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[山田正彦氏×深田萌絵氏] 種苗法改正・種子法廃止の現状 〜 自家採取を取り締まる「秘密警察」育成者管理機関がいよいよ設置に「これからがまだ戦いなんです」

読者の方からの情報です。
 読者の方から「種子法と種苗法を巡る現状についての深田さんと山田先生の分かりやすい動画でした」と投稿いただきました。これまで時事ブログで追ってきた種子法・種苗法の振り返りにもなりました。山田正彦先生の解説に深田萌絵氏が「えっ!!」と何度も何度も驚いておられますが、本当に日本の農業が驚くような理不尽を押し付けられてきたことが分かります。「種子法廃止が2018年、種苗法改正2020年4月からということで今日に至るまでどういう動きがあったのか、そして今の日本にとってどんな悪影響があったのか」を語っています。
 種子法によって、地方自治体が主食となる米・麦・大豆を公共品種として管理し、国内それぞれの地域にあった優良な品種を、国の費用で農家に安く提供してきました。ところが日本は種子法を廃止し、米・麦・大豆への公共投資を一切やめて三井化学や日本モンサントなど民間企業の品種を政府が率先して農家に勧めました。三井化学の「みつひかり」の値段は従来のコシヒカリの10倍に跳ね上がり、しかも「米の収量が増加する」という農水省の触れ込みが嘘だったことが発覚し、あげくに三井化学は突然、種子の提供をやめ農家に大打撃を与えました。山田先生の調査によって三井化学の「みつひかり」は不良品種だったことが発覚しました。ロットによっては全く発芽しなかった種子を「発芽率90%以上」と虚偽表示の嘘をついて売っていたのです。その上調査報告では、三井化学は「みつひかり」に異品種を混ぜ、産地も偽造して売っていたという犯罪が発覚しました。ところが農水省は、その三井化学の種苗法違反に対して「不処分」の決定をしました。これに抗議して、山田正彦先生、鈴木宣弘先生、堤未果氏達が三井化学を刑事告発するに至ります。三井化学は種子事業から撤退を決め、結果として「一応日本の米・麦・大豆の種子は守られたと思っていい」。
 しかし今後の問題があります。種子法廃止の2週間後に「農業競争力強化支援法」という法律が通りました。これによって国や民間の優良な育種知見という財産を、企業から求められたら各都道府県の農業研究所や国の農研機構は提供しなければならなくなりました。深田氏は「それってTPPの影響じゃなかったですか?」山田先生が「大企業優先ですね。大企業の利益しか考えていない。(中略)米や種の自家採取は農民の権利なんです。自家採取を禁止するという国は日本をおいて他にない。」そして「いよいよ取り締まりが始まりそうになってきました。来年からね。」「育成者管理機関を農研機構の中に作って、民間の弁護士事務所を入れて、いよいよこれから種苗法違反に対する監視対応機関を設置してるという段階なんです。」「そんなの農家に対する秘密警察じゃないですか!」「世界中でモンサントポリスが訴えて回ってカナダ、中南米の農家が大変な目にあって問題になりましたが、そのモンサントポリスを日本では政府が我々の税金で今やろうとしている。」「これからがまだ戦いなんです。」ここでも日本の独立が求められます。
(まのじ)
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タネを守ろう!! 自民の農家苛め「種子法廃止・種苗法改正で日本は〇〇に!」元農水大臣山田正彦 × 深田萌絵 No.154
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東京大学の鈴木宣弘教授「日本の大事な種を、グローバル種子農薬企業さんを含めてね、渡してしまうような流れを強化したんじゃないか」「種子法廃止や種苗法改正を主導したのは、安倍政権時代の官邸」 / 石破茂議員「今農家が苦しんでいる。その赤字を、しっかりと財政出動で埋める必要がある。」

