4月5日(日)ロペス・オブラドール大統領、今後の経済回復策をスピーチ
4月5日(日)Palacio Nacional (国立宮殿:メキシコシティの大広場にあるメキシコ連邦政府幹部の所在地。宮殿内では毎朝、大統領プレス・コンファレンスが行われている。)のだれもいない中庭で、大統領は今後、新型コロナで打撃を受けた経済回復策のスピーチを一人で行いました。(動画上↑)
大統領は、過去のネオリベラリズ政権がやってきた危機対策は一切やらないと断言。
国の借金増加、銀行・大企業の救済、民間債務を公的債務に変換、特定の民間企業の税金免除、ガソリンの値上げ、公的サービスの値上げ、減給、解雇、社会保障カットなど。。。
現政権では人々の幸福が最優先で、特権、汚職、不正、免責はもう二度となく、絶対に過去には戻らないと宣言。
En su #Informe, el presidente @lopezobrador_ destaca que "ahora primero es el bienestar del pueblo y después lo mismo, el bienestar del pueblo. Nunca más los privilegios, la corrupción, el saqueo y la impunidad" pic.twitter.com/YdQUyPtyXt
— MVS Noticias (@MVSNoticias) April 5, 2020
メキシコ政府の経済回復策の3つの軸
El plan del @GobiernoMX frente a la pandemia se centra en 3 ejes:
— Jesús Ramírez Cuevas (@JesusRCuevas) April 6, 2020
-Inversión pública y social
-Pleno empleo
-Austeridad republicana
22 millones con programas sociales
Se generarán 2 millones de empleos y se otorgarán 2 millones 100 mil créditos para pequeños y medianos negocios
パンデミックに対してメキシコ政府の計画は、3つの軸に焦点を当てています。
― 公共・社会投資
― 完全雇用
― 政府の正直さと緊縮
2200万人への社会福祉プログラム
200万人の雇用創出、中小企業に210万件のローン付与(口約束で借りれ、税金を払っていない人も借りれる)
つい先日、社会福祉プログラムの高齢者年金、身体障害児援助金、学生奨学金と無料医療が憲法4条で保証されました。この危機の間でも保証されています。今後、政権交代があってもこれらは守られるはず。。。
上の3つの軸をイラスト化したものEl modelo mexicano para salir de la crisis que azota el mundo considera en primer lugar los derechos de la gente. El @GobiernoMX enfrentará esta contingencia con inversión pública, detonar empleo, asegurar los programas sociales y también apoyos a los pequeños empresarios. pic.twitter.com/IIR0M6U0P0
— Jesús Ramírez Cuevas (@JesusRCuevas) April 6, 2020
世界的危機から抜け出すためのメキシコのモデル
イラスト内、真ん中の上のタイトル訳:幸福と雇用プラン、3つ軸
3つの軸の訳、左から:公共・社会投資、完全雇用、政府の正直さと緊縮
公共投資
大統領は4T(メキシコ史上4番面の大改革で、石油精製工場、新空港建設や観光促進のマヤ列車などの公共投資をし大改革をしている。)は依然継続し、新たに水、排水プロジェクト、道路舗装に250億ペソ(約1134億円)の投資を発表。またPEMEX(メキシコ国営石油会社)の650億ペソ(約3000億円)の減税、エネルギー部門へ3339億ペソ(約1兆5千億円)の官民プログラムが投資されることも発表。
Public investment, social spending at heart of president’s economic plan. https://t.co/W4F5boA4TE pic.twitter.com/ys0Ovxfg2J
— Mexico News Daily (@mexicond) April 6, 2020
雇用創出
今後9ヶ月で200万の新雇用創出予定。このうち8万がマヤ列車プロジェクト、20万が「命を植える」農業プロジェクト、7千以上がテワンテペク地峡を横断する鉄道の近代化プロジェクトより創出されると4T 継続の価値を改めて示しました。
政府の緊縮
ロペス・オブラドール大統領は高官の減給、年末ボーナスをなくすことを発表。また、各政党の予算の半分を厚生省(新型コロナ対策予算)に回すようにお願いしました。
Pide AMLO a partidos que entreguen a salud el 50% de su presupuesto#Video 👉 https://t.co/0shmgYA8n2 pic.twitter.com/oGSXP4FXu1
— Aristegui Noticias (@AristeguiOnline) April 7, 2020
大統領の経済回復策に不満なCCE(ビジネス調整審議会)
大統領は、大企業への公的援助はないが、未払いの税金還付を迅速に行うことを約束。
