ぴょんぴょんの「200億円分の罪悪感」 〜アイヌの歴史と現実

アイヌの問題は難しい。
いざ取り組んでみると、本当に難しくて、複雑で、想像以上でした。
それでも、これまで日本政府が世界から隠してきたこと、無かったことにしてきたことが、「ウポポイ」をきっかけに、表出されたらいいな、と思いながら書きました。
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「200億円分の罪悪感」 〜アイヌの歴史と現実


「アイヌはいる。
そんなところから始めないといけないのかと、暗澹たる気持ちになった。」
note

アイヌ資料館「ウポポイ」のオープン


この7月、「ウポポイ」がオープンしたな。


北海道の、アイヌの資料館だね。
コロナの影響で、開館が遅れたけど、オープンできて良かったよ。

「ウポポイ」の記事を読んでいると、批判的なのがけっこうあってな。

裏になんかあるの?

裏?

たとえば、オリンピックで来日する外国人観光客に、「日本はアイヌをいじめてません、ほら、こんなに大切にしてます」ってアピールするためとか?

しかし、こうゆうのは、どう思う?
S学会が、アイヌの団体にカネ出してるとか、ニセアイヌが、アイヌのふりして国からカネをせしめてやがる、とかいう、アイヌへのバッシング。

へえ? どっから、そんな話が、湧いてくるんだろう?

反論しようにも、おれたち、アイヌのこと何にも知らねえから。

「ウポポイ」だって、ニュースに出るまで知らなかったよ。
正式名称は「民族共生象徴空間」て、言うんだよ。
「ウポポイ」とは、アイヌ語で「大勢で歌う」という意味。
それにしても、いったい、なんで「ウポポイ」は作られたんだろう?

2007年、国連で「先住民族の権利に関する国際連合宣言」が採択されたのがきっかけだ。2008年、衆参両議院で「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が採択され、2014年、「アイヌ文化の復興等を促進するための『民族共生の象徴となる空間』の整備及び管理運営に関する基本方針」が閣議決定された。美術手帖

その「民族共生の象徴となる空間」が、「ウポポイ」になったんだね。

「ウポポイ」の敷地内には、「国立アイヌ民族博物館」「国立民族共生公園」「慰霊施設」があって。



「慰霊施設」?

これまで、各地の大学で研究目的で保管していた、アイヌの遺骨を管理する施設。

ということは、昔、アイヌのお墓を掘り起こしたってこと

・・らしい。
各地の遺骨は、多くが無断で持ち出されたのは事実だと。
「文化財」として見せ物のように展示されてたり、ほこりをかぶって放置されてたり、非常に粗末に扱われていた遺骨もあったと。(NHK

それ聞いただけでも、アイヌの人たちがどんな扱いを受けてきたのか、想像がつくね。

まったくだ。ものの順序として、国や大学はアイヌにちゃんと謝らんといかん。

第一、殺人事件の捜査でもないのに、墓を掘り起こされたり、信心深いアイヌの人たちは、どんな思いで耐えたんだろう。
そう言えば、「ゴールデンカムイ」って、アイヌを題材にしたマンガがあるんだよ。アニメ化もされてる。
「ゴールデンカムイ」から、アイヌに興味を持った人、けっこう多いみたい。


おれも小さい頃、暗くて悲しい、アイヌのマンガを読んだ記憶がある。
題名は忘れたが、検索したら、同じようなマンガを読んでるヤツがいた。
「その頃読んだ一編の少女マンガが忘れられない。
それはアイヌの少女を主人公にしたマンガだった。・・
アイヌの少女が山道を歩いてくると、村の子どもたちが、『あ、イヌだ』と少女に向かって言うのだ。・・民族衣装をつけた少女の悲しみの顔。・・世の中に差別というのがあるということを初めて教えてくれたのはその少女マンガだった。」(梁塵日記

へえ?
そう言えば、「ゴールデンカムイ」のヒロイン「アシリパ」も「イヌ」って言われてたなあ。

アイヌの写真、見たことあるけど、髪は黒黒、長くてフサフサ、海藻をたくさん食ってたんかな?

Wikipedia[Public Domain]

たぶん、食事が健康的だったんだろうね。
1786年、日本人(和人)が見たアイヌは、こんな風だったって。
女性はお歯黒をせず、口の周りに刺青を入れている。男性は毛深い。髪の毛を結うことはなく、長髪のまま。服飾や習慣は異なることが多いものの、カムイと呼ぶ神に信仰を捧げる人々で非敬、仁愛、礼儀も厚い――。」
BUSHOO! JAPAN
アイヌと日本民族(和人)は、対等な交易をしていて、江戸時代に入る前までは仲良かったんだよ。アイヌは 和人 を「シサム」(良き隣人)って、呼んでたらしい。
Forebes

Wikipedia[Public Domain]

へえ、いったい、どっから、おかしくなったんだ?

