注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
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荒廃農地が28・3万㌶ 歯止めかからぬ農地の縮小
転載元)
長周新聞 19/2/2
荒廃農地が2017年は前年を2000㌶上回る28万3000㌶にのぼることが明らかになっている。
このうち森林化が進むなどして再生が困難になった農地も調査開始以来で最大となった。高齢化の進展で耕作ができなくなる農家が増加するなかで、農地の縮小に歯止めがかからない。食料自給率が38%の日本で、食料生産基盤の脆弱化が進行している。
一度失った農地を回復させるためには大変な時間と労力を必要とする。一端途絶えた農業生産技術を再び習得するには、それ以上の困難をともなう。今後、TPPや日欧EPA、日米FTAなどで輸入農産物の流入が増加すれば、この動きに拍車がかかることは明白となっている。
(中略)
下関でも目立つ耕作放棄地
山口県下最大の農業地帯である下関市でも、この傾向は顕著となっている。下関市の基幹的農業従事者の約8割を65歳以上の高齢者が占めており(2017年)、下関市の農業は他市と同じく高齢者によって支えられている現状がある。
(中略)
荒れた田畑は、シカやイノシシ、サルなど農作物を荒らす有害鳥獣の絶好の隠れ場となり、彼らの行動範囲を広げる一因にもなる。行動範囲を広げた有害鳥獣は近隣の田畑でも農作物を食い荒らすようになり、農地の減少と有害鳥獣の増加という負の連鎖に農家は頭を悩ませている。雑草が伸びてイネに虫がつきやすくなるという問題もあり、近隣農家が引退するとその分まで、残った農家が草刈りなどを引き受けることになる。夏場の炎天下で毎週草刈りをするなど、高齢農家にとって大きな負担となっており、荒廃農地の増加は深刻な問題となっている。
(中略)
崩壊する食料生産の基盤
農業人口の減少は、生産費に見合わない農産物価格が根源にある。戦後は食糧管理法にもとづいて、国が主食のコメに責任を持って生産・販売する体制をとっていた。生産者からは生産費に見合う米価で買い上げ、消費者には安い価格で販売する仕組みだ。当時は1俵2万円台だった米価は、食管法の廃止やコメの輸入自由化をへて1俵1万5000円台に下がっている。
山口県の2016年産米の生産費は1俵(60㌔㌘)当り1万3436円である。一方で、下関市の2018年産米の概算金を見ると、コシヒカリの一等米のうちもっとも高いもので1万3440円、ひとめぼれやヒノヒカリ、きぬむすめなどは1万1580円、その他の品種は1万円を切る。二等米、三等米になると1万円前後となっており、稲作で生計を立てることは不可能な価格だ。米価が下がり、機械、農薬、肥料は値上がりしていくなかで、ここ30年のあいだに子どもたちは農業を継がず働きに出るようになり、農村の過疎・高齢化が一気に進行したといわれる。
安倍政府は、TPPや日欧EPA、さらに日米FTA交渉と、食料生産という国民の生命に直結する産業を次次に犠牲にしようとしている。
TPP交渉でアメリカに対してコメについては従来のミニマムアクセス米も含めて年間50万㌧の輸入を約束しており、日米FTA交渉ではそれ以上の譲歩を要求される可能性もある。1俵4000円ともいわれる米国産米が流入すれば、生産費が1万円をこえる日本のコメ農家の離農が加速することが危惧されている。
安倍政府は、TPP交渉を進めるなかで、国内向けには「大規模化して競争力を強める」といい、農地集約や担い手・法人への集中的な支援など大規模化政策を進め、これまで日本の食料生産を支えてきた小規模農家の退場を促してきた。
昨年度の戸別補償制度の廃止(安倍政府になって「経営所得安定対策」と名称を変えた)もその一つで、「意欲ある農家が生産できるように」という名目で、増産によってさらに米価を引き下げることを意図している。
こうした農業政策のもとで、荒廃農地の増加は必然的に起こっている。農地は食料生産の基盤であり、農地そのものを失っていくことに危機感が強まっている。
このうち森林化が進むなどして再生が困難になった農地も調査開始以来で最大となった。高齢化の進展で耕作ができなくなる農家が増加するなかで、農地の縮小に歯止めがかからない。食料自給率が38%の日本で、食料生産基盤の脆弱化が進行している。