竹下雅敏氏からの情報です。
 主要農作物種子法(種子法)は2018年4月1日に廃止されました。種子法廃止は、“民間企業が種子生産に参入しやすくなるよう、規制を緩和する目的で廃止されたのではないか”と言われています。
 種苗法は一部改正され、2022年4月1日に完全施行されています。種苗法改正の背景には、“シャインマスカットの苗木が流失して中国・韓国で産地化される。サクランボ品種の「紅秀峰」がオーストラリアに流出して産地化される”といった国内の優良品種の流出事例がありました。
 育成者権の侵害を防ぐことや、新品種の開発投資が健全に農業者へ還元されるために種苗法が改正されたはずなのですが、一つ目の動画で東京大学の鈴木宣弘教授は、“シャインマスカットの苗が中国・韓国に取られちゃったから、それを守るんだということで、種子法の廃止から一連の種苗法の改定まで、いろんな種の改定をやったわけですよね。ところが実は、それは日本の大事な種を、グローバル種子農薬企業さんを含めてね、渡してしまうような流れを強化したんじゃないか…(44秒)”と言っています。
 世界中の種を自分のものにして、その種を買わないと生産ができないような仕組みを世界中で作ろうとしてきたグローバル企業の要求と日本の対応については、“公共の種、やめてほしいと。国がお金出して都道府県の試験場でいい米・麦・大豆の種を作って農家に安く供給する。こういうことやってもらうと困るんだよねと。で、種子法廃止でしょ。それから、やめただけじゃだめだと。日本のいい種、これは私たちによこしなさいと。農業競争力強化支援法8条4項というところで、日本の大事な種苗の知見を企業に言われたら譲渡しなさいと。そんな法律までわざわざ自分たちで作っちゃったわけですよ。(2分23秒)”と言っています。
 種子法廃止や種苗法改正を主導したのは、安倍政権時代の官邸(9分15秒)であるとし、“官邸が「アメリカ政府の後にいるようなグローバル企業の利益になるようなことをきちんとやれ」という風に要請が来るとですね、それを規制改革推進会議に下ろして、そこで一部の人たちが中心になって決めてしまう。そのルートが一番大きいですよね。これもね、TPPに関連するんですけどね、TPPが決まった時にアメリカは結局、トランプ大統領抜けちゃったじゃないですか。その時にね、大問題になったのがね、日米のサイドレターっていうね、付属の合意文書が決まってたんですね。「TPPからアメリカが抜けたんだから、この二国間合意も効力を有しないですよね」っていう国会での質問に、当時の岸田外務大臣は「これは日本が自主的に決めたことですので、我々は自主的に粛々と実行します」って言ったんですよ。日本の政治家が「自主的に」と言った時は、イコール「アメリカの言う通りに」って置き換えると、大体意味が通るじゃないですか。その合意内容がすごいんですよ。アメリカの投資家が日本にやってもらいたいことがあったら、規制改革推進会議を通じてやりますって宣言してんですよ。”という衝撃的な話をしています。
 売国を平気で行う「グローバル保守」という訳の分からない概念があるのですが、さすが安倍政権ですね。あべびょんと取り巻き達は「グローバル保守」の本流と言えるでしょう。
 二つ目の動画では、先日、日本農業新聞の全国大会があった時に、石破茂先生が挨拶に立たれて、“今農家が苦しんでいる。その赤字を、しっかりと財政出動で埋める必要がある。消費者もこれ以上値段が上がったら苦しくなるから、そこは財政出動で農家の赤字を負担することによって、農家は継続できる。そして消費者は安く買い続けることができるから、そこで経済は循環して、全てがうまく改善していく。だから今こそ、農家の所得を保障する仕組みを入れるべきである。(13分3秒)”と話したと言っています。
 14分5秒~17分40秒のところは是非ともご覧になって下さい。『ゲル閣下』は、なかなかの人物だと思えてきます。
(竹下雅敏)
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No.44 深田萌絵×鈴木宣弘『政府愚策で食の安全保障危機』
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No.46 深田萌絵×鈴木宣弘 『酪農の危機は政府が起こした』
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[IWJ] TPP差し止め違憲訴訟から続く種子法廃止違憲訴訟の報告会:民間参入の結果、「みつひかり」の粗悪が発覚し、その空白にモンサント侵略の危険 / 憲法上の権利を自覚し地方自治体で戦う覚悟を

