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[ちきゅう座]奥山忠信著『貧困と格差-ピケティとマルクスの対話』(社会評論社)を読む

 日本の現状が"資本家の「搾取し過ぎ」状態"だということがよく分かる記事だと思います。こういった情報が庶民の常識として浸透した時に日本でも革命が起こるのでしょうか。
 記事によると"日本の上位10%の「富裕層」の下限は577万円"であるとのこと。えっと思うほど低い額なのは「富裕者が富裕に見えないほど、日本の賃金は安い」からであり、それほど"資本家にナメられている"からだと指摘しています。そんな状況にも関わらず、日本でグローバリズムへの抵抗運動が起こらないのは、"日本人は「世間」にがんじがらめになっている"からだとしています。保身や安定を求めて物事が動かない日本の状況が変わるのは、経済崩壊や年金の破綻や預金封鎖等が現実になった時でしょうか。この動画の42秒からの冒頭部分を見ても政府は年金の事実を隠すのに必死なのが分かります。
(編集長)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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奥山忠信著『貧困と格差-ピケティとマルクスの対話』(社会評論社)を読む
転載元)
佐藤直樹(さとうなおき):現代評論家・九州工業大学名誉教授>

● デフレの原因は「搾取し過ぎ」である 

 本書の真骨頂は、ピケティとマルクスの議論を「導きの糸」として、現下の日本の貧困と格差をめぐる危機的状況を、ラディカルに解析してみせた点にある。一見そうみえないかもしれないが、じつはこれは渾身のアジテーションの書でもある。

 私はアベノミクスは、戦後の内閣でも類をみないような露骨で最悪の、「金持ちの・金持ちによる・金持ちのための」政策だと思っている。アベノミクスはデフレ克服のために、貨幣量を増やしてインフレをおこすというものだが、いまだにインフレはおきず、不況から脱出できないでいる。本書ではまず、不況をもたらす「現在のデフレの原因は、貨幣問題ではない」とすっきり・さわやかに宣言する。

 その理由をつぎのように説明する。「不況の原因は実体経済にある。その最も大きな、そして直接的な要因は、マルクスに言わせるなら、『搾取し過ぎ』である。(中略)賃金は非正規雇用者の増大によって下がり続け、支払給与の総額も下がっている。これは消費需要の低迷に直結する。そして消費需要が下っている限り、設備投資が起きない」と。

 そして、「売れる見込みがないのに生産を拡大する資本家はいない。投資の条件がないところに量的緩和政策が行われる。莫大な貨幣が流れ込んでも生産には使用されない。貨幣が足りないから投資しないのではないのである」と喝破する。

 つまり銀行がいくらカネを貸すといっても、モノが売れないから誰も借りない。日銀では民間金融機関に供給された貨幣が、口座に「ブタ積み」になっているという。そして、「企業が使わずに持つ資金である内部留保は、国家予算の3倍を超える。ゆがんだ無気力な経済が、今の日本経済である」と断言する。

 ようするに、アベノミクスによって生じた円安と株価の上昇による利益は、結局ちまたの労働者にはまわらず、企業と株の所有者だけが潤うという、とんでもない構造になっているということだ。本書を読むと、不況から脱出できないのは、日本の資本家が労働者を「搾取し過ぎ」なのだということがよーくわかる。

● 日本では「富裕層」すら貧困? 

 さらに日本では1990年代に、ハゲタカ資本主義としてのグローバリズムの浸透と拡大にたいしておこなわれたのは、国際競争力を維持するための「国内と海外の両方」での「低賃金労働へのシフト」であり、その結果「このしわ寄せが勤労者に来た」という。

 生産拠点が海外に移れば、国内の雇用が減り賃金が下がる。国内は賃金格差の拡大と会社のブラック企業化で、すさまじい状況になった。90年代末以降の職場への成果主義の導入によって、うつ病患者や過労死が急増している。