一度失った農地を回復させるためには大変な時間と労力を必要とする。一端途絶えた農業生産技術を再び習得するには、それ以上の困難をともなう。今後、TPPや日欧EPA、日米FTAなどで輸入農産物の流入が増加すれば、この動きに拍車がかかることは明白となっている。
(中略)
下関でも目立つ耕作放棄地
山口県下最大の農業地帯である下関市でも、この傾向は顕著となっている。下関市の基幹的農業従事者の約8割を65歳以上の高齢者が占めており(2017年)、下関市の農業は他市と同じく高齢者によって支えられている現状がある。
(中略)
荒れた田畑は、シカやイノシシ、サルなど農作物を荒らす有害鳥獣の絶好の隠れ場となり、彼らの行動範囲を広げる一因にもなる。行動範囲を広げた有害鳥獣は近隣の田畑でも農作物を食い荒らすようになり、農地の減少と有害鳥獣の増加という負の連鎖に農家は頭を悩ませている。雑草が伸びてイネに虫がつきやすくなるという問題もあり、近隣農家が引退するとその分まで、残った農家が草刈りなどを引き受けることになる。夏場の炎天下で毎週草刈りをするなど、高齢農家にとって大きな負担となっており、荒廃農地の増加は深刻な問題となっている。
(中略)
崩壊する食料生産の基盤
農業人口の減少は、生産費に見合わない農産物価格が根源にある。戦後は食糧管理法にもとづいて、国が主食のコメに責任を持って生産・販売する体制をとっていた。生産者からは生産費に見合う米価で買い上げ、消費者には安い価格で販売する仕組みだ。当時は1俵2万円台だった米価は、食管法の廃止やコメの輸入自由化をへて1俵1万5000円台に下がっている。
山口県の2016年産米の生産費は1俵(60㌔㌘)当り1万3436円である。一方で、下関市の2018年産米の概算金を見ると、コシヒカリの一等米のうちもっとも高いもので1万3440円、ひとめぼれやヒノヒカリ、きぬむすめなどは1万1580円、その他の品種は1万円を切る。二等米、三等米になると1万円前後となっており、稲作で生計を立てることは不可能な価格だ。米価が下がり、機械、農薬、肥料は値上がりしていくなかで、ここ30年のあいだに子どもたちは農業を継がず働きに出るようになり、農村の過疎・高齢化が一気に進行したといわれる。
安倍政府は、TPPや日欧EPA、さらに日米FTA交渉と、食料生産という国民の生命に直結する産業を次次に犠牲にしようとしている。
TPP交渉でアメリカに対してコメについては従来のミニマムアクセス米も含めて年間50万㌧の輸入を約束しており、日米FTA交渉ではそれ以上の譲歩を要求される可能性もある。1俵4000円ともいわれる米国産米が流入すれば、生産費が1万円をこえる日本のコメ農家の離農が加速することが危惧されている。
安倍政府は、TPP交渉を進めるなかで、国内向けには「大規模化して競争力を強める」といい、農地集約や担い手・法人への集中的な支援など大規模化政策を進め、これまで日本の食料生産を支えてきた小規模農家の退場を促してきた。
昨年度の戸別補償制度の廃止(安倍政府になって「経営所得安定対策」と名称を変えた)もその一つで、「意欲ある農家が生産できるように」という名目で、増産によってさらに米価を引き下げることを意図している。
こうした農業政策のもとで、荒廃農地の増加は必然的に起こっている。農地は食料生産の基盤であり、農地そのものを失っていくことに危機感が強まっている。
そうした状況を裏付けるかのような長周新聞の記事でした。
日本中で荒廃農地が急増しています。2017年時点での荒廃農地が28万3000haで東京ドーム6万個分、そのうち7割がもはや再生利用が困難な土地となってしまったそうです。
今は荒れていても、また農地として再利用できそうと思うのは大間違いらしく、水田などは1年放置するとすぐに木が生えてしまい、森林状態になってしまったら復元は難しいとのことです。
しかも、これまで支えて来られた農業従事者の8割が65歳以上の高齢者で、今後ますます引退による耕作放棄地が増える見込みです。
戦後は、国が米を生産費に見合う米価で買い上げ、消費者へは安い価格で販売して主食を安定させていましたが、食管法廃止、国が米の輸入自由化を許し保護主義を放棄して以来、農家の生産費が報われるような買い取り価格ではなくなりました。良いお米を作れば作るほど赤字になるため、後継者はどんどん農地を見限っていきます。
言うまでもなくこれは安倍政権の方針で、TPPを推進し、小規模農家は積極的に退場へ追い込む予定です。食料自給率を高める方がよほど防衛力だろうと思えますが、そこはそれ、正真正銘売国奴のすることですから。