まみむのメモ(49)〈食べられる野草図鑑・秋(1)〉

 今年も新米の季節になりました。晴れた日が少ない中、さっと稲刈りを済ませた田んぼを見かけるようになりました。機械化ならではの早業です。
 手作業だけの自然農のお米作りを何年も挑戦してきましたが、ついに自給自足できるまでには至りませんでした。それでも諦めきれずに、種籾だけでもとバケツ稲作をしています。このバケツ稲作の簡単さに比べて、実際の稲作の大変な事!!全部手作業でとなると、昔のようにみんなで集まって、楽しみながらやるのがいいのかなぁと思います。
 田んぼで苗を育てて、苗取りをして、田植えをして、草取りして、稲刈りをして、ハゼ干しして収穫しても、食べれるようになるまでには、まだその後があります。足踏み脱穀機で稲ワラから籾をはずし、唐箕で屑米や稲クズを飛ばします。さらに玄米にするには籾すりが必要で、さすがに手作業ではできません。幸い田舎では精米だけでなく、籾すりもしてくれるコイン精米所が時折あります。何とかして自給できる体制を整えなければと、食料危機の問題以前に、最低限度自立した暮らしを目指す身としてはまだあきらめていません。
 これから自給自足を目指し、お米作りにも挑戦される方がおられるかもしれませんので、これまでの数々の失敗体験談を参考にしていただけたらと、後日別記事にてご紹介させていただきたいと思っています。
 さて、今回のクズとキンミズヒキ、繁殖力旺盛だったり、服にくっついてきたりと嫌われがちですが、本当はすごく助けてくれる強力な助っ人野草!!
 他にも最近美味しくいただいているのはヨモギの花です。以前はお茶にするだけでしたが、油炒めや佃煮風など意外と美味しく、元気になる気がします。とはいえ、ヨモギの花を咲かせているのは我が家くらいかも・・・。ヨモギからもらえる元気、すごいんですけどね〜。もちろんキンミズヒキも育っています。
(まみむ)
————————————————————————
まみむのメモ(49)〈食べられる野草図鑑・秋(1)〉

クズ(葛)


時期 5月頃から新芽を出して、花期は8〜9月、10月頃種を付け、地上部は枯れていく。
場所・環境 温帯、暖帯に分布し、中国からフィリピン、インド、インドネシア、ニューギニアに分布。北海道〜九州の日本各地の林縁や川土手など普通に見られる。
葉腋から総状花序が上向きに立ち上がり、濃紅紫色の甘い芳香を発する蝶形花を房状に密集してつけ、下から順に咲かせる。形は蝶形で旗弁、翼弁、竜骨弁からなっている。花色には変異がみられ、白いものをシロバナクズ、淡桃色のものをトキイロクズと呼ぶ。


地面を這うつるは、他のものに巻きついて10m以上に伸び、全体に褐色の細かい毛が生えている。葉は大型の三出複葉で、長い葉柄で互生し。小葉は直径15cm超の菱形状の円形でさらに中裂することがあり、受ける日光の強さで角度を変え、草質で幅広く大きい。葉の裏面は白い毛を密生して白色を帯びている。
花後に褐色の剛毛に被われた枝豆に似た、長さ6〜15cmほどある扁平な莢(さや)果を結ぶ。種子は長さ4mmほどの楕円形の豆果。

基部は木質、上部は草質となり、長さ10mに達する。根は長大で肥大した長芋状の塊根となり、多量の澱粉を蓄え、主根は長さ1.5m、径約20cmに達する。

見分けるポイント つる、葉ともに有毛で、花には甘い香りがある。
間違えやすい毒草 なし
生え方 大型の多年草。つる性半低木。
学名 Pueraria montana var. lobata
科名・属名 マメ科・クズ属
採取方法 クズの根を秋から春にかけて、地上部に残った茎をつたって、掘り採り、十分に水洗いして、乾燥しやすいように、外側の皮を取り除き、板状あるいはサイコロ状に切ってから天日で乾燥させる。

葛粉(くずこ)は、掘りとった根を水で洗い、外皮を取り除いた根をすりおろして粥状にし、綿布でこして繊維質を除き、少し放置してうわ澄み液を捨てて、数回同じことを繰り返すと、底に白泥が残る。これを乾燥したもので、でんぷん質だけを集めたもの。(または、たたき潰して出る汁を水にさらす。白いデンプンが沈殿するので、水洗いして集めて乾燥する。)病後や風邪をひいたときなどに、薬用にする葛湯(くずゆ)は、あまり水にさらさないので灰色にならない。

