安倍晋三政権が中国と戦争する準備を進めている理由はアメリカにある。
2013年9月に
安倍首相はネオコン系シンクタンクのハドソン研究所で演説、その年の1月13日に陸上自衛隊第1空挺団は習志野演習場で降下訓練を行い、離島防衛のシナリオで模擬戦闘を実施している。
その2日後、記者会見で
小野寺五典防衛相は「どこの国も、それぞれ自国の領空に
他国の航空機が入って来て、さまざまな警告をした中でも退去しない、
領空侵犯を行った場合、これはそれぞれの国がそれぞれの対応を取っておりますし、
我が国としても、国際的な基準に合わせて間違いのない対応を備えていると思っています。」
と答えた。
中国との戦争を辞さないという宣言だと見なされても仕方がないだろう。16日に
安倍首相は自民党の河井克行をベルギーへ派遣、NATOのアンス・フォ・ラスムセン事務総長に「NATOとの安全保障上の連携強化を呼びかける首相親書」を手渡したというが、NATOはアメリカの好戦派が「関東軍」として利用ている軍事組織。アル・カイダ系武装集団と手を組んでリビアを破壊、ウクライナではロシアを挑発している。
アメリカの好戦派/ウォール街は第2次世界大戦の終盤からソ連/ロシアを攻撃したがっている。
現在の危機は1991年に始まると言えるだろう。この年の12月25日にソ連が消滅、アメリカの好戦派は自分たちを「唯一の超大国」になったと考え、暴走し始めたのだ。
リチャード・チェイニー国防長官の下、ポール・ウォルフォウィッツ国防次官、I・ルイス・リビー、ザルメイ・ハリルザド
が中心になり、国防総省のアンドリュー・マーシャルONA室長の助言を得て
作成されたDPG(国防計画指針)の草案は「同盟国」も潜在的ライバルと位置づけ、攻撃の対象にしている。
この草案は書き直されたというが、戦略はネオコンの内部で生き続けた。
その影響は日本へも及び、まず1995年にジョセフ・ナイ国防次官補が「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を公表、96年には「日米安保共同宣言」が出され、安保の目的が「極東における国際の平和及び安全」から「アジア太平洋地域の平和と安全」に拡大する。
1997年にまとめられた「日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)」では、「日本周辺地域における事態」で補給、輸送、警備、あるいは民間空港や港湾の米軍使用などを日本は担うことになり、
99年の「周辺事態法」につながる。「周辺」は「地理的なものではない」。
2003年3月にアメリカはイギリスなどを引き連れてイラクを先制攻撃、その2年後には「日米同盟:未来のための変革と再編」が締結され、日本は「日米共通の戦略」に基づいて行動するとされた。
その後、検察やマスコミは首相就任が確実視されていた小沢一郎、そして沖縄の普天間基地(飛行場)をグアム、あるいは硫黄島へ移すべきだと主張した鳩山由紀夫首相を激しく攻撃、
2010年9月には、尖閣諸島の付近で操業していた中国の漁船を海上保安庁が「日中漁業協定」を無視する形で取り締まり、漁船の船長を逮捕している。
この逮捕劇の責任者は国土交通大臣だった前原誠司。それまで「棚上げ」になっていた尖閣列島の領有権問題を引っ張り出し、日中関係を悪化させたのだ。
この当時、アメリカの好戦派はロシアと中国を分断したうえで侵略、分割、略奪する予定だったのだろうが、ウクライナ制圧で目算が狂い、今ではロシアと中国は強く結びついている。それでも両国を軍事的に倒そうとしているのがネオコンたち。
2006年にフォーリン・アフェアーズ誌が掲載したキール・リーバーとダリル・プレスの論文は、ロシアと中国の長距離核兵器を第1撃で破壊できると主張しているが、まだその分析に基づいて動いているように見える。硬直した思考は旧日本軍の作戦参謀を思い起こさせる。日本のマスコミはその時と同じことを繰り返している。