ぴょんぴょんの今こそ「鍋とフライパン革命」 〜アイスランドの無血市民革命をおさらいする

 「安倍政権、退場!」と叫んで、願いが叶った一瞬は歓喜するかもしれない。
 しかし、同じ穴のムジナが、またその椅子に座る景色はもう見たくない。
 新型コロナで、これまでとは全く違う次元に突入していく今、「政治も経済も今のままではダメ」ということが明らかになった今、いざ、私たち国民にバトンを渡された時、私たちは準備ができているのだろうか。
 国家滅亡の危機に果敢に立ち上がった国民が、自分たちのために政治をシフトさせた、賢いアイスランド。
 日本も、「祖国は腐って死にました、でも国民は熟してました」ってならないかな。
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの今こそ「鍋とフライパン革命」 〜アイスランドの無血市民革命をおさらいする

アイスランドってどんな国?


アヂイ、アヂイ、アヂイ!

ほんとに暑いね、まるでサウナだ〜。

アイス食いたい、アイス食いたい、アイス食いたい〜。

ちょっと待っててネ、おいしいアイスがあるから持ってくるよ。

アイス、アイス、アイス・・で、アイスランド思い出した。

Author:Kanko*[CC BY]

って、それ、もしかして、こじつけ??? 
今日はアイスランドの話だから?

アイス食いながら、アイスランドの話をしようじゃねえかってな。

アイスランドと言えば、「鍋とフライパン革命」でしょ。
国がデフォルトして、食料配給に並ぶくらいのインフレで、国民生活がヒドイことになって。しかも政府は、真犯人の銀行を救済するために税金を使い、グローバル・サラ金のIMFから借金しようとしていた。

そんな中で、果敢に立ち上がったアイスランド国民。
「ちょっと待って、民間銀行が作った借金を、なんで私たちが払わなくちゃならないの?」(ブーゲンビリアのティータイム
「いつも子供らや孫たちのことを考えているわ。こんな世界をあの子たちに残したいのかって?あなたたちに未来なんてないのよ。ただ銀行の借金を払い続けていくだけ。これが人生だと悟りなさい。なんて、子供たちに言える?」(ブーゲンビリアのティータイム
これらの名言を吐いたのは、時事ブログで紹介された自主製作映画(2012年)「アイスランド無血の市民革命:鍋とフライパン革命」に登場するヤツら。

たしか、アイスランドって、北海道よりちょっと大きいくらいだったよね。

Wikimedia_Commons[Public Domain]
アイスランドの国土


広さは10万平方キロ、車だと16時間で一周できちゃうくらいの(Guide To Iceland)島国に、新宿区よりちょっと多い約35万人が住んでいる。

新宿区民が北海道に散らばった・・ずいぶんスカスカだね。

とにかく、自然豊かな美しいところだ。
「緑の牧草地から、黒い溶岩の大地、美しい滝や氷河の数々、険しい山間のフィヨルド、絵になるような村、そして草を食む牛や羊。湖や海岸をうめる野鳥の数々。地平線には虹がかかり、その背後には雨を降らす黒い雲が...見るものは尽きません。」
Guide To Iceland

アイスランド語で「神々の滝」を意味するゴーザフォスの滝

いいなあ、行ってみたいなあ。

そんな国が、リーマンショックでひっくり返っちまった。
それまで、アイスランドの3大銀行は、金融カジノ三昧だった。
公営企業も公共サービスも民営化され、多くを民営化した結果、以前は議員が決めていた事柄も、経済界トップが決めるようになってしまった。

ブーゲンビリアのティータイム

まるで、安倍政権のやってきたことと同じ。

何もかも秘密にされてて、本当の数字がどうなのかまったく分らなかったんだ。
全てにおいて、何をどうすればいいのか見当もつかなかった。右派政権が腐敗したときには、もうどこもかしこも腐敗ばっかりで、左派政権になったらもうお手上げ状態になっちゃったんだよ。」(ブーゲンビリアのティータイム

まるで、今の日本みたい。


立ち上がったアイスランド市民


ところがバブルがはじけて、貨幣クローナが無価値になり、株式市場は停止、国家は破産。NAVER まとめ
このままだと未来永劫、借金を返すためだけに税金を納めつづけなければならなくなり、国外への移住希望者が殺到した。まさに国家存亡の危機だ。」(世界投資見聞録
しかし、そうはさせじと、市民が立ち上がった。
市民が鍋とフライパンを叩きながら、国会前で抗議したんだ。
― 内閣総辞職
― 中央銀行国有化
― 経済に関する決定を、国民投票で
― 責任者たちを投獄
― 国民による憲法改正
NAVER まとめ

それが「鍋とフライパン革命」だったんだ。

ところが、内閣総辞職で入れかわった新政府も、銀行の負債は税金で穴埋めすると言い出した。期待していた国民は怒りまくって、抗議デモで国民投票を要求。
そして、国民投票で決議は否決され、借金は踏み倒すことに決まった。

借金、踏み倒してもいいの?

