————————————————————————

衝撃を受けた中学生の実態
20年前、自宅の敷地に小さな家を建ててお母さん達の居場所作った私は、高山静子さん(子育て中に保育士の資格を取り、先進的に子育て広場を立ち上げた方)のお話を聞きたくて子育てセミナーに申し込みました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E5%B1%B1%E9%9D%99%E5%AD%90
でも会場を見回しても知らない顔ばかり。予約していた分科会を間違えたことに気が付きました。ステージには下田博次教授(群馬大学院社会情報学部)が中学生の学校裏サイトの話を始めていました。
しまった!と思った私は受付で変更を申し出ましたが、行く予定だった分科会は定員オーバーで入れないとの事。あきらめて元の席に戻りました。でも話を聞くうちに私の知らない中学生の実態に衝撃を受けて動けなくなってしまいました。
そもそも機械音痴の私。ケータイ電話も持たず、パソコンも苦手でした。いちばん避けたい分科会でしたが、そこで聞いた子ども達の事が気になって落ち着かなくなりました。
その会場に知り合いが1人だけいたので、詳しく教えて欲しいと頼みました。すでに子どもの実態を危惧して集まった大学教授や小児科医、子育て支援者、放送関係者が子どもとメディアの問題を考える任意団体を作っていると教えてくれました。
https://komedia.or.jp/
早速、家に帰って中学生の息子に聞きました。「うちの学校にもあるよ」と当たり前のように言います。
学校裏サイトとは、ケータイ電話を持っている中学生が、部外者が入れないようにパスワードを設定して学校のHPの裏サイトを立ち上げたものです。その掲示板に生徒や先生を実名を挙げて誹謗中傷し、猥褻画像をあげたいじめが横行していました。2008年に文部科学省が発表した「青少年が利用する学校非公式サイトに関する調査報告書」によると4733サイトが存在していました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E8%A3%8F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%88
私は市の教育委員でもあったので、子どものメディア問題を考える団体に入れてもらい、裏サイトの実態と、小中学生の現状を学び始めました。
当時、仕事で授業参観する機会が多かったのですが、小学生までは元気だった子ども達が中学生になると急に荒れてくるのが気になっていました。授業中に堂々と眠っている子もいました。私語をして授業の邪魔をする子も数人います。先生はひたすら授業を続け、他の子ども達はじっと耐えています。教室が暗くて重たい空気に包まれていました。
正論を言う子どもがいじめのターゲットになるので、みんな黙っているのです。非行や暴力事件も起きて、とうとう学校が警察を呼ぶ事態になっていきました。
問題行動をおこす子どもは貧困、ひとり親、ネグレクト、虐待、暴力団との交流、薬物依存など様々な問題を抱えていました。
それを見て学校は親の躾や教育に問題があるという立場でした。でも、親に責任転嫁して済ませられるのだろうか?社会的に無力な子ども達はどうして生きて行けばいいのだろうか?といつも疑問に思っていました。
子ども達は持っていき場のない思春期のエネルギーを学校裏サイトで発散したのでしょうか?