江戸時代、松前藩ができてから
対等だった交易が、アイヌにとって不利なものになり、移民が押し寄せ、アイヌの生活が苦しくなり、アイヌ同士が戦うようになった。
それでも和人は内政干渉しなかったから、アイヌ文化は保たれていた。
でも、明治になると、政府は蝦夷地を北海道と改め、北海道開拓の名のもとに、日本人の一方的な「侵略」が進み、強制的にアイヌを日本人に同化させる政策が進められた。
その時に作られたのが「旧土人保護法」。
haaaさんの書評

やっぱ、元凶は明治維新か!

Wikimedia_Commons[Public Domain]
浮世絵「憲法発布略図」(明治憲法公布)

アイヌ民族は文字を持たない。アイヌ語を禁止されれば文化は絶滅してしまう。
アイヌは狩猟の民である。土地を奪われ、狩猟が禁止されれば、生きるすべを失う。
にもかかわらず、「旧土人保護法」では、アイヌの土地の没収、漁業・狩猟の禁止、アイヌ固有の習慣風習の禁止、日本語使用の義務、日本風氏名への改名による戸籍への編入が定められていた。
haaaさんの書評

Author:カラ[CC BY-SA]
17世紀アイヌ地図

アイヌから、全てを奪う法律じゃねえかよ!
なんてヤツらだ、おれたち和人は!

しかも、この法律、つい最近の1997年まであったんだよ!

な、な、なんと!!

アイヌから出た、初の国会議員のおかげで、ようやく廃止されたんだよ。

それまで、アイヌはずっと耐えていたんだな。申し訳ない。

アイヌの狩猟文化は、西洋みたいな娯楽の狩猟とは違って、基本はカムイ、つまり自然・環境に対する思いやりなんだ。
人間とカムイ(環境)は、お互いがお互いを必要とするパートナーであって、環境からの恩恵を当たり前と思わず、感謝して受け取ることによって、環境を維持することができる。haaaさんの書評

Wikipedia[Public Domain]

なんと、先進的な!
もし、日本がアイヌの文化を壊すんじゃなく、取り入れていたとしたら、環境問題で、世界の手本になってたのに。


「単一民族国家」幻想と共に歩むようになった日本


さて、戦後になると、一転してアイヌは国籍を持つ「国民」にされ、日本は「単一民族国家」幻想と共に歩むようになった。(北海道アイヌ協会

そう言や、2014年、ツイッターに「アイヌはいない」って書いたヤツがいたな


これを書いた、金子快之(やすゆき)氏は、元・札幌市議会議員。
彼の一言から、東京では、アイヌに対するヘイトスピーチ・デモが起こり、自身も「差別者」のレッテルを貼られ、次の選挙で落選。

たった一言で、そんな大きな影響力があったとは。

金子氏は、札幌市役所・アイヌ課職員の、12年に渡る官製談合を発見した。
私が問題提起したのはアイヌ民族の存在ではなく、アイヌを騙る札幌市役所の不正だ。」「札幌市のアイヌ施策の不正は官製談合に止まらない。住宅貸付や市営住宅、生活保護、職員人事、健保不正請求、宗教団体の関与など様々な疑惑がささやかれている。」(iRONNA

Author:J o[CC BY-SA]
札幌市役所(本館)

「宗教団体の関与」に、S学会が疑われているんだね。

金子氏の言いたかったことは、アイヌはつねに被害者にされるけど、加害者になってることもあるから、ちゃんと調べてねってことだ。

だけど、「アイヌはいない」は言いすぎだったね。

それはたぶん、金子氏の信念が出ちゃったんだな。
彼はこう言った。「『和人(日本人)がアイヌの人々を殺し、土地を侵略し、言葉や文化を奪った』として、政府はいま償いを求められている。従軍慰安婦や南京大虐殺と同じく、まったくいわれのないことだ。」(iRONNA

アッチャー! あなたは、そっちを信じるヒトでしたかー!

ところが去年(2019年4月)、「旧土人保護法」に代わる「アイヌ新法」、「日本(北海道)の先住民族であるアイヌ民族に関する法律 」ができた。
Wiki
そして、アイヌは正式に、先住民族と認められたんだ。

Author:DavePape[CC BY]

アイヌはとっくに、先住民族だったでしょ?