 2024年5月29日に可決された食料・農業・農村基本法改正案に続き、6月14日には不測の事態に食料を確保するための「食料供給困難事態対策法案」など基本法関連3法案が参議院で可決されました。次から次へとやってくれますが、同じ14日、種子法廃止等に関する違憲確認訴訟の経過報告会が行われていました。その重要な内容をIWJが取材していました。
 弁護団代表でもある山田正彦氏によると、この裁判の発端は10年前のTPP差し止め違憲訴訟で、この裁判はろくな審理も無いまま門前払いされましたが、日本のTPP協定批准後に真っ先に種子法が廃止され、裁判所も「種子法廃止の背景に、TPP協定があることは否定できない」と認めました。こうして2018年からは種子法廃止違憲訴訟として、TPPの「地方自治体のサービスを民営化する」動きと戦っています。
 2017年当時、政府は「優れた民間品種」の代表例「みつひかり」を猛烈に推奨し、それを理由に種子事業に民間が参入できるよう種子法廃止を進めました。ところが2023年に「みつひかり」が不良で農家が作付できず大変な損害を被りました。それだけでなく当初、政府が推奨していた時からすでに異品種の混じった粗悪品で発芽率も偽造した、とんでもない品種だったと判明しました。種子法が廃止され、民間参入による危険が現実になったわけですが、国はもちろん補償しません。これについて質疑応答でさらに恐ろしい指摘がありました。
 今回の「みつひかり」不正事件で国産の三井化学が撤退しました。弁護団共同代表の岩月浩二弁護士は「(三井化学が)撤退して、空白が生まれる。当然ながら、モンサントとかシンジェンタといったところは、F1(1代交雑種)のイネの品種を持っているわけです。種子法廃止とか、種苗法改正とか、そういったものが全部、種子メジャーが日本を席巻するための、地ならしになっているとみても、不思議な状況ではないですね。なぜ、こんなことをしてきたかと言えば、最後はモンサント様を迎えるためだった、みたいなオチである可能性は、全然否定できない」と述べています。
 種子法廃止に対抗して、全国34の都道府県が種子条例を次々と作り、地元の農業を守っていますが、20日に参院可決された地方自治法改正によって国の指示権が強化されました。法制度も農業の現場でも、外資が日本の農業をどんどん奪っていき、政府がその手先になっています。
 しかしここで山田正彦氏は「国に言われたからダメだではなく(憲法に基づいて)国と県は同等と訴えるべき」「国からの指示を(憲法の地方分権によって)首長は拒否できる。緊急事態の定義が明確でない以上、裁判で争えばいい」と毅然と話されていました。
 政権交代で政府を取り替えると同時に、私たち国民も本来の権利を自覚し、各自治体で覚悟のある首長を選出することが重要です。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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政府が種子法廃止の拠り所とした「みつひかり」について、岩月浩二弁護士は「想定していなかったほど、粗悪な不良品」だったと指摘! 外資種子メジャー参入の「地ならしだったとしても不思議じゃない」と表明! 山田正彦元農水相は、TPPから、種子法廃止、種苗法改正、農業食糧基本法改正、食糧有事法成立まで、国による食糧安全保障の破壊を批判!~6.14 種子法廃止等に関する違憲確認訴訟 控訴審第3回期日後の報告・意見交換会 2024.6.14
引用元)
(前略)
2023年の地裁判決後に、農林水産省が民間企業の米品種として推奨していた、三井化学クロップ&ライフソリューション株式会社の「みつひかり2003」に、長年にわたる多品種の種子混入や、保証表示を下回る発芽率が確認され、三井化学が種子を回収、出荷を停止したという問題が発覚した

 政府は、2017年の通常国会での種子法廃止法案の審議当時、「種子事業への民間参入の促進」を目的のひとつとして掲げ、「優れた民間品種」の代表例として、「みつひかり」を推奨していた。
(中略)
 原告側は、控訴審で、この「みつひかり」不正問題を重要な争点として、「種子法を廃止して民間に種子事業をゆだねることは、極めて問題であって、私たちの食への権利を侵害するもの」だと主張している。
(中略)
6月14日の第3回期日で、「みつひかり」不正事件について意見陳述した、弁護団共同代表の岩月浩二弁護士は、報告会で、三井化学の撤退(現在は出荷停止中)と外資の参入について、「具体的に何か知っているわけではない」とした上で、次のように語った。