クズの花(葛花・かっか)は、9月の開花の始まる頃、穂状の総状花序ごと採取し、風通しのよい場所で速やかに乾燥させる。
柔らかいつる先や若葉を食用に。
あく抜き 地上部はほとんどアクはない。根には甘みと少し苦味があり、葛粉にするには数回水にさらす。
調理法 新芽、若葉をそのままで天ぷら、油炒めに。塩茹でして、あえもの、炒め物、煮付け、つるの硬いものは皮を剥いてサラダに。花や蕾は、熱湯にくぐらせ、甘酢、三杯酢、辛子和え、かき揚げ、塩漬けなど。塩茹でした新芽や若葉を刻んで暖かいご飯に混ぜ、30秒茹でて梅酢に漬けた花を散らしてクズの花ご飯に。

塊根を蒸して裏ごしして繊維を取り除ききんとんに。それを広げて揚げてクズチップや棒状にしてチョココーティング等してお菓子に。

また、葛粉で葛湯(水で溶いて鍋に入れ木べらで混ぜながらとろみがついてふつふつするまで加熱)のほかに、くず餅、和菓子などに利用。葛湯と花でハーブティーに、葉っぱを煮出して葛湯と混ぜても。

クズからとれるクズデンプンは和菓子の材料として利用されていて、はるさめに似た葛切(くずきり)は、クズデンプンを水でといて煮たものを冷ましてから、うどんのように細く切ったもの。

花を砂糖と水で発酵させたクズ酵母液に少しイースト菌を足してパンを焼く。酵母液はしだいに綺麗な色のお酒になり、花酒ゼリーなどにも。花酒をさらに発酵させると花酢になり、クズの香りがする寿司に。

豆を煮豆に。
他の利用方法 昔は、クズのつるを材料にして葛布(くずふ)に織って着物にした。葛布は今も各地に残る民芸織物に利用され、特に掛川(静岡)の葛布の織物は有名。

葉を家畜の飼料にしていて、ウサギや馬などが好んで食べる。つるを農作業に利用。

2008年、石油の代替エネルギーとして注目されるバイオエタノールをクズの根から製造する技術が、宮崎大学によって開発された。
効能 解熱、鎮徑(ちんけい)、脳冠状血管血流増加作用や血糖降下、女性ホルモン様作用があり、発汗解熱効果がすぐれている。

二日酔いその他の酒毒、諸毒の解毒に、花を1日に15g(乾燥花3〜5g)煎じて(沸騰したら火を止め冷めるまで放置)、または粉末にして服用する。血便や下痢便にも効果。花の乾燥粉末を蜂蜜で5mm大の丸薬にして常時服用すると黄疸、肝炎、肝硬変の改善薬に。(枯れた花や中国産の花には効果がない。)クズの花と小豆の花を同量粉末として飲めば酒に酔わない。

乾燥した根を1日3〜10g煎じて服用で、発汗、解熱、鎮痛、筋肉の緩和(肩こりなど)、清涼剤として口渇、嘔吐、頭痛、風邪、項背強痛(項から肩、背中へかけての痛み)、血の道に効果。生根汁を飲めば、食中毒、薬の中毒や飲酒による吐血に効果。

葛根(かっこん)は主に漢方処方の葛根湯の主薬となり、葛粉からつくる葛湯は、風邪などの時に用いるとよく効き目があり、寒気や熱をとり、のどの渇きや下痢をとめるという。

健康飲料には、水洗いした生の根を約100グラム小さく刻んでミキサーに入れて、水を加えて砕いた後に、繊維質が沈殿したら、うわ澄み液を別の容器に移して、これを1週間分として冷蔵庫に保存して、朝夕2回食前に飲む。

青葉汁を切り傷などの外用に、また盃1杯ずつの服用で血糖値を下げ、尿糖を減少させ、糖尿病に効果。

クズの新芽(つる先)約10cmを両手の人差し指と親指でできる輪の大きさ程度採集し、水から煮て1時間くらい煮詰めてお茶にして服用を続けると黒髪に、育毛剤に。

葉を乾燥して粉末にしたものに油を混ぜて外傷の出血に。

クズの葉にはビタミンC、カルシウム、鉄分、イソフラボンなど豊富な栄養素が含まれている。イソフラボノイド、ダイジン、プエラニン、ブテノリド、トリテルペノイドサポニン。ダイズイン、プエラリンなどの「イソフラボン誘導体」があり、これらは風邪の諸症状に効く作用を持っている。最近の研究では、「イソフラボン」には骨粗鬆症予防や更年期障害の軽減、高コレステロールの抑制効果などがあるそう。

