ままぴよ日記 126 「オーストラリア旅行記 野生動物たち」

毎年、中1の孫に干支の絵を描いてもらうのですが、そっけなく「引退します」と返事がきました。「そうよね、いつまでもばあばの相手はできないよね」とあきらめていたら突然この絵が送られてきました。

お正月の絵にふさわしいのかわからないけれど「人間よ、おごることなかれ!」と、カツを入れられたような気がしました。
そうです、私達は本気で愛と平和への道に舵を切らなければいけません。
まずは足元からです。

毎回、自分ごとの記事で恐縮ですが今年もよろしくお願いいたします。
(かんなまま)
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我が家は何をやるのも大人数


昨年のクリスマスから今月中旬まで娘が暮らすオーストラリアに行ってきました。今回は私たち夫婦のほかに長男夫婦と中2、小5、小3,4歳の孫達、お嫁ちゃんの両親、長女の高1、中1の孫達を連れての大移動でした。

オーストラリアで迎え入れてくれるのは次女夫婦と小1の孫ですが、偶然近くに住んでいる姪夫婦と小3、小5の子ども達も合流です。全員で19人の登場人物!我が家は何をやるのも大人数。私にとってはこれが当たり前の家族ですが、世間から見たらびっくり家族かもしれません。

20日間の旅でしたが、オーストラリアの旅行記を2編に分けて書こうと思います。まず前編はオーストラリアのブッシュで出会った動物と娘の仕事について。後編はオーストラリアの学校と働き方です。


この旅の2つの目的


さて、久しぶりの海外旅行はデジタル化が進み、ネットでフライトのチケットはもちろんビザ申請、事前チェックイン、パスポートも全身もスキャンされて顔写真を撮られて入国するまで私の情報が強引に開示された気分になりました。これに抵抗したら娘にも会いに行けない時代だなと思いながら最後の入国審査の列に並びました。

ここが最後の関所です。大きな男性が無言で私とパスポートを見比べて、いきなり「行ってらっしゃい!」と言ってくれたのです。驚いてその方の顔を見ると満面の笑みで「日本に留学していました。楽しんで!」と言ってくれたのです。この一言で歓迎されている気持ちになりました。

キャッシュレスも進みオーストラリアドルを見ることもありませんでした。いろいろな事情でクレジットカードが作れない人や子ども達はどうするのだろうと素朴な疑問が湧いてきました。

着いたら娘が小型バスを運転して迎えに来てくれていました。この人数が泊まれる大きな家を借りて合宿です。ベッドルームが6つ。シャワーが3つ。ランドリー、キッチン、リビングがあるひろーい家。自然あふれる庭。スケールが違います。次女のパートナーが料理をを作ってくれて、積る話をしながらゆっくりワインを飲んで、ここに居るだけで楽しくなってきました。


ここでは2人のじいじも積極的にお片付けをしていたので記念写真を撮りました(笑)。

この旅の目的は、次女と姪の家族に会ってのんびりする事。そしてオーストラリアの自然を満喫する事です。


身近にいる多くの野生動物たち


庭にカンガルーや鳥が来るのは当たり前。日本と違って、いたるところに野生動物がいます。夕食がすんだら毎晩のように近くのブッシュに散歩に行き、日没後に夜行性の動物が出てくるのを楽しみました。

オーストラリアの動物は攻撃的ではないので夜間の散歩も安全です。周りを見たら観光客ではなく地元の人が家族や友達と気軽に散歩して野生動物を楽しんでいるのが印象的でした。ただし、毒蛇には注意!


次女はwildlife ecologistで、オーストラリアの野生動物の保護と自然環境の研究をしているのでその仕事ぶりも見せてくれました。夜でも見える特殊なライトを片手に動物のフンや足跡、巣を探して解説してくれました。

※野生のコアラ(激減しているそうです)

耳を澄ませば動物の泣き声、足音が遠くに聞こえます。久しぶりの静寂と漆黒の闇です。空を見上げれば満天の星。目の前でカンガルーが平然と餌を食べているし、木の上ではポッサムが大きな目でこちらを見ています。

そんな至福の時を楽しんで帰る道、娘の車の前に子ウサギが飛び出してきました。急ブレーキを踏みましたが間に合いません。「ああ~避けられなかった!」と言いながらゴム手袋をして車外に飛び出した次女。

戻ってきて「苦しがっていたらとどめを刺してあげようと思ったけどもう死んでたよ。そのまま道路に置いておくと違う動物が食べに来て又車に轢かれるからブッシュに戻して来たの」と言いました。次女は遭遇した野生動物のレスキューもしているそうです。