もともと投資は自己責任なのだから、『民間銀行の預金を政府が無制限に保護する理由はない』というアイスランド政府の主張は正論だ。」(世界投資見聞録

Author:Cicero85[CC BY-SA]
アイスランドの議会 inレイキャビク

そうかあ、どこの国もそうやったらいいのに。

銀行の仕組みをちゃんと理解していれば、それはできる。
「マネーサプライの大部分は、銀行が貸し付けたときに発生する、つまりは『無』から創られるものなんだ。」バブルで増やした「ウルトラリッチの預金を、普通の人たちの預金によって守らなくてはならない理由ってある?ないよね?」ならば、IMFなどから借り換えればいいのか、いやいやそれは、アイスランド政府に巨額の対外債務を負わせ、税金から返済することになり、「最終的にはボクたちみんな、おそらくはボクらの子供たちも、さらには孫の時代になってもまだ借金の支払いに追われることになっちゃうのさ。」
ブーゲンビリアのティータイム

よくわかる〜!

借金を踏み倒した結果、アイスランドは、そのわずか4年後に、国債の格付けを投資適格まで引き上げるのに成功した。」(NAVER まとめ

やっぱ、借金、踏み倒して良かったんだ!

この危機を通じて、憲法改正を行うための国民議会が選出された。
522人の立候補者から、無所属の25人の市民が選ばれた。
彼らは、デンマークから押し付けられた、古い憲法の改正に取り組んだ。
「25人の市民は、新憲法の草稿を、国会に提出した。この普通の住民からなる25人は、オンラインで、何百人もの他の住民の助けを借りて、その書類をまとめた。」(NAVER まとめ

憲法学者じゃなくて、市民の作った憲法、そんなことできたんだ、すごいね。

そうやって彼らは、これまでスミに置かれた、環境保護にも取り組んだ。
アイスランドの産業と言えば漁業か地熱発電だが、アイスランドの美しい自然をカネに変えるヤカラもいる。たとえば2006年、アメリカのグローバル企業がアイスランドの大自然のど真ん中に、ド〜ンと作ったアルミ精錬工場。

美しい大自然の中にアルミ工場!? やめてくれ〜!

そういうことが二度と起こらないように、アイスランドの自然を法律で守る。
「人間がどのようにして自然を利用するかではなくて、なぜ自然が守られなければならないのかについて踏み込んでいるの。そこには、人間が自然から利益を得ようなんて発想がないのよ。だからアイスランドの憲法に、自然は特別な権利を有している、自然は全ての命の源であるって掲げたの。」(ブーゲンビリアのティータイム


カネにまみれてない、市民の発想はすばらしい!!

通貨発行の仕組みまで、変えていく。
「現代社会においては、貨幣を発行し流通させることが最大の権力なんだ。 だからボクたちはちゃんと考えなきゃならない。通貨を発行している人間は誰なのか・・このとてつもない権力を、銀行家の手中から政府へと移譲していきたい、そう思っている。」
ブーゲンビリアのティータイム

うわ、すばらしい!

体制側に支配された、メディアの改革にも踏み込んだ。
「アイスランドのマスコミが、私たち市民にとって重要なことを報道してくれないっていうのはまあ、想定内だけどね。欲深くて、支配欲が強くて、お金に執着している経営者連中にとって重要なことを報道するのがマスコミってものさ。」
ブーゲンビリアのティータイム


へえ〜〜〜 アイスランドも日本と同じだったんだ。

メディアに関しては、メディアのオーナーは(権力から)独立していなくてはならないし、ガラス張りでなければならないわ。以前のように、大金持ちがこっそりメディアを所有して、自分たちの利益代表者をが最も人気があるように見せかけるなんてこと、できなくなったのよ。」(ブーゲンビリアのティータイム

それで、彼らは、どういう法律を作ったの? 

さあね、自分で考えてみろ。


一人ひとりが考え始めたら、変えられる


おカネをもらって放映すれば、当然、おカネを出す人の言いなりになる。
そうならないために、どうすればいいのか?

お、自分で考えようとしているな、良きかな。

でも、ぼくなんかが考えたって大したこと考えられないよ。
それに、そんな大事なことを決める資格もないし。

じゃあ、資格のある専門家たちが、この国をどうしてきたか?
おれたちは無能だ、全員がそう思わされた結果が、今の日本じゃねえのか。
政治家は私たちが考えないように仕向けてくるのよ。みんな『政治家に一切合財まかせればいい』って思ってるでしょ。それはあんまり良い考えじゃあないわ。ちゃんと自分で考えていかないと、とんでもないことになるもの。」(ブーゲンビリアのティータイム