同じころ、長崎の佐世保市で小6女子児童同級生殺人事件が起きました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%90%E4%B8%96%E4%BF%9D%E5%B0%8F6%E5%A5%B3%E5%85%90%E5%90%8C%E7%B4%9A%E7%94%9F%E6%AE%BA%E5%AE%B3%E4%BA%8B%E4%BB%B6
これは一見普通の家庭の子どもが、仲良しだった友達を学校で殺すという衝撃的な事件でした。ネットを介した書き込みがきっかけだと言われていますが、加害者はテレビドラマの殺人シーンを真似て計画的に殺したと自供しています。
子どもがこんなに安易に友人を殺せるのか?私達の団体はメディアが子どもの育ちにどんな影響を与えているのかを検証する必要があると思いました。当時、カメラ機能付きのケータイ電話が発売されて、いかがわしい情報も氾濫していました。麻薬も簡単に売られていました。子ども達に対しても何の規制も無いままです。
普通の家庭でも、大人自身がケータイ画面にくぎ付けになり、隣にいる子どもに目がいかなくなっていました。そして子どもが好奇心のままに小さな画面の中でどんな人と交流してどんなことをしているのかわからなくなっていきました。結局、誰も子ども達を守ろうとしなかったのです。
やがて、公民館やPTAの保護者など大人向けの講演活動を始めました。でも集まるのはケータイも持たない高齢者ばかり。孫が「ケータイ電話やパソコンを使いこなせて凄い!」と感心したり、「わからない世界だから」と、子どもへの悪影響など想像もできない状態でした。「かわいいお孫さんに内容も確認しないで暴力的なゲームを買ってあげないでください」というのがやっとでした。
問題意識を持った保護者は子ども達がケータイやゲーム機を欲しがって困っていました。そんな親は社会の中で孤立していきます。やがて、大人が子ども達がしていることについていけなくなり、経済中心の蟻地獄にのまれて行っているようでした。
事態は深刻になる一方なので、私たちの団体で県の教育委員会に交渉して直接小中学校に出向いてメディアの規範授業を始めたいと申し出ました。16年前の事です。
学校も年に一度は「保護者と学ぶ規範意識育成授業」をしなければいけません。テーマは①ネットによる誹謗中傷防止②初発型非行防止③薬物防止の中から選ぶのですが、年々私達への講師派遣依頼が増えていきました。
同時に公式インストラクターとしての養成講座が始まりました。自信はありませんでしたが私もインストラクターになりました。
学校から依頼があると小学生へは45分間、中学生へは50分間の授業をします。保護者と学ぶ授業です。最近は授業の後に保護者だけにもお話をしてくださいと頼まれることが多くなりました。毎年要請があるので事前の打ち合わせで校長先生、教頭先生、担任の先生とお話しができるし、授業では子ども達の生の声が聴けるので貴重な時間になっています。
全インストラクターで年間900校回った年もありました。
この仕事はやりがいはありますが、日々情報を更新していかなければついていけません。子どもの実態を知り、子どもの成長を理解し、子どもの生活に落としていかなければいけません。
メディア機器音痴の私は新しい情報に付いていけなくて何度もやめようと思いました。でも子ども達が知らないうちに蝕まれて行く現状を知ってしまった以上、何かしなければと思ってしまうのです。
毎回、「愛をもって子ども達にお話しできますように」と祈りながら学校に向かいます。
そして、子どもの生活からメディアを取り上げるだけではなく、自由に遊べる環境を作ってあげたいと思ってプレーパークを始めたのです。
プレーパークで育っている子どもたちの楽しそうな顔。親もお互いに助け合って幸せそうです。子どもはいつの時代も変わらない。育つ環境を整えて愛情深く育てれば子ども達は自ずと育っていくという実感を持てる時間です。
実は子どもの笑顔で元気になるという喜びを知ったので止められないというのが本音です。
次回は規範授業の内容や子どもの様子。次々回は社会問題としてのメディアについて書きたいと思います。
問題行動をおこす子どもは貧困、ひとり親、ネグレクト、虐待、暴力団との交流、薬物依存など様々な問題を抱えていました。
それを見て学校は親の躾や教育に問題があるという立場でした。でも、親に責任転嫁して済ませられるのだろうか?社会的に無力な子ども達はどうして生きて行けばいいのだろうか?といつも疑問に思っていました。
子ども達は持っていき場のない思春期のエネルギーを学校裏サイトで発散したのでしょうか?
