「シャーロック・ホームズの冒険」の登場人物たち
このごろ、「シャーロック・ホームズの冒険」が楽しみ。

そう言えば、今やってるな。

去年の秋から、毎週欠かさず見てるよ。
見てるだけで、当時のイギリスにどっぷりと引きずり込まれてしまう。
シャーロック・ホームズの人物像と言えば、
「
常に知的刺激を求めることが最優先とし世間的には変人の類である。風変わりな事件の捜査には寝食を惜しんで当たるが、何事もなく退屈をもてあますとワガママになって荒れ、コカインに手を出す悪癖を持つ。本質は
騎士道精神に満ちあふれた礼儀正しい紳士で友情にも非常に厚い。」(
Wiki)
そのホームズを演じる俳優が、またカッコいいよねえ。
ジェレミー・ブレットだろ。
「
本の挿絵そのものの外見、神経質な声のひびき、イメージどおりのしぐさ、エキセントリックな雰囲気…と、どれをとっても文句のつけどころがない。本からそのまま飛び出てきたような『ワトスン君!』なホームズ。」
(
嗚呼、イギリス)

「ワトスン君!」
ぼくは、ジェレミー・ブレット本人の声よりも、吹き替えの露口茂氏の声の方がしっくりくるなあ。

おれも。
にしても、よく、あんなピッタリな人がいたもんだ。
原作を読んだことないけど、あれこそが本物のホームズだって思うよ。
全世界のホームズ・オタク「シャーロキアン」たちも、「ホームズと言えばジェレミー・ブレット」と大絶賛。
精神を病んで、麻薬を止められない、ホームズの病的な感じもよく出てるし。

ジェレミー・ブレットも精神を病んでたらしいから、適役だったというわけだ。

なるほど、でも、
ほかの役者さんもみな本物だよね。
遠くから見てもわかるような大きな演技、メリハリのある表情。
一挙手一投足どころか、目の動きまで計算されていて、魅入ってしまう。

ホームズなんか、手の泥をぬぐう所作さえ、まるで茶道のお点前みたいだったぞ。

指先まで、神経が通っている感じだ。

彼の身体能力もかなりのものだ。
バレエダンサーみたいに宙を舞うシーンもあったよな。

彼らはみな、舞台俳優だからね。

おれは、
女房役のワトソンも好きだなあ。
キンキンに尖ったホームズのそばに、ワトソンがいるとホッとする。
ワトソン博士とホームズ(シドニー・パジェット画)
しっぽを振ってホームズのあとを付き従う、忠犬ハチ公って感じだね。
あの二人の友情がまたいいよねえ。
だけど、彼らはどうして一緒に住んでるんだろう?

そいつは、ホームズの最初の作品「
緋色の研究」を読めばわかる。
インドで軍医をしていたワトソンは、負傷したためにイギリスに帰ってきた。
しかし、カネも底をつき、ホテルには泊まれない。だれかルームシェアする人がいないか友人に話したところ、ホームズを紹介された。

それが、ハドソンさんの下宿だったのかあ。
ハドソンさんがしずしずと、ティーセット一式を2階に運んでくるとこなんか、正にイギリスって感じ。
ベーカー街221Bの見取り図

老人に毎日、あんな重いもんを2階まで運ばせるのはどうかと思うが。

女性を遠ざけてるホームズも、ハドソンさんのことは気に入ってるみたい。

たしかにホームズは、「ぼくは、女性を好きになったことがない」って言ってたな。
女性のトラウマでも、あるんかなあ?

ホームズはちょっと気難しいけど、モテると思うよ。

ワトソンは、いつも美人に片思いして失恋してる。

ハハハ! そういうとこが、人間らしくてホッとするよね。
原作では、彼はしばらくホームズと同居した後、結婚して開業医になって出たらしいよ。(
Wiki)

なるほど、ワトソンはやっぱりふつうで良かった。

でも、
あのドラマですばらしいのは、俳優だけじゃない。
忠実に再現された、ヴィクトリア時代のイギリスの風景。
蒸気機関車や辻馬車など、あの時代の乗り物がそっくりそのまま動いてる。

オープニングに出てくる、二階建ての馬車、ありゃなんだ?
あんなのが、ロンドンの町中を走ってたとは。

ロンドン名物の二階建てバスが、元は馬車だったなんて知らなかったよね。
乗り物だけじゃない。古い建物も昔のまま残されてるし。

娘の財産を横取りするために、毒蛇を使って娘を殺そうとする父親が住んでる、お化け屋敷みたいな貴族館だな。

そんなコワいとこばかりじゃなくて、こないだの「ボスコム渓谷の惨劇」では、二人が泊まったホテルがステキだったよ。
Gawsworth Hall

典型的なイギリスの建物だなあ。
こうゆうのが、現代まで残ってるのがイギリスらしい。
小道具や衣装にもこだわりを感じるね。
鹿撃ち帽にフード付きのロングコートこそ、まさにホームズだな。
コナン・ドイルという人物

ところで、
コナン・ドイルさんて医者だったよね。
忙しいのに、よくこんな本が書けたね。
コナン・ドイル

いや、
彼は医者に向いてなかったんだ。
はじめ、二人で開業したんだが、相手の医者から「お前のせいで患者が減る」と言われて、今度は一人で
開業すれば、だれも患者が来ない。眼科なら患者も来ると眼科に転向したが、やっぱり来ない。

それで、どうやって食べていけたんだろう?
患者が来なさすぎて、ヒマなので小説を書いていた。
そしたら、
それが売れだした。

やっぱ、最初から小説家になる人だったんだね。
患者さんがたくさん来てたら、ホームズは誕生しなかったよ。

たしかに、彼は医者にしておくにはもったいないくらいの知識を持っている。
たとえば、さまざまな犯罪の手口や、儀式めいたやり取り、暗号めいた遺言書。

そう言えば、
ホームズのお兄さんて、秘密結社のメンバーで政府の極秘事項に詳しいんだよ。
ドイル自身が、フリーメーソンのメンバーだったからなあ。
アーヘン大聖堂に施されたプロビデンスの目

そうだったんだ!

