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[第4回] 地球の鼓動・野草便り 今、美味しい春の野草5種(2)


今、美味しい春の野草5種(2)


先日、三次の産直市で母がカボチャを買って帰りました。 この時期まで保存を上手にされた、昨年秋に収穫のカボチャです。

調理しようと包丁をあてると、とても大切に保存され、慈しんで育てられていたのがわかりました。カボチャからとてもやさしい幸せな感じが伝わってきて、愛情のこもった育て方に応えるように、カボチャが不思議なくらいみずみずしく元気なのです。
こんなカボチャははじめてでした。どんな方が育てられたのか知りたいと思いました。

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野草を摘む時や調理する時食べる時、もちろん野菜もですが、「ありがとう」「愛しています」などと祈ります。そして全部根こそぎ摘むのではなく、選んで適度に残しながら摘みます。 でも、あのカボチャほどにはやさしくないかもと、カボチャさんにやさしさを教えてもらいました。

では今日の野草をご紹介いたします。
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(1)シャク


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独特の香りがあり、アクがなく、量もたくさんいただける美味しい野草です。
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  1. フライパンに油を少し多めに入れて、ニンニクの醤油漬けと種を除い た鷹の爪を刻んで炒める
  2. 茹でたスパゲティーと適当な大きさに刻んだシャクを(1)に入れて一緒に炒める
  3. 醤油で味付け
  4. 大根おろしをのせる

好みで醤油をかけてもおいしいです。刻み海苔をのせてもあいます。

人参の葉に似た野草にはいろいろありますが、ヤブジラミやヤブニンジンなども食べることが出来ます。

ところが、ケマンソウという似た葉の毒草があります。花が咲けば一目瞭然なのですが、葉の匂いで確認します。 シャクにはセリやミツバなどと同じように独特の匂いがあり、摘んだ時に切り口を嗅いで確かめます。

(左)シャク(中)ヤブジラミ(右)ケマンソウ

(左)シャク(中)ヤブジラミ(右)ケマンソウ



(2)ユキノシタ


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昔から母の田舎でも、ひきつけの薬になるからと、よく天ぷらにしていました。 生の絞り汁は中耳炎で子供が痛がる時に直接耳に入れると、すぐに痛みがおさまり、じきに治るそうです。

また子供の熱冷ましや頭痛にも盃1杯くらいを飲ませます。ウルシかぶれにもいいそうです。「雪の下」の名がついたように、冬でも枯れませんので重宝します。


(3)ヨモギ


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ヨモギはこの時期にできるだけ摘んでおきます。天ぷらにした残りは、乾燥させてお茶にします。今なら生でも美味しいお茶になります。

ヨモギをバジルの代わりに使ったら美味しかったんですよ!と出張野草教室をした友人家族。そして野草教室でお母さんの背中におわれている赤ちゃんが、野生化したニラをガジガジチュッチュしているのを見て、生のニラが美味しいと教えられ、そのお陰で美味しいヨモギとニラのジェノバソース風ができました。

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  1. 生のニラとヨモギを適当な長さに切る(ヤナギタデをたしてピリ辛にすることもあります)。
  2. ①をミキサーに入れ、醤油、油(良質のオリーブオイル、菜種油、白ごま油など)を適量入れる。
  3. 味を見て、必要なら塩を入れる。
  4. パスタやパンなどによく合います。豆腐ステーキや粉ふきいもなどアレンジいろいろですね。

※ニラに似た毒草にスイセンなどがあります。匂いを嗅いで確かめてください。
(左)ニラ(右)スイセン

(左)ニラ(右)スイセン



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ヨモギの青汁をすり鉢で作ることもあります。(他の野草を混ぜてもOK)

この方が少量の時は簡単で成分破壊も少ないと思います。
また、りんごジュースなどを足さなくてそのまま飲んでも大丈夫。
▶︎ 第2回「ヨモギは神様みたいな草」にも別のヨモギ青汁の作り方があります。

