“Bluetooth in ワクチン”の技術的検証(3/3) 〜 信号の収集と解析結果

シャンティ・フーラスタッフからの情報です。
 第1回第2回に引き続いて、「ワクチン接種者がBluetoothに反応する」かどうかを技術的に検証しています。最終回では、実際の信号の収集と解析の結果を紹介したいと思います。

 結果の通り、今回の検証では“Bluetooth in ワクチン”の可能性を示唆する証拠は見つかりませんでした。

 しかし、Bluetooth現象が証明されるかどうか自体は、重要ではありません。ワクチンによって人間が追跡されるか、あるいはグリッドに接続される可能性は、科学者がワクチン中に発見した数々の異物をはじめとして、本時事ブログに上がってくる情報から、存在するといってよいと思います。それが、Bluetoothである必要はありません。

 大切なことはどのような情報も真偽を断定せず、可能性として冷静に取り扱うことだと思います。このBluetooth現象にしても、有るか無いかを断定せず、「○%の確率であり得るかな」という風に考えてもいいのではないかと思います。

 ワクチンに限らずどんな情報も、専門家の綿密な検証を待っていては遅い、という側面があります。今出回っている情報から可能性を判断し、我々の未来の命を守る選択肢を察知して動く必要があると思います。
(るぱぱ)
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信号収集の方法
 

第1回で述べた通り、筆者は多数の信号を収集して解析するという方法を取りました

この目的に使えそうな幾つかのAndroidスマートフォン用アプリを試した所、筆者が必要とする機能を持つものはなかったため、独自の収集アプリと、収集したデータの解析ツールを開発しました

Bluetooth信号を収集し、
後でパソコンで解析できる形で保存する独自アプリ

※本記事における「信号」とはLE規格のAdvertisingパケットを指します。

このアプリを動作させたスマートフォンを持って、商業施設・スーパーマーケット・役所・イベント会場など、接種者・非接種者を問わず、多数の人が集まる場所をいくつか訪れました。このようにして大量の信号を収集しました


解析の方法

訪れた場所ごとに信号のデータを解析し、MACアドレスの種類・発信元デバイスの特徴・サービス名や会社名を検出しました。これらの情報を、表計算ソフトで集計しました



さまざまな集計を試した結果、上の表のように集計することが効果的と分かりました。具体的には次のような構造の表となっています。

  • 行(表の左側):
     ⚬ 集計階層1: デバイス名
      ・ 例: TS8430 Series (Canonプリンタのひとつ)
     ⚬ 集計階層2: Manufacturer Specific Data の Company Id
      ・ 例: 0x004C Apple, Inc.
     ⚬ 集計階層3: Service UUIDs
      ・ 例: FD6F Exposure Notification Service
  • 列(表の上側):
     ⚬ 集計階層1: MACアドレスから推定した会社名またはサービスの種類
      ・ 例: Aplix IP Holdings Corporation
     ⚬ 集計階層2: 信号によって申告されたデバイスの能力
      ・ 例: Dsc, LeOnly → Dsc は Discoverable(発見可能), LeOnly は LEのみ対応=BR/EDR非対応の意味
  • 各数:
     ⚬ 行と列の特性に一致したMACアドレスの数

※「発見可能」とは、このような信号を受信した場合は、ユーザーに見せるBluetoothデバイス一覧画面にこの信号の発信元デバイスを加えるべきという意味のようです。つまり、これが無い信号は、通常はBluetoothデバイス一覧には表示されないと思われます。(Bluetooth Core 5.2 仕様書のセクション 9.2.6 の内容より推測)


解析の結果

以下、場所ごとに解析の結果を示します。

場所1. 中規模ショッピングモールの食品スーパーコーナー


そばを通過した成人数 130〜160名
合計MACアドレス数 811
 1.Apple製デバイス/iBeacon 485
 2.Microsoft製デバイス 33
 3.デバイス名あり 6
 4.Manufacturer Specific Dataからメーカー検出 2
 5.接触確認アプリ 126
 6.16-bit Service UUIDからサービス/メーカー検出 83
 7.128-bit Service UUIDあり 2
 8.MACアドレスからメーカー名検出 6
 9-1.Apple製デバイス(謎の信号) 確認済 55
 9-2.Apple製デバイス(謎の信号) 可能性あり 9
 X.上のいずれも当てはまらない信号 4

中規模ショッピングモールの食品スーパーコーナーを、人が混雑している時間に訪れ、10分間歩き回って信号を収集した結果です。

まずはこのケースを例に、表の説明します表は検出されたMACアドレスの数を第2回で示した「除外すべき信号例」の1.〜9.に該当する信号ごとに集計したものです。

これらを全体数から差し引いた「X.上のいずれも当てはまらない信号」のMACアドレスの数が、疑わしい信号ということになります。この「X.上のいずれも当てはまらない信号」の数が、「そばを通過した成人数」の一定割合に相当する場合、ワクチン接種者からの信号の存在が疑われます