内分泌系の補助、血管拡張、神経の安定に有効な数多くのフラボノイド類、肝機能の向上や血圧の安定、動脈硬化予防に良いとされる10種類以上のサポニン、皮膚粘膜の強化となるアラントイン、コレステロールの調整に役立つβ-シトステロールなど。他の有効成分は、多量のデンプン他。
その他 クズは「つる性植物」であり、茎を他の植物に巻き付けながら日光の当たる場所に進出していき成長が早く、河川敷や斜面などの日当たりの良い場所では、"クズが広い面積をびっしりと覆っている様子"が見られる。実は、特に森林などでクズが一定面積を覆うことは、悪いことばかりではなく、人間は家を建てて日差しや雨風を凌ぐが、同様に森に暮らす植物たちにとってもこれらの刺激は厳しいもの。ところが、クズが森林と外界の間を覆うことによって、森林内への直射日光や風の吹き込みを防ぎ、マイルドな環境を作っている。

このように森林の斜面などを覆う植物群を「マント群落」と言い、クズはマント群落を構成する代表的な植物。食用として救荒植物になり得る。

秋の7草の一つでクズの他には、フジバカマ、桔梗、ナデシコ、萩、オミナエシ、尾花(ススキ)。
参照サイト・文献 ウィキペディア
松江の花図鑑
イー薬草・ドット・コム
大地の薬箱 食べる薬草事典 村上光太郎著 / 農山魚村文化協会
ブーさんとキリンの生活
ハーブティー初心者ブログ効能口コミ
関連記事 [第24回] 地球の鼓動・野草便り 秋の七草


キンミズヒキ(金水引)


時期 4月頃新芽を出し、8〜10月頃花を咲かせ、種をつける。
場所・環境 ユーラシア大陸、ロシア、中央アジア、コーカサス、および北ヨーロッパ全体。北アメリカ大陸と南アメリカ大陸の温帯に10数種分布する。日本には3種ある。北海道〜九州の低地、山地にふつうに生える。
長くのびた茎の上部に黄色5弁の小さな花を穂状につける。花は両性。花柄は短い。花は径7〜10mm。花弁は倒卵形〜狭倒卵形で長さ3〜6mm、幅1.5〜2mm。雄しべは8〜14個。

茎は多毛で高さ50〜100cm、分枝し、奇数羽状複葉の葉が互生し、小葉の縁に鋸歯がある。葉柄の基部に托葉があり合着する。
裂開しない痩果の集合果であるバラ状果では花托が壷状になり、その開口部の縁に雄しべや花弁がついているとともに、壷の中に複数の雌しべがあり、硬い花床筒の中に痩果が1-2個ある。花床筒の縁に副萼片が変化したものといわれる鉤(つりばり)状の刺があり、果時に、この刺が動物体に付着して運ばれ、種子が散布される。

多年生宿根で根茎は肥厚する。

見分けるポイント 同じ名前の由来の水引に似た、細長い花序に小花がつくミズヒキは花が赤と白で、タデ科で葉の形や付き方が違う。黄色い花がつくキンミズヒキの種はひっつき虫で動物などにくっついて運ばれるのが特徴。

ミズヒキとキンミズヒキ

間違えやすい毒草 なし
生え方 多年草
学名 Aqrimonia pilosa
科名・属名 バラ科・キンミズヒキ属
採取方法 薬用には花の時期に全草または地上部を採取するが、この頃になると苦味が増すので、食用には若葉をいただく。
あく抜き 茹でて水にさらす。
調理法 茹でておひたしや和え物にしたり、汁の実に。そのまま天ぷらや炒め物に。
他の利用方法 薬用、ハーブティー、髪、顔、食器などの洗浄剤。
効能 有効成分:カテコールタンニン、クマリン、ルテオリンなどのフラボノイド性配糖体、揮発油、多糖体など。ビタミン複合体-A、C、K、E、P、Bビタミン-ニコチンアミド、リボフラビン、チアミン、葉酸、パントテン酸。エッセンシャルオイル混合物(コンパウンド)。日焼け止め成分(コンポーネント)。苦味、サポニン、カテキン、コリン、アルカロイド、樹脂性物質、ケイ酸、トリテルペン。有機酸-パルミチン酸とサリチル酸。ミネラル組成-カリウムとカルシウム、マグネシウムとマンガン、鉄、スズと銅、リンとフッ素、亜鉛とアルミニウム。