 「1審の段階から、当然のことながら、種子の民営化について批判してきましたが、批判の対象となる『みつひかり』がこれほど粗悪だということを、残念ながら我々は想定していなかったほど、粗悪な不良品でした

 そして、撤退して、空白が生まれる。当然ながら、モンサントとかシンジェンタといったところは、F1(1代交雑種)のイネの品種を持っているわけです。

 種子法廃止とか、種苗法改正とか、そういったものが全部、種子メジャーが日本を席巻するための、地ならしになっているとみても、不思議な状況ではないですね。

 なぜ、こんなことをしてきたかと言えば、最後はモンサント様を迎えるためだった、みたいなオチである可能性は、全然否定できない」。
(中略)


(以下略)

「あきたこまちR」など放射線育種は「原子力ムラ」の意図 / 放射線育種に頼らず、地域の環境に適した種菌を育てて提供している蔵元や種菌メーカーを応援

読者の方からの情報です。
お米を始めとする食品への放射線照射は、カドミウム汚染が本当の原因ではなく、原子力村とその背後の意図であると考えられます。少し古い情報ではありますが、コレゾさんのブログが遺伝子をいじる実態の全体像、概要を理解するのに良いかと思われ投稿しました。昆虫や微生物にまで既にその技術が使われているのがお分り頂けるかと思いますが、ガンマ線が照射されている動画などが既に見られなくなっているは残念です。
 その他、アクシスによりますと、『原子力安全委員会は2006年、2000年に全日本スパイス協会から厚生大臣宛に出された香辛料への放射線照射の許可要請を後押しする形で、食品への放射線照射の解禁を求める報告書「食品への放射線照射について」をまとめ、厚生労働省に提出しました。』と書かれています。
 また、厚労省ホームページには食品への放射線照射についての部分で、『放射線利用推進の立場から』という文言が明記されています。これらの情報から、やはり(中略)生物兵器拡散、人口削減、トランスヒューマニズムが本当の狙いであり、ここまで長年、放射線による食品テロを続けてきたのに日本人がなかなか減らないな、ということでの毒枠だったのではないでしょうか?
(サトヤマダトモコ)
 COREZOの2015年の記事では「日本酒や焼酎、味噌、醤油などの製造に使われる麹菌や酵母が数多く放射線照射による突然変異でこれまでにない形質を持つ新種としてつくりだされてきた」とあります。アクシスの記事にも、発酵食品の製造に使われる微生物(麹菌や酵母など)の育種(品種改良・新種開発)には放射線照射を禁止する規定がなく、表示の義務もないことが指摘されていました。人間の健康への影響も、生態系など環境に及ぼす影響も安全性が確認されないまま、放射線照射はイオンビームによって発酵食品にまで及んでいました。
 遺伝子組換え技術が、対象の植物に本来存在しない遺伝子を導入することで新しい品種を作るのに対し、「放射線育種は本来持っている遺伝子を変異させたり、マイナスさせるもの」です。さらにイオンビームと呼ばれる技術では「(ガンマ線などの)電磁波に比べて物質透過性は比較的低いが、物質と作用する際に、莫大なエネルギーを局所的に与える」そうです。ネット上では、カドミウムを吸収しないあきたこまちRが「安全だ」というコメントが多いですが、「遺伝子組み換えと同様に現在の科学や知識では予期できない形質がつくりだされる可能性があり、人間の健康への影響とともに外部に放出された際には、生態系など環境に及ぼす影響が懸念されます。」とあります。放射線育種に頼らず、今もがんばって地域の環境に適した種菌を育てて提供している蔵元や種菌メーカーを応援したいと思います。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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種タネの話12、放射線照射で品種改良されている農作物とは?
引用元)
(前略)
放射線育種とは?

