることは、いいことではない。

じゃあ、どうしたらいいんだろう?
アニメ業界を代表する、 ProductionI.G. の社長はこう話す。
「
作品を絞ることで、ヒットする確率を上げて、ものを作らないといけない。」(
クロ現)

作品の数を減らす、というのも一つの方法だね。

今だと、
作品が多すぎて、アニメーターは疲弊し、人手不足になっている。
また、こうも言っている。
「
制作会社側が、二次利用の権利を確保するなど、ビジネス感覚が必要。」(
クロ現)
絵がうまい人に、経営の才能まで求められないよ。
クオリティの高い、成功しているアニメ制作会社

だから、現場にそういうヤツを連れてこねえと。
しかし、
こういった数々の問題に取り組んで、成功しているアニメ制作会社もある。
サイエンスSARUだ。
そこはもしかして、
「夜明け告げるルーのうた」(
Wiki)
を作ったところだね!
映画『夜明け告げるルーのうた』PV映像
この作品は、たくさんの賞を取ってる。
2017年アヌシー国際アニメーション映画祭 長編部門クリスタル賞(最高賞)、毎日映画コンクール大藤信郎賞、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞受賞。(
Wiki)
そんな作品を作った
サイエンスSARUは、従業員がたった23名しかいない。
ちなみに、
アニメのクオリティで1、2を争う、京都アニメーションは従業員が165名(
Kyoto Animation)。
たった23人で、あのレベルの映画を作ってしまう?
ふつうの制作会社と、
どこが違うの?
勤務時間は9:00〜18:30、土日休み。ここは、京アニも同じだ。
SARUの取締役はこう語る。
「
健康的な生活が、よい作品に欠かせない。
アニメーションというのは、世界を創る、そういう仕事。
6時半に帰ると、映画を見に行けるとか、本を読めるとか、人に会えるとか、
仕事以外のこともできるので、それが作品に絶対に役に立つ。」(
クロ現)

これだよ、これ!! こういう発想が、なんで今までなかったの?
SARUでは、仕事の効率を上げるために、作業量を大幅に減らすデジタル技術、FLASHを取り入れた。
これによって、
キャラクターを動かす工程が、従来の手描きの10倍以上早くできる。

あの、
ヌルヌルした動きは、そこから来てたのか。

でも、日本のアニメの魅力は、手描きじゃないのか?
CGやFLASHで、その良さが出せるのか?
などと文句言う、頭の固いヤツらもいる。

アニメーターの血と汗の結晶が、日本のアニメだと言いたい人たちだね?
手描きだろうが、デジタルだろうが、良し悪しを決めるのは、作り手がどういう人間かだ。
たとえば、
「山賊の娘ローニャ」は全CGアニメだが、手描きと同じくらい温かい作品だ。
「山賊の娘ローニャ」 予告動画
ローニャの監督は宮崎吾朗氏、あの宮崎駿の息子さんだね。

こうやって、
上手くテクノロジーを使って、奴隷労働を減らすことも重要だ。
しかし、
最も重要なのは、現場にいるアニメーターたちの賃金を人並みに上げることだ。
そして、
クールジャパンを掲げる政府にも、ひと働きしてもらわねばならない。
アニメ監督の入江氏は、クロ現で、「健全な制作会社に対する、税制優遇措置」を提案した。
つまり、
ちゃんとした労働時間、ちゃんとした賃金、ちゃんとした作り方をしているところに税の優遇を行う。これは、
カナダ、イギリスには例があるそうだよ。
いいアイディア! 他の会社にも適用してほしいね。
サイエンスSARU、京アニなど、アニメーターを大事にして、良質な作品を生産している優良会社には、税を優遇してあげてほしい。

そうやって、
日本のアニメがさらに発展してほしいね。

最後に、
おれの大好きな、京アニのアニメを一緒に見ようぜ。
「映画 ハイ☆スピード!-Free! Starting Days-」本予告
Writer
ぴょんぴょん
1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
(クリニックは2014年11月末に閉院)
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)
そして大人になった今でも、数少ない良心的なアニメを発見することは、大きな喜びです。
世界に誇る日本のアニメ文化も、企業の利益追求のために、今や、滅ぼされかねない状況です。
視聴者の立場に甘んじるだけでなく、現場でがんばっているアニメーターたちを助けたいと思って書きました。