ぴょんぴょんの「アパレルの陰謀」 〜毎年、新しい服を買わせるために

 若い頃、あまりに身なりにかまわないので、母に「かまわん殿下」の称号をつけられた私。
 たしかにその頃は、あまりファッションに興味はなかった。
 でも、最近は、服を作るのが楽しくてしょうがない。
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「アパレルの陰謀」 〜毎年、新しい服を買わせるために

服はどこで買う?


新型コロナで、気軽に買い物もできやしねえ。
と、思ってたら、アパレルメーカーも倒産しちまったし。

レナウンとか、ビックリだね。

ドライブウエイに、春がくりゃ♪ イェイェイェ、イェイェイ♪


へえ、レナウンの歌? こんなのがあったんだね。

おっと! 年代がバレる・・。
にしても、シルビイ・バルタン、セクシーだなあ〜〜。
しかもこの歌、「寺内貫太郎一家」の小林亜星が作詞作曲してるんだぜ。

寺内貫太郎一家? 小林亜星? だれそれ?

もお、話が通じんのお・・。

それより、気づいた?

なにに?

ほら、ぼくの着てるTシャツ!!

そんな、ドハデなカラシ色、持ってたっけ?

よく見てよ、ホラ! この背中のタグ!

どれどれ? お!「シロマル屋」だと??
よくもそんな、ケッタイなブランドがあったもんだ。

実はこれ、彼女の手作り。



彼女だとお? 買ったじゃなくて、作っただとお??

エヘン、オリジナルだよ。

・・んんん・・たしかによく見ると、縫った線は曲がっとるし、はしっこから糸がはみ出しとる・・。

そんなアラ捜し、しなくていいから、そこが手作りの良さでしょ。
サイズもピッタリだし、こればっか着ちゃうんだよね。

おうおう、ノロケてくれるじゃねえかよ。
確かに服は、着てナンボ、高級ブランドの服も、着なけりゃただのタンスのこやし。

ところでくろちゃんは、どこで服、買うの?

店員のいる店とか、コワくて近寄れねえな。
「これ、いいな」と思ってると、突然、店員がワープしてきて「なにか、お探しですか?」「サイズはおいくつですか」「どうぞ、ご試着されてください」とかズンズン責められて、試着室に入ったらもうオシマイ。


いつもの、くろちゃんらしくない!

「あら!まあ! まるでお客様のために作ったみたい、ピッタリ!」
とか言われても、
「う〜ん、こうゆうのは、今まで着たことねえし・・。」
などと言えば、
「あ〜ら、ときには、冒険も必要ですわ。
ほら、このネクタイと合わせると・・わあ!お似合いです! パチパチパチパチ。」
「ちなみに、そのネクタイ、いくら?」
「8万円。」
「うわあ! もういいです!」
って、逃げ出しちまうわな。

ずいぶん、高いネクタイ出してきたね。
ぼくも、店員さんが寄ってくる店、苦手だなあ。
でも、くろちゃんはいつも、なかなかシックだよ。

お! やっぱ、おめえもそう思うか?  
他のヤツにもよく言われて、困るんだよな〜♪

(うれしそう・・・)

・・・実は、全部これ、テレビショッピング。


テレビショッピング?
試着もしないのに、よく、自分に合うのを見つけられるね。

店員と話さなくてすむし、じっくり考える時間もあるし。
それに、30日以内なら返品可能だから、気に入らなければ返品すればいい。

ま、送料はこちら払いだがな。

テレビショッピングは、コワくて手が出せないなあ。

退屈な時は、おもしれえぞ、テレビショッピング。
1000枚も2000枚も大量生産してるくせに、「これを着て出かければ、まちがいなく、お友だちと差をつけられます」とか言っててさ。

人に差をつけるとか、品がないね。


アパレルの陰謀「今年のトレンド」とグローバル経済の正体


もひとつおもしろいのが、「今年のトレンド」ってワード。
やたら、「今年のトレンド」ってうるさいから、思ったんだ。
バレンタインはお菓子屋の陰謀、そして「今年のトレンド」はアパレルの陰謀。


アパレルの陰謀? なにそれ?

「今年のトレンド」だから、人に置いてかれないように買えってんだ。

どんなトレンドだって、自分に合ってりゃいいんでしょ。

ところが、ある年は長いのしかねえのに、翌年は短いのばっかし。

自分が着たいと思う服が、つねに売ってない。
けど、新しいのは欲しい。
だから、しかたなく「今年のトレンド」を買わされることになる。

「今年のトレンド」は、いったい誰が決めるの?

おそらく、アパレル・トップのお偉方だろうな。

やっぱ、そういうしかけがあるのか。

おかげで世界中、みんな、同じ格好させられて、違うの着るとはずれて見える。
はずれないために、自分に似合わなくても、毎年新しい服を買わされる。

そう言えば、色にもはやりがあるね。

見渡せば、一面、ドブねずみ色の服ばかし。

東京に行ってビックリするのは、みんな黒とグレー。

大阪行きゃあ、赤やヒョウ柄、スパンコールも見られるぞ。


きれいな色の服がほしいと思っても、めったに出会わない。
あるとすれば、高級ブティックで何十万もするから、とても手が届かないし。

しかし、おめえのそのショッキング・カラシ色、すごく似合ってるわ。

実はこのカラシ色、彼女がカラー診断してくれたんだよ。

カラー診断? なんだ、そりゃ?