青汁のかわりに、芽の先の開いていない部分を食べることができます。(1日10個くらい)

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[第3回] 地球の鼓動・野草便り 今、美味しい春の野草5種(1)


今、美味しい春の野草5種(1)

今回は、太田川の上流、車がめったに通らない山際の道路脇で野草を摘んで来ました。
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春の野草はやわらかで、アクが少なく、種類も豊富です。
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この時期の我が家の畑には、太田カブ菜以外、ほとんど野菜がないので、ハウスで育ったりっぱな野菜を買いますが、これからはもう買わなくてすみます。

では、今日の野草をご紹介していきましょう。
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(1)ノカンゾウ(ヤブカンゾウ)


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ノカンゾウ(ヤブカンゾウ)は今が摘みどきです。フキノトウに続いて、いつの間にか芽が伸びています。大きくなったら、下の方のやわらかい部分だけをいただきます。
花も美味しく、中国では蕾を乾燥させて金針菜という名で売られています。以前は金針菜がノカンゾウの花とは知らずに、珍しいからと買っていました。

漢方薬に使われる甘草とは種類が違いますが、こちらも不眠症や風邪などの薬にもなるようです。田舎ではよく食べられる美味しい野草の一つです。
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  1. ノカンゾウをサッと塩茹でする
  2. 刻んで酢味噌で和える

今日の酢は柿酢・・・秋に熟し柿を瓶で寝かせておくだけで柿酢になります。


(2)ギシギシ


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葉が開いていない芽のところがヌメリがあり、塩ゆでしたものをお浸しや汁の実にします。やわらかい葉も同じようにいただくことができます。
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  1. しっかり塩茹でして水に取る
  2. 温かいうちに醤油で和える

今日のは切っていませんが、適当な長さに切ってください。
今回は葉っぱも入れたのでちょっと硬かったです。いつもはおいしいのですが!


戦後や昔は日常的に食べられていたようです。野菜のない春先にも冬でも元気に生えているギシギシは太田カブ菜とともにありがたい食材です。

スイバ

スイバ



ギシギシに似たスイバは塩ゆですると、トロッとなるのでキビ糖などで甘くすると酸味のきいた美味しいジャムになります。

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[第2回] 地球の鼓動・野草便り 蓬(ヨモギ)は神様みたいな草


蓬(ヨモギ)は神様みたいな草


野菜も元は野草だったはずですが、最近は市場に出回っている野菜の約8割がF1(1代交配種)という話を聞いたことがあります。
種を落とし翌年また芽生える植物本来の姿ではないのです。遺伝子組換えなどもそうですね。

その点、野草は人工的に歪められていません。自然のエネルギーいっぱいです。
それに、もし食糧難になってもお金がなくても、田畑がなくても百姓経験がなくても野草なら大丈夫。ただし除草剤(枯れ葉剤)と毒草には注意が必要です。

というわけで、まずは、蓬(ヨモギ)の紹介です。どれほどありがたい存在かといいますと・・・

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以前、足に竹がささったことがありました。
とても痛かったのですが、すぐにヨモギを採って少しもんで傷に当てると、痛みがスーッと消えて血も止まり、1日1〜2回取り替えながら2、3日くらい包帯でヨモギの葉を当てていたでしょうか、いつの間にかすっかり治り、傷跡も残りませんでした。

また、お餅屋さんでアルバイトをしていた息子が指先の肉をかなり削いで帰った事がありました。その時も1日1回ヨモギの葉を取り替えながらテープでとめていただけで、肉が盛って指がきれいに治りました。
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ヨモギは天然の抗生物質ということで、猫の血尿や喧嘩傷など、病院でもらう抗生物質の代わりにヨモギの青汁で治しています。(病院の薬より副作用がなく良く効くようです。)

