注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
Qatar, The Muslim Brotherhood, Hamas And Israel
— Oriental_Review (@ReviewOrie45124) December 8, 2023
Lolwah Al-Khater’s blunder
Lolwah Al-Khater, Qatari Minister for International Cooperation, visited Tel Aviv on November 25, 2023. It was the first time a Qatari official had visited Israel. She was…https://t.co/RXtRRMYUr1 pic.twitter.com/05i0pbQoKW
この記事は「ベンヤミン・ネタニヤフ首相の嘘とハマスの言い逃れの裏にあるもの」(ティエリ・メイサン著、2023年11月28日)に続くものです。
ロルワ・アル=ハテルの失態
2023年11月25日、カタールの国際協力大臣ロルワ・アル=ハテルがテルアビブを訪問した。カタールの高官がイスラエルを訪問するのは初めてのことだった。人質交換協定の履行に関する問題を解決するため、彼女は戦争内閣に迎えられた。彼女はガザも訪問した。
モサドのデビッド・バルネア長官との話し合いに慣れていた彼女は、戦争内閣がベンヤミン・ネタニヤフ首相の忠実な支持者だけでないことを理解していなかったようだ。時間を稼ぐために、彼女はハマスの名前に言及することなく決定を下した。
緊急閣議に参加し、この議論に立ち会った旧野党のメンバーは、彼女が調停者としての役割から一歩踏み出し、ムスリム同胞団のパレスチナ支部であるハマスに対する権威のつながりを明らかにしたことに衝撃を受けた。
会談後、イスラエル外務省のジョシュア・ザルカ戦略局次長は、仲介役としての役割を終え次第、イスラエルは「カタールと清算する」と宣言した。確かに、カタールがハマスに命令を下せるのであれば、10月7日のテロに対する責任をもはや隠すことはできない。仲介者でないばかりか、イスラエルの敵なのだ。
カタールの正体に少し戻ろう。
» 続きはこちらから
10月12日の記事で、2009年にロン・ポール下院議員(共和党、テキサス州)は、“ハマスの歴史を見ればわかることですが、ハマスはイスラエルによって奨励され、実際に創設されました。ヤセル・アラファトに対抗するためにハマスが必要だったからです”と言っていたこと、さらには2019年3月にイスラエルのネタニヤフ首相が、“パレスチナ国家の樹立を阻止したければ、「ハマスの強化」や「ハマスへの送金」を支持しなければならない”と言っていたことをお伝えしました。
この「ハマスへの送金」をしていたのが、自国内にイスラム組織ハマスが拠点を構えているカタールでした。
ティエリ・メイサン氏の前回の記事では、ハマスの構造は複雑で「一般戦闘員は指導者が何を企んでいるかを知らない」ということです。「ハマスは現在、2つの派閥に分かれている。第一派はイスマイル・ハニヤの指導の下、同胞団の路線に従っている。…もうひとつは、ハリル・ハヤの指導の下…イスラエル人によるパレスチナ人民の抑圧に終止符を打つために戦っている」とありました。
カタールはムスリム同胞団を支援しており、今回の記事の冒頭には、イスラエルとハマスの人質交換協定の問題で、カタールの国際協力大臣ロルワ・アル=ハテルは「ハマスの名前に言及することなく決定を下した」ことで、ムスリム同胞団のパレスチナ支部であるハマスに対する権威を見せつけ、緊急閣議に参加していた旧野党のメンバーに衝撃を与えた、というエピソードが語られています。
櫻井ジャーナルによれば、“ムスリム同胞団は1928年、ハッサン・アル・バンナによって創設されたが…イギリスのグランド・ロッジをモデルにして、イギリスの情報機関MI6によって組織された。その後、アメリカのCIAに乗っ取られた”と言うことでした。
CIAとムスリム同胞団によって「アラブの春」が仕掛けられ、エジプトは「2011年エジプト革命」で、約30年の長きにわたり独裁政権を維持したムバラク政権が倒され、2012年6月30日にムスリム同胞団のムハンマド・ムルシーが大統領になりました。
しかし、2013年7月3日に発生した「2013年エジプトクーデター」で、エジプト軍によってムハンマド・ムルシー大統領は権限を剥奪され、2014年6月8日からアブドルファッターフ・アッ=シーシー氏がエジプト第6代大統領に就任しています。
今回の記事によれば、アブドルファッターフ・アッ=シーシー大統領は、同国を1年間支配した秘密結社ムスリム同胞団から文書を入手し、ムスリム同胞団とカタールがサウジアラビアを転覆させる陰謀を企てた証拠を同国に送ったことで、「2017年カタール外交危機」が起きたことを説明しています。
こうした経緯を含め、カタールが「ハマスの政治・軍事戦略に対して権限を行使している」としています。