いや、今でも「先住民族アイヌ」は、政治運動の産物だとか、ケチをつけるヤカラがいる。(zakzak

どういうこと?

「アイヌ」と認定されれば、就学資金や住宅資金を借りられる。
だが、どうやって「アイヌ」を認定するのか?
zakzak
そこの疑問を、小林よしのりが、香山リカに投げかけている。

香山 客観性と主観性両方で判定するんです。
小林 じゃあ客観性って何なの?
香山 アイヌ協会に自己申告して認められるのもそのひとつですよね。
小林 何だそれ! アイヌ協会がポンと判を押して「アイヌだ」と言ったらアイヌなの?
香山 違います。最後まで聞いてくださいよ。アイヌ協会の定款によると、本人の入会申込書をもとに理事会での決議で決まります。戸籍を含めての審査と聞いています。主観性と客観性ですね。この両方で判定します。
小林 戸籍が客観性なのね?
香山 それしかないですからね、今のところ。
iRONNA

アイヌなら、戸籍に「旧土人」と記されている。それが証拠というワケだ。
あいつらは「アイヌ系日本人」で「アイヌ民族」じゃねえのに、アイヌと認められれば、生活支援を受けられる。そんなのズルい、インチキじゃねえかってな。

つまり、生活保護に対するバッシングと、よく似ているね。
自分たちは、まじめに働いて生活しているのに、あいつらは補助金もらって、楽しやがって、ズルいって感じ?

たぶん、そんな感じだろう。
2019年2月6日(水)の虎ノ門ニュースを見ると、連中の思ってることが、少し見えてくる。
「ウポポイ」が、世界にアイヌをアピールすると、「日本人は、先住民族アイヌをいじめた悪いヤツ」って、レッテル貼られるんじゃねえか、ビビってる。

しょうがないよ、事実だし。

さらに、連中の妄想は広がっていく。
アイヌが、中国の「南京虐殺記念館」、韓国の「慰安婦記念館」と共謀して、世界から「日本人は、侵略民族で残酷な人たち」と、叩かれるんじゃないかという恐れ。

Author:WL[CC BY]
中国の「南京虐殺記念館」

なんか、被害妄想的だね。
アイヌが引き金になって、日本が過去にアジア諸国でやった残酷なことが蒸し返され、騒がれるのがコワい?

連中は、アイヌを認定する「アイヌ協会」は、不正の温床だと語る。
あそこは、過去にも「使途不明金」「不正の支出」で問題になったからと。

どこでもあることです。
公正に裁けばいいだけです。

ところが、和人はアイヌの問題には触れたくないので、いつもうやむやのまま。
調子に乗って、利権に群がり続けるアイヌがいて、困っているそうだ。
世界的に有名な彫刻家・砂澤ビッキ氏の長男・砂澤陣氏は、アイヌの血を引く日本人。2016年に『北海道が危ない!』という本に、こう書いている。
「特にアイヌ協会に所属するアイヌは、いわゆる税金依存の落ちこぼれアイヌ、アイヌコンプレックスの集団であると断言してもよい。このようなことは昨日今日のことではない。遡れば昔々、江戸時代松前藩お抱えアイヌの頃からある。」(日刊SPA!

う〜ん、アイヌだって、いろんな人がいるし、いろんな事情もあるしね。
それに、今でもアイヌは貧しいから、利権に群がるアイヌがいてもおかしくない。
全てを取り上げられ、追い詰められ、生きるか死ぬかで、それこそ「イヌ」にならざるを得なかった、そんなアイヌがいたって、おかしくないよ。

問題は、和人がアイヌの問題を、まともに扱ってくれないこと。
それをいいことに、不正にカネをせしめるアイヌが、なくならない。

アイヌ同士の問題じゃないから、そこは、ちゃんと、日本の法律で裁かないと。

さらに、砂澤氏は、国が利権中毒者にカネを与えることは援助ではない、彼らを自立させることが本当の援助だ、という

それも、正しいと思う。
だけど、元はと言えば、あの誇り高いアイヌの精神を堕落させ、誇りを捨てさせるまで追い込んだのは、ぼくたち和人だってことも、忘れたくないね。

Wikipedia[Public Domain]
日本画家・村瀬義徳による「アイヌ熊祭屏風」

だな・・・
もしかして、「ウポポイ」は、和人の罪悪感を形に現したものか?

200億円分の罪悪感・・?