同じころ、長崎の佐世保市で小6女子児童同級生殺人事件が起きました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%90%E4%B8%96%E4%BF%9D%E5%B0%8F6%E5%A5%B3%E5%85%90%E5%90%8C%E7%B4%9A%E7%94%9F%E6%AE%BA%E5%AE%B3%E4%BA%8B%E4%BB%B6
これは一見普通の家庭の子どもが、仲良しだった友達を学校で殺すという衝撃的な事件でした。ネットを介した書き込みがきっかけだと言われていますが、加害者はテレビドラマの殺人シーンを真似て計画的に殺したと自供しています。
子どもがこんなに安易に友人を殺せるのか?私達の団体はメディアが子どもの育ちにどんな影響を与えているのかを検証する必要があると思いました。当時、カメラ機能付きのケータイ電話が発売されて、いかがわしい情報も氾濫していました。麻薬も簡単に売られていました。子ども達に対しても何の規制も無いままです。
普通の家庭でも、大人自身がケータイ画面にくぎ付けになり、隣にいる子どもに目がいかなくなっていました。そして子どもが好奇心のままに小さな画面の中でどんな人と交流してどんなことをしているのかわからなくなっていきました。結局、誰も子ども達を守ろうとしなかったのです。
メディアの規範授業の始まり
やがて、公民館やPTAの保護者など大人向けの講演活動を始めました。でも集まるのはケータイも持たない高齢者ばかり。孫が「ケータイ電話やパソコンを使いこなせて凄い!」と感心したり、「わからない世界だから」と、子どもへの悪影響など想像もできない状態でした。「かわいいお孫さんに内容も確認しないで暴力的なゲームを買ってあげないでください」というのがやっとでした。
問題意識を持った保護者は子ども達がケータイやゲーム機を欲しがって困っていました。そんな親は社会の中で孤立していきます。やがて、大人が子ども達がしていることについていけなくなり、経済中心の蟻地獄にのまれて行っているようでした。
事態は深刻になる一方なので、私たちの団体で県の教育委員会に交渉して直接小中学校に出向いてメディアの規範授業を始めたいと申し出ました。16年前の事です。
学校も年に一度は「保護者と学ぶ規範意識育成授業」をしなければいけません。テーマは①ネットによる誹謗中傷防止②初発型非行防止③薬物防止の中から選ぶのですが、年々私達への講師派遣依頼が増えていきました。
同時に公式インストラクターとしての養成講座が始まりました。自信はありませんでしたが私もインストラクターになりました。
学校から依頼があると小学生へは45分間、中学生へは50分間の授業をします。保護者と学ぶ授業です。最近は授業の後に保護者だけにもお話をしてくださいと頼まれることが多くなりました。毎年要請があるので事前の打ち合わせで校長先生、教頭先生、担任の先生とお話しができるし、授業では子ども達の生の声が聴けるので貴重な時間になっています。
全インストラクターで年間900校回った年もありました。
この仕事はやりがいはありますが、日々情報を更新していかなければついていけません。子どもの実態を知り、子どもの成長を理解し、子どもの生活に落としていかなければいけません。
メディア機器音痴の私は新しい情報に付いていけなくて何度もやめようと思いました。でも子ども達が知らないうちに蝕まれて行く現状を知ってしまった以上、何かしなければと思ってしまうのです。
毎回、「愛をもって子ども達にお話しできますように」と祈りながら学校に向かいます。
そして、子どもの生活からメディアを取り上げるだけではなく、自由に遊べる環境を作ってあげたいと思ってプレーパークを始めたのです。
プレーパークで育っている子どもたちの楽しそうな顔。親もお互いに助け合って幸せそうです。子どもはいつの時代も変わらない。育つ環境を整えて愛情深く育てれば子ども達は自ずと育っていくという実感を持てる時間です。

プレーパークで見つけたタマムシ
実は子どもの笑顔で元気になるという喜びを知ったので止められないというのが本音です。
次回は規範授業の内容や子どもの様子。次々回は社会問題としてのメディアについて書きたいと思います。
仕方がないので昼休みはクーラーが付いた教室で過ごすことになります。「子ども達は何をしていますか?」と先生に聞くと「タブレットで遊んでいます。静かですよ」との事。
その上、スクールバスで通う子は「体力低下が深刻です」と言われました。
子どもの育つ環境に緊急事態のアラートが鳴り続けています。
今回から3回に分けて子どもたちが住んでいるメディアの世界の話です。