注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

裁量労働制の方が一般労働よりも勤務時間が長くなるようにデータを捏造した調査票の原本約1万件が、このほど厚労省の地下倉庫で見つかった。
野党議員11人がきょう午後、厚労省に乗り込み存在を確認した。
(中略)
「(当初、厚労省は)段ボールの写真をマスコミに撮らせないと言ったが、国民は見る権利があると言って(最終的に)撮らせた」。山井議員は厚労省との攻防を振り返った。
(中略)
調査票の原本が見つかったからといって労働実態が分かったわけではない。調査は会社(経営)側に回答させたものだからだ。当然、労働時間をうんと短く答えるに決まっている。
労働者自身から直接回答が得られれば、身の毛もよだつほど恐ろしい現実が明らかになるだろう。闇は深い。
(以下略)
役人だって自分が<裁量労働制>にされるのは嫌なのです。
2014年に話が出たとき、野党の質問に対する役人の反応が下です。
〇裁量労働制を公務員にも導入されたらどうですかと質問したら、
〇そこに座っておられる官僚の方々はみんな、とんでもない、とんでもないと言って手を振っておられたわけですよね、
〇それだけは勘弁してくれみたいな感じで。
〇そんなすばらしい制度だったら、生産性が上がるんですよね、
賃金も上がって、労働時間は短くなって、すばらしいじゃないですか。
2014年の議事録
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/186/0097/18606060097026a.html
議事録には<裁量労働制>を熱烈に要望してるのはトヨタだということも発覚しています。
(中略)
厚労省が調査を依頼する企業も天下り会社だからこうなるのです。
官僚(公務員)は、最終的には自分の給料・待遇・退職後の年金など、
それだけしか考えていないのです。
それを許すのが与党である自民党の政治家です。
これだけで、すでに日本と言う国は終わってますが、、さらに許すだけに止まらず、都合の良いように命令もするからタチが悪い。
(以下略)
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事務方は、原本がない場所を探したということでしょう。もちろん、どこにあるのかは、これだけの大きさのものですから、当然知っていたはずです。
田中龍作ジャーナルでは、“調査は会社(経営)側に回答させたもの…労働者自身から直接回答が得られれば、身の毛もよだつほど恐ろしい現実が明らかになるだろう”と言っていますが、おそらくこの通りでしょう。
次の記事では、“裁量労働制を公務員にも導入されたらどうですか? ”との野党の質問に対し、座っていた官僚たちは皆、“それだけは勘弁してくれ”という感じで、“とんでもないといって手を振っておられた”と書かれています。
裁量労働制が素晴らしい制度なら、まず公務員に導入して成果を見せれば、国民は納得すると思います。記事では、裁量労働制を熱烈に要望しているのは、トヨタだとのこと。実に分かりやすい構図です。
大企業の要望に応えて、自分たちが絶対に嫌だという裁量労働制を国民には押し付けようという、官僚魂のなせる技だということです。
“続きはこちらから”以降は、この問題の本質ではないかと思われる部分です。労働基準法の見直しは、2013年6月14日の閣議決定から始まったとのこと。この年、厚労省から委託を受けた労働政策研究・研修機構(JILPT)は、“今後の労働時間に関する…基礎資料を得るための非常に重要な調査”を実施します。その結果は裁量労働制の労働時間の方が長いというものでした。ところが、この精緻な調査データは、労働政策審議会(労政審)には報告されませんでした。
調査結果が、裁量労働制を目指す安倍政権の思惑とは違っていたため、報告されず、厚労省は“閣議決定前に実施したフツーの労働調査の数字”を捏造して、労政審に示したのではないかというものです。
もし、これが真実なら、安倍政権は野党だけでなく労政審をも騙した、しかも、それは確信犯だったということになり、まさしく、内閣総辞職ものの犯罪的行為となります。