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企業経営の目で国家や政治を見てはいけない 〜 デフレ下で国民を救う政策は「無駄使いをしろ」「労働者はサボれ」「生産性は重視しない」

 20年以上も経済が成長せず、デフレが続く国は世界広しといえど日本だけです。「なぜか」。ついつい政治家や官僚がダメだから、という答えで完結しがちですが、国民の意識に誤解が根深くあるのではないかという鋭い指摘がありました。森永康平氏と中野剛志氏の対談動画ですが、近く行われる衆議院選挙にも影響する問題かもしれません。

 普通はこんな異常なデフレが続くと国民が政治を変えようとするものですが、なぜか日本国民は反対することもなく従ってきました。なぜ日本人はこの「自傷行為の」政治を支持してきたのか?
 ここでの中野剛志氏の解説は、感嘆するほどの説得力がありました。
企業経営者は、デフレ下で一所懸命、企業努力をしてきました。デフレの時は物価が下がり続け、貨幣価値は上がり続け、需要はない。こんな時は貯蓄に励み内部留保をして、投資など無駄使いをしないのが経営者の合理的な判断です。ところが全企業、全消費者が節約して投資や消費を控えると経済全体としてはデフレをさらに悪化させてしまいます。 
 そんな時は投資をしてデフレ脱却を計りますが、デフレの時に投資をするのはバカ。「誰か、デフレなのに投資をするバカが必要となる。しかも何十兆円もの投資をするバカでないとデフレ脱却ができない。」その大バカ者が「政府」なのでした。無駄に見える大型投資をして景気浮揚を図るのが政府で、古くはニューディール政策で効果を上げています。
 ところが企業経営者は、企業経営と政府を同じ感覚で見てしまい、政府は無駄使いをするなという目で見ると言います。これが反緊縮財政が受け入れられない素地のようです。
 ここに、企業を成功させた実績のあるカリスマ経営者など発信力のある者が、その成功体験の目で国家や政治を語ると「構造改革」「民間人を入れろ」「自由競争」「グローバル化」「規制緩和」「自分は努力をして成功した、才能がある。努力や才能の無い奴は切れ。働かざる者食うべからず」と唱えます。ほほう、誰のことか眼に浮かぶようです。国レベルでそれを実行すれば、失業が増え、賃金が下がり、需要が落ち込みます。経済は大失敗ですが、連中は政治の中枢に居座ります。
 中野氏は、ここに「トリック」があると明かしています。
ひとたびこのような新自由主義者を国民が支持してしまうと、失業や低賃金は政府の失策ではなく「自己責任」にされてしまう。うまくいかないのは自分のせいにされ、政府に居座る政治家などは責任を取らなくなります。逆に「失敗した人を救済する」と主張する大きな政府の場合は、失業や低賃金政策に成果が出ないと即座に退陣させられます。なるほど小泉政権の責任を取らないで許された実例を見て以降、国民は「自己責任」の呪縛とともに政治家の責任を追求できなくなったと語りました。森永氏は「政治と経済は表裏一体、政治の側にも経済と同様の負のスパイラルがあった」と述べていました。
 では、どうすれば日本は立ち直れるのか。
これまでの逆張りで、国は「無駄使いをしろ」「労働者はサボれ」「生産性は上げないで良い」という経営者の倫理に反するような政策が求められます。確かにマジメな人は反緊縮財政が受けつけられない感じ。しかしデフレ下は資本主義が機能していない局面なのでした。思考の習慣としてはやってはいけない「バカ」をすることが必須で、マスコミの騒ぐ「財政黒字」「財政赤字」というプライマリーバランスの企業感覚で見てはいけないのでした。
 「睡眠不足で栄養失調の時は、飯を食って寝ろ」という政策が国民を救うのです。
反緊縮財政の候補者を選びましょう。
(まのじ)
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【第2回】「合成の誤謬」から脱却しよう!
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【第3回】「ネオリベ vs ケインジアン」の壁
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コロナ禍の経済対策を理由に雇用保険料の引き上げを企らむ厚労省 〜 国民からお金を取り上げなくても経済成長が可能な日本

 「プライマリーバランス」や「財政健全化」などのワードが出たらご用心。いかにも国の経済を立て直すかのように見せて国民を困窮に導く財務省の方便です。藤井聡氏や三橋貴明氏によると、今ではこの理屈をすんなり理解する人が増えてきたという手応えがあるそうです。政府のプライマリーバランスの黒字化は「民間の赤字化」に他ならず、「具体的には、社会保障支出(福祉)の削減と、負担増、さらには増税、特に消費税増税」として国民に襲いかかってくることを三橋氏は述べています。
 さて、厚労省がしれっと雇用保険料の引き上げ検討を始めました。筋書き通りの展開です。その理由がコロナ禍によって給付した雇用調整助成金が財政を圧迫しているから、というひどいものでした。国会を見ていた者には、政府が雇用調整助成金をどれほど出し渋って申請者を痛めつけていたか、とても事業者や働く人を安心させる状況ではなかったことを覚えています。しかし、それでも政府のコロナ経済対策の失敗を補う一定の効果があったらしい。反緊縮財政の提言を積極的に行っておられる、あんどう裕衆議院議員は、はっきりと「保険料を上げる必要は全くない。(中略)国債発行により通貨を生み出し、これを雇用保険会計に投入すれば済む話だ。」と明快です。三橋氏は「政府の投資拡大や、消費税廃止といった需要拡大策を推進すれば、経済成長率名目で3%程度、軽々と達成できます。」と言明されています。
 今度の選挙では「財政健全化を目指す」というトンチンカンな候補には投票をしないこと、それが私たちを豊かにします。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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雇用保険料引き上げ検討、厚労省 財源逼迫、雇調金支給4兆円超え
引用元)
 厚生労働省が雇用保険料引き上げの検討に入ることが28日、分かった。コロナ禍で雇用調整助成金の給付決定額が4兆円を超え、財源が逼迫しているため。具体的な保険料率は今後、厚労相の諮問機関である労働政策審議会で議論し、早ければ来年の通常国会に雇用保険法改正案を提出する