なお、広島県の現時点のワクチン接種率はこちらの「広島県ワクチンメーター」 によると69.4% (-д-;) とのことです。この「一定割合」には、50〜70%あたりを想定するとよいのではないかと思います。

結果は上表の通り、そもそも収集したほとんどの信号が除外できるものでした。「X.上のいずれも当てはまらない信号」の中身も調べましたが、ことさら特殊な信号と思えないものでした。

なぜApple製デバイスの信号がこんなに多いのか

Apple製デバイスの信号が「そばを通過した成人数」に比べてあまりにも多い点が気になりますが、これは次の理由が考えられます。

  • Apple製デバイスは、プライバシー保護の目的で、Bluetoothの仕様上推奨されている15分(第1回目参照)よりも短い間隔で、MACアドレスを切り替えているかもしれない。信号収集中にMACアドレスを切り替えられてしまうと、それは1つの端末でも2つ以上として検知されてしまう。
  • 一人の人が、iPhoneとAirPodsWatchを持っている、というふうに、Apple製の2〜3個のBluetooth対応デバイスを持っていることは珍しくない。
  • 信号は遠くまで飛ぶ。筆者の周囲にいない人が持つ、遠くのAppleデバイスの信号を拾ってしまった可能性がある。


場所2. 役所 


そばを通過した成人数 10〜20名
合計MACアドレス数 328
 1.Apple製デバイス/iBeacon 144
 2.Microsoft製デバイス 78
 3.デバイス名あり 3
 4.Manufacturer Specific Dataからメーカー検出 0
 5.接触確認アプリ 73
 6.16-bit Service UUIDからサービス/メーカー検出 0
 7.128-bit Service UUIDあり 0
 8.MACアドレスからメーカー名検出 0
 9-1.Apple製デバイス(謎の信号) 確認済 26
 9-2.Apple製デバイス(謎の信号) 可能性あり 3
 X.上のいずれも当てはまらない信号 1

周囲を通過した人の数は少ないのですが、ある役所の3階建ての建物に用事で出入りした結果です。

こちらも、収集したほとんどの信号が除外できるものでした。また、「X.上のいずれも当てはまらない信号」の数を先の場所1.と対比すると、人数があまりにも違うのに、ほとんど差がない点にも注目してください。


場所3. 自然系イベント(非接種者多数と予想) 


そばを通過した成人数 30〜50名
合計MACアドレス数 152
 1.Apple製デバイス/iBeacon 110
 2.Microsoft製デバイス 2
 3.デバイス名あり 1
 4.Manufacturer Specific Dataからメーカー検出 0
 5.接触確認アプリ 29
 6.16-bit Service UUIDからサービス/メーカー検出 0
 7.128-bit Service UUIDあり 0
 8.MACアドレスからメーカー名検出 0
 9-1.Apple製デバイス(謎の信号) 確認済 7
 9-2.Apple製デバイス(謎の信号) 可能性あり 3
 X.上のいずれも当てはまらない信号 0

こちらはある自然豊かな場所で行われたイベントに参加したものです。確証はなく偏見かもしれないのですが、参加者・出店者のタイプからは、ワクチン接種を忌避する人が多く参加したイベントではないかと思っています

しかし、収集した信号を分析した結果は、他の場所と同様でした。Apple製デバイスの信号が、そばを通過した人数に対し非常に多く出るという傾向も、場所1.と比べて差がありませんでした。


結論と考察

他にも様々な場所で収集を行いましたが、ほぼ似たような結果となりました。今回の検証からは、“Bluetooth in ワクチン”の可能性を示唆する証拠は見つかりませんでした

Bluetooth現象の存在は否定されたのでしょうか? 筆者の検証で不十分だった点があるとすれば次の通りです:

  1. 筆者の居住地上の制約がありました。たまたま居住地に出回っていたワクチンのロットはBluetooth現象が見られないものだった、という可能性があります。

  2. ワクチン接種者からの信号が、世間に溢れかえっているApple製デバイスの信号を偽装している可能性があるかもしれません。この可能性については、第1回目で述べた検証方法のうち 1.の方法を電波暗室のような場所で行い、検出された信号がApple製であることを確認する必要がありますが、筆者には実現できませんでした。

ですので、ぜひ皆様も第2回目を参考に、単に不明なMACアドレスが一覧に出てきた、BLE Scannerで信号が見つかった、というだけではなく、信号の中身を調べて判断して、証拠を探してみていただければと思います

最後までお読みいただき、ありがとうございました。今後とも時事ブログをよろしくお願いいたします。

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