(前略)
まず最初に、国際救済委員会の発表について報じた英インディペンデントの記事をご紹介します。
イナゴの大群の攻撃で、東アフリカのほぼ500万人以上が飢餓と飢饉の危険にさらされている
Almostfive million people at risk of hunger and famine as swarms of locustsravage East Africa
Independent 2020/06/05
国際救済委員会によると、世界の人口の推定10分の1が、過去70年で最も深刻なイナゴの大群による被害の影響を受ける可能性がある。
国際的な人道支援団体である国際救済委員会(IRC)は、
現在、東アフリカなどで起きているイナゴの大発生は、「一つの世代で最悪の規模」となっており、農作物の破壊と、イナゴによる水源の汚染により、
東アフリカだけで500万人近くの人々が飢饉と飢餓の危険にさらされる可能性があると新しい報告で警告している。
(中略)
このイナゴの大発生はソマリアに最も大きな打撃を与えているが、ケニア、エチオピア、ウガンダ、南スーダンも大きな影響を受けている。
国際救済委員会は、今後のイナゴの孵化は、最初の発生時の最大8000倍の大群を生み出す可能性があることを警告し、その後、イナゴが東アフリカから西アフリカ全体に拡大することを阻止するためと、そして、インド・パキスタン国境に広がるのを防ぐための予防策の増加を要求している。
国際救済委員会の経済回復担当者は次のように述べる。
「サバクトビバッタは、世界で最も危険な移動性生物のひとつです。
今回の発生は、過去70年で最悪の規模となっており、もともと干ばつと洪水が繰り返し起きていた
東アフリカの大地に深刻な影響を与える可能性があり、これは、食糧安全保障において、過去に前例のないリスクをもたらしています」
(中略)
また、イナゴの大群は、農作物を食べるだけではなく、
水源も汚染する。そして、さらには牧畜用の牧草地も破壊するため、
家禽類も生きていくことができなくなってしまうのだ。
担当者は、「最悪なのは、それを制御する能力が東アフリカの国々にないことであり、これまでのところ、外部からのサポートを受けていないのです」と述べる。
(中略)
以下は、6月3日の報道からで、それぞれの国がイナゴの侵入に直面しているという内容です。イランやインドでは、すでに「過去最悪級」となっていますが、それよりも激しいものとなる可能性が指摘されています。
テヘラン、デリー、イスラマバードがイナゴの侵入に直面
Tehran,Delhi and Islamabad face locust invasion
AsiaNews2020/06/06
イラン、インド、パキスタンの各都市は、すでにコロナウイルスにより地域全体の生活基盤が危機に晒されている中、
イナゴの大群の侵入による農作物の被害が懸念されており、イナゴの侵入に対処するための
共同戦略計画を策定している。
(中略)
イラン政府は、イラン南東部に侵入したイナゴの大群に対しての空中農薬散布と、殺虫剤マラチオンの供給を含む計画にすでに同意している。イランでは、これまでのところ、31の州のうち7つの州で20万ヘクタール以上の果樹園と農地がイナゴの攻撃を受けたと指摘されている。
(以下略)
ここまでです。
このイランとインドとパキスタンは人口も多いですし(イラン8200万人、インド13億5000万人、パキスタン2億1000万人)、これ以上、影響が広がると、多少厄介なことになるのかもしれません。
(中略)
今後の食糧不安について、国連さえもウェブサイトのニュースリリースで、
「聖書的な危機が近づいている」という表現を使っています。
以下は国連のウェブサイトです。
4月27日の国連ニュースより
・UNNews
国連世界食糧計画の責任者は、このページで、
「このままでは、毎日30万人以上が餓死することになる可能性がある」
というようなことを述べています。
(中略)
こうなりますと、日本を含めた自給率が極めて低い東アジアのいくつかの国が安泰であり続けると考えることには、むしろ違和感を感じます。
日本でも、ホテルやレストランあるいは高級料理店などの本格的な営業再開ができていない現状で、農業や漁業などの生産者の方々もさらに疲弊が続いているような気がします。
それに加えて、
日本の当局というのは、「本格的な食糧危機を経験したことのない組織」であるわけで、ここまで生産者を痛めつける政策を続けているということは、本当に国家運営に対しての危機意識がないのだと認識します。
今後いつ頃なのかはわからないですが、
ある程度、個人個人で防衛していくしかない局面が、それほど遠くはない時期に訪れる可能性もあります。
(以下略)
また、この図を作成したDavid Liu教授の、"日本のTwitterが #COVID19 科学にこんなに興味があるなんて!”という言葉を見て、日本で感染爆発が起こらなかった最大の理由のひとつは、これかも知れないと思いました。そういえば、「ためしてガッテン」でブロッコリーがいいと放送した次の日には、スーパーからブロッコリーが消えますよね。
図を翻訳したKoichi Kawakami氏は国立遺伝学研究所・教授とのこと。氏は「SARS-CoV-2は発症前後に活発に増殖し、感染性も強いですが、その後の重症化はウィルスの増殖よりもサイトカインストーム等の宿主側(人間側)の反応で起こり、ウィルスはだんだん減少していく」とツイートしています。ディディエ・ラウル医師も「症状悪化に従って体内ウィルス量と症状の重さには相関関係がなくなり、最後にはウィルスはなくなる。集中治療室の重体患者ではウィルスの全く検出されない場合もある。」と言っていたことを思い出します。
この図を見ていて、ハタと思いついたのは、日本の医療スタッフの抗体検査で抗体が発見されなかったこと。「(検査をせずに)37.5度以上の発熱が4日以上続く場合に受診」という世界で例のない「ふざけたルール」によって、症状が重くなってからでないと入院できなかったので、ウィルスは感染力を大幅に失い、医療関係者の感染が少なかったのではないかと思いました。
偶然が重なったとはいえ、やはり、患者を犠牲にして「医療崩壊」を防いだわけです。面子と利権のみを重んじる安倍政権ならではの出来事です。