ワトソンだって?!

ドイルのフリーメーソン仲間のワトソン。
こいつが、ワトソン君のモデルだ。

それは知らなかった。
ドイルは、「サー」の称号も持っていた。

「サー・アーサー・コナン・ドイル」って言うよね。
シャーロック・ホームズで、世界的に有名になったから?

いやいや、そうじゃない。
ボーア戦争で、国内外から非難を浴びていたイギリス軍を弁護したからだ。

ボーア戦争って、なんだっけ?

ダイヤモンドや金銀を奪うために、イギリスがアフリカを侵略した戦争だよ。
ボーア戦争を描いた雑誌の挿絵

それだけでも、イギリス軍が非難を浴びるのは当然だね。

それだけじゃない、
イギリス軍は現地の住人に残虐行為をしていたんだ。
ゲリラの拠点と言って民家を焼き尽くしたため、焼け出された人々が強制収容所に送られて、そこで
2万人以上の人々が命を落とした。
(
Wiki)

ひどいことする!
そんな大英帝国の横暴を擁護して、ドイルさんは「サー」になったって?!
ドイルは、「大英帝国の拡大が世界に道徳と秩序をもたらす」と信じていた。
彼は「南アフリカ戦争 原因と行い」という小冊子にこう書いている。
「イギリス軍が民間人の家を焼くのは、そこがゲリラの拠点となった場合のみ」
「責任は最初にゲリラ戦法を行った側(ボーア人)にある」
強制収容所については、「食糧もしっかり出されている。それにもかかわらず収容者の死亡率が高いのは病気のせいだが、イギリス軍内でも病死者が続出しており、差別的な取り扱いではない」
イギリス軍人によるボーア人婦女子強姦については、「いかなる戦争でも女性は既婚・未婚問わず憎悪に晒される。避けられないことだ」。
(
Wiki)

わーお?! ドイルさん、正気か?

ドイルは、この小冊子を何冊も自腹で刷って配り、イギリスの汚名返上に貢献した。
それが評価されて、ナイトに叙され「サー・アーサー・コナン・ドイル」になった。

やっぱ、「サー」のつく人って、ヤバい。

じゃあ、
なんでドイルは「大英帝国、バンザ〜イ!」だったのか?

「大日本帝国、バンザ〜イ!」くらい気持ち悪い。
ウィキペディアには、こんなことが書いてある。
「母方のフォーリー家もフランスからアイルランドへ移住したカトリックであり、
系図をさかのぼるとフランスから渡来した英国王室プランタジネット朝につながるという。母はそのことを常に誇りにしていたという。」

はて?
プランタジネット朝、どっかで聞いたような?

王家の血筋だよ。

は? もしかして、マグダラのマリアの子孫てこと?
宗教学(初級223):秘密伝承(レンヌ・ル・シャトー) 〜 竹下雅敏 講演映像

あの回はオススメだよ!
シャーロック・ホームズを凌ぐ名推理で、チョーおもしろかった。

ドイルの思想には「大英帝国主義」以外に、「中世騎士道賛美」もある。
「ドイルは騎士道の強者への賛美はそのまま世界最強国大英帝国への信奉、騎士道の弱者への思いやりはそのまま大英帝国の寛大な植民地政策に反映されていると考えていた。」(
Wiki)

ドイルさん、王家を守るナイトの血筋なのかなあ?

さあ、そこらへんは想像の域を出ない。
だが、
ドイルが本当に書きたかったのは、シャーロック・ホームズなんかじゃなくて、歴史小説だったのは確かだ。
いかに大英帝国が、世界の覇者であるのか。
それを証明するには、正しい歴史を伝える必要があるから歴史小説が書きたい。
なのに、読者がホームズを書け書けうるさいから、とっととホームズを始末した。

それで、ホームズは早々に一回死んでるのか。

そう、でも結局ファンの要望で、ホームズを生き返らせることになったけどね。

皮肉だね、不本意のホームズが大ヒットになるなんて。
一方、ドイルさんの歴史小説なんて聞いたこともないよ。

ホームズ以外の本で、売れた本はあるのか?
ドイルはSFも書いていたと言うが、それも初耳だし。
ドイルさん、心霊主義にものめりこんでいたって?
ドイルは降霊会で、自分しか知らないことを言い当てられて、「スゴッ!!」とはまったらしい。以後、晩年まで、心霊主義の布教に生命をかけたみたいだ。
死者の霊と交信する降霊会
(1872年イングランド)

ホームズさんの体癖は何型だろう?

もう一個はなんだろう?

やっぱ、頭がキレるから上下、1型よりは2型って感じ?

ワトソンは?

おそらく彼は、二つとも奇数だな。
いると、周囲が明るくなる。でも、食事を妨害されるのがイヤそうだから3型か。
いつでもホームズについて行ける体力は、5型か。

とにもかくにも、来週の放送も楽しみだ♪
Writer
ぴょんぴょん
1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
(クリニックは2014年11月末に閉院)
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)
その懐かしのホームズさんが、4Kにグレードアップして現在放映中です。
夜霧、ガス灯、辻馬車が特徴的な、大英帝国最盛期のロンドンの風景が忠実に再現された映像、それが再び見られるのはうれしいことです。
そしてミステリアスな音楽と、一流の俳優陣の演技にも魅了されます。