 2016年に労災が認定された、電通の女子社員の過労自殺は氷山の一角であり、日本の職場では、月 100時間以上というとてつもない違法残業がふつうのことになっている。karoshiがそのまま英語の辞書にのっている、というのは有名な話である。日本では、海外ではおよそ考えられないような、「滅私奉公」的な働き方をしているのだ。

 格差という点では、いまや非正規雇用者の増加によって、本書のいうように「男は女の2倍強、正規雇用は非正規雇用の3倍強の年収」となっている。ここでは、正規・非正規の間の格差や差別のみならず、男性・女性の間の格差や差別も露骨に顕在化している。

 そのために相対的貧困率が徐々に上がっており、「貧困線は世帯単位で 122万円である。日本では、16.1 %、つまりほぼ6 人に1 人が122 万円以下の生活をしている」。とくに母子・父子世帯の半分以上が、122 万円以下の生活になっている。それゆえ子どもの貧困率は、OECDの中でも最悪となっている。つまり日本は、とんでもない格差社会になっているのだ。

 興味深いことがある。ピケティのいう「富裕層」をめぐる分析によれば、日本の上位10%の「富裕層」の下限は 577万円である。これは間違いではない。ここで誰でも不思議に思うのは、本書のいうように「年収 577万円は富裕層か、という問題」であろう。ちなみに、アメリカの上位10%の下限は1035万円である。1000万円超なら「富裕層」といえるかもしれない。だが577万が「富裕層」かといわれれば、たしかに奇妙に思える。

 しかも上位10%の下限は、かつて 600万円を越えていたのだが、次第に「富裕層」の下限の年収が下がっているという。じつはこれが奇妙に思えるのは、「富裕者が富裕に見えないほど、日本の賃金は安い」からだという。なーる。ようするにこれは、日本の労働者がいかに資本家にナメられているか、ということなんですね。

● なぜ、日本では労働者の反抗や反乱がおきないのか 

 私の興味は、いったいなぜ、資本家の「搾取し過ぎ」状態にあるにもかかわらず、日本では労働者の反グローバリズムの反抗や反乱がおきないのか、という点にある。私にいわせれば、答えは簡単で、それは他の国にはない日本特有の「世間」のせいである。日本は明治時代に科学技術や政治制度などの近代化には成功したが、人的関係の近代化が十分におこなわれず、伝統的「世間」が強固にのこってきた。

 日本人は「世間」にがんじがらめになっているために、この国は先進国中最低の犯罪率と、最悪の自殺率を誇っている。とくに後期近代に突入した現在、社会学者のA・ギデンズのいう<再埋め込み>が生じたため、「世間」の同調圧力がますます強まっている。

 <再埋め込み>とは、共同体の解体を意味する近代の<脱埋め込み>時代が終わり、後期近代に入ると、係留先を求めて人々が再度伝統的な共同体を目指すことを示す。世界を驚かせたイギリスのEU離脱や、アメリカのトランプ大統領誕生は、人種・民族・宗教への<再埋め込み>を象徴している。日本では、人種・民族・宗教的な対立が希薄なために、それが「世間」という伝統的共同性への<再埋め込み>として現われているのだ。

 私は時代の転回点が、年間の自殺者が突如3万人を越えた98年にあったとみているが、この年から労働者の支払給与総額が減り始めている。また、NHK放送文化研究所の日本人の意識調査によれば、社会全体の「伝統志向」が強まり、「保守化」が始まるのもこの年である。

 つまりこのあたりから、<再埋め込み>による「世間」の同調圧力が、明らかに強まっている。この同調圧力によって、労働者の反抗や反乱が徹底的に抑止されているのだ。この構造に、どこかで突破口を開かなければならない。これが焦眉の課題であると思う。

 ところで本書の著者である奥山忠信氏は、高校時代以来の友人である。なぜか長いつき合いになった。彼の外見上の温厚な風貌にみんなだまされるが、じつは彼は天性のアジテーターでもある。