が、CCE(ビジネス調整審議会)は大統領の経済回復策に大反対。9ヶ月で200万の雇用創出は非現実的、政府は企業救済するために借金をすべきと主張。
4月8日の大統領プレス・コンファレンスで、大統領の経済回復策に不満のCCEについて質問されたときに、大統領はこう言いました。
左:ロペス・オブラドール大統領 右:CCE会長 カルロス・サラサールAMLO les da con todo a los ricos del CCE y exige que paguen sus impuestos https://t.co/sbHmYz7h6y pic.twitter.com/JzYhvBeZD8
— Morena Nicolás Romero 😎 (@MorenaNicolasR) April 8, 2020
大統領いわく、反対する企業は少数派で、大半の企業は大統領の経済回復策に協力的だと。
4月7日、大統領はメキシコの大物ビジネスマン3人と話したが、誰一人として政府に要求することなく、自分たちはどのようにお手伝いができるかを聞いてきたと大物ビジネスマンと大統領の関係は大変良好とフェイク・ニュース防止として言及。
大統領は、多くの企業は経済回復策をサポートしてくれていると。‘Practically everyone’ in business sector supports economic plan: AMLO. https://t.co/Wg4lssh2Wf pic.twitter.com/TSe8OBXX73
— Mexico News Daily (@mexicond) April 7, 2020
上の写真:メキシコ大物ビジネスマンの3人
この世界的危機で、大統領が国民に呼びかけていること
「大統領は、貧困層だけ助けている!」という国民にこう説きました。
すべての宗教者、無神論者に敬意を表しますと断りを言った後、メキシコはカトリック教徒が多いのでと、大統領はフランシスコ法王の4月6日のツイートを用いてこう言いました。
フランシスコ法王のツイートを出し、説明する大統領AMLO cita al papa Francisco: “¿Por qué primero los pobres? Por humanismo, por solidaridad” https://t.co/jOukCI7SdT pic.twitter.com/j2UEKle19L
— RENOVAR PAPELES 🇲🇽 (@renovarMX) April 7, 2020
またある記者の別の質問に、大統領はこんな風に答えました。(これは大統領の経済回復策発表前の質問です。)
大統領:「危機のときこそ、信念がより強化されます。」
「助け合い」「分かち合い」の精神を
深めることで乗り越えようとするメキシコ
自分のことだけでなく
他人のことも思いやり助け合う
お金で解決できる先進諸国では
薄れていっている精神かも
(メキシコ万歳!)
popoちゃん的には「外出自粛」後、それほど生活に支障を感じていません。スーパーは、一家族から一人だけ買い物という制限とペットボトルの水の購入制限数があるくらいで、今のところ食品不足はないようです。あとはジム、カフェ、レストラン、エルパソ(アメリカ)に行けなくなったくらいです。ファレスでは、未だ能天気に大勢で飲み会を家で開いたりしている若者がいるらしく、罰金3万〜5万円、そして刑務所に3日間送られています。popoちゃんの旦那さまは家族で会社経営をしているのですが、社員の大半が若者で、最初のころ父親、母親が給料の支払いなしで解雇された、自分はどうなる?と解雇の不安を見せる社員が沢山いたとか。またお昼の2時に起きたりしている社員がいることが判明したため、非常事態期間中、社員が規則正しい生活を送れるように、勉強するコンテンツを毎日メールし、毎週時間差でお給料を取りにくるときに小テストしたりしてサポートしているようです。
さて、非常事態宣言の6日後、4月5日ロペス・オブラドール大統領は、この世界的危機を乗り越えるための経済回復策のスピーチ(約1時間)をしました。感染国がそれぞれの経済的援助を公表するなか、メキシコはどんな援助をしてくれるのだろうと胸に期待を膨らまし大統領のスピーチに釘付けになって観たpopoちゃんでした。。。が。。。その期待は見事に裏切られ、逆にこのような世界的危機で大切にしなければならない価値観にハッと気づかせてもらいました。
「他国と比較するのは、趣味が悪い」というロペス・オブラドール大統領。 大統領に言われて初めて気づたpopoちゃん。「そっか、確かにそれぞれ国のお財布事情、感染状況、医療状況、環境、文化、価値観は違う」どうしても世界で一番良いやり方を追求してしまうけれど、”一番良いやり方”はすべての国にとって必ずしもベストではないかも。。。「メキシコはメキシコのやり方で最善を尽くしてやっていく!」そんな憤りを感じたスピーチでした。大統領の信念は、こんな世界的危機でも全く揺るがず、汚職なし、銀行・大企業救済なし、貧しい人たち(国民の50%が貧困)の救済を最優先‼️国民に現金を配ることはなく、公共投資、雇用創出、政府関係者の緊縮の3つの軸でこの危機を乗り越えるらしい。
オブラドール政権は、借金まみれのボロボロのメキシコを受け継いで1年4カ月。これ以上メキシコの借金は増やさないという大統領の公約に、こんな世界的危機のときにまでも忠実。大統領の経済回復策は、今、メキシコの経済状況でできる範囲内の精一杯の策だということが後々よくわかりました。が、先日の時事記事で紹介されたMMT・現代貨幣理論動画、政府の借金は国民の資産になるのだったら、政府の借金で現金を配ってもいいのでは?と思ったりもしますが。。。メキシコの経済の仕組みがよくわかっていないので何とも言えません。何はともあれロペス・オブラドール大統領は、この危機を乗り越えるのに大切なこと、お金以外で大切なこと、メキシコの伝統的精神を呼び起こしたのでした✨。