注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
自家採種とは、農家が自ら生産した作物から種を採取し、次の年に作付けすること。企業が開発した種はF1品種と呼ばれ、収穫率が高く、品質の均一性にも優れるが、一代限りの種だ。一方、自家採取の種は、質の劣化は避けられないが、農家は工夫をしながら、種を代々つないできた。
(中略)
種子法廃止に続いて、農水省は自家採種を原則禁止する方向に動いている。種苗法で「自家採種を自由にできる」と規定しながら、省令で例外を次々に増やしているのだ。(中略)… 現在、禁止は356種類にも上る。タマネギ、ジャガイモ、トマト、ダイコン、ニンジンなどお馴染みの野菜も入っているから驚きだ。
(以下略)
新しい種を登録した農家や自治体がその種を育成する権利(育成者権)は、「種苗法」によって保護されている。一方、違反者には、次のような罰則が科せられる。
<(侵害の罪)第67条 育成者権又は専用利用権を侵害した者は、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する>
(中略)
日本各地で土地の風土や気候に適した在来種の種の交換会が行われているが、こうした交換会で、政府が自家採取禁止と定めたものを交換すると、種苗法違反の罰を受ける可能性があるのだ。元農水大臣で弁護士の山田正彦氏がこう言う。
「育成者権の侵害は重い刑罰が科せられている上に、共謀罪にも問われます。種の交換会に参加した人はもちろん、会の準備に加わった人も罰則の対象です。(中略)… 政府が自家採取できない種を勝手に決めるのは、在来種を守ってきた農家に対する権利侵害ですよ」
(以下略)
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種子法は2018年4月に廃止されたのですが、ことの発端は、2016年10月の規制改革推進会議の農業ワーキンググループの提言です。“地方公共団体中心のシステムで、民間の品種開発意欲を阻害している種子法は廃止”が打ち出されたのです。これを受けて、2017年の4月に、わずか3時間の審議で種子法廃止が可決。今年の4月から施行されたわけです。
種子の生産は、一般に4年かかると言われており、各地の農業試験場、種苗センター、種子生産農家の連携と努力、そして税金によって、これまで農家は安く優良で多種多様な種子を手に入れることができたのです。しかし、これではグローバル種子企業の種子ビジネスが儲かりません。なので、農業ワーキンググループは、“民間の品種開発意欲を阻害している”として、種子法を廃止せよと言ったわけです。
種子法廃止とともに成立したのが、農業競争力強化支援法で、各地の農業試験場の開発成果を民間事業者に提供しなさいと言うのです。まさに究極の売国と言える法律です。
下の記事を見ると、“種子法廃止に続いて、農水省は自家採種を原則禁止する方向に動いている”とあります。農水省は現在省令で356種の自家採取を禁止しているとあり、違反者には厳しい罰があるとのことです。
政府が禁止した種を交換すると、種苗法違反に問われる可能性があり、交換会に関わった人たちには共謀罪も適用される可能性があるとのことです。これはもう、日本の農業を殺しにかかっているとしか思えません。
安倍政権の思惑は、種子・農薬会社に日本の農業を売り渡すことです。種子・農薬会社は、種、肥料、農薬の3点セットを農民に売りつけます。そこで生産された米の販売権は、種子企業にあります。なので、この仕組みは事実上、種子企業による農家への生産委託契約なのです。日本の農業が完全に外資の支配下に陥り、日本の食料安全保障は消滅してしまいます。要するに、日本国民は人質になるということです。
民間企業の三井化学アグロは、「みつひかり」という米の種を販売していますが、都道府県の米の種と比較すると、価格が4倍から5倍だということです。インドでは、2002年にGM綿を認可した結果、モンサントがインド国内の主要な種苗会社を買収してしまい、GM以外の綿花の種がない状態になり、結果として種子価格は4倍、セットの肥料、農薬も4倍に跳ね上がったという実例があります。
このため、種子法廃止により日本の農業が外資にやられると、結果として米の値段は高騰すると思われます。毒入りの高い米を私たちは食べさせられるということになるわけです。
“続きはこちらから”以降は、この流れに反する動きが出てきたというもの。この動きが大きくなるかどうかは、私たち国民の覚醒如何にかかっていると言えます。