 いよいよ、我々不満分子の出番である。文句あっか。やろうぜ、ハゲタカ資本主義打倒・反グローバリズム革命。企業の内部留保をすべて吐き出させ、金持ちに課税強化せよと、本書は言外に、しかし本気でアジッてるように、私には思えるのだが。

[カレイドスコープ]まだトランプ批判を続けているサル以下の日本のマスコミ人

竹下雅敏氏からの情報です。
 トランプ氏に対して、ずっとネガティブ・キャンペーンを続けてきたニューヨークタイムズが、謝罪文を出したとのことです。
今回の一件は、新聞・テレビの価値が無いことを知らしめました。ネット情報の方が遥かに精度が高いことがわかり、新聞・テレビは相当に焦っているのでしょう。ただ、彼らの没落はもはや決まっているわけで、今後、よほどまともな報道に徹しない限り、読者に見捨てられることになるでしょう。
 往生際が悪いのは日本のメディアで、記事では、このニューヨークタイムズの謝罪文に対する読売・産経のスピン報道を取り上げています。支配層の思惑を読み取るには適切な新聞なのかも知れませんが、まともな人は相手にしないでしょう。
 メディアのクズどもは、何とかして国民を洗脳し、権力者の支配下に置こうと懸命のようですが、自分たち自身が奴隷だということには気付いていないのでしょうか。つくづく、阿呆な連中だと思います。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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まだトランプ批判を続けているサル以下の日本のマスコミ人
転載元)
20161115-1

ニューヨークタイムズが、数ヵ月前からドナルド・トランプ候補に対して仕掛けてきたネガティブ・キャンペーンについて、読者に謝罪しました。(NYタイムズの原文) 

(中略) 

謝罪文は、発行人のアーサー・サルツバーガー会長とディーン・バケット編集長との連名で出され、その主旨は以下のようなことです。

トランプの独創性は、われわれメディアの予想をことごとく外すほど破天荒だった。
われわれは、現実の世界を取り違えてしまった
のかも知れない。
数ヵ月前から先行していた報道と選挙結果の乖離は、われわれに、あらためてジャーナリズムの基本的な役割を果たすことの重大さを再認識させた。
今後は、新大統領について精度の高い公正な報道を続けていく所存である。
したがって、読者は、NYタイムズの報道に期待していただきたい」。

要するに「想定外」のことが起こってしまったので、読者の皆様には多大なご迷惑をおかけした。
今後、襟を正して公正な報道を心がけていくので、旧倍にまさるご支援のほどをお願いします」といった内容です。

(中略) 

誰でもすぐにわかるほどの捏造情報を数ヵ月前から垂れ流し放題で、その反面、FBIのヒラリーに対する捜査を打ち消し、過去の大量殺人疑惑などにも目をつぶって、自分たちのメディアに出資してくれているユダヤ系グローバル・エリートに不利益をもたらすような情報を無視してきたのです。

(中略) 

それは、凶悪な犯罪行為以外の何者でもないほど苛烈を極めるものでした。

(中略) 

日本のテレビ・新聞も、アメリカの(ハザール・マフィアの)ユダヤ系メディアにならって、「ヒラリー当選は確実」、あるいは「トランプが大統領になれば核戦争が起こる」、あるいは「トランプ大統領で日経平均は大暴落」などの、彼らが読者を騙すいつもの手口「脅し・すかし」を使っていたのです。

日本のマスコミが、アメリカの情報機関によってコントロールされ、アメリカに寄生している国境を超える資本によって操られていることを熟知している人々は、日本の報道を無視して、アメリカの現地情報を見ていたので、総じて「トランプ勝利」を確信していました。

(中略) 

ニューヨークタイムズの反トランプキャンペーンは、あからさまで、ヒラリーの当選確率を90%であると報じていました。

(中略) 

もともと、アメリカ人は、テレビ・新聞の情報を信じていません。大統領選については、なんと10人に1人しか、その報道を信じていなかったのです。
反面、ネットにおけるトランプ支持は全体の80~90%でした。

(中略) 