 雇用保険は仕事を失っても生活に困らないようにするための事業と、雇用安定や能力開発の事業に大きく分けられる。保険料は労使が支払っており、一部事業には国費も投入されている。審議会では、労使の保険料率引き上げのほか、国費投入の在り方についても議論する。

 雇調金は休業手当の一部を補填する制度

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経済アナリスト・森永康平氏「コロナ禍での不況は国民の分断を生む」4割もの非正規雇用者に対して自己責任論を刷り込むのは誤り

 経済アナリストの森永卓郎氏がかつて「年収300万円時代」の到来を予測した時、300万円で生活できるわけがないと散々叩かれたエピソードは有名ですが、今や年収100万円を論ずる時代になってしまいました。その森永氏の長男、森永康平氏も経済アナリストをされているのですね。反緊縮の立場から、今起きている不況を雇用者数などのデータから解説されていました。
 とりわけ重要と思えたところは、今のコロナ不況の特徴が「国民の分断」にあることでした。コロナが直撃している平均年収170万円の非正規雇用の人々は4割もいるのに、一方でコロナ不況のダメージのない層もあり、ここに経済困窮の自己責任論が刷り込まれる「タチの悪さ」があると言います。
コロナの経済対策は国民全体に行うことが大原則で、当面お金に余裕がある人にも給付をして、すぐ消費をさせる。するとそれは誰かの所得になり経済が回る、という理屈です。コロナの経済対策は困っている人だけに給付したのでは効果的でなく、国全体で底上げが必要だと。
また日本は諸外国のようにコロナ以前の経済に戻したのでは全然足りない。諸外国が「やりすぎ!」と驚くほどの財政出動が必要だと。なぜならば、、。
 内容の要点を付しました。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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馬淵澄夫議員と山本太郎代表の「消費税減税研究会」が消費税5%具体策を提言 〜 野党共闘で是が非でも政権交代を

 冒頭のツイートはDFR様からの情報です。ウイーンでは、ロックダウンの間、生活の補償として「ボーナス」や「給付金」が出ていたそうですが、ロックダウンが終了したところで、今度は経済を回すための「カムバック・ボーナス」が、申請もしないうちから振り込まれたとあります。ツイートにもある通り「自国通貨でもないEU国」ですら、国民のためにこれだけの財政出動ができることを示しています。
 さて、馬淵澄夫議員と山本太郎代表が共同代表の「消費税減税研究会」が、消費税減税を実現するために、来るべき総選挙に向けての具体案を掲げて野党共闘を期しています。山本太郎代表としては一気に消費税廃止に持っていきたい気持ちがヒシヒシ伝わってきますが、絶対に政権交代を果たすために研究会での説得力ある提言をまとめて来られました。「永田町や霞ヶ関の頭の固い方々に理解」してもらえるように、とありますが、財務省が納得することはなさそうな。むしろ、国民の中に根深くある「消費税を廃止すれば財政破綻する」「社会保障のためには消費税を上げるべき」「国債発行は子孫の負担」など数々の虚構を、ここで改めてきっちり否定することが肝心のようです。
 国民が豊かになるために消費税減税を行うこと、そのために「二段階減税」という方法を丁寧に説明されていました。「コロナ禍が収束するまでは消費税5%に引き下げ、GDPギャップが埋まるまで減税を行う、その間に税体系を見直し、経済の十分な回復が見られない状況が続けば恒久減税に移行する」いいではないですか。
 この一点で野党が共闘し、是非とも政権交代を実現して欲しい。今しも命を絶つ人がいるのだから。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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危険性が知られないまま衆議院で可決された「銀行法改正案」〜 アトキンソン・竹中路線で日本の中小企業を徹底破壊

 多くの新型コロナウイルス感染症に対応した法律案が審議される中に紛れて、4月末にひっそりと衆議院で可決されたものがありました。
「新型コロナウイルス感染症等の影響による社会経済情勢の変化に対応して金融の機能の強化及び安定の確保を図るための銀行法等の一部を改正する法律案」
という舌を噛みそうな法案で、あたかも新型コロナで疲弊した経済を支援するかのようなタイトルですが、実は非常に危険な内容を隠し持った「銀行法改正案」でした。三橋貴明氏の解説動画が注目されています。
 これまで銀行は、中小企業の株式については5%までしか持てなかったものが、この改正により100%保有しても良いことになります。つまり銀行が中小企業の経営参加したり、経営権を奪うことすら可能になります。外資規制が無いため外国の銀行が日本の中小企業の経営に参画することも可能です。資金力のある銀行が経営難の中小企業の株式を高値で買い、不採算部門を切り捨て、その後M&Aで売り飛ばすというビジネスモデルが予想されます。事実、中小企業庁では「M&Aビジネスを推進する研究会を立ち上げている」そうです。とりわけ印象的だったのは「メガバンクや日本で免許を取得した外国の銀行が地域の住民の幸せを考えるでしょうか」という言葉でした。利益のみを優先して地域経済が破壊されることは目に見えています。逆に言えば、そういう危険を避けるために設けていた5%ルールを破壊してしまったのが今回の改正でした。中小企業改革を進める「アトキンソン・竹中路線」です。日本の地域経済のトドメの一刺し、日本史上最大のピンチ、緊急性の高い問題だと三橋氏は訴えていました。
 衆議院で反対したのは共産党のみ。法案は今、参議院に送られています。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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