全草のエキスは、血小板増加による血液凝固促進と止血作用があり、強壮収斂(しゅうれん)止血剤とされていて、喀血(かっけつ)、血便、子宮出血などの止血に用いる。また、抗菌、消炎、鎮痛作用もあり、健胃、下痢止めにも応用される。

キンミズヒキは、血液浄化、抗アレルギー、発汗、去痰、鎮痙、収斂、抗寄生虫、鎮静、降圧、抗炎症、胆汁分泌促進、利尿、抗リウマチ、止血、強壮、抗酸化の特性を持っている。タンニンは体の組織を保護フィルムで覆い、血管の壁を強化。

キンミズヒキには、鎮静効果があり、消化管と腺の分泌機能を刺激するエッセンシャルオイルが含まれている。粘液の薬効は、鎮静作用と抗炎症作用、創傷治癒、呼吸器系からの粘性痰の除去。フラボノイドはヒアルロン酸を分解する酵素を中和することによって健康な軟骨形成を促進。さらに、体からフリーラジカルを除去し、血管壁の弾力性を高め、アテローム性動脈硬化症の発症を防ぐ。苦味を含み、食欲を刺激し、消化過程を正常化し、衰弱させる病気や神経衰弱の後に力を回復するのを助ける。サポニンは特定のホルモンの作用を高め、炎症を和らげる。アルカロイドは、止血効果を示し、血液循環を正常化する。脂肪酸の治癒特性は、体に必要なエネルギーを提供し、骨格細胞を正しく形成し、代謝プロセスを正常化する上で重要な役割を果たす。

キンミズヒキのハーブにはさまざまな微生物と戦い、傷を消毒し、免疫システムを強化する貴重な樹脂が含まれている。植物ステロールには、コレステロール値の低下、心臓機能の改善、血液循環プロセスの回復、体の防御力の向上などの薬効がある。治癒能力が豊富なキンミズヒキは、貴重なビタミンBを含み、体のすべての代謝過程に関与し、髪、皮膚、爪を癒し、女性と男性のホルモンの産生を促進し、肉体的および精神的にパフォーマンス向上を助ける。

乾燥した全草を、1日量10~15gに、0.5リットルの水を加えて、煎じながら約3分の1の量まで煮詰めたものをこして、3回に分けて食間に温めて服用。歯ぐきの出血や口内炎、のどの荒れたときなどには、乾燥した全草5gに、0.2リットルの水を加えて煎じ、約半量まで煮詰めたもので、1日数回うがいをする。浴湯剤として、疲労回復、筋肉の疲れをとるときなどに風呂に用いられることもあり、皮膚炎、うるしかぶれ、にきび、などに全草を煎じた液を湿布するか塗布する。

この奇跡的な植物に基づく薬が次の治療に推奨される:尿路結石症、肝炎、腎出血、肝臓の肝硬変、リウマチ、神経根炎、放射線病、関節痛、神経痛、扁桃炎、口腔の炎症、胆嚢炎、口内炎、火傷、腰痛、素因、皮膚発疹、関節炎、関節症、喘息、インフルエンザ、咳、痛風、発熱、水滴、鼻炎、痔核、瘰癧(るいれき)、胃腸障害、静脈瘤、打撲傷。

ガン細胞と正常細胞の培養液に、キンミズヒキのエキスを注入すると、がん細胞だけが死滅して正常の細胞には異常がないことが確認されている。
その他 キンミズヒキ属は、アグリモニアといい、ギリシャ語で刺の多い植物という意味のアルゲモネからきている。

子孫を残すために、移動する動物にくっついて種子を運ばせる植物にはキンミズヒキの他にも、イノコズチ、アメリカセンダングサ、ヤブジラミ、チカラシバ、ヌスビトハギなどがある。
参照サイト・文献 ネイチャーエンジニア いきものブログ
ウィキペディア
松江の花図鑑
イー薬草・ドット・コム
Culiue Magaziue
Paulturner-Mitchell
関連記事 なし



Writer

まみむ

以前「地球の鼓動・野草便り」を書かせていただき、現在「食べられる野草図鑑」連載中です。
まぁは、普通のことを普通に話しているだけなのですが、普通かどうかは基準が人それぞれですね。この頃、特に関心があるのは、これからの地球の自然と人間の関わり方。
みぃは、時々神様のお話や植物たちのお話をしてくれます。とにかくこれから良くなっていくことを信じて、ガヤトリー・マントラを日々唱えています。
むぅは、以前から知っていたのですが、最近やっと会いました。あまりおしゃべりではないけど、とってもピュアな感じ。神の存在に対する認識がこの頃できてきて、自分の良心にしたがって生きることの大切さを感じています。


Comments are closed.