投票日には、ネットのアンケートにも表れなかった隠れトランプ支持層が、いっせいにトランプに投票ました。

(中略) 

ニューヨークタイムズの謝罪文にある、「トランプの独創性は、われわれメディアの予想をことごとく外すほど破天荒だった」という言葉には説明が足りません。

つまり、「われわれニューヨークタイムズは、ヒラリーが劣勢であることを事前に知っていて、『ヒラリー6』、『トランプ4』くらいの割合で、ヒラリーが当選するように調整していたが、トランプ支持派が想像を超えるほど多かったため、われわれの、あらゆる準備は役に立たなかった」というのが偽らざる本音なのです。

すでに、いくつかの州では、ヒラリーを勝たせるための不正が行われたことが発覚しています。それは、今後、増えるでしょう。
実際は、トランプに投票した人の数は、投票所に行った有権者の7割以上ではなかったのでしょうか。圧勝と言って差し支えないと思います。

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[ParsToday]カラー革命の父が、アメリカの民主党と秘密会談 〜一枚岩ではない権力者の最終的な合意にしぶしぶ同意したジョージ・ソロス〜

竹下雅敏氏からの情報です。
 アメリカの反トランプデモの背後には、カラー革命の父と記事に書かれているジョージ・ソロスが居ることは、ほぼ明らかです。記事では、慎重を期してジョージ・ソロスの名前は書かれていませんが、カラー革命の父がジョージ・ソロスを表しているのは、記事を見れば明らかです。
 ところが、板垣英憲氏の情報によると、トランプ大統領を実現させたのは、「ゴールドマン・ファミリーズ・グループ」のメンバーであるキッシンジャーやジョージ・ソロスだと言うのです。ジョージ・ソロスは、ヒラリー・クリントンと密接な関係があり、これまでの様々な陰謀に指示を出していたのがソロスだというのは、ヒラリーメールでわかっています。このことから、大統領選でヒラリー陣営をソロスが支援していたのは間違いありません。
 今の反トランプデモを見ると、ソロスはトランプ氏を大統領就任以前に排除したいと思っているように見えます。そうすると、板垣氏の情報と食い違うことになります。最近の板垣氏の情報は破格で非常に優れたものであり、ガセネタとは思えない重要な情報が数多くあります。
 おそらく、「ゴールドマン・ファミリーズ・グループ」は一枚岩ではなく、内部で激しい権力闘争があり、自らの地位の保全を含めて、様々なグループが争っているのだと思います。そうした権力者の最終的な合意として、トランプ氏を勝たせることに、ジョージ・ソロスはしぶしぶ同意したという事ではないかと想像します。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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カラー革命の父が、アメリカの民主党と秘密会談
転載元)


カラー革命の父がアメリカの民主党の幹部と、トランプ氏から権力を取り返すために秘密会談を行いました。

アメリカの雑誌・ポリティコは14日月曜、「カラー革命の父として知られるアメリカの億万長者が、トランプ氏から権力を取り返すための戦略を練るために、3日間にわたる会議を開始した」と報じました。

この報告によりますと、この会合の目的は、トランプ氏に対抗するために資金を出すことだとされています。この雑誌は、13日日曜夜から、ワシントンの高級ホテルで始まったこの会議にはナンシー・ペロシ氏などの民主党の著名な人物が参加しているとしています。

これはトランプ氏が勝利してから、左派関係者が開く初めての会合です。

左派グループの計画の一部が、2017年と2018年の議会選挙に向けた民主党の準備に集中している中、別の計画はトランプ氏の100日間の計画における妨害行為に集中しています。

今月8日に行われたアメリカ大統領選挙でトランプ氏が勝利し、欧米の一部の都市では反トランプデモが行われています。

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アメリカの政治構造に対する生徒のデモの継続
転載元)


