里山社屋主義(17) 基礎パッキンがパッキ〜ン?[後編]

基礎パッキンがパッキ〜ン?[後編]
前回、長期の建物の寿命を考えて御影石の基礎パッキンを検討したことを話しました。

大工さんに「これを使いたいんですが」とご相談して、その時はOK。しかし、刻みが進んだ後日…「無しにしてくれ」ということでした。なぜでしょう? 2つ理由がありました。


【理由その1:コマ置きは難しい!】

実は、基礎パッキンの使い方には、「全周施工」と「コマ置き(本来の名称は不明)」の2つがあります。

画像の引用元:基礎パッキン製造元であるJOTO社のホームページの画面より
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筆者注)全周施工


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筆者注)コマ置き


こちらの2つの写真を見ていただくと、「全周施工」は基礎の上にびっしりパッキンが置かれています。対して「コマ置き」は、所々にしか置かれていません。

基礎パッキンは元々「コマ置き」しかなかったのですが、次の問題を解決するため「全周施工」が出てきた…らしいのです。

  • 所々しか置かないと、そこに荷重が集中する。(その影響がどれほどのものかですが、中越地震で基礎パッキンを使用した住宅の基礎が破壊したという情報があります。ただ正しい情報なのか単なる噂かは分かりません。)
  • 実際の現場で、作業者が正しい場所に気をつけて置くということが難しい。もし場所を間違えると大変なことになる。(全周施工なら何も考えずに全部敷き詰めればよい)

ともかく、一般の基礎パッキンは、どちらのタイプも用意されています。しかし御影石基礎パッキンは価格が高く、しかも1個1個が重いので、現実的に「コマ置き」でないと施工ができません。

しかし、コマ置きは実際現場では難しいのです。土台を基礎の上に敷く作業をしている時に、事前にパッキンをきちんと置いていても必ずズレてしまいます。作業を進めながら、この位置を直すことにも同時に神経を使うというのはかなり難しいです。このことは実際に土台敷きの現場に立ち会って、十分すぎるほど実感しました。


【理由その2:パッキ〜ンってなったらどうしよう】

御影石は天然物だから長持ちは確実だと思っていたのは、あくまでひとつの視点。逆に大工さんは、石だから割れたらどうしようと不安だったそうです。

建前では、柱を上からゴンゴン叩き込みます。その真下にまさに御影石のパッキンがあるのです。もし衝撃で割れたりしたら大変です。作業を一時中断、アンカーボルトで固定してしまった土台をわざわざ外して、予備のパッキンを入れる…ということになります。

ただ、販売元の工務店は10年これを使って建てているそうで、実際はそんな事はほぼ起こらないのでしょう。でも大工さんが不安だというのに、やってくださいとは言えません。

というわけで折衷案として大工さんが取った方法がこちら:

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屋根の防水に使う改質アスファルトルーフィング(ゴムアス)を、土台の下に敷くことにしました。

これで基礎からの湿気が土台に上がってくるのを遮断できます。また、今回の基礎は、普通に比べて風通しがよくなるよう工夫しているので、床下に湿気がこもる点も心配無用でした。

基礎パッキン1つをめぐって、こちらも大工さんもそれぞれパッキ〜ンが心配だった…というオチでした。

(スタッフ・白井薫)

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