〈おだわら・のどか〉という彫刻家が、「ウポポイ」に行った感想を書いている。
「ウポポイ」のようなナショナルセンターは、「日本の貴重な文化でありながら存立の危機にあるアイヌ文化」について、その責任の所在を「アイヌ民族」に語らせるのではなく、「和人」の視点から明記すべきだと言っている。
「ここが抱える様々な『問題』とは、アイヌの問題ではない。徹頭徹尾、『和人の問題』である。」(美術手帖

わかる、わかる、やっぱ、そこだよ!
以前、シャンティフーラで「After3-11」を連載していたhiropanさんも、同じようなこと言ってた。
「日本人であり同時にアイヌ民族でもある彼らの内には、人にもよるのでしょうが、未だに腑に落ちていない感情や葛藤を抱えている人々も多くいると思っています。
日本は、もっと日本人(和人)とアイヌの関係性の歴史にきちんと向き合い、アイヌ民族に対し、国として正式に謝罪をする必要もあるのではないでしょうか。」(After3-11

そうだそうだ!! 
〈おだわら・のどか〉は、「ウポポイ」にはその姿勢が見えないことに、失望したようだ。それなら、彼女が考える「ウポポイ」の真の存在意義とはなにか? 
それは、日本で初めて、日本の「加害」を展示するという意義だ。
「ウポポイ」は「失敗とあやまちを繰り返さないための場」であり、そこで「私たちは自国の負の歴史と向き合うことができるはずだ」と言っている。
美術手帖

日本の「加害」に向き合うための施設、なるほど、そういう捉え方もできるね。
まったく、日本政府がアイヌに対して犯した失敗とあやまちを、誠実に認めて謝罪するのは、いつの日のことだろう。

同時に、過去の戦争で、大日本帝国が犯したあやまちについて認める日も、いつ来るのだろう?


きっと、日本が本当に成熟した、大人の国になったときだね。
「アイヌはいない、日本は単一民族だった」なんて、逃げ回ってるうちはまだまだだよ。
日本の成熟のためにも、ぼくたちは、謙虚に頭を下げて、アイヌの精神を学ばせてもらう必要がある。
hiropanさん「私はアイヌ民族ではありませんが、その文化や価値観には、共感し、学ぶべきものが沢山あると思っています。自然とともに、祈り、調和して暮らす。現代社会が見失った価値観や智慧が、アイヌ文化の中には残されています。こうした文化的、精神的遺産を現代アイヌの人々と一緒に学び、そのエッセンスを受け取り、活かすができたなら、社会にとっても、地球環境にとっても、どんなに素晴らしいことであろうかと想像しています。」(After3-11

パチパチパチパチ!!

アイヌの言葉で「こんにちは」は、「イランカラプテ」。
「あなたの魂にそっと触れさせてください」という意味
だって。 
Yahoo!ニュース

うつくしい! うつくしい魂の言葉だ。

Wikimedia_Commons[Public Domain]



またしても、舞台裏での小気味好い会話に聞き耳を。(まのじ)

ぺり:ぺりどっと、ぴょん:ぴょんぴょん先生
ぺり :アイヌって、自分で探さない限り本当に情報があまり出て来ないですね。
「ウポポイ」や「旧土人保護法」、「アイヌ新法」のことも、本記事で初めて知りました。
阿寒湖のアイヌコタンも行ったことはあるのですがね。。。
今回もすっごくためになりました。ありがとうございました。

ぴょん:そう言っていただけて、うれしいです。
でも、書き終えた今もなお、たくさんわからないことがあります。
同じ自民党系列でも、アイヌへの態度が分かれていることとか。

鈴木宗男はもちろんアイヌ支援派、
安倍政権もアイヌ支援派でアイヌ新法を作って、「ウポポイ」を応援していました。

ところが、安倍政権をヨイショした、いわゆるネトウヨはアイヌ・バッシングです。
維新だった、丸山穂高も「アイヌはいない派」でした。
「同一民族」が大好きな、ネトウヨは理解できるのですが、
なぜ、安倍政権は、アイヌを支援する姿勢を見せたのか?
やはり、なんらかの利権があるのか。
混乱させるためか。
わからないことだらけです。

そして、記事でも触れた砂澤氏は、アイヌの堕落を嘆く、まともなアイヌですが、
なぜかバックには、ネトウヨがいっぱいついていて、
彼自身の言動も、かなりウヨっぽくて抵抗を感じました。

北海道の波動が、上がってほしいです。

Writer

ぴょんぴょんDr.

白木 るい子(ぴょんぴょん先生)

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

東洋医学セミナー受講者の声

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