アメリカの政治構造に対する生徒の抗議デモが続いています。

アメリカ大統領選挙でのトランプ氏の勝利に抗議するデモは、14日月曜で2週目に入りました。

ロサンゼルスとシアトルでは、数百人の生徒が、放課後、「トランプは私の大統領ではない」といったスローガンを叫び、トランプ氏の選出に抗議しました。

さまざまな報告によりますと、ニューヨークやロサンゼルスでは、数万人が抗議デモに参加したということです。

アメリカ・カリフォルニア州のアーバインでも、この数日、人々が大規模なデモを行い、“トランプ氏はアメリカ国民の市民権や人権を脅かしている”といったスローガンを叫び、イスラム教徒のアメリカ入国禁止、不法移民の追放や女性蔑視といったトランプ氏の選挙スローガンを批判しました。



警察の報告では、オレゴン州ポートランドで13日日曜夜、デモの中で71人が逮捕され、多数の警官が負傷したとされています。

アメリカのオバマ大統領は、14日月曜、トランプ氏選出後初の記者会見で、選挙公約を実行した場合、すぐにさまざまな現実に直面するだろうとトランプ氏に警告しました。

オバマ大統領は以前、何度もトランプ氏は大統領にふさわしくないと語っていました。

トランプ氏の選出により、世界の指導者の間に深い懸念が生まれています。

オバマ大統領はさらに、「数百万人の不法移民の追放、NATOや日本とのアメリカの同盟関係の見直し、イランとの核合意、気候変動対策への反対、メキシコとの国境における壁の建設、アメリカのイスラム教徒への対応方法など、トランプ氏が選挙戦で示した立場は、主張するのは簡単なことだ」としました。

[山本太郎参議院議員]TPP特別委「TPPは投資仲裁村の利益拡大手段」 ISD条項の危険性:投資家の利益が最優先 とんでもないトラップ

 15分まではTPPの肝であるISD条項の危険性について国民にも分かりやすく質疑を進め、もし裁判になれば、それが国民の健康や環境を守るものであったとしても、日本側が確実に負けることが分かります。
 "続きはここから"以降の投資家をいかに守るかということが書かれている第九・一六条には、とんでもないトラップが仕込まれており、"投資家の保護が最優先、それに反するようなことは、たとえ健康、環境に影響があっても規制することは認めない"という趣旨の文言が含まれています。山本議員が、誰がこの文言を入れさせたのか、問い詰めていますが、政府側はノーコメント。これに対して、山本議員がTPPの交渉過程に一番詳しい甘利前TPP大臣に出席を求めています。やはりこの件も「日本なんて、どうなったっていいんだ!」と考えたのでしょうか。そうでないなら、国会の場で説明してほしいものです。
(編集長)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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TPP特別委「TPPは投資仲裁村の利益拡大手段」

○山本太郎君 ありがとうございます。自由党、自由党の共同代表、山本太郎です。

野党時代には大反対していた自民党が政権を握った途端に手のひら返しで大賛成のTPPについて、会派を代表して御質問いたします。

TPPの肝といえば何でしょうか。ISD条項、TPPの中でも一番危険な部分と言われています。複雑で大変難しいパートだと思います。是非、テレビを見ている中学生の方々にも、そして山本太郎にも理解できるように、分かりやすく短く答弁いただけると助かります。

(中略) 

企業や投資家などが発展途上国で商売をやるために進出をした、ほかの国に。しかし、進出先の国の法律がしょっちゅう変わったり不安定な政治などが原因で損をしてしまった、巨額の損失が生まれたなどした場合、裁判所のようなところ、いわゆる国際仲裁機関に訴えることができるように作られたのがISDS条項だと、そのような感じだと思いますね。

ISDS条項で日本が訴えられることというのはないんでしょうか。教えてください。

 

○国務大臣(石原伸晃君) (中略) 

我が国はこれまで、WTO等々に関しましても、ISDSのある既存の協定に基づく義務に違反するような措置、すなわち海外から、ルールを決めておいたのに後からルールを変えるというようなことをやったことがございませんので訴えられたことはございませんし、(中略)…TPP協定に違反する措置をとることはございませんし、そうしたことから、今後とも我が国がISDSによって相手企業から訴えられるような事態は発生しづらいものであると認識をしております。

