————————————————————————
第9回 調和純正律で曲を演奏する(3)〜補足(オクターヴと経脈、テンポの調整)
オクターヴと経脈
オクターヴで変わる経脈への作用
調和純正律は音のオクターヴ(音の高低)によって、身体への作用が異なります。次の映像をご覧ください。
第4回では、調和純正律の十二音階は「十二経脈」とよばれる、身体の気のルートに対応することを説明しました。実は、次のように、オクターヴによって作用する経脈は異なっています。
↑高音
A7 〜 G#8:
月の十二経脈(副交感神経系) 男性なら右半身 / 女性なら左半身
A6 〜 G#7:
月の十二経脈(副交感神経系) 男性なら左半身 / 女性なら右半身
A5 〜 G#6:
太陽の十二経脈(交感神経系) 男性なら右半身 / 女性なら左半身
A4 〜 G#5:
太陽の十二経脈(交感神経系) 男性なら左半身 / 女性なら右半身
↓低音
この性質を利用すると、次のように音域を選ぶことで、状況に応じた演奏を行うことができます。
交感神経系を優位にしたい状況(活動的な時間や場所):
A4 から G#6 の音が多く含まれるように曲を演奏する
副交感神経系を優位にしたい状況(リラックス向きの時間や場所):
A6 から G#8 の音が多く含まれるように曲を演奏する
※経脈への作用と適した目的の関係については、アージュナー・チャートの効果と飾り方の説明も参考になります。
例えば、2020年9月30日の竹下氏の記事では、完全にリラックスしている小動物の出す波動が、月の十二経脈を活性化することが示されました。A6以上の高い音で演奏をすれば、このような効果を、音楽を通じてもたらすことができます。
ただ、実際のところ、パソコンで鳴らした高い音を聴いてリラックスできるかというと、耳障りで安らぎどころではないというのが正直な感想です。優れたシンセサイザーや、高性能のアンプやスピーカーを用いると、どのような体感になるか興味深いところです。
オクターヴを変えて演奏する方法
さて、LMMSによる調和純正律の演奏において、オクターヴを変える方法を紹介します。前回、調和純正律で演奏を行う方法として、次の2つを紹介しました。
1.自分で鍵盤を弾いて演奏する
2.ネット上にある曲データを、編曲ソフトに読み込ませて演奏する
上の1.の場合は、オクターヴを変えるには、どの鍵盤にも付いている「オクターヴ・シフト」ボタンを使うだけで済みます。ですので、2.の場合にどのようにするのかを説明します。
サウンドフォントの再ダウンロード
まず、この目的のために、現在配布している調和純正律サウンドフォントを更新しました。ですので、もう一度、第7回の「 サウンドフォントのダウンロード 」の手順(サウンドフォントのダウンロードからsoundfontsフォルダへの設置までの手順)を行ってください。
これを行ったら、LMMSは再起動してください。
MIDIファイルを取り込んだ後の手順
次に、前回MIDIファイルを取り込んだ後の状態で、「ソングエディター」ウィンドウの、トラック名の部分(次の画像の1.)をクリックしてください。「インストゥルメント・エディタ」(次の画像の2.)が開きます。
次に、「PATCH」の右の方にあるスパナのアイコンをクリックしてください。
次の "Soundfont patches" ダイアログが開きます。
ここで、次のように好みのパッチを選択して、右下のOKボタンをクリックします。
・出す音のオクターヴを1つ上にしたいなら、"D274HPI-OCT+1" を選びます。
・2つ上にしたいなら "D274HPI-OCT+2" を選びます。3つ上も同様です。
・元に戻したい場合は、一番上の、 "SteinwayD274-HPI" を選びます。
あとは前回同様、曲を再生するだけです。これで、先の動画のように、同じ曲でも自由にオクターヴを上げ下げして演奏させる=作用する経脈の範囲を変える、ということができるようになります。
テンポの調整
MIDIファイルを取り込んだ後、曲のテンポを変えたいことがあるかもしれません。
例えば、音楽家・故片岡慎介氏が発明した「絶対テンポ116」にしてみるのもいいかもしれません。竹下氏によれば、この絶対テンポ116は体表のマニプーラ・チャクラを開くテンポになっており、このテンポにあわせて身体を使う作業をすると疲れにくいそうです!
さて、テンポを変えるには次のようにします。まず、LMMSの上部にある、テンポ/BPMという箇所を右クリックして、「曲全体のオートメーションを削除」をクリックします。
次に、テンポ/BPMの数字をダブルクリックすると、テンポの数字を入力するダイアログが出てきます。好きなテンポをBPM(分あたりの拍数)で入力し、OKをクリックしてください。
これでテンポを自由に変えて演奏することができます。
◇ テンポ116の音楽を演奏したい場合の注意 ◇
MIDIデータの中には、テンポを無視してキーボードで音符を打ち込んだものも多くあります。前回題材にした、Creative Commonsのサイトにある「きらきら星変奏曲」もその例です。
この曲のMIDIファイルを取り込んだ後、次の画像の1.の緑色の部分(「セグメント」)をダブルクリックしてください。2.の「ピアノロール」というウィンドウが開きます。
緑色の粒が、ひとつひとつの音です。これが縦の線(小節または拍の線)と揃っていないのがわかりますでしょうか。このような曲の場合は、例えばテンポの数字を116にセットしても、そのテンポにはなりませんので注意してください。
今回で、LMMSを用いた調和純正律で曲を演奏する方法についての説明は終了します。次回からは、理屈の説明や調和純正律サウンドフォントの作り方に触れていきます。これらは、電子音楽のことをある程度ご存知の方向けの発展編になります。
この記事は、シャンティ・フーラによる執筆記事です。音楽の分野に詳しい方におかれましては、もし間違いや説明上改善すべき点などがありましたら、ご指摘やご意見をいただければ幸甚です。ぜひ、こちらのコメント欄にフィードバックをお寄せください。
前回は、鍵盤で弾く、あるいはネット上にあるMIDIデータを編曲ソフトに読み込ませる、といった形での演奏の方法を紹介しました。今回は、前回までで説明できなかった周辺事項を説明します。
段々話題がマニアックになってきて、あまり関心のない読者の皆様には申し訳ないです。ただ、絶対テンポ116の話など、所々に小ネタを入れていますので、都合よく拾い読みしていただければ幸いです。
さて、本時事ブログでおなじみのぴょんぴょん先生から、演奏成功の報告コメントをいただきました。ありがとうございます。あのUbuntu(Linux環境)で演奏を成功したということや、疲れたときに演奏を聴いた時の感想など、かなり貴重なレポートです! この場を借りて紹介させていただきます。