そうだね、ぼくたち政治家に任せっきりにしてきたね。

いいか、この話がわかりやすいぞ。
「例えば、6歳から8歳くらいの子どもが10人いるとして、その子たちを1つの部屋に集めて、部屋のテーブルにはチョコレートケーキを置いて、こう言うのさ。
『このケーキはこのままにしておいてね、私は30分ほど 部屋を離れるけど。』
・・・どうなると思う?
だけど、あなたがそこに腰を下ろしてこう言ったらどうなる?
『ケーキは食べちゃだめよ。そっとしておいてね。』
見ていれば、子どもたちはケーキに手を出したりはしないさ。」
ブーゲンビリアのティータイム


はあ〜〜〜〜 ケーキはすでに全部、お友だちに食べられちゃった。
「国民の無関心が政治の腐敗を許す」って、頭ではわかってたけどこういうことなのか。

一人ひとりが、考えなきゃいけねえんだ。
今のこの問題を、どうやって解決するのか?
この国を支えているのはおれたちだ、そこをもっと、自覚しねえとな。

一人ひとりが考え始めたら、変えられる。

ただ、お互いに言いたいことを言い合ってるだけじゃ、何も決まらねえ。
同じ志を持ってても、サラリーマン、漁師、弁護士、主婦、育った環境も 視点も違う。
だから、多数決で決めないで、少数派の意見を聞いて、討論を重ね、フィードバックして、矛盾があれば指摘する。これが、公正な政治だとアイスランドの連中は言う。
ブーゲンビリアのティータイム

flickr[Public Domain]
アイスランドの漁船

それは言いかえると、時間をかけるってことだね。

それでも、自分たちと反対の意見が出た時は、
すべての抗議に対して、それをリスペクトしつつ取り組んでいく方法を模索しなくちゃならないの。反対意見を排除するような人のレベルに落ちないでね。」(ブーゲンビリアのティータイム

はっ?! どっかで、そういうことがあったばかりだ。

おれたちは団結したい、だけど組織力では権力者にかなわねえ。

たしかに、「権力・カネ・秘密」で結ばれた組織に比べたら、善良な組織ほど拘束力ないね。

理想的な組織は、違いに目を向けず、共通の政策は何か、共通の目標は何か、共通の展望は何か、どうすれば団結していけるのかに目を向ける。
ブーゲンビリアのティータイム

とにかく、組織を作るには、知恵がいるってことだね。

おれたちは、自分の頭で考える。
そして、政治を監視する。
最後に「政治家はおれたちに雇われている」ことを、忘れちゃいけねえ。
「私たちはあなたに公僕として給料を払っているのに、あなたが私に従わないのなら辞めてもらうわ。あなたがするべきことをしないのなら用はないわ。辞めてちょうだい。
それが判らない、辞めたくないっていうのなら、私たちが退場させるわ。シンプルだけど、通すべき筋よ。」(ブーゲンビリアのティータイム

よく言った!! その通り!! 
非暴力で、正直で、盗まない。自然の理にかなう生活をし、貪欲を起こさない。
心を清らかに保ち、足るを知り、何ごとにも心乱さず、良書に親しみ、真理の導きに従う。
愛をもって、すべての生命に仕える、ヤマ・ニヤマにかなった人、政治家になってくださ〜い!!


おいおい、「なってくださ〜い」って、人ごとじゃねえんだよ!
おれたち一人ひとりが、そうなるんだよ!

キルキュフェットル山



舞台裏の会話に聞き耳を、、、。
お二人のやりとりがとても興味深かったので、お許しを得てご紹介します。(まのじ)

ぺり:ぺりどっと、ぴょん:ぴょんぴょん先生
ぺり :今回の記事を通して、政治への取り組み方というものを深く深く教えていただきました。

ぴょん:まったくその通りです。
森友も加計も桜を見る会も、もろもろの収賄も改ざんも・・・、
シミに目を向ける作業も大事だけど、
どうしたらそのシミを防げたのか、自分たちならどういう政治をするのか、そろそろ考えておくべきだよ、ってアイスランドの人々に言われた気がします。

ぺり :なぜ北欧の国ばかりが、羨ましいくらいの国になってるのでしょうか。
やはり少々涼しいくらいの方が頭が働いて動きやすいのかなどと妄想してます。
しかし、アイスランドも日本と同じような境遇に遭ったことを考えると、これからの日本も立ち直る可能性が示唆されてるようで希望が持てますね。
それにしても、普通に検索してても「鍋とフライパン革命」というのはあまり情報が出てきませんね。。。

ぴょん:NHKのBS「世界ふれあい街歩き」(北欧編)で、アイスランドが出ました。
家の庭や公園にボコボコ岩があるので、
日本庭園みたいな「ワビサビ」かと思ったら、
妖精の岩だそうです。
目に見えないものを大事にする国民性なんでしょうね。
アイスランドの人々、感じ良かったなあ。
東北や北陸も、「妖怪」の伝承が多いですよね。
寒いところは、心の目が研ぎ澄まされるのかもしれません。


Writer

ぴょんぴょんDr.

白木 るい子(ぴょんぴょん先生)

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

東洋医学セミナー受講者の声

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