 

○山本太郎君 (中略)…これ当たり前の話なんですよね。説明します。(資料提示)

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フリップにもありますとおり、日本は過去にもISDS条項が入った協定を様々な国々と結んでいます。そのほとんどが発展途上国、いわゆる新興国です。基本的に、協定を結ぶ場合、相手側、つまり途上国側が期待するのは日本からの投資が入ってくることですよね。

例えば、タイやラオス、カンボジア、パプアニューギニア、ミャンマーやモザンビークなど、途上国側の企業が日本に投資を行い、日本で手広く商売をやったところ、法律や制度に不備があるから損をしたじゃないか、ISDSを使って日本を訴えるなど考えられないでしょう。事実、今までそのようなことはなかった。なぜなら、今まで日本は常に途上国側に投資をする立場だったからということですよね。相手側から訴えられることを基本的に想像していないISDSなんですよ。

しかし、今回は違いますよね。今回のTPPは日本側だけが投資するという話じゃないよって、お互い投資を受け入れ合いましょうねという話ですもんね。その中でのISDS条項はこれまでの状況とは根本的な違いがあるということを政府はすっ飛ばして説明している。これからは、日本が投資をするだけでなく、投資を受け入れる側にもなる。アメリカに存在する巨大企業、カナダ、ニュージーランドなどの企業が日本を訴えることが可能になる。(中略)… 

アメリカにある巨大企業たちがISDSを悪用してどのような理不尽な振る舞いをしてきたか、分かりやすい例を出します。余りにも有名、南米エクアドルでのお話。そこで石油開発事業を行ったアメリカ企業シェブロンの子会社、大規模な環境汚染を引き起こした。これに対して、現地住民はこの会社に損害賠償を求めて訴えた。エクアドルの裁判所もこれを認めて、損害賠償を命じました。

環境汚染、権利の侵害や不法行為などがあれば、そこに被害者があったならば救済されるのが当然ですよね。これはどの国の民法でも認められている当然の権利、住民にとってはこれ憲法上の権利でもあります。ところが、シェブロンは、この出された判決が不服と、アメリカとエクアドルとの間で結んでいた投資協定を根拠にISDSを使い、第三者が判断するいわゆる仲裁廷にエクアドル政府を訴えた。結果どうなったか。(中略)… 

大規模な汚染つくり出した企業は許されたって、損害賠償なくてもいいって判断までされた。理由は何なんだと。以前に会社とエクアドル政府との間で結んだ合意の中、環境的責任を問わないと約束をしたことが根拠だと。要は、環境汚染引き起こしてもオーケーなんだ、問題ないんだってことにされちゃったって。つまり、エクアドル国民の憲法上、民法上の権利すら否定したという話なんですよね。

政府が勝手に私的な企業と結んだ約束が、場合によっては国の法律すらひっくり返す。国の法律さえひっくり返すことができるのは、その国の裁判所ではありません、海外の第三者がジャッジする仲裁廷。国の法律さえひっくり返すことを決められるのは、その国とは関係のない外国人の弁護士、外国人の仲裁人。

ISDS、主権侵害そのものなんですよ。そのことをよく自民党の皆さんは野党時代、御存じだったはずですよ。TPPは国の主権が奪われる、TPPは日本文明の墓場、そんな発言をしていた人間たちが現在政権の閣僚を務めているって。政権取った後、手のひらを返してTPP大推進。恥を知るという意味分かりますかね。国家の私物化をやめていただきたいんですよ。 

(中略) 

ISDSにより訴えが起こされた場合、それを裁くのはそれぞれの国の裁判所ではないことは何度も言っております。紛争を解決する手続を国際仲裁機関が行う。問題ごと、紛争ごとに、それをジャッジする仲裁廷が立ち上がる。 

お聞きします。一番多く訴えを処理してきた国際仲裁機関はどこでしょうか。

 