この色は、ぼくの顔が、元気に見えるんだって。

たしかに、顔うつりがいい。

ここで、自己診断もできるよ。
「似合う色とは、その色合いを身に付けていると、あなた自身の顔が輝いて美しく見える色合いです。」(Sion Inc)

そう言やあ、東洋医学セミナーでも、ドーシャで服を選ぶ方法を教わったな。

自分に合うカラーやスタイルを知ってれば、トレンドにだまされて、ムダな買い物しないですむよ。

しかし、買わせたい側からすれば、自分に合ったカラーもスタイルも知られたくない。
必要なものだけ買って、ムダなものを買わなくなったら困る。

だから、「今年のトレンド」作戦なんだね。

利益追求のエサにされてたまるか。
おれたちは、自分に合った服が欲しいんだ。

Tシャツなんて、500円くらいで買えるじゃない?
でも、作るとなったら、意外と手間がかかるんだよ。
型紙を布に写す、それを裁断する。
襟とか袖とか、切れっ端の始末とか、めんどくさいんだって。


ハッハ! この縫い目じゃ、売りものにはほど遠い。

でも、買ったものとちがって、あたたかい。

たしかに、作り手はおめえのことを思いながら作った。
売ってるのと、比べ物にならねえくらい、幸せな作品だ。


既製品はたいてい、外国の安い労働力で作らせてるからね。
だから、ありえないような安い値段なんだよ。
現在、国内の衣料品の97.2%が輸入って知ってた?

たしかに、中国製ばっかしだ。
たまに、日本製を売りにしてるヤツも見かけるが。

日本製と言っても、実際は、外国から来た技能実習生がミシンを踏んでるからね。

縫製業界は、ブラックだからな。
外国人労働者にもそっぽを向かれる縫製業界。」(BUSINESS INSIDER)


しかし、なんで、本物の日本製の服は姿を消したの?

繊維・アパレルは、戦後の日本経済を支えた産業だった。
1950年代の初めは、繊維・アパレルを輸出してるのは日本だけだった。
ところが、1960年代に入って、香港・台湾・韓国が、日本に台頭してきた。
日本も、競争に負けられないとばかり、安い労働力を求めて、アジアの国々に進出していった。(中日新聞プラス)

安い労働力に振り回されて、自国の産業を破壊した典型例だね。

アジアに主導権を奪われた繊維・アパレル。
それが今度は、アジアの労働環境に弊害をもたらした。
大手アパレルメーカー、GAP、H&M、ZARA、ベネトン、ユニクロ……の集まるバングラデシュは、衣料品輸出で今や世界第2位だが、縫製工場の給料は1ヶ月3900円、夜勤は1300円。しわ寄せは、工場で働く労働者に行ってしまった。(現代ビジネス)


まる一日働いて、1ヶ月5200円!
重労働の割には、あまりにも安すぎる!
なのに、トップは大金持ちばかり、どうして?


それが、グローバル経済の正体さ。

参考:「家族の絆 〜夫婦(89):サーカーの思想:労働の搾取」

東南アジアの縫製現場は、悲惨な状況だ。
2013年、バングラデシュで、縫製工場のビルが崩壊し、従業員4000人が生き埋めに、1100人以上が亡くなった。(現代ビジネス)
今年(2020年)の1月、カンボジアでも、劣悪環境の縫製工場で約100人が失神した。(NNA ASIA)

そんなかわいそうな人たちが縫った服、着たくないよ。

波動がよくないだろうな。
しかし、なんで人は、「安物買いのゼニ失い」が好きなんだろう。

せちがらいデフレのご時世、たまには、衝動買いもしたいよ。
新しい服買うと、気分転換になるし、テンション上がるし、ストレス発散になるし。


だが、そうゆう服は、カロリーが高くて栄養がない、ファストフードにならって、「ファストファッション」と呼ばれている。(lifehacker)

「ファストファッション」かあ〜 そろそろ見直さないとね。

知ってるか?
日本では、毎年、なんと約94.2万トンの服が捨てられてる。

94.2万トンがどのくらいか、想像もつかないけど?

古着屋も困ってるらしいぞ。
倉庫が古着がいっぱいで、これ以上回収できない自治体が続出してる。
「市内から出る古着の3分の2程度は・・東南アジアに輸出される。しかし、各国とも感染拡大で古着の流通が滞り、販売先のめどが立たないため、引き取らない仲介業者が増えているという。」(朝日新聞)

新型コロナで、みんな家で、タンスの整理でもしたんだろうね。


・・つうか、買うなよ、捨てるような服。

古着屋に持ってったら、その後はどうなるの?

古着の主な輸出国は、
1位マレーシア、2位韓国、その他ベトナム、フィリピン、パキスタン、カンボジア。
(中古衣類を対象とした海外でのリユース実態調査)
マレーシアからさらに、他の東南アジア諸国やアフリカに輸出される。

ということは、貧しい国に回って行くんだね。
う〜ん、でも、何かおかしい。
カンボジア? 縫製工場で失神事件があったカンボジア?
どうして、自分の国で服が作れるのに、日本の古着を買うの?
東南アジアで作った服を日本が輸入して、それを日本人が買って、捨てて、また東南アジアに輸出して売る???
オカシクない?

カンボジアの人たちは、自分たちが縫った新品の服は、高くて買えねえんだよ。

これも、グローバル経済の正体か。

もう、こんな悲しい時代はおしまいにしよう。

そう言えば、このごろ、服を自分で作る人が増えてるみたいだよ。
彼女も、この本を見て作ったんだって。
「家庭科3だった私がワードローブ100%手作り服になりました。」


ステイホームで、裁縫する余裕ができたんだな。

それに、マスクを作る人が殺到したせいで、手芸用品のネットショップは一時、品薄状態で、白い糸やゴムは、どこも売り切れだったって。


意外なところで、好景気になってたんだな。

これからはみんなが、自分に合った、幸せの波動の服を着られるようになるといいね。


Writer

ぴょんぴょんDr.

白木 るい子(ぴょんぴょん先生)

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

東洋医学セミナー受講者の声

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