植物に放射線(x線、γ線、電子線、イオンビームなど)を照射することにより、遺伝子を変化させたり、壊したりすることで突然変異を生じさせ、形質が様々に変化した突然変異帯の中から有用な形質を持つものを選抜する品種改良法

元来、品種改良や新種開発は、自然の中の微量放射線や紫外線の作用、遺伝子の複製ミスなどによって偶然に生まれた突然変異種を長い時間かけて見つけ出し、選抜を繰り返すなどして商品化してきたが、放射線を利用することで、自然界で突然変異が起こる確率を1/100万とすると、1/1千程度と1000倍以上も発現確率が高まり、その時間と手間を省くことができるという。
(中略)
イオンビームによる人為的突然変異

原子力機構の量子ビーム応用研究センターでは、サイクロトロンを用いて、イオンビームによる突然変異育種の研究に1990年から取り組んでいるそうだ。

放射線とイオンビームの違い

X線やガンマ線は電磁波であり、物質に付与するエネルギーは低く、物質に対して散逸的にエネルギーを与えるが、非常に高い物質透過性(物質を突き抜ける能力)がある一方で、イオンビームは、電磁波に比べて物質透過性は比較的低いが、物質と作用する際に、莫大なエネルギーを局所的に与えるので、ガンマ線では、細胞のあちこちの領域に数多くの電離が起こるのに対して、イオンビームはでは、せいぜい数個程度の局所的な電離が起こるそうだ。
(以下略)


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在来種600種類ものシードバンクの破棄を検討している山澤清さん、その心は「皆が真剣に考えなければいけない」/ 鈴木宣弘教授「今回の農業基本法改定は多様な担い手を否定し、効率的経営のみを重視」

 山形県に、日本各地の在来野菜600種以上を栽培される山澤清さんという方がおられるそうです。株式会社ハーブ研究所の代表でもあり、この研究所にはそれらの伝統野菜、在来野菜を独自に種継ぎしたシードバンクも保有されているそうです。保管されている在来種は全て無農薬、有機栽培のもので、在庫リストを見ると、自分の住んでいる地域の在来野菜すら初めて見る名前がいくつもありました。
 ところが「伝統野菜ニュース」の記事によると、「代表の山澤氏が76才と高齢になったため、今後、適切な形で残す糸口が見つからなければ破棄することにした」と報じられ、ギョッとしました。あの鈴木宣弘先生もX(旧ツイッター)でその記事を取り上げておられました。何十年もかけて守ってこられた在来種を破棄するとはこれいかに!?と記事を読み進めると「まぁ、俺はもうすぐ、あの世だから、知ったこっちゃないけど」との山澤さんのコメントが紹介されていました。その言葉の裏に、このままだと大切な宝物が失われてしまうという山澤さんの強い危機感があり「皆が真剣に考えなければいけない」というメッセージなのだと分かりました。
 2021年に取材された「きびと月の畑」さんのブログでは、山澤さんが自家採取の難しさを語られています。大根や蕪などは交雑しやすく「昔の農家は蕪を100本植えたら、その中で20本ほど形の良い野菜だけ選別してきた」と、気の遠くなりそうな作業で在来種を守り、また野菜の特徴についても「地域や各家ごとに言い伝えで、決まったルールがいっぱいある」とも教えられました。このように、かけがえのない在来種を継いでいく作業はビジネスに馴染みません。山澤さんも志ある多くの若者が諦めるのを見てきたそうです。
 ちょうど同じ頃、鈴木宣弘先生が、今回の農業基本法の「改悪」部分を説明されていました。それまでの基本法の計画では"「半農半X」(半自給的な農業とやりたい仕事を両立させる生き方)を含む多様な担い手がいて、水路や畔道の管理の分担も含め「地域コミュニティが機能し、資源・環境を守り、生産量も維持される」農業の形"を目指していました。ところが今回の改定では、「多様な農業経営体を軽視し、『効率的経営』のみを施策の対象とする色合いが濃くなっている。」「潰れる農家は潰れたほうがよい」という政府の冷たい農政が全面に表れています。あと10年もすると農業の担い手はいなくなってしまう。
「それ(農業)を維持していくだけの”魂”があるかどうかが問題。そして、そこに”愛”が伴うかだよ。欲望が入ったらそれは儚くなる。人の欲が入り混じったらそれはおしまい。」という山澤さんの農業への思いは、若者へのアドバイスというよりも政府への痛烈な抗議のように思えます。
 「伝統野菜ニュース」の記事に戻ると、山澤さんは「この1年の間に10万人の人が電話をくれたら『破棄は、とりあえず延期する』」と述べ、全国の種子の守り手からの連絡を待っておられるそうです。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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