○政府参考人(山野内勘二君) お答え申し上げます。

それはICSID(イクシッド)と呼ばれているところでございまして、投資紛争解決国際センターでございまして、二〇一五年の例を申し上げれば、投資仲裁のうち約三分の二をこの投資紛争解決国際センターで行ったというふうに承知しております。

 

○山本太郎君 ありがとうございました。世界銀行傘下の仲裁廷、ICSIDというところで行われたものが一番多いと。

投資家の訴えに対して判断を下すのはICSIDの仲裁廷。仲裁廷では三人の仲裁人によってジャッジされます。じゃ、誰が仲裁人を選ぶんだ。訴えた側、訴えられた側、それぞれ仲裁人を任命、そして仲裁裁判所の長となる三人目の選出は、訴えた側、訴えられた側の双方の合意、又はそれぞれが選んだ仲裁人の合意で選ぶそうなんですけれども、元々意見が対立していますから、三人目選ぶの難しいですよね。調整できなければ、このICSIDの事務総長が選出すると聞いています。

仲裁人、それぞれ選ぶ、任命するといったって簡単な話じゃないですよ、誰でもいいわけじゃないですから。国際法に詳しくて、似たような国際的な係争案件にも直接関わったことがある人でないと対応できませんよね。ICSIDに既に登録している弁護士などの専門家の中から仲裁人を選ぶことになるそうです。お聞きします。

ICSIDに登録された日本人の仲裁人、何人いらっしゃいますか。

 

○政府参考人(山野内勘二君) この国家と他の国家の国民との間の投資紛争の解決に関する条約の下では仲裁人名簿が設けられておりまして、これに登録されている日本人は四名でございます。

 

○山本太郎君 (中略)皆さん御存じでしょうか、プロフィッティング・フロム・インジャスティス、不正義によって利益を得ることというタイトルのレポート。ヨーロッパで企業によるロビー活動が政策や政治をゆがめないように調査し、監視し、民主的で社会正義にかなった政策提言を行う学者や専門家で構成される二つのNGO団体が共同で行った投資仲裁に関する調査結果が書かれているレポート、プロフィッティング・フロム・インジャスティス。ここでは、先ほどの国際仲裁機関の仲裁人となる弁護士が、仲裁人クラブあるいは投資仲裁村とでも言うべき狭いグループの人に限られてしまっている状況、そしてそのような投資仲裁村が自らの利益を拡大する手段として様々な投資協定にISDS条項を設けさせるため働きかけている状況が、詳細かつ克明に報告されています。

そこに書かれているのは、係争額が上がれば上がるほど仲裁廷の仲裁人は物すごく限られた弁護士が関わるということ、係争額が一億ドルを超えてくるとその限られた中の十五人が六四%関与する、係争額が四十億ドル以上、四十億ドル以上になってくるとその限られた中の十五人の七五%が関与する、まさに特定の人たちで事件を処理するという仲裁村、仲裁人クラブというのが存在する。 

このような欧米人サークル、(中略)…仲裁人クラブの中に、国際仲裁廷で何度も戦ったことがある、そんな経験のあるベテラン、即戦力となる人、日本の国益を代表できる弁護士さん、日本人がいるかという話になると思うんです。

先ほど、ICSIDに仲裁人として登録されている人たちは四人いると言いました、日本人で。実際にこの方々が過去に仲裁人に選ばれ現場に立たれた回数、教えてください。

 

○政府参考人(山野内勘二君) ICSIDの条約の下の仲裁において、現在までに仲裁人を務めた日本人はいらっしゃいません。

 

○山本太郎君 いらっしゃらない。始まる前から負けているじゃないかって。日本人の仲裁人は現場に立った経験がないって、初めてのお使い、ここでやるつもりですかって、ぶっつけ本番ですかって。 

(中略)…このISDSで訴訟になり、負けたとしても、もう一回訴えられないよって、つまり、上訴ができない一発勝負。こんなばくちのような制度で、安全性担保していると胸張って大丈夫なんですかね。これ、一発勝負で大丈夫ですか、何かありますか。 