止血、殺菌、浄血・・・ヨモギって神さまみたいな草なんです。

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野草教室で賢いお母さんが、オイル漬けを作って薬にすると話してくれました。
それではと、虫刺されに良いフキと化膿防止のドクダミとヨモギなどを全部一緒に良質の白ごま油等に漬け込み、オールマイティーに使っています。

オイル漬けは2週間目くらいから冷蔵庫保存が無難です。白カビ(酵母)が出たら混ぜ込んで冷蔵庫へ入れてください。(私は1年以上常温保存したものを、多少匂いますが平気で使っています。)

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< このオイルの内容 >
  1. ヨモギ:適量
  2. フキ:適量
  3. サンショウ:適量
  4. ヤナギタデ:適量
  5. 菜種油(九州産古式圧搾1番搾り):葉が完全に浸かるくらい

< 使用用途 >
  1. ころんで作ったすり傷、切り傷
  2. 蚊やダニに噛まれた時、蜂に刺された時
  3. 膿が出るなどの化膿した時
  4. 火傷

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[第1回] 地球の鼓動・野草便り
私たちの身近には野草という強い味方がいる!?



 昔から薬用・食用として使われてきた野草にスポットを当てた連載を開始します。四季折々の恵みを美味しくいただく情報や有効成分を生活に生かす方法なども紹介します。記事を書いてくださるのは、野草研究家のにゃんにゃん母さんです。
 都会の真ん中でも、道路の脇や公園、河川敷にはヨモギやクローバーをはじめ様々な野草が生えているものです。緊急災害時はもちろん、毎日の生活の中でも、身近にある野草のことを知っていると優しい力で私たちを助けてくれることがあるでしょう。
 できる限り 野草の旬の時期と重なるように紹介してまいります。
(スタッフ こじか)
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野草研究のきっかけ

10年以上前になるでしょうか?現シャンティ・フーラ合同会社代表の白井薫氏(長男と同じ歳)と偶然知り合い、自給自足を目指し、自立と助け合いをテーマに『百姓の会』を立ち上げました。まったくの素人だった私たちが、ほとんどただで、人の繋がりだけで師匠を得て、田畑を借りて野菜作り、お米作りを学び始めました。

大根

その頃は、わたしは自然農法なる言葉も知りませんでしたが、20代の頃(約40年も前!?)、有吉佐和子さん著作の『複合汚染 』を読んで、食品添加物、農薬の怖ろしさは知っていました。

当時はまだ独身でしたが、将来子供たちに何を食べさせたらいいのだろうかと悩み、そうだ野草があるではないかと思いつきました。田舎出身の母が時々、おいしいからと野草を食卓にのせていましたし、草なら農薬もかかっていないと思ったのです。(ところが今は除草剤が流行っています。)

野草研究会と称して、広島市内の植え込みの影や郊外の荒れ地を探すと、本にある食べられる野草がたくさんありました。幸い子供の頃から植物が好きで、多少草の見分けがついたのです。(ありがたいことに、書店には食べられる野草の本がありました。)

その後、結婚して2人の子供を出産し、すっかり健康オタクになっていたので、自然食品店でお財布のゆるす範囲ですが買い物をするようになり、しばらく野草研究からは遠ざかっていました。
そうそう、離婚して生活に困った時に、たまに野草を摘んで食べてましたっけ……!!

本格的に野草研究を再開したきっかけは『百姓の会』で知り合った方から、玄米や野草で命を救われたといわれる東城百合子さんの講演会や本を紹介してもらったからです。以前は食べ物として考えていた野草が、実はたいへんな薬効があることを知りました。

中でも一番薬効があると実感している野草の代表格は蓬(ヨモギ)さんです!子供の頃、蓬で擦り傷を治した経験をお持ちではないでしょうか?蓬は天然の抗生物質で、抗酸化力はビタミンCの何十倍とか。身近な植物たちがとても素晴らしいことを、ご紹介できる機会をいただけたことはとても嬉しいです。まだまだ勉強中ですが、少しでもお役に立てればと願っています。

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