私は手を合わせて子ウサギのためにガヤトリー・マントラを唱えました。見ると孫も手を合わせて祈っていました。孫たちは動物がかわいいねえと言いながら子うさぎをひいて殺したことにショックを受けたようです。

人間がブッシュを分断して道路を拡張しているからこのような交通事故が増えているそうです。特にオーストラリアの郊外は道が広くて制限速度が時速100キロです。そのため道路のいたるところに動物の死体が転がっています。カンガルーなどの大型動物にぶつかる時もハンドルを切ってはいけないというルールがあるそうです。車が回転してもっと深刻な状態になるからです。

孫たちはショックを受けながらも動物との共存の難しさに思いを馳せた事でしょう。

次女は大学院でポッサムの研究をしていました。ポッサムは有袋類で樹上で暮らしています。夜行性なので夜になると木を渡り歩いてエサを探しています。

※このポッサムは家の前の木にいました。夜の散歩で出会いました。

オーストラリアの保護動物ですが、道路ができたおかげで種が分断されてきたので、ポッサム専用の橋を道路に架けて3年がかりで追跡して効果があることを証明したそうです。散歩していた川沿いの公園にもその橋が架かっていました。



蝙蝠の幼稚園


今は大学で講義をしながら都市に住む蝙蝠の研究をしています。蝙蝠は1000種類くらいいるのですが100年前から半減しているため保護動物に指定されています。ウイルスの感染源だと言われて嫌われていますが、実際は蝙蝠がいなかったらユーカリの森はなくなるし、生態系のバランスが崩れると熱く語っていました。

家の近くにいるフルーツ蝙蝠を見に行きました。「この木にいる蝙蝠は子ども達。親がえさを取りに行っている時に身を寄せる幼稚園みたいな場所よ」「この季節は赤ちゃんが生まれたばかりで、お母さんの大きな翼の中に赤ちゃんを包んでおっぱいをあげているでしょう」と教えてくれました。かわいい!


孫が「どうしてさかさまになっていても大丈夫なの?」と聞くと「蝙蝠の足は腱が発達しているからピンと足を延ばして木にぶら下がってもリラックスできるのよ。そして頭に血が上らないようになっているの」と説明してくれました。

オーストラリアの動物は天敵がいないのでのんびりしています。でも、イギリス人が囚人を連れて入植した時にハンティングのために狐、野兎、鹿などを連れてきたので、その動物たちが繁殖してオーストラリア固有の野生動物を殺して生態系を壊しているそうです。

それを守るために国を挙げて保護しています。民家の庭の草木も固有の種を植えるように推奨されているそうです。娘の家も柚子の木を育てていましたが外来種なので鉢に植えていました。


姪の別荘で見た星空のオーロラ


後日、姪の別荘に招待されました。そこはもっと田舎でおじいさんが養蜂をしていた所です。今もミツバチの巣箱がたくさんありました。ミツバチ用の水槽があって、ミツバチや鳥たちが水を飲みに来ます。ミツバチは水を飲むのも命がけ。羽が濡れて落ちたら溺れてしまいます。うまく睡蓮の葉っぱにとまって飲んでいました。

家の電気は太陽光と自家発電、水は雨水。天気に合わせてシャワーを浴びます。電気が大事なので暗がりを楽しみました。

満点の星空で、何とオーロラも出ていました。


朝はたくさんの鳥の声で目が覚めます。何て幸せなのでしょう!庭には鳥用の餌台や水が置いてあり、お店の前やレストランのテラスにも犬用の水が置いてありました。

夫は毎日、鳥の声で目が覚めて森を散歩していました。日本では忙しさのあまり立ち眩みがすると言っていたのが嘘のようです。私も動物に会えると思ったら足取りも軽く、夢中で草むらに入り込み、童心にかえったようでした。

人は本来、自然と共に暮らす生き物。そんな環境がいかに心身を安定させてくれるか、あらためて実感した旅でした。


Writer

かんなまま様プロフィール

かんなまま

男女女男の4人の子育てを終わり、そのうち3人が海外で暮らしている。孫は9人。
今は夫と愛犬とで静かに暮らしているが週末に孫が遊びに来る+義理母の介護の日々。
仕事は目の前の暮らし全て。でも、いつの間にか専業主婦のキャリアを活かしてベビーマッサージを教えたり、子育て支援をしたり、学校や行政の子育てや教育施策に参画するようになった。

趣味は夫曰く「備蓄とマントラ」(笑)
体癖 2-5
月のヴァータ
年を重ねて人生一巡りを過ぎてしまった。
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