(中略)
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大統領選の総括として大変優れた記事:グローバリズム震源地の破綻 アメリカ大統領選挙結果 支配機構狼狽さす大衆世論

竹下雅敏氏からの情報です。
 以前のコメントで、グローバリズムはリーマン・ショックに於いて破綻が確定したというようなことを書きましたが、この記事をご覧になると、そのことがよくわかると思います。これほど丁寧で、全体の流れを掴まえた文章はなかなか書けないものです。さすが本職だと思いました。今回の大統領選の総括として、大変優れた記事だと思います。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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グローバリズム震源地の破綻 アメリカ大統領選挙結果 支配機構狼狽さす大衆世論 2016年11月11日付
転載元)
 注目されていた米大統領選は、蓋を開けてみると当初の「ヒラリー優勢」報道を覆してドナルド・トランプが勝利し次期大統領への就任が決まった。

(中略) 

民主党のヒラリー・クリントンを大本命にして多国籍企業や金融資本、軍産複合体やメディア、共和党重鎮も含めて総掛かりで支援したが、米国民はトランプを選択した。「世界を驚かせた番狂わせ」といって狼狽している姿は、メディアや支配階級の側の感覚が世論から遊離しきっていることと同時に、いまや欺瞞やプロパガンダが通用しないまでに米国における階級矛盾が鋭いものになっていること、エスタブリッシュメント(既成の権威的勢力や体制)への信頼が崩壊し、これらが国家や社会をまとめ上げていく力を失っていることを浮き彫りにした。この結果は、(中略)…新自由主義・グローバル化をもっとも強烈に推し進めてきたアメリカにおいて、足下からその支配が瓦解し始めていることを示した。

(中略) 

 資本主義総本山で歴史的番狂わせ 時代の大きな変化象徴 共和VS民主でなく1%VS99%

 今回の選挙は予備選の過程から、いわゆる民主党共和党の2大政党制支配が崩壊している姿を露呈していた。

(中略) 

両党ともに「サンダース現象」「トランプ現象」が台風の目となった。

(中略) 

 サンダースは、1%の富裕層が90%の下層国民と同額の富を独占し、技術と生産性の大幅な進歩にもかかわらず、多くのアメリカ人は低賃金労働を強いられ、子どもの貧困率はどの先進国よりも高いことなど、アメリカの不平等社会を批判した。そして、雇用を増やし、医療をすべての人人に提供できるようにするため「億万長者から政治的権力と経済的便益を剥奪する!」と宣言するなどして、若者を中心に熱烈な支持を広げた。大企業への優遇税制を停止し、タックスヘイブン(租税回避地)への税逃れの禁止、最低賃金の上昇、国民皆保険制度などの社会保障の整備充実、公立大学の授業料無償化、TPPに反対し生産活動の海外アウトソーシング(調達)をやめて国内生産にシフトさせる、インフラ再建などさまざまに政策を掲げ、「九九%の国民のための政治」にするのだと訴えた。
 移民排斥やイスラム教徒の追放など排外主義的な言動ばかりがとりあげられていたトランプも、富裕層への懲罰的課税や累進課税の強化、所得格差の是正や社会福祉の充実、市場原理を否定して社会的な規制を強化すること、労働コストの安い海外に流出した製造業を米国に戻すこと、TPP反対などを訴え、ワシントンの既存勢力に媚びないという訴えが支持を受けた。

(中略) 

本選はクリントンVSトランプの構図になったが、もはや民主党VS共和党の対決というよりは既存の政治体制の代弁者たるヒラリー・クリントンを大統領にするか否かに大きな注目が集まった。

(中略) 

支配階級がメディアも挙げてトランプ叩きに奔走し、必死にヒラリー支援をやったが、そうした世論誘導のやり方も見透かされたことを示した。こうして「嫌われ者対決」「米国民にとって最悪の選挙」と呼ばれた選挙で、ヒラリーの方が否定される結果となった。

(中略) 

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